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サムライスピリッツ 天草降臨 - (2014/12/07 (日) 03:28:30) の編集履歴(バックアップ)


サムライスピリッツ 天草降臨

【さむらいすぴりっつ あまくさこうりん】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 アーケード(MVS)
販売・開発元 SNK
稼動開始日 1996年
ポイント 前作のシステムを踏襲しつつ「怒り爆発」「連斬」等新システム追加
新システムの一部は後のシリーズの基本に
急速にコンボゲー化が進んだ
配信 バーチャルコンソール:2012年2月14日/900Wiiポイント
サムライスピリッツシリーズリンク

概要

  • サムライスピリッツ』のシリーズ四作目。時代的には『サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣』(以下斬サム)と『真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変』(以下真サム)の中間。
    • 初代や『真サム』にも登場したキャラクターのプロフィールを本作のものと比較すると、誕生日が9月末日より前の者は「年齢」の欄が初代より一つ加算されていて『真サム』と一致するが、それ以降の者は加算されていない点から、本作の時期は1789年9月末~10月初旬頃と特定できる(なお、『斬サム』では「年齢」の欄が省略されている)。
  • 前作『斬サム』が永久連続技の宝庫でバランス崩壊ゲームだった(ある意味ではバランスが取れてるとも言えたが)反省から、様々な点で見直しが図られている。
    • システムは『斬サム』をベースにしつつ、新基軸を追加している。
    • 新キャラの追加、一部旧キャラの復活なども図られている。
  • ちなみに、旧SNK純正の2Dサムスピとしては最後の作品となった。

ストーリー

時は1789年。
各地で冷害や洪水、大火、飢饉が打ち続く中、島原の地に不気味な城が忽然と姿を現した。
その城の主の名は天草四郎時貞。
一度は魔界から復活し、野望半ばにして倒されたはずの天草四郎が、またしても現世を征服すべく蘇ってきたのだ。
島原半島を飲み込み、日に日に巨大化していく魔の城。
人々はいつしかその魔城を「天草城」と呼び、恐れながらも、救いを求め、崇めるようになったという。
しかし、それがさらなる災厄を呼び込もうとは、まだ誰も知る由もなかった…。

(OPムービーより)
一七八九年
寛政の改革が人々を圧迫せし頃一つの魔性の魂が燐火を上げて甦った。
大地を揺るがし 出現した城は島原の人々を 災いに染めていった。
それに呼応するが如く己が身を修羅に変え定めに生きる者達が現れた。

