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*マジカルバケーション 【まじかるばけーしょん】 |ジャンル|コミュニケーションRPG|&amazon(B00005S01Y)&amazon(B000E6CTMM)| |対応機種|ゲームボーイアドバンス|~| |メディア|64MbitROMカートリッジ|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|ブラウニーブラウン|~| |発売日|2001年12月7日|~| |定価|4,800円(税別)|~| |プレイ人数|1~2人|~| //|セーブデータ|個|~| |レーティング|CERO:全年齢(全年齢対象)|~| |廉価版|バリューセレクション&br;2006年2月2日/2,667円(税別)|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【WiiU】2015年8月19日/702円(税8%込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''マジカルバケーション''&br;''マジカルバケーション'' / [[5つの星がならぶとき>マジカルバケーション 5つの星がならぶとき]]| **概要 -ブラウニーブラウンの処女作。 -非常に美麗なパステル調の2Dグラフィックスや、世界観、魅力的なキャラクターの多さなどから話題になり、1作目は日本国内のみで発売ながら20万本以上を売り上げた。 **特徴と評価点 ''概要でも触れた、GBAの発売から一年も経っていないにもかかわらず美麗なグラフィック'' -序盤のエリアである「ヴァレンシア海岸」などで感動したプレイヤーも多い。 ''基本的に魔法を使って戦う戦闘'' -主人公含む自分のパーティは全員が魔法使いである。 -パーティは主人公の通う学校のクラスメイトで構成されるのだが、クラスメイト15人中14人を戦闘で使用できる(1回の戦闘で出すことの出来るキャラは6人) --残り1名はストーリー序盤のわずかな時期のみ加入のゲストキャラ的存在。 -魔法の属性の数も多く、火、水等のメジャーなものから美、刃、獣など一風変わったものも多く全部で16種類の属性がある。さらに属性それぞれに相性がある。 --ここは逆に言えば「多すぎてややこしい」という難点と表裏一体だが、戦闘中にいつでも相性を確認できるためある程度緩和される。 -魔法を使っても毎ターンキャラのパラメータに応じてMPが回復するので気兼ねなく魔法が使える。 -精霊コンボというシステムにより、場に出ている精霊の数に応じて魔法の威力が上昇する。相手の召喚した精霊を横取りしたりもできるので駆け引きが味わえる。 ''独特なシナリオ'' -主人公のクラスが臨海学校に来ていると、エニグマと呼ばれる生き物が突如現れクラスメイトと先生をさらっていく。それを助けに行くというストーリー。 --最初に主人公の性別と15種類の魔法の属性のうち一つ(闇・光・愛は除く。詳しくは後述)を選んでスタート。説明書には属性ごとに「初心者向け」「上級者向け」などの説明も。 --初めこそ順調に仲間が見つかっていくがエニグマの妨害や仲間の失踪などにより、出発点である光のプレーンから闇のプレーン、死のプレーンと徐々に闇の世界に足を踏み入れていくなど暗い世界観がある。 -15人のクラスメイトそれぞれに魅力があり会話は見ていて面白い。 -こんにゃくやパペットなど様々な種族の集落が各地にあり、それぞれに掟や習慣などがあり色々な所に行ってみたくなる。 -適切な難易度。難しすぎる事もないし、かと言ってレベル上げを怠ると詰まる。 ''やりこみ要素が豊富'' -クリア後の隠しダンジョンが三つあり、メインである一つは五十階までフロアがあり、さらに三段階から難易度を選べる。 -また隠しキャラも異常に多い。隠し仲間が9人、隠しマジックドール((仲間の能力をコピーして、パーティの一員として戦わせることができる人形。