「グローランサー」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

グローランサー - (2020/11/07 (土) 21:29:30) の編集履歴(バックアップ)



グローランサー

【ぐろーらんさー】

ジャンル ノンストップドラマチックRPG

対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 2枚
発売元 アトラス
開発元 キャリアソフト
発売日 1999年11月25日
定価 7,140円(税込)
廉価版 2001年7月26日/2,940円(税込)
判定 良作
グローランサーシリーズリンク

ストーリー

かつて、人々が住んでいた世界は魔法エネルギー「グローシュ」が満ちていた。
人々は大気中に浮遊するグローシュから魔法を使い、生活していた。
しかし、人々は太陽が異常をきたしたため、死の星と化した自分の世界を別の世界と「重ね合わせ」た結果、グローシュは失われ、魔法を使うためには2つの世界の歪みからもれるわずかなグローシュを使うほかなかった。
そしてしばらく後…この大陸には3つの国があった。
大陸の西に位置するローランディア王国は、隣国バーンシュタイン王国と共同で魔法学院を創り、平和的に魔法を活用しようとしていた…。
ローランディアの宮廷魔術師サンドラに拾われた少年は「世を滅ぼす闇となる」「世界を救う光となる」と、相反する2つの暗示を受ける。
彼の将来を案じたサンドラは、自立できる年齢になるまで彼を王都の外へ出さず、外界との接触も持たせぬようにしてきた。
そして、少年が17歳になった朝、彼女は彼に告げた。
旅立ちの日が来たこと、自分の目で世界を見てくるようにと…。
少年は初めて王都を出て、外の世界へ旅立つ。
それが、すべての始まりであることを知らないまま…。
(公式サイトより抜粋)

概要

ラングリッサーシリーズ』を開発した「キャリアソフト」が開発した「アトラス」のRPG。
「RMC(リアルタイムミッションクリア)戦闘」というMMO風RPGとSRPGを足して2で割ったような独自の戦闘システムと、うるし原智志氏がデザインした魅力的なキャラクターが特徴のRPGである。

戦闘システム

  • 本作の戦闘システムを大雑把に説明すると、『ファイナルファンタジーXII』などに代表されるMMO風RPGの戦闘システムからアクション性を廃止し、見下ろし視点にしたシームレス戦闘である。
    • とは言え、各キャラクターに直接指示を出す事が前提のシステムであり、またキャラクターに指示を出している間は時間が止まっているため、プレイ感覚としてはMMO風RPGよりもSRPGに近い。
    • 戦闘システムだけを見ればRPGと言うよりRTSに近い。
    • 「キャリアソフト」が手掛けてきた『ラングリッサーシリーズ』の戦闘システムをRPGに合うように発展させたものとも言える。
  • また、本作の戦闘システムの最大の特徴として、戦闘の目的が敵を倒すことだけではなく、「NPCを守りながら敵を全滅させるor一定時間を稼ぐ」「アイテムを入手して戦闘エリアを脱出する」「敵に成り済まして攻撃し、仲間割れを誘う」「上手くマップの仕掛けを作動させる」などの勝利条件を達成する事である。
    • そのためストーリーのシチュエーションに合わせた戦略が要求されるため、飽きずにゲームを楽しめる。
      • 戦闘開始段階では有利な条件だったのに、強力な敵が現れた事で一気に不利になる。逆に劣勢の中で何とか抵抗している中で援軍が来た御蔭で形勢逆転する。と言った予測できない展開の数々がイベント戦闘を面白くする。
    • 本シリーズでは「戦闘もシナリオの一部」と考えられており、このようにイベント戦闘は単なる敵ユニット退治、数値の削り合いにならないストーリー性のある濃い戦いが毎回繰り広げられる。
    • したがってストーリーの出来がゲーム性の面白さを左右するのである。
  • さらに、この戦闘システムを盛り上げるのが、敵国が抱える1人で100人を相手に出来る最強の騎士のみに与えられる称号「インペリアルナイツ」の称号を持つ騎士達の存在である。
    • 「インペリアルナイツ」の一人「ジュリアン」は敵・味方共にレベル10台のうちから、レベル42という明らかに場違いな強さで主人公達と剣を交える事になる。攻撃を受ければほぼ一撃で倒される上にこちらの攻撃はほとんど効かない。これで「インペリアルナイツ」最弱なのだから、残りの三人はどれほど強いのかとプレイヤーは思い知らされる。
    • ちなみに上記の文章だけ見ればただの負けバトルに見えないかも知れないが、その戦闘の勝利条件は「ジュリアン」を倒す事ではなく、「ジュリアン」をやり過ごしながら人質を救出する事であるため、明らかに勝てない相手を上手くゲーム性に盛り込んだシステムであると言える。
    • そして、ゲームが進み成長した主人公達は「インペリアルナイツ」と正面から戦う事になるため、成長が実感できる。
    • その設定の秀逸さとゲーム性との相性の良さからインペリアルナイツポジションの称号は『IV』の「ロイヤルガード」や『V』の「スレイヤー」など、以降のシリーズ作にも名前を変えて受け継がれていく。