システム

  • 基本的に『斬サム』のシステムを踏襲しているが、以下の追加・変更点がある。
  • 空中ガード、怒り溜めの廃止
    • 『斬サム』では当時の流行を取り入れて空中ガードが導入されたが、あまりにも強すぎてバランスを崩す原因の一つとなっていたためか本作では廃止された。
    • ABC同時押しによる怒りゲージ溜めも廃止された。ただし本作では後述する14連斬や自決で怒りゲージを溜める事が可能。
  • 「連斬」の追加
    • CD同時押しで「連斬入り込み攻撃」を出し、これがヒットした後ボタンによる追加入力で攻撃をつなげていく新システム。感覚としては『リアルバウト餓狼伝説』のコンビネーションアタックやギースのデッドリーレイブに近い。本作を象徴するシステムともいえる。
      • ルートは「A・A・A」「A・B・C」「B・B・C」「→A・A・B・B・C・C・A・B・C・C・C・C・C(通称:14連斬)」が全キャラ共通のルート。
      • 特に14連斬はただでさえ連斬中最も攻撃力が高い上、決めると怒りゲージがMAXになる*1。そのため、服部半蔵など怒りにくいキャラにとってはこれをいかにヒットさせるかが重要になる。
      • 「B・B・C」のCや14連斬の12段目にはキャンセルをかける事ができるので、武器飛ばし技を繋げられるキャラにとっては強力な武器となる。
      • また風間火月・風間蒼月・緋雨閑丸には固有ルートが存在する。とは言え使い勝手は悪い。
  • 「追い討ち攻撃」の追加とダウン時の体力回復
    • ダウンした相手に対して、「接近して3+斬り」で弱、「一定距離内で8+斬り」で強の追い討ち攻撃で追撃することが可能になった。
    • またダウンした方も移動起き上がりに加え、ダウン中にレバー上要素でその場で最速で起き上がる「クイック起き上がり」、下要素でダウン時間が長くなる代わりに体力が少量回復する「体力回復」が行えるようになった。
  • 怒り状態での一部必殺技の強化
    • 怒りゲージがMAXになると「攻撃力の上昇」「武器飛ばし技の解禁」の恩恵が得られるのは『斬サム』同様だが、本作ではそれ以外にも一部必殺技の性能が変化するようになった。
    • 特に半蔵の爆炎龍や修羅蒼月の月光などは、怒り状態だと性能が大幅に上がり、サギ的な強さを誇る。
      • ただし、怒り時に隙が大きくなったり、使いにくくなったりする必殺技も存在する。
  • 新システムの追加
    • 以降のシリーズ作にも継承された「怒り爆発」関連は本作で初めて登場した。
    • 使用条件は「怒りゲージが存在すること」「地上にいること」「武器を持っていること」の三つが揃うこと。ABC同時押しで発動する。
    • 発動の瞬間は完全無敵で、ガード不能・ノーダメージの攻撃判定が出る。また条件を満たしていればガード硬直中や喰らいモーション中でも発動できるため、相手の連続技や連係から抜けるのに使用できる(ただし投げ技などの特殊なのけぞりは除く)。永久連続技から脱出する方法を編み出したのはこれが初めて。
      • 攻撃判定がヒットした相手はのけぞるが、爆発モーション終了とのけぞり終了がほぼ同時のため、例外を除いて怒り爆発から直接連続技に移行することはできない。*2
    • 発動すると怒りゲージは爆発するエフェクトとともに消滅し、その試合中は二度と復活しない。このため一試合中に一度きりしか発動できない。
      • 怒りゲージの代わりに爆発ゲージが出現し、このゲージがある間は怒り爆発状態となる。爆発ゲージの初期量は体力ゲージの減少した分がそのまま充てられる(体力満タンだと殆どゲージが出現しない)。
      • 爆発中はキャラの肌が赤くなり、攻撃力の上昇、背景演出の変化、怒り爆発状態専用の特殊行動が使用可能になるなどの効果を得られる。