2体だけシナリオ進行で確実に手に入る。うち1体は必ず手放す事になるが、イベントの進め方次第で再入手も可能。))が3体の合計12人。 -レベルは999まで上がり、魔法それぞれに用意されている魔法レベルも99まで上がる。 -フィールドの各地にワープポイントがセットしてあり、ワープポイントとしての登録さえしておけば戻る時非常に楽。 ''アミーゴシステムという、別の同カセットと通信する機能による特典'' -初期属性以外の魔法を覚える、相手の温泉を使い無条件でパラメータを上げられる等、必須ではないが攻略が格段に有利になる。 -よくゲームを扱った漫画で題材となる「楽しいが子供達をひきこもらせない、メーカーにもプレイヤーにもその家族にも嬉しいゲームを作れないものか」→「ゲームの中(作品の出来)と外(プレイヤー同士の交流)で何倍も楽しめる作りで大ヒット」という展開を体現しようとしたものと言えよう。しかし… **問題点 ''そのアミーゴシステムに存在する、割と致命的な問題'' -現在のWi-Fi通信のようなネットワーク環境がないGBAではリアルお友達と通信してアミーゴを集めるしかないわけだが、隠し要素は10人アミーゴを集めるごとに開放される。前述の漫画で描かれるような「ソフトを発売して間もない頃の小学生達の間」とかはともかく、数年経って(今このページで扱っている本作もまさにそう)買った大人ゲーマーは''今でも同じソフトを持っている相手が近所にいるか探す時点で既に困難である。''10人集めることに関しては言うまでもない。 -本作には愛・闇・光という隠し属性があるのだが、闇の魔法を習得するための条件が「別々の100人」と通信すること、愛の魔法が「別々の、自分と同じ属性を選んだ5人」と通信すること、そして光の魔法が(闇・愛を含む)それ以外のすべての魔法を習得すること。要するに一人プレイではどうあがいても不可能。 --さらに三つの隠しダンジョンのうち二つは闇、光それぞれの魔法を会得することが入るための条件なので例によって一人でプレイしている人には以下同文。 -手間はかかるが、ROMを二つ用意して片方で一人アミーゴ→リセットを繰り返せば、もう片方のROMのアミーゴは100人に出来る。 --…というか、現在ではこうでもしないと全ての隠し要素を解禁できない。 ''キャラクター性能に関する問題'' -魔法と比べると、キックやビンタなどの物理攻撃があまり役に立たない。精々、魔法が効き辛いザコ敵の体力を削る程度しか出番は無い。 --本作のコンセプトが魔法で戦うRPGなので、仕方ないといえば仕方ないのだが…。 --しかしそれ故に力のパラメータが事実上の死にパラメータになり、力が高いキャラクターはあまり使われず、MPや速さの高いキャラクターを使うようになってしまい、パーティが偏りがち。通信対戦でガチンコ対決するのであれば、必然的に同じようなパーティ編成で戦うことになる。 -前述した通り、ゲーム開始時主人公の属性と性別を決めるのだが性別で男性を選ぶと力、守り、HPが高くなる。力は事実上の死にパラメータであり、魔法攻撃を仕掛けてくる相手が多い本作では守りも力ほどではないとはいえ役に立たない。 -対して女性の場合は速さ、精神、MPが高くなる。このゲームは速さの高い順に行動するので基本的に速さは高いほうが有利であり、精神は魔法攻撃に対する防御力で、魔法が主軸となるこのゲームでは非常に重要なパラメータである。MPについては言わずもがな。 --このゲームの基準だと男主人公は弱キャラ、女主人公は強キャラに分類され、さらに主人公はパーティから外せないため、男主人公を選んだ場合は常に弱キャラがパーティにいることになる。あわれ、男主人公(泣)。 ''精霊に関する問題'' -このゲームには精霊が各地に存在しており、それぞれの精霊に合った条件を果たすことで契約できる。しかしその内の一体である愛の精霊は今まで獲ったカエルグミの数、およびカエルグミを一度でも購入したか否かによって契約できるかが決まってしまうのである。 --カエルグミは道端やダンジョン内など様々な場所に分布しており、さらに捕獲することで回復アイテムとして使用できるため序盤では何も考えずに獲ってしまう場合が多い。そうでなくとも各地の店で普通に売られている回復アイテムの為、知らずに買ってしまったユーザーも多い筈。 --一つでもカエルグミを獲ってしまうと、或いは一度でも購入してしまうと愛の精霊をコンプリートできなくなってしまうため、攻略情報無しの初見プレイでは精霊コンプリート不可能と言っても過言ではない。一応序盤でそのような伏線が有るが、情報を得る場所が分かりにくい上、さらに意味も分かりにくい。 --さらに、序盤イベントでどうしても一回はカエルグミを捕獲しなければならない。 ---これはカエルグミ捕獲がストーリー進行に必須なイベントとなっている為。直後に現れる傷ついたクラスメイトにカエルグミを渡せば、捕獲数をゼロに戻すことができる。 ---当然、クラスメイトにカエルグミを渡さなければ愛の精霊を以下同文。 -さらに上記の愛の精霊の問題をクリアしても、光の精霊と闇の精霊の問題が存在する。 --光の精霊は闇の精霊と一体でも契約していると契約できなくなってしまうものも多い。そのため全ての精霊をコンプリートするためには、序盤から終盤にかけてカエルグミ無捕獲無購入縛りプレイし、全ての愛の精霊・並行して全ての光の精霊と契約する→全ての闇の精霊と契約する というややこしいプレイングを求められるのである。 --おまけに、この状態から闇の精霊全てと契約するには今まで一匹も採らずにいたカエルグミを''最低でも1000匹も捕まえる必要がある。''プレイヤーに対する嫌がらせとしか思えない。 --止めとばかりにこれだけの苦行を成し遂げようとしても、最後の光の精霊及び闇の精霊は前述の光、闇それぞれの魔法の習得が義務付けられているダンジョン内に存在している為、通信環境がなければそもそも精霊コンプリートは不可能である。 -精霊に関する問題はまだまだある。具体的には刃の精霊と美の精霊。契約する際に手持ちの回復アイテムを捨てるよう要求してくるのである。 --刃の精霊の方は、特定のクラスメイトをパーティに入れておけば捨てたカエルグミをこっそり回収してくれる。後々の回復アイテム所持についていちゃもんを付けられる事もない。 --美の精霊は輪をかけて性質が悪い。MP回復アイテムであるミミズグミを一定数以上所持していると契約できない上に、後々ミミズグミを一定数所持すると「今すぐミミズグミを全て捨てるか、自身との契約を解消するか」の二択を迫ってくるのである。当然、契約解消した場合再契約する手段は無い。 ---厄介な事に、他の精霊の中には「ミミズグミを一定数以上捕獲すると出現する精霊」「契約の際ミミズグミを要求してくる精霊」が存在している。精霊コンプリートを狙う場合はこれら他の精霊と先に契約を済ませておき、美の精霊との契約は後回しにするのが楽。 ''シナリオの問題'' -本作は徐々にシナリオが暗くなっていく流れがある。 --クラスメイトがエニグマと融合し戦うことになったりする等、鬱イベントが多い。しかし基本的にはどれも救いが残されておりそこまで酷くはないが、中盤になって行くことになるマサラティ村のイベントは中々きつい。 #region(シナリオのネタバレあり、閲覧注意!) -ざっくり説明するならば「とある病気にまつわる迷信と、それによる差別・偏見」が引き起こす問題に主人公たちが巻き込まれる、というもの。 --差別を受けていた少年が「村長の娘が病気にかかった」と嘘を吹き込まれ、病気の特効薬である薬草を取りに行くことになる。主人公たちの助太刀もあって無事薬草を手に入れられたのだが、結局少年は「村長の娘に薬草を渡す」ことと引き換えに村を出て行ってしまうのである。 ---その後、病気になどかかっていない村長の娘が事情を知り、少年の後を追って旅に出る。主人公の選択次第ではあるが、とある場所で無事再会できる為一応の救いは存在している。 --このイベントの何が酷いかというと、他の村でのイベントとは異なり「迷信に基づく差別」という根本的問題が全く解決していない上、''少年に嘘を吹き込んだ張本人に対しては一切お咎め無し''という点。