評価点

ゲームバランス

  • 後述のスキルポイントも含め非常に遊びやすいゲームバランスになっている。
    • レベル上げの負担の少なさもあって全般に遊びやすい。
    • また、シナリオ上、通常は逃げたり負けたりするような強敵*1に対しても、パーティのレベルや戦術によっては撃破できるように作られている。撃破した場合のイベントもしっかり用意されており、後のストーリーに大きな影響が出ないように調整が取られている。
      • 但し、相応の鍛錬や戦術が必要なので通常プレイでの撃破は難しいだろう。やり込み要素や2周目のお楽しみの側面が強い。

音楽

  • グランディアシリーズ』や『LUNARシリーズ』などで有名な岩垂徳行氏が担当しており音楽の評価はシリーズ最高との呼び声が高い。
    • 因みに、グローランサーシリーズで岩垂氏が作曲を担当しているのは本作のみである。

スキルポイントシステム

  • レベルアップ時に得るポイントを割り振って各種スキルを習得できる。
    • 決められた値までポイントが貯まったスキルを習得する事が出来るため、プレイヤー個々の育成も楽しめる。
    • 習得できるスキルはキャラクターによって異なり、キャラクターの性能も個性豊かである。
      • 例えば直接攻撃が得意な「ウォレス」なら「連続攻撃」や「クリティカル」といった攻撃を強化するスキルを、魔法が得意な「ルイセ」なら「ヒーリング」などの魔法や「詠唱時間短縮」などの魔法をサポートするスキル。

