「新桃太郎伝説」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
新桃太郎伝説」を以下のとおり復元します。
*新桃太郎伝説
【しんももたろうでんせつ】
|ジャンル|ロールプレイング|CENTER:&amazon(B000068I1O,image=https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/3563/1765/sinmomoden.jpg,height=160)[[高解像度で見る>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/3563/1765/sinmomoden.jpg]]&br()[[裏を見る>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/3563/1766/sinmomodena.jpg]]|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|発売・開発元|ハドソン|~|
|発売日|1993年12月24日|~|
|定価|9,800円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|セーブデータ|3個(バッテリーバックアップ)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|ゲームの完成度は高い&br()バランスは多少難あり|~|
|>|>|CENTER:''[[桃太郎シリーズリンク>桃太郎シリーズ]]''|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
ハドソンの看板シリーズである桃太郎伝説シリーズの一つ。~
本作はFC版『桃太郎伝説』のリメイク作としてPCエンジンで発売された『桃太郎伝説ターボ』の続編である『桃太郎伝説II』のシナリオやゲーム性を練り直したリメイク作品だが、内容は大幅に変更され、ストーリーの大筋は踏襲しつつ大きく趣の異なる作風に変化している。

ストーリーこそFC版初代のストーリーの続き((パッケージ裏の解説でもFC版の後日談と受け取れる書き方がされている))となっているが、先に述べた通り、「第1作目のリメイク版の続編のリメイク作」という位置づけなので、厳密にはFC版の直接の続編ではない。((そのため、FC版の続編としてみると、『ターボ』で追加・変更された一部の描写がFC版と噛み合わなくなる。(ターボで追加されたボスのじゃこつばばあとの再戦シーンなど)))。
----
**ストーリー
>桃太郎がえんま大王をこらしめてから6年の月日が流れた。
>
>平和が永遠に続くと思われていたある時。~
鬼族の総大将・伐折羅王の腹心である鬼カルラの暗躍により、愛と勇気に目覚め人と鬼の共存を訴えていたえんま大王が失脚し、~
奈落の底に幽閉されるという事件が起きた。~
人間世界の侵略をもくろむ伐折羅王は、カルラの進言に従い、人間の希望の象徴であるかぐや姫を手中に収めんと魔の手を伸ばす。~
かぐや姫に危機が迫っていることを知った桃太郎はすぐさま月の宮殿へと向かうが、立ちはだかる伐折羅王の息子、~
ダイダ王子との戦いに敗れさり、全ての力を奪われて月から叩き出されてしまう。
>
>生家で目覚めた主人公は、かぐや姫を救い、再び伸びる鬼族の魔の手から世界を守るべく、決意を新たに旅立つのだった。

----
//文章量の割に目次が微妙に長く見辛くなっていたため、小見出し(***)を全て普通の太字に変更しました。
**評価点
''シナリオ''
-それまでの桃太郎伝説シリーズの持ち味だった牧歌的な雰囲気やギャグ要素が尽く廃された、これまでからは考えられないほど重くシリアスな展開が持ち味。昔話をモチーフにしているのは変わらないが、根底にあるのは「上座部仏教と大乗仏教の対立」である。
--「上座仏教」とは「厳しい戒律と修行の果てに自己の救済を目指す」という仏教思想で、対する「大乗仏教」は「自己の解脱よりも他者の救済を重んじる」という仏教思想であり、それぞれ実力主義と封建社会の厳しさの中で生きる鬼たちと、人助けと融和を重んじる桃太郎たちになぞらえられている。
---話の展開上、「鬼の支配(上座部仏教)」を「桃太郎たちが解放する(大乗仏教)」ことになっているが、もちろん現実の世界でこれらの思想に善悪のくくりがあるわけではないことを言及しておく。((「上座仏教」はもともとは「小乗仏教」という呼称であったが、この呼称は「出家して修行し悟りを開いたものだけが救われる」というそれまでの仏教思想の前提に対する批判から興った大乗仏教側の視点からの差別的呼称だったため、のちの時代に読み方が改められたという経緯がある。その点も両者の対立構図に影響していると考えられる))

