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エイリアンVSプレデター (AC) - (2015/02/17 (火) 10:45:49) の編集履歴(バックアップ)


エイリアンVSプレデター

【えいりあんばーさすぷれでたー】

ジャンル ベルトスクロールアクション
対応機種 アーケード(CPシステムII)
販売・開発元 カプコン
稼働開始日 1994年5月20日
分類 良作


概要

映画『エイリアン』『プレデター』を題材とした、カプコン製作のベルトスクロールアクション。
「キャラゲー=クソゲー」という図式が成り立つ場合が多いが、カプコン製のキャラゲーは『天地を喰らう』や『ダンジョンズ&ドラゴンズ』など、名作が揃っている。本作もその1つ。

  • 同名の映画が存在するが、内容は全く別物となっている。というのも、元々の始まりが90年代に始まったクロスオーバー企画であったため。*1
    ダークホースコミックス社から各種コミック及び小説版が出版され、ゲームは本作やATARI用から始まるFPS版シリーズ等が発売。しかし映画は脚本の関係上一旦凍結されてしまい、なかなか再開されなかった。その結果、映画版は公開が2004年と大幅に遅れた。そのため映画版と本作ではストーリー的な繋がりは無い。
    • ただ単に「ゲーム版『エイリアンVSプレデター』」と言うと、本作の事を指すのかFPS版シリーズの事を指すのか分かりにくい。しかも、FPS版シリーズの一つである「Aliens vs predator 2」は製作こそ別メーカー(Monolith Productions)だが、カプコンの輸入PC部門が販売代理店を行っていたため(現在はサポートを含め代理店業は打ち切られている)混同して紹介されるケースが多かった(実際カプコン、エイリアンvsプレデターだけで検索するとこのFPS版がよく引っ掛かる)。親切な人は「カプコンのアケゲー(ベルトアクション)AVP」、「FPS版AVP」など本作とFPS版とを判別し易い様表記してくれる場合もあるが。

ストーリー

独立海上都市サン・ドラドにおいて膨大な量のエイリアンが突如発生、サン・ドラドは地獄と化していた。エイリアン殲滅戦に参加していた宇宙海兵隊のリン・クロサワ中尉とダッチ・シェーファー少佐は、敵中で孤立してしまったところを異形の宇宙人・プレデターに助けられる。エイリアンを撲滅したいリン達とエイリアンを狩りたいプレデター達とで利害が一致。種族の壁を超えて共闘するのであった…。

システム

基本システムはステレオタイプのベルトスクロールアクション。
プレイヤーは人間二人(ダッチ・シェーファー/リン・クロサワ)・プレデター二人(プレデターウォリアー/プレデターハンター*2)の内一人を選択してプレイする。最大3人同時プレイが可能。

  • メンバー随一の上級者向けであるがエイリアン相手にプロレス技とプレデターをも超える攻撃力で立ち向かうシェーファー、パワーは最も弱いがスピーディーで空中戦に滅法強いリン、武器所持時は隙が多いので多人数プレイでのチームワーク向きだが素手になればシングルプレイでもその真価を発揮できるハンター、使いこなせばどんな強敵が相手だろうと互角以上に戦える初心者向けのウォリアーと、四者四様に個性的なキャラ付がなされている。
  • 各キャラクターが専用武器を持っている。ダウンすると落としてしまい(シェーファーのみ腕と一体化しているために落とさない)、素手攻撃になり、拾うまでは攻撃力が下がってしまう。なお拾い損ねると一定時間後に消滅してしまうが、その場合ドラム缶やコンテナなどの破壊可能なオブジェクトから一部回復・得点アイテムと置き換わる形で出てくる、面クリアすれば装備状態に戻る。
    • 因みにキャラごとの専用武器を持っているかでメガクラッシュのアクションが変わる。
      • また、攻撃力が下がるといっても弱体化するだけではなく、ウォリアーの場合は武器の有無など目もくれず総合性能はほぼそのまま。ハンターに至っては上記のように素手になれば真価を発揮できる、というか明らかに素手の方が遥かに強い*3
+ 詳細

専用武器を持っているときでは。

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専用武器を持っていない、もしくはナイフやスマートガン等の拾って使う武器を持っているときでは

  • 特異なシステムとして全員が弾数無限の射撃武器を標準搭載している。射撃武器は短時間で使いすぎると(リン・クロサワのみは装弾数が最初から決まっており、撃ち切るまで回復しない)弾切れまたはオーバーヒート状態になる。こうなると時間経過(プレデターは冷却、リンはリロードアクション)で回復するまでは再使用できなくなる。
    • 勿論、それらとは別に道中で拾う射撃武器も存在する。本ゲームのみのユニークな点としてプレデターが地球人の武器を使うという部分が有り本作以外の他媒体メディアを含む他作品においてプレデターは地球人の武器を使用した事は無い。
    • 一定時間個人装備の弾切れ・オーバーヒートを起さない「スーパーマガジン」というアイテムもある。