ストーリー

  • 「ノンストップドラマチックRPG」「ドラマチックが止まらない」のキャッチコピーに偽りの無いストーリー。
    • 大筋は「ローランディア王国」の騎士となった主人公が、成り行きから敵対する事になった隣国「バーンシュタイン王国」との戦争に巻き込まれていく王道的な戦記モノである。そこから更に戦争を裏で操る怪物や、現代の支配を目論む旧時代の巨悪との戦いへと発展していく。
  • キャラクターの心情の描写などが多く描かれており、キャラクターが多い割りに空気となるキャラクターはまずいない。
    • 主人公以外の固定メンバーは義妹のルイセと盲目の戦士ウォレスのみで、他はストーリー進行に応じて入れ替わったり、任意で加えたりする。しかしそれでもどのキャラも掘り下げや見せ場がしっかり用意されており、存在感を示している。
    • これはドラクエタイプである主人公すら例外ではない。台詞が無い所為で他のキャラばかり目立って影が薄いなどという事は無く、特に後半~終盤には自身の出生の秘密が明かされ、その衝撃の事実と襲い来る肉体の衰弱に打ちのめされながらも懸命に戦うその姿は作中世界の人々の心を動かすほど。そして人々の希望を一身に受け、仲間達と共に決戦の地へと向かうラストバトルはこの上なく熱い。
      • 最終盤には主人公に勇気づけられ心動かされた人々の御蔭で反撃の突破口が開かれたり、最後にはその人々に主人公の方が救われる。単に「主人公が世界を救って終わり」ではないドラマチックさが売りである。
    • 主人公が喋らないため、代弁者&狂言回しを担うパートナーの妖精が登場する。これにより、他のRPGとは異なる独特の雰囲気の中で冒険が楽しめる。
      • しかもこの妖精の「ティピ」は主人公が変な事をすると蹴る。イケメンの主人公が情けなく蹴られる様はシュールこの上なく、本作の名物と言える要素と言えよう。しかしこの蹴られる事自体にも意味があったりするのだから侮れない。
      • この喋らない主人公+妖精という組み合わせは『2』を除くシリーズ全作に継承されており、シリーズの大きな特徴となっている。ただ、主人公を平気で蹴るような無礼者は本作のティピのみ。
    • また、パーティーメンバー以外のメインキャラは勿論、立ち絵の無いサブキャラにまでしっかりと描写が行き届いている。
    • 上記のティピは勿論、泣き虫なルイセ、事ある毎にドジを踏むミーシャ、シリーズ中でもコミカルなイベントが多めで、それでいてシリアスとのバランスが取れており、感情移入がし易い。
  • この通りキャラ描写が秀逸である事と、「ノンストップドラマチックRPG」に看板負けしないドラマチックな展開の数々、そして王道的で馴染みやすいストーリーなど総じて完成度は非常に高く、シリーズでも最高との呼び声が高い。
    • 世界観も一見普通のファンタジーのようでいて、「グローシュ」「二つの世界を重ね合わせた」と言ったような独特の設定により、本作の物語を盛り上げる要素になっている他、次回作以降でも更に掘り下げ、新たに風呂敷を広げられる下地になっている。
    • また、本作のプレイ時間はクリアまで50時間程であり、当時のRPGとしてはかなりの大ボリュームである。

休暇とエンディング

  • ストーリーの合間には休暇が与えられ、仲間キャラの掘り下げがグッと深められている。
    • 休暇地は複数の候補から選択でき、スポットに応じて異なったイベントが発生する。基本的にはその休暇地に馴染み深いキャラ*2との専用イベントが起こるが、時には例外もある。
    • ストーリーが進むと自分の街を作ることが可能。こちらは個別のイベントが無く、仲間を誘ってレストランや劇場などに行ける。ちょっとしたデート気分が楽しめる。
    • そしてこれら休暇イベントやキャライベントをこなして好感度を上げると、仲間キャラの個別のエンディングを見る事ができる。女性キャラとの恋愛EDは勿論の事、男性キャラには友情EDと、全員平等に用意されている。妖精のティピにすらもEDがある。
    • 休暇日数は最初は2日だが、仲間が増えて来ると3日貰えるようになる。但し、不適切な行動を取ったり、民間人や友軍に死者を出したり、アホな選択肢を選んでばかりいると減らされ、1日しか貰えないなどという事も。
    • 尚、好感度に応じてステータス画面での仲間の表情が変わるという要素もある。最初は無表情だが、好感度が上がれば笑顔になり、女性キャラなら最終的に赤面する。…逆も然りだが。

キャラクターメイキング

  • ゲーム開始時に主人公はお使いを頼まれるが、その時の行動でその後の成長力が決まる。
    • この時に街の困っている人を助けたり、子供の遊びの結果(鬼ごっこやかくれんぼ)、落し物を届けるかネコババするかなどの行動や成否によって成長しやすい能力や、習得スキル、装備可能武器まで影響が出る。
      • 万能の完璧超人にするもよし、魔法特化にするもよし、果ては最低値にして縛りにするなど、これだけでもゲーム性が広がる。
    • 但し、初見殺しや隠しイベントが多いので、最初のうちはボロクソに酷評したティピが義母に謝るシーンをまず見る事になるだろう。ティピがベタ褒めするほどの完璧超人を作るのはかなりの試行錯誤が要る。幸い、やり直しは可能。
    • ちなみにこのキャラクターメイキングが好評だったようで、シリーズ後作品でも程度の差はあれ、キャラクターメイキングが恒例イベントになっている。