-特にその物語に華を添えるのが、リメイク元の『II』には居なかった悪役『カルラ』の存在。鬼族の王である伐折羅王 (『II』での地獄王に相当)の腰巾着であり、行く先々で桃太郎たちの前に現れて様々な嫌がらせを仕掛けたり、何かあるたびに伐折羅王に虚偽の報告をしていたりする、裏の主役とも言える存在である。
--その所業はネタバレとなるため詳しい記述は避けるが、作中で今までのシリーズからは想像もできないような暴悪で残忍な悪行を幾度となく行い、桃太郎シリーズはおろかRPG史上でも屈指の外道悪役として今でも名を馳せている。
--作中のある場所で語られる鬼族の世界観やカルラの生い立ちの中にはそうならざるを得なかった事情もある((ただし、鬼族に対する偏見からくる台詞も多い。))にはあることが読み取れ、プレイヤーに複雑な感情を抱かせた。開発日記いわく「悪いけど哀れな奴」とのこと。
--『[[ファイナルファンタジーVI]]』のキャラクターであるケフカとは劇中での立ち位置など共通点が多い。なお、偶然とはいえゲームの発売時期もかなり近い。

''システム面''~
RPGとして、以下のような意欲的なシステムが盛り込まれている。

-『絶好調』
--フィールドを歩いていると一定確率でキャラクターが絶好調になり、戦闘中のステータスが大幅に上昇する。~
一定時間で元に戻ってしまうが、上手くボス戦に持ち込むことができれば大幅に有利となる。(ただしボス戦では恩恵が通常戦闘より小さくなるように設定されている。)
---これは、後の桃太郎電鉄シリーズや、PS版『桃太郎伝説』にて復活することとなった。

-『タクティカル・ウェザー・バトル』
--フィールドでの敵キャラとの戦闘には「天気」という概念がある。各キャラや一部の術に得意な天気&苦手な天気が割り振られており、天気によって戦況が変化するというもの。味方だけでなく敵にも得意な天気が設定されていて、その天気に変更する能力を持っていたりする。
---どの天気になるかは毎回ランダムだが、南国は日照りになりやすい、海では時化が発生するなどの特徴分けがなされている。
--現在の天気が得意である場合、毎ターン体力が回復する、ステータスが増加する、術の消費技量が半分になるといった効果が発生。逆に苦手な天気の場合体力が自然減少したり、術の消費量が増加する。中には全く動けなくなったり、戦闘から逃げ出してしまうという極端な仲間も。術の威力も天気によって増加したり減少したりする。
--回復役として重要な浦島は苦手な天気が4つと多い。元々の体力が低いところに体力減少が加わってしまうので、戦闘の際には注意が必要となる。
--なお、天気は一部のアイテムや術などで意図的に変化させることも可能。


-『人気度』
--桃太郎が人々からどれくらい支持されているかを示すステータス。
---このステータスが高いと、店で割引をしてもらえる、利用できる施設が増えるなどの利点が生じる。逆に低いと店に高い値段を吹っ掛けられたり、お供が命令を聞かなくなってしまう。
--この人気度がある程度以上高くないと入れない場所や、一定以上無いと仲間になってくれないキャラも存在するが、普通にクリアするだけなら無視しても問題はない。
--人気度は困っている人の手助けをする、ボスキャラをこらしめるなどで上昇し、敵の甘言に乗せられる、嘘をつく、仲間を戦闘不能にするなどで減少する。
--『II』でも”桃太郎らしくない行動”に対するペナルティはあったが、本作は悪行に対するペナルティと善行に対するご褒美をより明確にしたものと言える。


''個性的なキャラ''
-仲間キャラの総数は当時のRPGとしては破格の多さ。またキャラごとに癖や使い勝手も大きく異なるので、個性が大きく出ている。
--重要イベントの際に特定のキャラをつれていると、仲間や敵のセリフが変化するようになっており、パターンも豊富。
--また、フィールドを歩くときに仲間が好き勝手に歩く『アクティブ・ウォーキング』など、細かいところにも独自性が見られる。

-敵キャラもそれぞれ独自のトリッキーな技を使うものが多く、敵との戦闘では毎回細心の注意を払う必要がある。
--様々な伝承・民話や仏教用語に由来する敵が多数登場しており、雪女や海坊主のような著名どころから、「うわん」や「いつまで」のようなマイナーな妖怪まで敵の種類は実に幅広い。不喜、悪杖、はちずまびんなど変わった名前の敵は十六小地獄の名称に由来していたりする。
--「一体の敵に必ず一つ以上の特殊能力を」という意気込みで作られたため、ザコからボスに至るまで皆非常に個性的。そのぶん、ややゲームバランスが犠牲になっている側面もあるが……。

-シリーズ恒例のギャグ敵も健在。
--パロディ表現への厳しさや作風のシリアスさゆえか、時事ネタやパロディは鳴りを潜めてしまっているが、相変わらずのコミカルなノリでシリアスな雰囲気を適度にほぐしてくれる