      • 通常の怒り状態同様に武器飛ばし技も使用できるが、ヒットするとその時点で爆発ゲージを全消費し、怒り爆発状態は終了する。
      • 爆発ゲージは特殊行動で消費する他、時間経過で徐々に減少するが、ダメージ時やダウン時、ガード硬直中は減らない。
      • 爆発中はタイムカウントが完全に停止するため、相手の逃げ切りを防ぐのにも使える。
    • 怒り爆発状態専用の特殊動作には「一閃」「連ね斬り」が存在する。
  • 連ね斬り・一閃
    • 「連ね斬り」は爆発中にABC同時押しで発動。爆発ゲージを一定量消費する。
      • 連ね斬り自体は6ヒットの連続攻撃を繰り出す突進技で、突進距離は短い。無敵などは無いが、発生が1フレームと非常に早い。キャンセルのかかる通常技や連斬から連続技にすることが可能。硬直自体は非常に短く、目押しで通常技や連斬に繋ぐことも可能。ガードされた時の削りも存在する。
      • 連ね斬り発動中はヒット・ガード・空振りを問わずABC同時押しで3回まで追加入力が可能となっており、2回目の追加入力までは爆発ゲージを消費しない(時間経過分は減る)。3回目の追加入力を行うと爆発ゲージの残量にかかわらず全ゲージを消費してフィニッシュを行い、怒り爆発状態が終了してしまう。
      • 連ね斬りはどこで止めても必殺技や武器飛ばし技でキャンセル可能。唯一一閃でキャンセル可能な技でもあるが、この場合は一閃のダメージが固定になり、直接当てるよりも大幅に威力が落ちる。ただし正確には「一度でも連ね斬りを出すとダメージが固定になる」ので、連続ヒットしているかどうかは関係ない。
      • あらゆる面で使い勝手が良く、怒り爆発中しか出せないことと、ロックがかからないためカス当たりしやすいことを除けば万能な技となっている。
    • 「一閃」は高速突進技で、爆発中にBCD同時押しで発動。発動の瞬間に爆発ゲージを全消費し、怒り爆発状態が終了する。前述のように、連ね斬りからのみキャンセルで出すことが可能。
      • 威力は爆発ゲージの残量に依存(ゲージ残量が多いほど高威力)し、最大時で6割前後。発生が早いが無敵判定はない。ただし前述の通り連ね斬りを一度でも使用するとダメージが固定になり、最大時の半分以下にまで落ち込む。
      • 前方の攻撃判定は非常に弱く、タイミングを合わせられると投げられてしまうほどで、ほぼ地上の相手にしかヒットしない。代わりに背後の残像部分まで攻撃判定がある。
      • 飛び込みや連ね斬りからの連続技の他、防御崩しや弾き返し、反確などの確定状況で使うのが基本。ガードされた場合は大きく後方にステップするので、直接反撃を受ける危険は少ない。
  • 「武器捨て挑発」「自決」「断末奥義」の追加
    • 「武器捨て挑発」はその名の通り、自ら武器を手放す挑発。使ったあとは当然素手状態になるので、本当の意味で相手をおちょくる技以外の何物でも無い。
      • ただし羅刹ガルフォードは『斬サム』同様素手状態の通常技の判定が非常に強く、またプラズマファクターがチート並に強すぎるので使い道があったりする。詳しくは後述。
      • 他キャラにも素手状態だと性能の上昇する技というのはいくつか存在するが、素手になることのデメリットを帳消しにするほどではないので、使われることはまずない。
      • またリムルルと蒼月は武器捨て挑発に追い打ち攻撃判定があるため、ダウンした相手への追い打ちに使えたりする。
    • 「自決」も読んで字のごとく、各キャラごとの行動によって自ら命を断つ技である(閑丸のようにただ去っていくだけというのもあるが)。当然使用すればそのラウンドは負けとなる。
      • 使えないと思いきや使用した次のラウンドは怒りゲージがMAXになるので、残り体力が僅かになって勝てる見込みが無くなったときにわざと使って次のラウンドで怒りゲージをMAXにしておく、という使い方も出来る。