長所

爽快感バツグンのアクション

  • ベルトアクション中最強とも思える、プレイヤーキャラの性能の高さ。「『あの』エイリアンを2秒で撲殺できる」と説明すれば、「エイリアンのファンだけど本作は未プレイ」の方でもプレイヤーキャラの強さが大体把握できるはず。
    キャラクター毎の強弱はあるものの、腕を磨けば最もクリアが難しいとされる「ダッチ・シェーファー」でもデフォルト設定でのノーコンティニュークリアが十分狙える。無論、かなり綿密なパターン構築が必須だが。
    • 通常技キャンセル必殺技、ダウン追い打ち、連続使用に制限があるが弾数無限の飛び道具を全キャラ保有、体力がわずかに減るものの発動から動作終了後まで完全無敵のメガクラッシュなど、プレイヤー側に有利な仕様がこれでもかと詰め込まれている。
      しかしながら、キャラによって操作における癖の差が激しく、エイリアンの方も死に物狂いで襲いかかってくるのでヌルゲーにはなっていない。
    • 初心者でも連続技が簡単に繰り出せるため、大量のエイリアンをなぎ倒す爽快感をすぐに味わえる。ゲームを極めれば超絶コンボを編み出したり、ギャラリーを茫然とさせる魅せプレイを行えるようになる。
  • 1人で遊んでも爽快感バツグンなのだから、マルチプレイではそれがどうなるのかは言わずもがな。
    • 3人同時プレイ時には専用の台詞が挿入される。例)ダッチ「酷いポンコツだな」ウォリアー「キサマノ事カ」
    • マルチプレイだとコンボの自由度が飛躍的に高まる。「コンボゲーの格ゲー並み」と言っても過言ではない。
      + コンボ研究の参考動画

原作再現

原作再現度が高く、またスタッフの原作愛が随所に感じられる。

  • 大量のエイリアンをなぎ倒していくプレデターは異様にスタイリッシュで格好良い。一方でエイリアンはやられ役だが、舌を突き出したり尻尾を突き刺すなどモーション再現度が高く、手ごわいボスエイリアンの雄姿も拝めるため扱いは不等ではない。
    • オリジナルデザインのエイリアンが多数登場するが、「映画でもそのまま使えるんじゃないの?」と思えるくらい違和感がなく、*4またゲーム自体がとても面白かったため、その件について文句を言う人はいない。
    • ステージ3の装甲車、セントリーガンの発射音、コンティニュー画面の自爆コード入力(プレデター系を使っていた時のみ)など、細かいところの再現度もぬかり無し。原作を知れば知るほどニヤニヤできる。
  • 音楽・グラフィック共に同時代の物と比較してもクオリティ高し。
    • 版権の問題もあってか、映画『エイリアン』『プレデター』双方のテーマは使われていない。BGMは全てオリジナル。でもエイリアンのデザインと同じ理由でこれまた文句を言う人はいない。