''その他''
-格調高い純和風のBGM群
--作曲は旧作でおなじみのサザンオールスターズの関口和之が担当し、いずれも名曲揃いである。
---中でもボス戦、ダイダ王子戦、風神&雷神戦、そしてラスボス戦のBGMは特に評価が高い。

-妙なところへのこだわりよう、力の入れようも凄い。
--本作の題字『新桃太郎伝説』は今井凌雪氏(黒澤明監督の映画の題字を手がけたことでも有名な、本職の書家)にわざわざ依頼して書いてもらっている。
--桃太郎シリーズのお約束である女湯イベントなど、細々としたイベントやミニゲームにも力が入っている。
----
**賛否両論点
''旧作と比較して顕著なシリアス要素と死亡描写''~
-『敵を殺すのではなく懲らしめる』という根底こそ貫いている((散々外道な行いをしてきたラスボスも例外ではなく、自業自得の自滅ととれる撃破演出になっている。))が、ストーリー展開上、登場人物の殺害シーンなどのショッキングな展開が多く、殺伐とした雰囲気が顕著。
//その要因を担っているのが前述の悪役カルラだが、同じシリーズ作品とは思えないほどの外道っぷりを見せつけ、これでもかというほどプレイヤーの嫌悪や怒りをあおってくる
//#region(ネタバレ注意)
//--敗北した部下を用済みとして殺害するなどは序の口で、鬼と人が共存する新しい村の村人を血の雨を降らせて大量虐殺したり、桃太郎一行のメンバーを人質にとって要求をのませたあげく約束を反故にしてはりつけにした人質に火を放ったり、主要人物をだまして利用した挙句殺害したりとやりたい放題。
//--極めつけは、世界そのものを支える柱であるかぐや姫を殺害し、世界を崩壊させてしまう。
//---崩壊に巻き込まれていく人々の悲痛な叫びがセリフで克明に描写される上、フィールド曲も陰鬱としたものに変わるので気が滅入る。
//--エンディングを迎えてもこれまで無念の死を迎えた人々が生き返って大団円などという甘い展開もない。
//#endregion
--ギャグ基調から重厚かつシリアスなストーリーへの転換を好意的に受け止めて評価しているプレイヤーは多いが、ほのぼの感あふれる作風を特徴として他作品と差別化していたシリーズだけに、旧作からのファンの中には否定的に見る層も存在している。
----
**問題点
-レスポンスが遅い。
--特にフィールド画面が顕著である。メニュー画面を開く、仲間同士でアイテムを交換するなどの動作でイライラするプレイヤーも多い。

-操作性が悪い。
--町中では歩行速度の調整ができるが、フィールドやダンジョンでは遅い速度でしか歩けないなど、微妙に不親切。町での移動速度を速くしていると、ダンジョンでのノロノロした歩みに苛立つことだろう。
--かと思えば、船に乗ったときの速度は勢い余って陸地に上陸してしまうほどの異常な速さ。狭い川に入った時などはとても操作しづらい。

-エンカウント率が非常に高い((5歩まではエンカウントしないように設定されているが、率直に言って短過ぎる。ダンジョンの画面端から画面端までを通るだけでも2~4回は戦闘があると言えば想像出来るだろうか。つづら(ドラクエなどにおける宝箱)を探索しようとうろつき回ると意図せずに強制レベル上げをさせられるような状態に陥る))。特に橋の上を通ると当時のプレイヤーから「橋を通る度に敵が出た。これは何かの陰謀か?」と言われたほどに高確率で敵と遭遇する((橋の上でのエンカウント率の極端な高さについてはさくま氏は『ジャンプ放送局』20巻で「橋の敵出現率は80%だから。経験値稼ぎの陰謀なのだよ。」と(冗談めかして)語っている。))。
--その上雑魚敵も全体的に強く、ダンジョンでは常にギリギリの戦いを強いられる。
--ただし、こちらにも敵全体に会心の一撃を繰り出し敵をほぼ一掃出来るようになった鹿角の術など、対抗手段は決して少なくはない。また一度倒した敵と遭遇しなくなる「オニよけの術」「かくれみの」といったものもあり、こちらは逆に強力すぎるため一応のバランスはとれており、救済措置が全くないわけではない。
//---異常に厳しい要素に異常に強力な救済措置で対抗するようなバランスの取り方が果たしていいのかと言う問題があるが・・・。
--「しょうけら」という敵は此方の呪いを解いてくれる他、倒すと改心の証として味方1人のHPを回復してくれる。
--「黄粉坊」という敵は逃げ出しやすいが、なんと&bold(){倒したキャラの体力と技を全回復}させてくれる。
---wikiや攻略本によると、本作の実質の制作期間はわずか&bold(){4ヶ月}しかなかったとの事。バランスが厳しいのもこの為であり、どうあがいても難易度調整が間に合わなかった為、これらの敵を配置してしのいだらしい。
//---このゲームに限らず、この時期のハドソンのRPGは全体的にエンカウント率が高い傾向にあるので、社内の空気と言うか方針がそんな感じだったのかも知れない。