その他

  • 当時としては珍しくイベントシーンのほとんどはボイスつきであり、豊口めぐみ、小松里歌、玄田哲章、三木眞一郎と言った豪華声優陣が物語を盛り上げてくれる。
    • クリア後には声優陣のコメントを聞く事ができる。これはシリーズでも恒例となった。
      • 声優のコメントによると電話帳のように分厚い台本だったとのこと。
    • 小松女史、三木氏など後のシリーズでも全く違う役柄で参加している声優もいる。
  • 要所では豊富なイベントスチル(一枚絵)が表示され、ストーリーをよりドラマチックに彩る。
  • 本作はフィールドマップがない為、移動が若干不便だが、ドラゴンクエストシリーズの「ルーラ」にあたる、行った事のある町や城などへ任意に飛べる魔法「テレポート」が序盤で取得できる為、既存の場所であれば移動は手間取らない。
  • 読み込みの間が一瞬あるが、敵味方の通常攻撃から魔法からアイテムの使用まであらゆる演出を早送り・カットできる。
  • メニュー表示・決定・キャンセルがそれぞれセレクト・L1・L2ボタンにも割り振られているため、左手のみでプレイできる。
  • 戦闘中とイベント中以外は大抵の場所でセーブができる。
    • 上記のテレポートもそうだが、使用不可能な場面の方が圧倒的に少ない。そのためストレスも少なくスムーズにゲームを進めることができる。
      • 開発中はこの仕様のおかげでデバッグが非常に大変だった*3というエピソードがファンブックのインタビューで語られている。
      • ただし、この「どこでもセーブが出来る」事で、後述の詰みも発生してしまったが・・・。
  • 良質なオープニングアニメ。しかも男性バージョンと女性バージョンの2種類があり、ボーカルと曲調、アニメに登場するキャラがそれぞれ違う。
    • 曲自体は同じながら、男性Verは力強く格好良く、女性Verは儚くも美しくと、雰囲気もそれぞれ全く違うのも特徴。
      • 因みに女性Verは地味に一部キャラのネタバレをしていたりする。
    • OP自体は3種類ある。3種類目は止め絵と文字で作られた歌なしバージョン*4
    • 主題歌そのものも特定のボス戦などでアレンジ版が流れたり、ラスボス曲のイントロに組み込まれていたりと作中でも盛り上げに一役買っている。
  • オマケの豊富さ。隠しダンジョンやカードのコレクションなど。
    • 条件を満たすと入れるようになる隠しダンジョンは、以降のシリーズでも恒例化する。但し、お馴染みのダンジョンレディは本作ではまだ未登場。
      • 本編中に登場するとあるダンジョンも、クリア後には構造が変わって新たなダンジョンと化す。
    • カードコレクションは後に『IV』にも再び採用された。

賛否両論点

周回要素

  • RPGにギャルゲー要素を加え、個別EDがある事自体の評価は良いが、周回の不便さが足を引っ張っている。
    • システムデータがない上、イベントの発生時期の都合上誰かを攻略すると他のキャラの攻略がほぼ不可能になるためデータの使い回しもできない。
    • ラストダンジョン突入前にキャラの好感度を大きく上げられるイベントがあるが、エンディング選択に有用とは言い難い。
    • そもそもシナリオが長いので2~3周ならともかく、5~6周しようとすると非常に時間がかかる。
  • 次周のプレイに入っても装備やアイテム、レベルなどを一切引き継げない。
    • 尤も、データ引継ぎ時には非常に強力な強化アイテムがあるので、プレイ自体はサクサク進む。この強化アイテムにより、1周目では逃げたり負けたりするしかできなかった敵の撃破なども可能。
    • ただ、苦労して手に入れた装備品などが引き継がれないのは残念である。
  • これらのシステムは次回作以降は改善され、一回のプレイで複数のEDに到達が可能となったり、周回プレイに前のプレイのデータがある程度引き継がれるようになった。

