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道 -TAO- - (2014/08/24 (日) 17:09:44) の編集履歴(バックアップ)


道 -TAO-

【たお】

ジャンル アドベンチャー+RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 バップ
開発元 パックスソフトニカ
発売日 1989年12月1日
定価 5,500円
分類 クソゲー
怪作
ポイント 宗教色濃厚な電波作品
バカゲーと呼ぶのも悩ましい
連打命の戦闘

概要

株式会社バップによるファミコン第4作目。
世紀末の世界を救うために主人公が旅をする、と言えば普通のゲームである。
移動画面はRPG風だが、会話画面ではアドベンチャーのように複数のコマンドが表示される形式となっている。
ただひたすら雑に作っただけの『元祖西遊記』に比べればよほどクソゲー度は低いが、代わりに極めて強烈な怪電波を発するゲームになってしまっている。

自称「究極の世紀末ロープレ」の実態

  • 漢字一字のコマンド。
    • 例えば人と話すときは「言」、人や物を見るときは「観」、敵と戦うコマンドは「闘」といった具合。はじめは戸惑うが、慣れればどうということはない。
  • ボタン連打による戦闘。
    • 敵と戦うことになった場合、Aボタンの連打で戦うことになる。Bボタンを押せば一時戦闘を中断でき、戦いを有利にするアイテムが使える。
    • 後で述べるがゲームバランスが悪く、後半になると相当気合を入れた連打が必要になるため、長時間プレイしていると右手がつること請け合いである。
  • 珍妙な敵たち。
    • ニワトリみたいな「コケットラー」タコのような「パスオーク」といったふざけた名の敵から、「ガルーダ」「デスナイト」などマジメな名前のものまで。
    • そんな名前の上に、敵の等級を表している「キダキ」「ジャカキ」などの冠詞がつく。
    • 「パドルデビル」という敵は、ゲームが進行するごとに「キダキのパドルデビル」「ジャカキの(ry」「アジャキ(r」「バルキ(」とどんどん出世(?)していく。
    • 意外にもデザインが凝った敵もいる。終盤に戦う四天王などは普通に格好良い。
    • そんな連中が「オレさまの肉を食え!」「殺して進ぜよう!」「わしの屁をかぎてえか!?」「神をも恐れぬ神懸りの術!」「素敵な夢を見せてやろう」「水虫を移してやる」など訳の分からない口上を述べつつ迫ってくる。
      • ちなみに主人公の口上はと言うと使用するアイテムによっては「地獄に堕ちろ!」「お前なんか溶けちまえ!」「どうだ苦しいか!?」などと言ったとんでもないものも。これではどちらが悪役だかわからない…。
  • 町から町へ、恐竜や翼竜に跨って移動する、意味不明な交通手段。
    • ただしこの仕様が問題になっている。
  • BGMは意外と聞ける。
    • 洗脳用、ということはないと思いたい…。
  • 救済措置は充実しており、敵に敗れてもパラメータの「チャンス」が残っていればその場で復活できるし、チャンスが1の時に負けても所持金の半分と引き換えに再スタートできる(ただしスタート地点に戻される)。
    • そのチャンスも金で買えるアイテムで増やせる。というかチャンスを増やさないと後半は死ねる。
  • 体力・攻撃力・防御力もドーピングでいくらでも増やせる。「修行」としてより低価格で増やせるポイントもあるが連打が必要。

また、特異なのが宗教がかった上に、「ノストラダムスの大予言」に影響されまくったシナリオ構成である。

  • 1999年8月18日のグランドクロス(太陽系の惑星が地球を中心として十字に並ぶ現象)により、魔王が降って来て世界が荒廃してしまったという設定。
    • 五島勉によれば、このグランドクロスがいわゆる「1999年7の月」を差しているとの事だが、
      実際には当時のフランスで使われていたユリウス暦でも、この月日は7の月にはならない。
    • また魔王の降って来た村の名がアンゴルモア。「大予言」で「恐怖の大王」の出現によってよみがえるとされる「アンゴルモアの大王」のアンゴルモアである。
    • それで、その魔王の名が「ヒスター」。「大予言」の一篇にある言葉で、五島が言うにはかの独裁者ヒトラーのことだという話である*1
  • 結論は「天道に帰依しましょう」。
    • 天道は清時代の中国を発端とする新宗教。このソフトの開発に天道教団そのものが関わっているのかどうかは不明ではあるのだが…
    • ゲームの最終目的が「真なる神から三宝を授かり世界を救う」ことだが、三宝にそのような力があると見なす宗教集団は天道しかいない。
    • 中盤で真の神は「ラウム様」、白蓮教や天理教などにおける「無生老母」であると判明する。天道ではあらゆる神はラウムの化神であるとしている。
      • 「およそ全ての聖者達は真なる神から三宝を受けてきた。だが今ある教えからはその事実が抹消されている」とゲーム中で述べられている。寄り道しないと聞けない話ではあるが。
    • エンディングではラウムに代わって(?)天然古佛なる人物が現れ三宝を授けてくる。彼は天道の本来の呼び名である「一貫道」の聖者として神聖視されている存在である。
      • BGMとして流れる「かごめかごめ」と怪しげなメッセージの相乗効果によって、アンニュイな気分になれること請け合いである。
    • 天道を持ち上げるためなのかどうか、他の宗教は大体がけちょんけちょんにけなされている始末。「いかなる経典も聖書も救いを絵に描いただけであり、暗記しても救いは現れない。真に救いを求めるなら三宝を授かるしかない」とまで言っている。
  • 問題点かどうか判断がつかないが、宇宙の真理を研究しているという「オーム大聖堂」の存在がある。
    • 本作の発売直前に、かのオウム真理教の起こしたテロとして悪名高い「坂本堤弁護士一家殺害事件」が発覚し(当時はまだ殺害までは分かっていなかったが)、「救う会」が活動を開始している。
      まかり間違えば『チェルノブ』並みの大騒ぎになっていた可能性もある。
      • もっとも、「オーム」というのは(時代時代で異なる解釈はされるが)れっきとした宗教用語である。そのため、オウムの影響と決め付けることも出来ない。というより開発・発売時期から考えてオウムを茶化して書くことは困難と言える。