-物価が非常に高い。
--特に装備品の値段が際立っており、先の村へ到達するほど価格が容赦なく上がる。
//--かといって装備を整えないと戦闘が苦しくなるため、よほど手馴れていない限りプレイヤーは慢性的な金不足に陥る。
//このゲーム、キャラクターの素の能力値に比べて装備品が弱めだから、装備を整えなくても、そこまで困らない。
//---金太郎の村の屋台などの無限に金を稼げる場所もあるので、無理ゲーというわけではないのだが…
--また物語後半で建造した自分の城を飛行させたり、海に潜らせる(どちらもクリアには必須)ために莫大な資金が必要になる。
---さらに城に大砲をつけようとするとそれらを上回る金額を請求される。大砲はクリアに必須ではないが…。

-お供の活躍頻度の減少。
--キジ、イヌ、サルのお供たちはそれぞれ固有の特技を持っており、前作『II』では無制限に使用できたのだが、今回は特技一回につき、きび団子一つを消費するようになった。
--特に、その場で即エンカウントを引き起こす効果のあるイヌの「敵を呼ぶ」は『II』において経験値・資金稼ぎをする上で非常に重宝したのだが、今作では気軽には使えない。お金が増える後半でも、やはりアイテム欄を圧迫する&買い込む作業が面倒という点で変わりはない。
---代わりに同じく敵を呼ぶ効果を持ち、何回使ってもなくならない「鬼の笛」というアイテムがあり、比較的簡単に入手できるのでそちらが使われる。
--特技を覚えさせるにはエサを買って食べさせないといけないのだが、これが人間様の回復アイテムの何倍も高い。しかも3種類の数値がランダムで上がり((一応好きなお供の好きなステータスを選択して上げられる高級なエサもあるが、その分お値段も高級である))、その数値が15とか30まで上がらないと使えない特技もある。早い段階で覚える特技はほんの大道芸程度だが、後々の特技は使い勝手も上がり、またそれぞれ上限の40まで上げると貴重なアイテムが最大3x3の9個まで手に入るので、一応救いはある。もっともそこまで育てるには、かなりの根気と金が要求される。
--戦闘中に食べさせると毎ターン援護してくれると言う非常に助かるシステムが存在してはいるが、桃太郎の道具袋から使わないと食べさせられない。イヌサルキジを全員参加させようと思ったらそれだけで主人公の道具袋の3/8を圧迫するのである。
--またイヌやサルの特殊攻撃はボスにほとんど通用せず、かといってザコ戦へ呼び出すには前述の通りコストが高い。そのためキジだけを参戦させることになりがち。
---キジは味方の支援や回復術を使うので、ことボス戦だと治療の手間を減らしてくれて都合がいい。イヌやサルは弱点を突いたり怯ませたりが得意なのだが、バランス取りのためかボスに効きにくいので呼び出す意味がほとんどない。