      • 後述のCPU戦時に、1ラウンド目にわざと使って怒りゲージを即座にMAXにし、次のラウンドから一気に相手を倒し時間を短縮するという使い道もある。
      • この他、都合によりゲームを放棄する目的(所謂捨てゲー)で使う事も可能。
    • 「断末奥義」はシステムというよりはおまけの演出に近いもの。
      • 特定条件下で対戦決着時に、KOされた相手をダウンさせずにその場によろめかせ、このときに画面に表示されるコマンド「22866+C」を入力することでこの奥義が発動する。
      • 相手を残虐描写丸出しの技で倒す奥義であり、さながら『モータルコンバット』の究極神拳を思わせるものである。
      • ただしナコルル・リムルルに対しては残虐フィニッシュは発動しない。女性キャラのシャルロットや子供キャラの閑丸に対しては発動するにもかかわらず、である。
      • また、火月(攻撃側)VS蒼月のみ、火月が実の兄を殺すのに忍びなかったらしく、残虐フィニッシュをかけても蒼月は無事と言う事になっている。
      • 後に『サムライスピリッツ零SPECIAL』で「絶命奥義」として復活することになるのだが…。
  • CPU戦はタイムアタック制を採用
    • 本作のCPU戦はこれまでのシリーズとは異なり、タイムアタック制を採用している。
    • ゲーム開始時に選択したキャラに対応したライバルキャラ(例:火月に対する蒼月、覇王丸に対する幻十郎etc.*3)が出現し、制限時間までに天草戦に辿りつかないとライバルキャラに先に天草を倒されてしまい、ついでに斬紅郎も登場せず、その後ライバルキャラとの戦いに。この場合は倒してもバッドエンドになってしまう。
    • 制限時間までに天草戦に辿りつけば、天草→斬紅郎→ライバルキャラとの連戦となり、全部倒すとエンディングとなる。
      • 制限時間は使用キャラ・ラウンド本数設定によって決まっている。
  • 「剣客」「剣豪」「剣聖」のレベル選択の変更点
    • 初心者向けの「剣客」は『斬サム』から採用されたオートガードを継承し、さらに「連斬の目押しが不要」「武器飛ばし技のコマンドがABCD同時押し」といった特典が用意される。
      • 連斬入り込みは必殺技扱いとなっているため、通常技からキャンセルで出すことが可能。ただし14連斬は使えない上、初段がガードされても出し切るので外すと隙が絶大。
      • 「怒り爆発」は使用不可能となっている。その代わり(?)ダメージを受けたときの怒りゲージ増加量が多い。
    • ノーマルモードの「剣豪」は変更点は無い。
    • 上級者向けの「剣聖」は相変わらずガード不能だが、本作では常時怒り状態は廃止されてしまった。攻撃力の増加もごく僅かなため完全に超ハンデ用・自殺モード化。
  • その他
    • 『斬サム』では開幕前のキャラ移動が可能だったが、本作では廃止された。
    • 気絶が無くなった。
    • コンボ数(○○斬)が表示されるようになった。
      • 但しこの表示はかなりいい加減で、3斬以降からしかカウントしなかったり、実際繋がって無くても数字は増えたり、起き上がりに技を重ねて数字が増えたりする。その逆もあり、繋がってるのにカウントしない事も。
    • 武器飛ばし技のコマンドが全員共通(4632+AB)となった*4
    • 『斬サム』まで存在していたアイテム(肉、爆弾)が廃止された。
    • 背後から攻撃を喰らった際ののけぞり時間が前からの場合とほぼ同じになり、『斬サム』のようなお手軽永久は減少した。
    • ガード硬直中の相手に投げ技を決める事はできなくなった。従って、『斬サム』のようなキャンセルコマンド投げでのハメは不可能。
    • 骸羅と破沙羅に存在していたガードキャンセル必殺技は無くなった。
    • 覇王丸の弧月斬、幻十郎の光翼刃と言った対空系の必殺技が軒並み強化された。