単純な問題点

  • どうしようもないお遣い作業ゲー。アドベンチャー風にフラグを立てて進む場面も多少はあるが、基本的に淡々とお遣いをこなす作業とボタン連打で戦闘する作業の繰り返しである。
    • 終盤を除いて「あっちへ行け」「こっちに怪しい何かが…」「そっちの様子を見てきてくれ」と言われるままに向かうだけで話が進んでしまう。回れるポイントが少ないせいもあって冒険している感覚はない。
    • また移動手段が上で挙げた恐竜しかない上に、一度の利用で町一つ分しか移動できないし当然乗るたびに運賃が発生するし、ということで移動が非常に煩わしい。
    • 恐竜に乗って移動する画面では雲が多重スクロールしているが、こんなところで無意味に技術をアピールしてきている。
  • 天道が関わらない部分のストーリーがかなりいい加減である。
    • 八卦という「とても信じられない8つの物」を揃えれば悟りが開けると言われて主人公は旅立ったのだが、「何か貰ったと思ったら実は八卦だった」という展開がやたらと多い。
      • 一番酷いのは、ある民家で「要らない物を八卦として引き取ってくれ」と言われて貰ったら本当に八卦の一つだった、というもの。
        オーブとかクリスタルとかに「処分に困っている物」が混じっていたら噴飯モノであるが、それと同じような事態である。
      • 第一、話を進めていたら勝手に集まるので集めている気はしない。
    • 冒頭で「取り戻せ」といわれた経典が「実はニセ経典なので取り戻さなくてもいい」といわれたり、同じく冒頭で思わせぶりに出て来た石版が「古代人の落書き」とか言われたり、随分適当な種明かしばっかりである。
  • 劣悪な戦闘バランス。
    • 実はどこに行けばどの強さの敵が出てくるかは決まっていないらしく、一定のラインナップから無作為に選出されている模様。話が進むごとに出る敵の種類が増えていく。
      つまり、一旦最強クラスの敵が出て来るところまで進めたが最後、大抵はどこへ行っても強敵ばかり出て来ることになる。
      • 後半から出て来る敵の中には、連打が相当速くないと普通に力負けする奴もいれば、連打しまくろうが当たってしまう必殺技や、行動不能攻撃を放ってくる奴も多くなっており非常に手強い。
    • 加えて回復設備が世界に一つしかなく、回復アイテム売ってくれる人も世界にたった一人、それも一つしか持てず、戦闘中に使っても単なる無駄遣い…とやたら縛りが多く、チャンスが幾つあっても足りない。
      無限ドーピング前提と言えるが、ドーピング出来る地点に到達すると最強クラスの敵が出て来るようになるのが辛い。
  • ファミコン時代のパスワードコンティニュー式RPGの例に漏れずパスワードは長い。

システム的にはクソゲーと言わざるを得ない部分が散見されるのだが、こうも布教的なゲームというのも珍しい。
加えてトンデモ本の悪影響を受けたいい加減な世紀末感覚も加わり単にクソゲー呼ばわりするのは惜しい奇怪なゲームになってしまっている。
ならバカゲーか? と言われても、天道に関するところは一応真面目に作っている(つもりである)以上バカゲー呼ばわりも難しい。
バカなことをしてしまったクソゲーと言うべきか。

それにしても、確かに世紀末ブームもあったとは言え、何故バップが天道ゲームを作ろうとしたのか? 
家庭用ゲームに関わったことをバップが黒歴史にしている以上、今これを問い質すのは不可能に近いだろう。

プログラム担当だったパックスソフトニカは、後にGB版『ドンキーコング』や『モグラ~ニャ』などの開発で知られるようになる、任天堂のセカンドパーティーである。
昔はこんなアレなソフトに関わっていたのだ。