-役に立つ仲間と役に立たない仲間の落差が激しく、結果的にメンバーが固定されやすい。
--桃太郎、金太郎、浦島、夜叉姫((ボスとして戦う時は手ごわいのは『II』と同様だが、本作では「30段で加入していた前作と違い1段から育て直し」「素のステータスが他キャラと比べてイマイチ」「『II』時代の象徴ともいえる分身の術が削除されている」「『鹿角の術』に相当する『流れ星の術』が相手の防御力依存の仕様上あまり強くない」など、弱体化が激しい。他、シナリオの都合上一時的にパーティを離脱するイベントが多いなど、やや不遇な扱いになっている。))の4人で組むのがストーリー的に妥当であるが、高能力+2回行動のえんま様、癖はあるがオリジナルの強力な術を使えるあしゅら、攻撃術のエキスパートである雷神、その雷神を強化できる風神などは、これらのメンバーを凌ぐほどの性能を持っている。
//夜叉姫ってギャグキャラ除いて最低の性能な気がするんだけど、スタメンに入れるか?
//IIでは普通に4人目の仲間、新のシナリオ上でも銀次除いて4番目に加わるキャラだから普通にプレイしてたらわざわざ入れ替え無いと思う、あしゅらとかは最初低レベルだし。
--サブキャラは癖の強いピーキー性能のキャラが多く、特にデメリットがきついキャラは縛りプレイでもない限り、試しに使ってみたらお払い箱になってしまいがち。
---天の邪鬼や雪だるま(どちらもランダム要素が多すぎて安定しない)、貧乏神((99段になると桃鉄シリーズの悪夢・キングボンビーに変身できるのだが、巨大化する為装備が着られなくなり、術も全部忘れるというデメリットがある。一方で、貧乏神時代には苦手だった雷雨の天気が逆に得意になる。仲間にするときに名前をつけられるが詳細は後述))や福の神(どちらもステータスが極めて低い)、寝太郎(ステータスは最強で攻撃時は必ずクリティカルが出るが1/16の確率でしか行動しない)、といちや(メンバーの術をほぼ全部使える等万能だが事あるごとに大金をせしめる)などデメリットのせいで使えない奴は本当に使えない。
//--天の邪鬼と貧乏神のコンビは妙に波長が合っており、戦闘中に天の邪鬼が金をばら撒く攻撃を取ると貧乏神が拾い集める。また天の邪鬼が敵の金を盗むと貧乏神も加わって合体盗み攻撃を繰り出す…とやたら凝っている。
---一方、敵からの通常攻撃をほとんど受け付けないはらだし((味方キャラとして初登場の『桃太郎伝説外伝』でも、通常攻撃無効はないものの育て上げるとパラメータが急増するわ規格外の術を習得するわでバランスブレイカーであった。))、鍵盤のパターンさえ覚えてしまえば他のキャラでは使えない強力な効果を生み出すことができるましら((攻撃時、画面に表示される鍵盤から任意の音を3回選択する。その3音が規定のパターンと一致すれば、回復、補助、連続攻撃などの技が発動する。それ以外だと通常攻撃。))の二人は、プレイ方法を練ると明らかなバランスブレイカーになってしまうほど強力。

-大江山の暗号やあしゅらの謎かけなど、ストーリー上避けて通れない謎解きの中に異常に難しいものがある。
--どちらも多少のヒントはもらえるが、はっきり言って(本作が最もターゲット層として想定しているであろう)小学生高学年あたりまでの子どもには難しすぎる。親や友達まで巻き込んで頭をひねった人も多いことだろう。

-取り返しのつかない要素
--終盤になるとシナリオの都合上、フィールドマップの行き先が制限されてしまい、行ける場所が月と地獄しかなくなってしまう。~
こなしていないイベント、取得していないアイテムなどを残したままイベントに突入してしまう泣きを見る羽目になる。
---この点を予期させる展開が存在しないため、初見プレイ時に泣きを見たプレイヤーは多い。

-一部レアアイテムの入手場所のヒントがゲーム中に存在しない。
--「四神の刀」という、ゲーム中のある場所に持っていくことで特典が得られる四振りの刀があるのだが、そのうち「朱雀の刀」以外の三本は地面に埋まっている上、その場所についてはゲーム中一切のヒントがない。攻略本などの情報なしでは、イヌの特技「ここほれ」を使って全てのマップをしらみつぶしに探索していくしかないのである。
--もちろんなくてもゲーム進行には全く影響がない。また4本のうち最強の「青龍の刀」があるダンジョンはクリア後に再訪する方法が少々わかり難く、「取り逃すと取り返しがつかない装備」と勘違いするプレイヤーも多かった(補足すると、なんとなく怪しい置き方をされたつづらの近くにある)。
--これらの刀は戦闘中にアイテムとして使う事で様々な術が発動するのだが、これに関しても説明が無い。これの他に使って効果が発動する武器は他に朝凪のモリと夕凪のモリと言う一対の銛が存在しているのだが、やっぱり何の説明も無い。
---四神の刀は汎用の店売り刀と同じく多くの仲間が装備出来る為、専用の最強武器を持たない仲間は青龍の刀が最強武器になる。このゲームには「ものふやしの玉」と言うどんなレアアイテムだろうが複製出来る便利な道具があり、人数分用意する事もちゃんと可能なのだが、そもそもオリジナルを手に入れられなければそれも適わない。
---『桃太郎伝説ターボ』にも「うごのけん」「ふしまちのけん」といった入手場所ノーヒントのレアアイテムはあったが、こちらは決して高性能とはいい難くギャンブル性の高い武器であるため、見つけなくても何の問題もなかった。