問題点

戦闘システム

  • 初作である為、後続のシリーズ作と比べるとどうしても粗が目立ってしまう。
    • この時代のRPGではよくある事ではあるが、攻撃モーションの遅さなど戦闘のテンポが少々悪い。
      • もっとも上述のカット機能があるので、サクサク進めたい時は省略可能。
  • 戦闘中の移動システムが不便。
    • RTSのようにキャラ単位で移動先を指定するのだが、目的地の一点のみしか指定できない。
      • その為、目的地との間に障害物がある場合、直接目的地を指定すると壁等に引っかかって移動に手間取ってしまう事も多い。
      • 移動させる場合だけでなく、攻撃指定時にも同様の現象が起きる。
    • 引っかかりを防ぎたい場合は、直線行動単位で逐一指示を出す必要がある。
      • 次回作以降は目的地までの経由地点を3箇所まで指定可能になり、かなり遊びやすくなっている。

スキルポイントの不便さ

  • パーティにいないキャラもゲームの進行や経験値によってレベルアップしていくのだが、 パーティにいないキャラには勝手にスキルポイントが振られてしまう
    • ある程度キャラの方向性はあるものの満遍なくスキルポイントを割り振られてしまうので、優先的に覚えさせたいスキルの習得が遅れてしまう。
      • また、魔法系キャラの肉弾戦スキルやあまり使い道の無い「毒攻撃」系*5へのポイント使用ははっきり言って邪魔。
    • その為、お気に入りキャラはパーティに入れて育成する事をオススメする。
    • 後の『III』ではスキルポイントをかなり高い値まで貯蓄できるようになった。

メンバー編成の不自由さ

  • 戦闘メンバーは5人だが内3人は固定。実質2人しかパーティ編成できない。
    • 固定枠は自由育成できる近接武装の主人公*6、中距離戦士「ウォレス」、魔術師「ルイセ」なので、一応ゲームバランス的には良好。また、ほとんどのメンバーに近距離用武器と遠距離用武器が用意されているので装備による自由度は高い。
    • しかしパーティメンバーに応じてイベントや会話内容が変わったり、休暇やエンディングの種類も豊富なので、周回プレイで多くを見たい場合には不便である。

詰むポイントでセーブできてしまう

  • 移動魔法「テレポート」でしか移動できない状況で、使用者のMPが足らなくてもセーブ出来てしまう。セーブすると完全に詰み。
    • そのイベントの直前に「回復のチャンスがないかもしれないのでMPは残せ」と注意自体はされるが、MPを残せなかった場合の救済は一切ない。
    • 確かに忠告後にMPを回復させておけば、MPを無駄使いしたり無駄な戦闘を繰り返したりしなければまずMPは足りる。しかし、万が一の際の救済が無いのは流石に厳しい。

全体的に立ち絵が少ない

  • ストーリーに絡むキャラが多い割には立ち絵(バストアップ)が不足しており、ストーリーの根幹に関わるような重要キャラでさえ立ち絵が無い事が多い。
    • その割に出番が少ないやられ役にもあったりするので基準が分からない。
  • この反省か、次回作以降はメインストーリーに絡むキャラの殆どに立ち絵が用意されている。

その他の問題

  • パッケージの問題
    • 「この文章はアタリです。」という構成段階の文章が残ったままの上に、そのせいでゲームの売り文句の説明が途中で途切れてしまっている。
      • 今でこそ良作評価だが発売直後はこれが原因で「パッケージすらまともに作れない地雷なのでは?」と警戒された。
      • 廉価版では「この文章はアタリです。」が無くなり、説明は最後まで書かれている。
  • いくつか進行に影響するバグがある
    • 敵全滅コマンドとアイテムフルコンプコマンドが隠しコマンドとして存在する。攻略本にも載っておらず、正確にはバグというよりデバッグ用のコマンドの削除ミスだろう。このコマンドを使うと見られなくなるEDも存在する。
    • 廉価版では修正されたが、ラスボス第二形態と戦わずエンディングを迎えられるバグが存在する*7
  • オープニングテーマの音量が何故か異様に小さく、通常の音量で視聴すると微かにしか聴こえない。
    • その為、まともに歌の聴こえるOPムービーを見るにはその都度音量の調節が必要。そしてそのままタイトルに戻ると…。