キャラクター

  • 『斬サム』の13人(天草、斬紅郎含む)に新キャラ2人と復活キャラ3人を追加した18人。
    • 新キャラは「風間火月」「風間蒼月」の忍者兄弟で、本作では彼らを主人公としたストーリーとなっている。当時はかなりの人気キャラだった。
      • ただし火月は「サムライ」のゲームの主人公なのに忍者だったり、技の性能も決まれば大きいが安定しないロマン技ばかりだったり、初期カーソル位置(1P2P両方)が元祖主人公の覇王丸だったりして、主人公とはあまり認識されていなかった。
      • 蒼月の方も玄人向きの性能で、主人公というイメージには程遠いキャラであった。
    • 復活キャラは「柳生十兵衛」「シャルロット」「タムタム」の3人。
      • 特にタムタムは初代以来久々の登場でファンを驚かせた。
  • キャラクター別のBGMは本作では一部のみとなり、個別の曲を持たないキャラクターは各ステージごとに設定されている環境音楽が流れる。
    • 専用テーマ曲があるのは覇王丸、ナコルル、ガルフォード、右京、幻十郎、リムルル、シャルロット、蒼月、火月、天草、斬紅郎。シリーズの曲をリアレンジしたものが多い。

評価点

  • 対戦バランスの改善
    • 即死・永久がある程度改善された
      • 基本は『斬サム』ベースなので即死・永久は結構存在するが、体力ゲージが2倍になる事で相対的にダメージが大幅減少したため即死は状況限定が多くなり、永久は格ゲー初の食らい抜けシステムとも言える「怒り爆発」で一度だけなら抜けることも可能になったので対戦バランスはかなり改善。
    • 空中ガードが廃止されたため、不用意なジャンプにはそれ相応のリスクが伴うようになった。
    • 前作では発生が遅すぎて使い物にならなかった防御崩しの発生が早くなり、普通の投げ感覚で使えるようになった。
      • ダッシュから防御崩しをスムーズに決められるようになり(投げ間合いの極端に狭い一部キャラ除く)、そこから強斬りや連続技、一閃が入るなど、ガン待ちも難しくなった。
    • 「当て身」がようやく実戦で使えるレベルになり、攻めにも守りにも緩急が必要に。
    • 『斬サム』で問題になっていたガード硬直中の相手をコマンド投げで投げられる投げハメも不可能になった。
      • それ自体はいいのだが、問題点も発生している。詳しくは後述。
  • キャラの掛け合いやBGMなど、演出の完成度も高い
    • 『斬サム』ではバランスの悪さに隠れて見落とされがちだったこれらの要素も、本作で改めて評価された。
      • ただし後の『ポリサム』やRPG『武士道烈伝』で評価を落とす事になったのだが。