-仲間ごとに設定されている「体重」の平均が48キロでないと通れないポイントがある。だが、ここがとんだ初見殺しになっている。
#region(どう初見殺しかというと……)
-上記の定番メンバーで挑むとすんなり通れるのだが、そこを通る際にイベントで風神によって仲間(その場のメンバーのみ)がバラバラな方向に飛ばされてしまう。
--特に回復担当として重要な浦島の再加入が非常に遅く、回復を浦島に任せっきりだった場合、辛くなる。
---実は、この期間中にすでに仲間に入っているあしゅらが有能((あしゅらを加えた状態で平均を48キロにすることもできるが、彼もこのイベントにより飛ばされた場合の再加入は遅い。))で、『ランダム要素があり不安定だが、期待値的には回復量が多い』「まほろばの術」を使える上に攻撃役としても優秀。なので浦島はいなくてもそこまで問題が無いのだが、あしゅらは癖の強い術が多く、防御力が低い欠点がある((防具の一つである『足袋』を一切装備できない為))ため初見では強さに気づきにくい。
---たくさん居る仲間キャラを色々使ってもらうための措置だと思われるが、上記の通り使えるキャラと使えないキャラの差が激しく、加入時は全員一律で一段(レベル1)のため、特定メンバーを集中的に育てていると文字通り1から育て直すことになってしまう。
---また、この場合後述のじゃこつばばあ戦の難易度が高くなる可能性が出てくる。直前に夜叉姫が人質に取られるため必然的に控えメンバーをパーティに加えて戦力を補強しなければならなくなるのだが、夜叉姫以外にも城に残った控えメンバーが2名ランダムに人質に取られてしまう。
---この時点で戦力になるメンバーは余程偏った使い方をしていない限り金太郎、あしゅら、ましら、銀次しかおらず、この3人のうちの誰かが人質に取られてしまったら弱いメンバーを1名パーティに入れて挑まざるを得えなくなる。
#endregion

-戦闘敗北時の仕様が従来シリーズから変更された。
--旧作では「ドラゴンクエスト」シリーズ同様、「全滅時はイベント進行状況、アイテム、経験値はそのまま据え置きで続行」であったが、本作では敗北すると最後にセーブした地点からやり直しとなり、それまで進めたゲーム内容や育てたステータスがリセットされてしまう。要は「敗北」=「ゲームオーバー」である。
--当時のRPGとしては決して珍しくない仕様ではあるが、本作は主人公が倒された時点で仲間が残っていても敗北になってしまう((これは『II』と天外魔境シリーズでも同様だった))。
---桃太郎は仲間の中でも高ステータスであり、その上いい装備品を付けられるのだが、敵の攻撃も熾烈なため敗北の機会は比較的多い((中には「桃太郎の現在体力を1にする術」を使う敵まで存在している))。長時間セーブをしないまま進めて桃太郎をうっかり死なせてしまい取り返しがつかなくなるという事態も起き得るため、こまめなセーブが推奨される。
--この点は『ファイナルファンタジー』シリーズのように、イベント途中で仲間が増減する機会が多かった(特に本作ではボス戦の最中に加わる仲間もいる)ことやストーリー性重視の内容に変化したことも関係あるのかもしれない。

-「人気度」システムのバランスがやや不安定。
--人気度が減少する条件に、仲間の死亡や戦闘からの逃走といったものが含まれている。逆に上昇する条件は少ない上に、厳しかったり面倒なものが多い。
--そのため、基本戦闘では仲間を殺さず、逃げずに戦うことが求められる。しかし初見でそれを成し遂げるのは少々難しいので、どうしても人気度は下がりがちになる。
--一方で、面倒ささえ乗り切ればごくごく序盤で最高値の100にすることもできる。施設の利用料が安くなることもさることながら、ご褒美に貰えるアイテムが高額で売れたりするので、逆にバランスブレイカーになってしまう。

-目玉システムのタクティカル・ウェザー・バトルが空気。
--戦闘機会が増えるであろうダンジョンの大半は天候の影響を受けない洞窟や塔などの屋内であり、更にストーリーが進むに連れて月面や海底など天候のないフィールドが増えていくため、折角の斬新なシステムも終盤に差し掛かる頃にはプレイヤーから忘れられがち。