総評

後続の作品と比べてシステム面での粗は多いものの、当時としては斬新な戦闘システムと、良く練られたストーリーと魅力的なキャラクター等でシリーズでも特に評価が高い作品の一つである。
初代PSにおける名作RPGの1つであると言える。


その後の展開

  • RPGとRTSの組み合わせで新境地を開いたシステムだが、まだ本作の時点では改良の余地が多く、続編で更に完成度を高めていく事になる。
    • しかし『II』は戦闘システムこそ継承しているが、他は別ジャンルと言ってもいいほど様変わりしており、『III』もある程度は回帰したがまだ独自色の強い部分があったため、2Dグローランサーにおけるシステムの完成形は、本作の作風を色濃く受け継いだ『IV』まで待つ事になる。
  • 2001年4月25日にデジキューブからWindows版が発売されていた。
  • 2007年6月7日に敵国であるバーンシュタインの1兵士を主人公にした携帯アプリ『グローランサー オルタナティブ』が配信された。
    • 原作の別視点として描かれた物語だが、途中からはオリジナル展開にシフトする。
    • 配信されたのは第1章のみだが2014年現在でも続きが配信されない所から察するに、続編の開発は止まってしまったようである。
  • 2009年には新キャラやストーリーの分岐が追加されたPSP版発売された。詳細は下記にて。

余談

  • 本作では主人公の名前は決められていない*8が、小説版では「ディラン」、続編の『II』では「カーマイン」の名前が与えられている。
    • 『II』以降は「カーマイン」がデフォルト名になっており、『IV』などの以降の作品や『カオス ウォーズ』にゲスト参戦した際も「カーマイン」として登場している。
      • 『I』プレイヤーへの配慮か、『II』でも名前が変更できる。『II』はシリーズで唯一主人公の名前が固定であるため、彼の名前のみが変更可能になっている。
      • 次回作以降では主人公のデフォルト名が設定されるようになった。
    • 『II』以降は仲間キャラの苗字が設定された為、本作のキャラでは『II』でも仲間になる『I』主人公とゼノス(及び、彼等の義妹であるルイセとカレン)のみフルネームが判明している。
  • 本作の死亡演出は血を吹き出して血溜まりの中に膝を突くor倒れるという、デフォルメされているとは言えなかなか過激な演出になっている。
    • 次回作以降は光になって消えていくというマイルドな表現になった。但し、立ち絵の流血までは無くなっていない。
    • また、吹き出しと漫符*9による感情表現、走りのモーションと言った次回作以降に受け継がれなかった要素も少なからず存在する。
  • 後の『IV』の妖精キャラ「使い魔」のうち「D-TP型」はティピに似たキャラになっており、声優も豊口女史がティピに続いて務めている(型番のTPも「ティピ」から)。
    • 主人公に蹴りを入れるような事は無く、殆どのキャラに敬語を使うなどキャラ的にはかなり異なる。豊口女史曰く、ティピよりも少しお姉さんというイメージだとか。
    • しかしファンディスク『新たなる伝説』ではキックを披露するというファンサービスがある。ご丁寧に技名も叫ぶ。
  • ザ・プレイステーションにて連載特集が組まれていたことがある。
    • 掲載されていたショートストーリーは後に刊行された書籍にも載せられた。また、続編の『II』のサブイベントでも読むことができる。
  • ゲームを放置しておくと加入しているパーティーメンバーに応じてショートトークが聞けるというオマケがある。
    • これは実際にはセレクトボタンを押すだけでいくらでも聞くことが可能となっている。
    • 上記のザ・プレでは何度も「ゲームを放っておくと会話が流れる」とは記載されていたのだが最後までセレクトボタンについて触れられることはなかった。もしかしてずっと知らないままだったのだろうか。
  • 女性ユーザーには「インペリアルナイツ」のオスカー、アーネスト、ジュリアンが好評だった。華があるからか。
  • 本当は続編の『II』にデータを引き継がせたかったのだが、権利関係の問題で見送られたそうである。