短所

  • デフォルト設定では難易度がかなり高く、ハードルも非常に高い。
    • 例えば、デフォルト設定だと残機0でゲームスタートし、得点を稼ぐと1機だけ増える。そのため、ノーコンティニュークリアを目指すなら、道中で死んでいいのは1回のみ。これで全7ステージ(約40分程)を戦い抜かなければならない。
    • 大半のお店では、得点を一定値稼ぐ度に残機が増える、エブリエクステンド設定にしてあることが多い。これなら順当にゲームを進めていけば5~6機ほど増えるため、難易度はグッと下がる。デフォルト設定ではベルトゲーを極めし者用の難易度だが、エブリ設定なら逆にベルトゲー初心者向けの難易度になり、入門用にも適している。
    • ベルトスクロールアクションは全体的に難易度が高くなりがちなジャンルであるが、全体から見てもかなり高い部類に入る。これは主人公達の性能が他作品と比べて非常に高く、それらの駆使を前提として敵の強さが調整されているため。
  • プレイヤーキャラが高性能であることの代償として、操作が非常に複雑化している。どのキャラも「使いこなす」となると容易では無い。
    • 初心者向けのキャラである「プレデター・ウォリアー」ですら技の数やキャンセル可能動作などの種類が多彩。テクニカルキャラの「リン・クロサワ」に至っては自由度が衰退直前の対戦格闘ゲーム並。現在でも語り草となっている。
    • ただし、扱いやすい技を中心に戦うようにすれば操作の難易度は言われるほど高くない。例えばプレデター・ウォリアーなら「通常4段→ダブルキック」だけでもかなり先まで進行できる。
  • ゲーム全体を通してボスが強い。2ボスの「RAZOR CLAWS」は俊敏な動きと長いリーチ、高い攻撃力を誇る初心者キラー。他にもダウンの奪えない4ボス・ラスボスの「ALIEN QUEEN」や5ボス「POWER LOADER」、機敏な動きで捉え辛い6ボス「MAD PREDATOR」と強敵ぞろい。
  • 3人協力プレイ版の設置用意が大変。
    • かつてはカプコンから「プレイザス」という3人同時プレイ用の筐体が販売されていたが、現在は生産終了。今出回っている筐体はコンパネが多くても2人分しかないため、3人同時プレイの環境を整えようと思ったら筐体が2台必要となる。
  • どうでもいい事のようだが、復活や途中参加時にキャラの頭上に表示される(1P,2P)と書かれたプレイヤーの位置を知らせるマークが表示されない。
+ 知らせるマークとは
  • ゲームとしての妥協点ではあるので仕方がないのだが、一部原作設定をあえて無視しているところがある。でもゲームが(以下略)
    • エイリアンの血液は強酸性のため触るな危険。投げ技接近戦(特に刀剣類で切り裂く)なんてとんでもない!
      • 唾(これまた強酸性)を飛ばして攻撃してくる個体もいる。『エイリアン4』で武器として使う場面も登場している。唾そのものは初代エイリアンから存在するもののそちらはただの粘液なので使い分けがなされてる模様。
    • プレイヤーキャラの超性能。エイリアンが不憫にすら思えるほど。ただし長所の項で触れたように、これだけの超性能にも拘らずヌルゲーにならないようにちゃんと調整がされている。
      • ここまでエイリアンが弱いとキャラ崩壊しているんじゃないの?と思われるかもしれないが、実は原作でもエイリアン単体はかなり弱い。作中の時代の軍隊である完全武装した植民地海兵隊と正面からぶつかり合ったらほぼ100%負ける位である。彼らの恐ろしさは、他の生物に寄生する能力とそれによる繁殖能力、機械などを無力化する行動から分かる狡猾な知性、配管スペース等の狭所や天井に張り付いて移動する神出鬼没な点にあるのだ。ただし、身体能力そのものはエイリアンの方が地球人より大幅に優れているため、丸腰だと確実に殺されてしまう。植民地海兵隊の皆様が正面切ってのぶつかり合いでならほぼ確実にエイリアン相手に勝てるのは、身体能力差を覆せるだけの戦術と装備を有しているからである。この辺は前述のFPS版で種族:地球人とエイリアンでプレイするとよく分かる。
    • エイリアンガードポーズがすごいマヌケ。

総評

ストーリー、原作再現、ゲーム部分の完成度、そのどれもが高水準でまとまっており、「ベルトアクション最高傑作」に挙げる人も多い名作。
原作映画とベルトアクションというジャンルとの相性が悪くないことを証明しており、映画ファンもゲーマーも楽しめる。

移植や続編等

  • 権利問題が国内だけに止まらず、あまりにもグチャグチャなので移植は一切なされておらず、今後も絶望的。
    • カプコン側の先走りのせいでシェーファーの設定でトラブルが起き、*5契約のゴタゴタでリンが版権をダークホースコミックス社(コミック版の版元)側に持って行かれてしまうなど、移植が絶望的である点以外の被害も生じてしまった。
      • また日本は先のダークホースコミックス社の商品がオフィシャル流通していない国でもあり、ある意味「ガラパゴス状態」である。その為本国でのコミック業界の動向やエイリアンやプレデターに関する版権周りの情報に疎いユーザーが多い、この辺りの日本のファン層の無理解もまた移植が遠ざかる理由の一つである。
  • 存在感・完成度・ファンの多さから、古いゲームであるにも関わらず多くのゲームセンターに設置されている。
  • 中古基板相場は数万円と、比較的流通量の多いゲームとしてはかなり高め。これも人気の高さゆえか。

余談

  • リン・クロサワはプレイヤーキャラ中唯一のカプコンオリジナルキャラであるが、なぜか開発者受けが非常に良く、「リン・クロサワを出したかったけど出せないから別のキャラにした(カプエス2のマキ等。いぶきも似ている…?)」「プレイアブルキャラとしては出せないけど背景とかでそっくりさんを入れた(ストZERO2等)」という開発秘話を何度もこぼしている。何故出せないのかは上の項目を参照。
    • ガンスパイクのシモーヌは、ゲーム誌の開発者インタビューでリン・クロサワをモデルとしていると公言があった…記憶がある。