-一部の敵の能力がかなり厄介で、苦戦する場合も多い。
--雑魚敵では、序盤で味方が育ち切っていない時期に徒党を組み、痛恨の一撃を頻発してくる『馬鬼』、一番弱っているキャラに痛恨の一撃を放ってくるという『じゅむへんく』、きゅうりを持っていないとアイテムや所持金を全て盗んで逃げる『黒河童』((初代、ターボ、II、外伝とシリーズ恒例の敵であり、盗むのも恒例。))、攻撃力、防御力がかなり高い上に後述の夜叉姫戦前にはイベントで4体で現れる『黒鬼』((その時点での適正レベル+装備でHPが110前後あっても、防御力の低いキャラだと通常攻撃で50近いダメージを受ける事もあり、集中攻撃されると夜叉姫戦前にして力尽きる仲間が出る事も))、その他にも通常攻撃がほとんど効かない雑魚敵など。
--ボスでは、竜巻を放つことにより毎ターン固定ダメージを与えてくる+強力な術を連発し、メンバーを半壊させるボス『風神&雷神』、イベントで雑魚連続戦闘からの連戦な上に戦闘中にHPが減ると自身のパラメータを強化し全体攻撃の「流れ星の術」を放ってくる『夜叉姫』、味方が一人になるまで問答無用で動きを封じてくるボス『じゃこつばばあ』、ラスボス級の体力に加え、強力な全体攻撃を容赦なく撃ってくる『三千世界』など。
--特に『風神&雷神』は3回戦うのだが、最後の3回戦目は''ゲーム中でも最大の山場と言われるほど難易度が高い''。また、2回目も3回目と比べれば幾分か楽だが、村の中で戦うため再挑戦が容易な3回目と比べて「オニよけの術」を使わなければ1時間近くもかかるダンジョンを抜けた先で戦うため負けた場合のプレイヤーのダメージは大きい。
--その一方で弱いボスもいることはいるが、シナリオで一番盛り上がる部分のボスに限って弱いので、かえって萎えることも。
#region(弱いボスの例)
-まず、『酒呑童子』。序盤の山場である大江山のボスとして登場。有能な四天王を配下に持ち、戦闘前に桃太郎たちを全回復してくれたりと、大物として描かれているのだが……正直、酒を呷って連続攻撃してくる以外に特殊な攻撃や能力はなく、その連続攻撃も1ターン目に金太郎の「はり手」や浦島の「まもりの術」を使えばダメージを最小限に抑えられるため別段恐れる必要もない。更にHPも低いため、塵角を3連発すれば余程低レベルでもない限り3~4ターンで決着がつく。ちなみに酒呑童子以降のボスはHPが大幅に跳ね上がり塵角の3連発で瞬殺する戦法は通用しなくなる。
--むしろ、彼が桃太郎らの力量を測るために放った四天王達とは一対一で戦う上それぞれが厄介な能力を持っており、そっちの方が苦戦する始末。特に『とらくま童子』『ほしくま童子』は桃太郎以外で勝つのは非常に難しい。ほしくま童子に至っては桃太郎でさえ勝率は5分といった所である。また、金太郎は物理攻撃を2倍にして返してくる『かね童子』にも勝つ事が出来ず、『くま童子』以外には勝つ事が出来ない。
-もっと酷いのが、『ダイダ王子』。彼はオープニングのイベント戦闘で、桃太郎の術を吸い取り、装備品を弾き飛ばし、完膚なきまでに叩きのめす。その後も、桃太郎の前に現れては幾度も刃を交えてこちらの実力を測ってくるうえ、鬼達との会話の中でもダイダ王子の強さを物語るセリフが多く、その強大さをプレイヤーに印象付ける。
--しかし、満を持しての最終決戦において彼は一切特殊行動を行わず、完全に単体物理攻撃一辺倒(しかも、その攻撃力も直前のダンジョンに出てくる雑魚敵以下)。こっちは4人パーティであるため、まず負けることはない。ここまで散々引っ張っておきながらこの弱さは一体何だ?と呆れるプレイヤーもいたはず。
---但し、オープニングと最終決戦以外にも様子見で3回戦うのだが、その時も特殊行動は一切使わず、1戦目はどうしようもない超強敵であるが2戦目は強敵ではあるが戦い方次第では何とかなりそうなぐらいになり3戦目では特に苦戦する要素もなくなる、というか直前に戦う風神雷神の方が遥かに強いぐらいである。勘のいい人ならばこの時点でダイダ王子が弱い事に気付いたかも知れない。
--ストーリーの途中で少しだけ戦う彼の弟・アジャセ王子には桃太郎の最強の術である「鹿角の術」が効かないという特性があったのだが、彼にはこれも普通に通用してしまう。ある意味、本来武闘派ではない弟よりも弱いということになる。
//--最後の戦闘では迷いのセリフを吐きながら戦うため、全力を出していないという説もあるが、なまじ戦闘前の前口上で「今こそ本気で戦おうぞ!」などと言ってしまっているため擁護し難い。
#endregion