グローランサー(PSP)

【ぐろーらんさー】

ジャンル ノンストップドラマチックRPG

対応機種 PSP
発売元 アトラス
開発元 キャリアソフト
発売日 2009年5月14日
定価 5,800円
廉価版 UMD版:2010年6月3日/2,940円(税込)
DL版:2010年6月3日/2,310円(税込)
判定 良作
グローランサーシリーズリンク

概要(PSP版)

グローランサー1作目のPSPリメイク版。
原作では救われなかったキャラに救済のあるシナリオ分岐等が追加された他、不具合や不満点が解消されている。
…が、一部難点も。

変更点

システム全般

  • PSPの画面に合わせて表示範囲が横に広くなった
  • BGMやSE、CGの解像度等が全体的に向上した。
    • 新規BGMが追加され、音質も向上している。
    • SEは新規に作り直されている。
  • 会話ウィンドウが透けてバストアップCGが太もも辺りまで見えるようになった。
  • 文章の表示速度がかなり速くなった。
  • バグが修正された。
    • 純粋な不具合がなくなった他、便利な裏技コマンド等もなくなっている。
  • OP曲が変更され、ED曲が追加された。
    • OPムービー自体は使い回しで、BGMのみのバージョンはそのまま。
  • GLチップスのカードが全24枚から全40枚に増加
  • 歴代妖精がサブイベントで登場(声は無し)

戦闘システム

  • 「戦闘方針」が廃止され、原作のようにCPUに操作を任せる事ができなくなった。
    • シリーズ後作のような「突撃」のみになり、魔術師も殴りに行く。
  • ポイントの貯蓄限界が9→12に上がっている。貯蓄というには少ないが。

シナリオ関係

  • 新規ルート追加と、それに伴う新キャラの追加。
    • 新ルートでは原作で救われなかったあるキャラとのEDまで追加されている。
    • 一部既存のシーンでも声の録り直しや追加がある。
  • 好感度関係(個別EDに関係する)が分かりやすくなった。
    • 各キャラの好感度を教えてくれる占い師が追加。
    • キャラ絵の背景が好感度で色が変わるようになった。
    • 男性キャラの表情が1段階増えた。

評価点(PSP版)

  • 新規ルートの追加
    • やはり最大の変更点はこれ。新ヒロイン追加の他、救われなかったキャラの救済も行われている。
    • 反面、完全に「新キャラ用のルート」になっており、パーティメンバーも途中から完全に固定され、EDも新ルート用のEDのみ。
+ 新ルートでの救済キャラについて(ネタバレ有り)
  • 何とリシャールとのEDが追加されている。
    • 原作では救いのない最期を迎えた彼だが、新ルートではその鬱憤を晴らすかのような活躍も追加されている。
  • システム全般の品質向上。
    • 上記、変更点に記載されている通り。
  • 原作ではウインドウで隠されていたバストアップCGが見えるようになった。

問題点(PSP版)