難点

  • サムスピらしさはやや薄れた
    • 本作では連斬や連ね斬りなど、この時期から対戦格闘ゲームで流行し始めたコンボゲー的な要素が追加されたが、「強斬り一発で相手の体力を豪快に奪い取るのが魅力のサムスピシリーズにおいて連続技は必要ない」という意見もあり、賛否が分かれている。
      • 実際対戦では14連斬やそこからの連続技がどこでも見られるようになり、「強斬りがコンボに代わっただけ」という意見も出ている。
      • また14連斬を決めると怒りゲージがMAXになる仕様も、一部のプレイヤーからは「何だかおかしい」「逆切れじゃねーの」と言われ賛否両論である。
    • コンボゲー要素で一撃の重みが薄れた事に加え、CPU戦がタイムアタック制となったため、じっくりプレイできない事が「サムスピならではの味を消している」と言う意見もある。
  • 操作が複雑になったため、初心者がとっつき難くなった
    • 連斬や怒り爆発、追い討ちなどできる事が多彩になり、やり込むほどに応えてくれる奥の深さを持つ反面、操作の複雑化を招いて初心者がとっつき難くなった感は否めない。
      • 特に14連斬とそこからの連続技はできるのとできないのとでは大きな差が出てしまうため、これで敬遠してしまったプレイヤーも少なからず存在する。
    • そもそもサムスピシリーズは強斬りによる一撃の重みを重視した作品であり、単純明快な操作性が売りの一つとなっていたためにこのような小細工は必要ないと言う考えがあるのも事実である。
  • 防御崩しの強化に伴うコマンド投げの弱体化
    • 防御崩しがレバー横とCボタンのみで出せ、そこから高威力の追い打ちもかけられるのに対し、出すのにコマンド入力が必要で発生も防御崩しより遅く、ダメージも高いとはいえないコマンド投げはほとんど使う意味がなくなってしまった(高威力の修羅半蔵のCモズ落としと、決めると姿を消せる羅刹半蔵の爆炎微塵隠れ除く)。
  • リムルルの声
    • 本作ではリムルルの声優に当時の駆け出しのアイドルである松本恵(現・松本莉緒)を起用したのだが、これがあまりにも酷い演技だった。
    • 台詞はとにかく棒読みで、滑舌も悪い。『斬サム』やドラマCDではアニメのヒロインの経験もあるプロ声優である桜井智(現・櫻井智)を起用していただけに*5これで幻滅したファンも多かった。
    • RPG『武士道烈伝』でも宣伝のため彼女の起用が決まっており、本作でも起用したのだがむしろこれは「プロデューサーのミスキャスト」と非難されるべきだろう。
      • しかも、彼女は1996年当時は現役中学生であった。ただでさえ、俳優の声優挑戦は演技方法の違いなどから拙い演技に聞こえやすく、批判の的となることが多いのである。いくらTVドラマなどでの演技が評価を受けていた*6とはいえ、アフレコ経験のない中学生に声優をやらせるという判断自体が理解に苦しむと言わざるを得ない。
      • ちなみに本作以降もリムルルの声優は作品ごとにコロコロ代わることになり、作品によっては釘宮理恵だったり加藤英美里だったりすることもあった。
      • SNK作品では『KOF'94』~『KOF'97』までの麻宮アテナでも、売出し中の女性アイドルを起用したために酷い演技になってしまったケースがある。アテナに関しては『KOF'98』以降からプロ声優に固定されたのだが。
  • 一部バグ
    • SNK作品の宿命か、本作にもバグが結構存在している。
    • 修羅十兵衛の武器飛ばし技「絶・水月刀」を相手のジャンプの頂点付近でヒットさせると、なぜか削りダメージ程度しか減らない上に武器も飛ばされず、十兵衛の怒りはしっかりと終了するという謎の現象がある。
      • さらに十兵衛は武器飛ばし技を当てると、なぜかその後14連斬を決めても怒れないことが多いという謎の現象もある。
      • 十兵衛はこの他にも羅刹の武器飛ばし技「激・双嵐陣」がなぜかガードされただけで怒りが終了したり、ガードされたときだけ連ね斬りにキャンセルがかかるなど、謎の現象と言うかバグが多い。
    • 修羅火月の「災炎」を三つ付けると激しく処理落ちする。14連斬すら出せなくなるほどなので、対戦相手には嫌がられる事間違いなし。
  • 特に首斬り破沙羅は「バサラウィルス」と呼ばれる致命的なバグを抱えていた*7
    • バサラウィルスとは、「背面から一部の必殺技を当てた際、破沙羅のみ喰らい判定を残して浮くバグ」の通称。 これにより、対破沙羅専用の簡単で非常に実用的な永久が多数存在している。
    • 例…羅刹覇王丸:引っ張り→凪刃×n 、幻十郎:引っ張り→桜華斬×n、引っ張り→光翼刃×n
    • つまり、飛び道具や浮かせ技を持つキャラに防御崩し(引っ張り)を決められたら破沙羅はそこで終わりなのである。怒り爆発も前述のように空中では使えない。
    • なお、このバサラウィルスは全ての移植作でも再現されている。ふざけるな!
+ バサラウィルス参考動画