確かに現実でもこの手の差別は解決の難しい問題ではあるのだが、何もここまで徹底的にやらんでも…。 ---その人物に話しかけると、少年から「村長の娘に必ず渡して欲しい」と託された筈の薬草を''何の感慨も無く渡される''。この時点で彼に対して明確にどす黒い感情が芽生えたユーザーも決して少なくはないだろう。 #endregion ''戦闘システムの問題'' -戦闘で精霊コンボを使うことにより魔法威力が上昇するのだが、その上昇幅がとんでもないことになっている。 --精霊コンボとは場に出ている同種族の精霊の数に応じて威力を上げるシステムだが、精霊が一体増えるごとに''威力が倍になるのである''。 ---このゲームには精霊を二体同時に出すダブルコールの魔法があるため、素早さを調整することにより主人公と同属性の味方で最低でも四倍の威力を叩き出すことができる。前述のアミーゴシステムを使えば他属性のクラスメイトでも自分と同属性の魔法が使えるようになるため、素早い5人でコンボを組み立てれば''相手に何もさせずに128倍の威力の魔法を当てる事が出来る。'' -主人公達が臨海学校で乗ってきたバスを家探しする事ができるが、これによって手に入る温泉セットは全てそろえると全てのパラメータに大幅な補正がかかる為、バランスブレイカーとなる可能性がある。 --しかもバスと合流しさえすればコマンド一つで家捜し可能となる為、その気になれば序盤にセットを全て揃える事も可能。但し温泉セットを入手できる確率は結構低いので、何度も家捜しを繰り返す根気は必要となるが。 **総評 知名度は他のメジャーどころのRPGに劣るものの、荒削りながらも面白味のある戦闘と、GBA初期とは思えない美麗なグラフィック。~ 独特でありながらも魅力的なキャラクターとストーリー等、評価点は多い。王道から一歩外れたRPGを楽しみたい人には間違いなくおすすめできる。 目玉でもあったアミーゴシステムの欠点は擁護し辛いが、しかしこうした「プレイヤー同士の交流」を促す試行錯誤の積み重ねが~ ニンテンドー3DSのスタンダードでもある「すれちがい通信機能」の発達に繋がっていると考えれば、中々に感慨深いものがある…と言えなくもないか。 **その後の展開 -現在はGBA本体ともども中古量販店で安く販売されているので、本体とソフトを二つずつ買って一人で隠し要素を楽しむこともできる。 --勿論、相応の手間と時間はかかるが…。 -なおアミーゴシステムだが、あろうことか本作で見られた問題点はほぼ据え置きで[[ブラウニーブラウンの次作品にも採用されてしまった。>新約聖剣伝説]] --此方と違って、解禁されるのが本当に欲しい人だけ解禁すればいいようなオマケ要素程度でしかないのが救いか。 -2006年6月22日にDSで続編『[[マジカルバケーション 5つの星がならぶとき]]』が発売された。 --詳細については当該記事参照。 //--多すぎた属性の簡略化による魔法・クラスメイトの減少、グラフィックの劣化、精霊の廃止、鬱イベント増加などにより、あまり良い評価は得られなかった。それでも一部のファンがつくなど、ある程度結果は出したようだ。 //--と言っても劣化ばかりではなく、もちろん改善された部分もある。特に大量の通信相手が居ることを前提とした多数の制限は緩和され、DSのすれちがい通信機能のおかげでアミーゴシステム自体のハードルも下がった。 //続編の個別ページができてないならともかくちゃんとあるようなのでこの辺りの記述はCOしました -2015年8月19日にWii Uでバーチャルコンソールが配信開始。 --ハードの制約から通信機能を使用できないが、セーブデータがある状態でタイトル画面内の「つうしん」を選択することで、オリジナル版で通信機能を使用して入手できる以下の効果を、本ソフトでも得ることができる。 主人公の属性が「闇」になる。 すでに習得している魔法を除くすべての魔法を、Lv.1の状態で習得することができる。