  • 戦闘の操作をCPUに任せる事ができなくなった。
    • シリーズ後作同様「突撃」のみに変更されたのは仕様の統一とも取れるが、原作で出来ていた事が出来なくなったのはやはり辛い。
  • 戦闘中いきなり移動、詠唱の速度が上がる事がある。
  • インストール機能がない為、UMDの仕様上少々ロードが遅い。
    • その為、SEや音声の読み込みでもたつく事も。
  • 新録された音声が以前収録された物より音が高く、一部では音割れを起こしている。
  • 新キャラの一人だけ声の演技レベルが低い
    • 担当しているのは新OP・ED曲を歌う女優。「CDを売るためのダシに使われたのではないか?」とも言われており、担当キャラクターの行動と相まって度々批判の対象となってしまっている。
  • OP曲自体は男性OP、女性OPで二曲用意されたが、いずれもボーカルは同じ人物。
    • それ自体が悪い訳ではないが、オリジナルが男性ボーカルと女性ボーカルの二パターンあった事と、どちらもOPアニメに合っていた事を考えると、今回はどちらも女性ボーカルでアニメ自体は使い回しなので、女性OPはともかく男性OPはPS版に比べて違和感が強い。
    • 原作には無かったED曲も追加されたため、±0と考えるべきか。
  • 立ち絵の追加はレティシア姫というチョイ役のみ。
    • 序盤からストーリーに関わるフェザリアンの女王、主人公の出自に繋がる傭兵団長、魔法学院関係者、数度に渡って対峙する悪党などと、他に立ち絵があって然るべき重要キャラはいくらでも居るのだが、何故よりによって出番の殆ど無いこのキャラだけが選ばれたのだろうか…?やはり若い女子を優先したのか。
+ 新ルートにおける既存キャラについて(ネタバレ有り)
  • 新ルートでは追加キャラがラスボスとなっており、オリジナルのラスボスは途中で倒される形で退場する。
    • その役回りと言うのが、新ラスボスにあっさり計画を潰され、主人公達に助けられて投獄され、最後は主人公達を罠に嵌めようとして逃げた所を新ラスボスに殺されるという、原作での威厳も恐ろしさもどこへやらの情けないもの。しかも新ルートだと設定が若干ショボく変更されている。
  • 他にも原作では生き残ったキャラが死亡したり、原作の強大な敵が量産されてやられ役になったり*10と、新ルートでは新キャラの引き立て役になっていたり蔑ろにされている既存キャラも何人か。リシャールは躍進を遂げたが、他の扱いはあまり良くない。
    • 加えて新ルート自体が原作には無かった存在の干渉によって、本来のストーリーが途中から全く別の流れに改変されるという内容であるため、原作のストーリーに思い入れの深い人は眉を顰めるかもしれない。上述した通り、キャラED的にもストーリー的にも新ルートはあくまで「新キャラ用のルート」である。
      + 更にネタバレ
    • その存在とは、「死の世界」と呼ばれている人類の故郷からの使者。「死の世界」は過去を描く『III』の舞台であり、『III』のエンディングにて救われている。
    • この新ルートはその設定を踏まえたものなのだが、それを『I』作中で明かしてしまうと、『I』のオリジナルの物語が茶番だったという見方も出来てしまう。一応、世界を滅ぼす別の要因についての設定が追加されているが、やはりオリジナルの展開が蔑ろにされて見える点は否定できない。
    • この反省なのか、後に発売された『IV』リメイク版では新ルートは元のシナリオを尊重・拡張した上で別の展開に持って行く形になった。新キャラは目立ち過ぎず引っ込み過ぎず程よく存在感を示し、既存キャラも全体的に見せ場を増やす作りになっている。ラスボス交代も無く、新ルートではオリジナルのラスボスがパワーアップする展開が用意された。

総評(PSP版)

基本的にはルート追加や全体的なブラッシュアップが施されたバージョンアップ版。
持ち運んでどこでも遊べる利点もあり、今グローランサーを遊ぶならこちらがオススメ。
原作発売から10年も経っているので、原作ファンが久しぶりに遊ぶのにも向いている。
ただし原作をやり込んだプレイヤーには気になる部分も無い訳ではなく、
特にパーティメンバーの操作をCPUに任せていた人にとっては痛すぎる仕様変更がなされているので、その点は注意。


余談(PSP版)

  • 新ルートは「闇落としルート」とも言う。
    • その為、発表当初は「光にも闇にもなると言われつつ、原作では光にしかならなかった主人公が闇に落ちるルートではないか」と予想された事もあった。
    • だが実際の「闇落とし」とは新ラスボスが行おうとしている悪行の事であって、主人公が闇落ちする訳ではない。