  • ある程度は調整されたが、なお悪いキャラバランス
    • 上位キャラがそれぞれ尖った強みを持っているので、そいつら同士なら面白い勝負になるのは評価できる点だが…一方で下位との差が激しく、弱キャラで強キャラに勝つのは至難の技。
    • 主な強キャラはナコルル(修羅)、半蔵(共通)、幻十郎(羅刹)、ガルフォード(羅刹・素手状態)。
      • 修羅ナコルルは「アンヌムツベ」が異常に強力で、ただでさえ発生が早く無敵時間もある事に加え、ABCD同時押しで強制停止可能で隙を消す事ができる、怒り時はさらに性能アップという至れり尽くせりな技。高性能なダッシュ弱斬りをチラつかせた択一攻撃に防御崩しからの高火力~永久・即死連続技と、弱点らしい弱点が全く存在しない。アンヌムツベの緊急停止時に怒り爆発が暴発しやすいことぐらいしか疵はない。
      • 半蔵は怒り時の「爆炎龍」が多段ヒット技で追撃可能、発生も非常に早く隙も無い。この技ひとつで固め・削り・攻めの起点全てをこなせてしまう。怒りにくいのが欠点ではあるが14連斬が決まればすぐ怒るため殆ど関係なく、しかもゲームの仕様上1回怒ればなかなか鎮まらない(詳しくは後述)。
      • 羅刹幻十郎は「裏桜華・菖蒲」を使った中段・下段の択一攻撃とそこからの連続技が強力だが、コマンドが重複している関係で死に技が暴発しやすいためナコルル・半蔵には一歩劣る。
      • 羅刹ガルフォードは前作の『斬サム』でも素手状態のプラズマファクター1回で気絶、気絶した相手に「立ちパンチ→プラズマファクター」を決めると気絶→気絶になるという有様であったが、何故か本作でも素手状態の強さに調整が入っていない。通常技とプラズマファクターの判定がとんでもなく強化され、ガードされても隙が皆無な上、「プラズマファクターが当たりさえすれば、そこから再度プラズマファクターへと繋ぐ永久連続技が成立」してしまうという有様*8
      • ガルフォード自体、テクニックが必要であるもののスペックは高い*9ため、これは明らかに調整ミスと言える。
    • 先に出た首斬り破沙羅は最弱候補として名高い。タイトルとストーリーでフィーチャーされている天草も同レベル程度。
    • また、本作品は修羅と羅刹で強さが極端に変わるキャラも多い。火月や骸羅、右京に狂死郎はその典型例。
  • 怒りゲージのシステム上の問題
    • 本作では「自分が喰らいモーション中」「必殺技(武器飛ばし技含む)を出しているモーション中」は怒り持続時間が減少しない。極論を言えば必殺技を出し続ければ永遠に怒り続ける事も可能である。
    • そのため修羅蒼月などはとんでもない事になる(詳しくは後述)。
    • また半蔵も前述のように戦法上爆炎龍を多用する上、怒り持続時間自体が全キャラ中トップクラスなのでなかなか鎮まらない。
      • さらに本作では怒り状態でラウンドが終了すると、次のラウンドでは今までカウントされていた怒り持続時間が初期化され、また怒った瞬間からのカウントとなる。そのため半蔵は一度怒ったら最後、勝負がつくまで怒りが鎮まらない事も多い
  • 明らかに尖り過ぎている技の存在。それに頼るプレイへの対処のしにくさ
    • 強キャラの所に書かれた技以外にも、明らかにバランスを欠いている、いわゆる「壊れ技」が結構あったりする。
    • 修羅蒼月の「C月光」は怒り時になると異常にヒット数が上がる。直撃させても痛いのだが、問題はガードしてしまった時。ガード硬直中に蒼月側の硬直が解けてしまう上必殺技中は怒り持続時間が減らないという仕様もあり、C月光を連発するだけで永久ガードになってしまう。いくら怒り爆発やわざとガードを解くことで抜けられるとはいえ、さすがにそれは…。
    • 今は亡き新声社から発売された「ゲーメスト」ムックでも、「対戦相手とのトラブルを避けるために、蒼月は開幕直後に怒り爆発して怒りゲージを無くしてしまおう」とまで書かれる始末。対戦相手にハンデを与える事を推奨するってなんだそれ。
    • 他にはタムタムの通常技、遠距離立ちAも非常に凶悪。発生早い・リーチ長い・隙が少ない・連打可能・キャンセル可能とあらゆる面で強すぎ、これをぶんぶん振り回すだけで何もできなくなるキャラもいる。ならばと飛び込んでも、タムタムは逃げジャンプCというこれまた凶悪な空中技を持っているので…(修羅の場合は連打で出る死に技の「パグナ・パグナ」が暴発しやすいという弱点はある)。
  • 前作ほどではないにしろ数多い即死・永久コンボ
    • キャラ限定のものも含めればほぼ全キャラが即死コンボを持っている。
    • ただし本作の即死コンボは連ね斬りを利用するため「怒り爆発+ゲージMAX状態」でないと入らず、怒り爆発で抜けられてしまうとその対戦中は決められなくなるものが多い。
    • それだけにゲージの状況などお構いなしで入ってしまう永久コンボを持っているキャラは極悪。一度は怒り爆発で抜けられても二度目は無い。有名なのは火月の「14連斬7斬止め×α」、羅刹覇王丸の「(剛破→立ちB)×α(背面くらい限定)」など。