-セーブデータが消えやすい
--その際の演出は、ドラクエシリーズと同じく''おどろおどろしい呪いのジングルとともにメッセージが流れる''という不気味なもの。~
さらに意地の悪いことに、データ選択画面に入ってデータを選ぶまで消えているかどうかがわからず、''選んだ瞬間に呪いのジングルが流れ、目前でデータを抹消される''という非常に嫌いやらしい仕様になっている。
---その際のメッセージは「''COOR(red){大変です!旅の話が消えています!}''」「''COLOR(red){勇気を持ってやり直して下さい!}''」と、太い赤文字でデカデカと出てくるため心臓に悪い

----
**総評
エンカウント率を筆頭にゲームバランスには多少の難があるものの、おとぎ話を題材にした和風RPGとしての完成度は高い。~
特にシナリオ面は評価が高く、ボリュームもたっぷり。特にカルラは忘れられない存在だろう。~
長く愛されている作品で、今でも移植やリメイクを望む声は多い。

----
**余談
-作者のさくまあきら氏が発売前の雑誌インタビューで述べたところによれば、「作品に文学性を持ち込みたい」という意図があったといい、本作のシナリオには現実の人間社会が投影されているという。
--まずはこの意図が先にあって、とっつきやすさを重視して桃太郎シリーズの世界観とキャラクターを流用したという。

-さくま氏によると、上述の通り開発期間に追われていたらしく、いずれ完全版を作りたいとも述べていたが、その後の桃太郎シリーズはほぼ完全に電鉄シリーズにシフトし、伝説シリーズはそのまま停滞してしまった。
--2012年3月1日付でハドソンがコナミデジタルエンタテインメントに吸収合併され法人格を失い、さらにはそのコナミスタッフとの軋轢があったらしく、2012年9月1日には氏のツイッターにて「これが最後の桃鉄」「もう桃太郎シリーズは作らない」という宣言が出されたこともあった。
--その後、電鉄シリーズは紆余曲折を経て任天堂より『2017 立ち上がれ日本!』が発売されたことで存続が確認されたが、「''ハドソン側が伝説シリーズのプログラムを紛失し、電鉄シリーズも11以前のプログラムを廃棄してしまった''ため、旧作のリメイクや移植は不可能だ」と氏自身がホームページで言及している。

-偶然の一致であるが、本作の前後にハドソンが出した『[[天外魔境II>天外魔境II 卍MARU]]』、『[[大貝獣物語]]』もまた、トラウマ級の虐殺展開があることで知られている。
--なお『天外魔境II』において監督・脚本をした桝田省治は、桃太郎伝説シリーズの開発にも大きく関わっているため、一方はあながち無関係でもないとも考えられる。

-回復系の術を使用すると使用者の素早さに補正が入り、ターンの最初に回復できる可能性が高くなる仕様がある。
--これは後のハドソンの作品である『天外魔境ZERO』や『大貝獣物語』に受け継がれた。

-貧乏神のモデルが当時『ジャンプ放送局』のレイアウトを務めていたデザイナーの榎本一夫氏であることは当時から知られていたが、貧乏神の名前を氏にちなんだ「えのっぴ」「えのもと」「えのん」のいずれかにすると移動時にお金を落とす、という迷惑な裏技が仕込まれていた。
--しかし『ジャンプ放送局』の読者を中心に前述の3つの名前を付けるプレイヤーが多かったために、結局裏技としての意外性は殆どなかったという。
--読者からも『榎本社長、残念ですがついに倒産です!』などといったネタ葉書が届いたり、『えのんを探せ!』というコーナーが大人気だったり、氏をモチーフにしたネタには必ずと言っていいほどお金が絡んでたりと、すっかり『貧乏だが愛されるネタキャラ』としての地位を確立していた。
--そんな榎本一夫氏だが、当時から経営していたデザイン会社『有限会社バナナグローブスタジオ』の代表取締役として現在も活躍中。HPに載っている自画像も当時のタッチのまま。
---当たり前だが本当の榎本氏は全然貧乏ではなく、むしろ食道楽(グルメ)者として知られている。ただし、所謂B級グルメも大好きらしく、そっちの話題になると盛り上がるらしい。

-当時のファンの語り草になっているダンジョンとして『怨みの洞窟』が挙げられる。
--これは攻略する前に自分が1番~3番目に嫌っている人の名前を入力すると2・3番目に嫌っている人の名前の敵が雑魚として、1番嫌っている人の名前の敵がボスとして、それぞれ出現するという身も蓋もない趣向のもので((ただしダンジョンを進んでいくごとに人気度が下がるデメリットがある。))、当時の『ジャンプ放送局』にも「怨みの洞窟を愛用している」旨の内容のお便りが多数寄せられたという。

-微笑みの村で開催されている『天下一ダジャレ大会』の出場者の名前には当時の『ジャンプ放送局』の常連投稿者の名前が採用されている。

復元してよろしいですか?