家庭用移植

  • ネオジオ(1996年11月29日、SNK)
    • 当然ながら移植度は完璧。
  • ネオジオCD(1996年12月27日、SNK)
    • BGMがアレンジ音源になっているが、ロードの長さは相変わらず。ちなみにほぼ同時期にロード時間を低減したネオジオCD-Zが発売されている。対戦でのみ斬紅郎が使える。
  • セガサターン(1997年10月2日、SNK)
    • 拡張RAMカートリッジ専用のため基本的な移植度は高いのだが、14連斬中などに処理落ちが発生する。特に骸羅・天草・斬紅郎といったデカキャラ同士の対戦で14連斬を決めると目に見えて遅くなる。対戦でのみ斬紅郎が使える。
    • 拡張4MRAMカートリッジ発売後の発売なのだが、残念ながらこちらには対応していない。
  • プレイステーション(『サムライスピリッツ天草降臨SPECIAL』1997年12月25日、SNK(PS one Books:2003年4月24日、SNKプレイモア))
    • 追加要素として、チャムチャム(グラフィックは『真サム』からの流用、必殺技は新規)が使用可能となっている。ただし斬紅郎同様、対戦モードでしか使用できない(トレーニングでも使用できない)。
      • チャムチャムの絵は使い回しだが性能自体は手抜きではなく、修羅・羅刹ともにこれまでとは一味違うキャラクターに仕上がっている。特に羅刹はパクパクを連れておらずほとんどオリジナル。それだけに本作の対戦モード限定だったのが惜しまれる。
    • キャラクターのアニメーションがかなり削られ、各エフェクトに不自然なモザイクがかかっており、移植作独自の当たり判定も存在する。ロード時間も長く、「一本目、勝負」の直後にもローディングが起きる。
    • PS版『斬サム』ほどではないが劣化移植と言える。
  • プレイステーション2、Wii(SNKプレイモア)
    • 2Dサムスピシリーズを網羅した『サムライスピリッツ六番勝負』に収録されている(初代~『零』はネオジオROM版、『剣サム』はPS2版ベース)。
  • この他にも本作をベースとしたNGP『サムライスピリッツ!』が存在する。本作では自決及び断末奥義といった残虐描写がカットされその代わりにコミカルな演出が追加されている。また本作では『ポリサム』こと『侍魂』に登場する「色」がゲスト出演かつ初の2D化を果たした作品でもある。

総評

  • 前作『斬サム』が「10年早すぎた世紀末ゲー」と評された反省から、新機軸を盛り込みつつもバランスの改善を図ろうとした点は評価できるが、人によってはサムスピがコンボゲー化する元凶となったとも評されることとなった。
  • ただし作品そのものは「2Dサムスピの最終形態」ともいえる評価で、特に「怒り爆発」「一閃」システムは後のシリーズにも受け継がれた完成度の高いものであった。
    • 後に悠紀エンタープライズ(一部が後に『アルカナハート』で知られるエクサムを立ち上げる)が本作をベースに『サムライスピリッツ零』を製作したことにもそれが現れているといえよう。
  • しかしサムスピシリーズ自体は後の『ポリサム』やRPG『武士道烈伝』で著しく評価を落とすこととなってしまった。