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ドラゴンボールZ 超武闘伝 - (2018/05/15 (火) 07:20:12) の編集履歴(バックアップ)
ドラゴンボールZ 超武闘伝
【どらごんぼーるぜっと すーぱーぶとうでん】
ジャンル
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対戦格闘
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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16MbitROMカートリッジ
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発売元
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バンダイ
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開発元
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トーセ (プログラム、サウンド) D&D (デザインワーク)
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発売日
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1993年3月20日
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定価
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9,800円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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ドラゴンボール初の格闘ゲーム 良くも悪くも荒削り
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ドラゴンボールゲームリンク
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概要
人気アニメ『ドラゴンボールZ』の対戦格闘ゲーム。
原作さながらのスピード感溢れるファイト、地上戦と空中戦の応酬、そして光弾の撃ち合いを格闘ゲームで再現した作品。
それまではRPGが多かったドラゴンボールのゲームだったが、本作を境にRPGではなく格闘ゲームが作られる事が多くなり、ドラゴンボールのゲームに大きな影響を与えた作品と言える。
ストーリー及び登場キャラクターは、マジュニア編からセルゲームまでをカバーしている。
特徴
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ボタン一つで割り当てられたアクションの数々
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Aボタンでエネルギー弾の発射、当時は必殺技に当てられる事の多い飛び道具をボタン一つで行える事は珍しかった。
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Xボタンで舞空術で上空マップへ。既に上にいる場合は地上へ。高度を変えて敵のエネルギー弾を回避する事が出来るが、上空では下段ガードが不可能になるといったデメリットも発生する。
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互いに距離が近すぎる場合は舞空術で移動する事は出来ない。なのでエネルギー弾で牽制しつつ、積極的に距離を詰めて接近戦を挑む事が重要である。
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L・Rで素早く左右にダッシュを行い、相手との距離を素早く離す(詰める)事が可能。
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デュアルスクリーン
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キャラ同士がある程度離れると、画面の真ん中に線が入り、画面が2分割される。これによって広大なフィールドを表現し、距離によってはデモ技が使用可能になる、
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キャラがフィールドのどの辺りにいるかは画面上部のレーダーに表示されるが、人造人間の場合は気がないので表示されないといった原作再現ポイントも。
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デモ必殺技
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ある程度の距離が離れた所でコマンドを入れる事によって「かめはめ波」「魔貫光殺砲」といったデモ必殺技を放つ事が可能。
防御側は必殺技が届くまでにコマンドを入れる事で「防御」「跳ね返す」「避ける」「かき消す」と言った防御手段を取ることが可能。
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気の表現
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ライフゲージの他にパワーゲージがあり、光弾系の必殺技はパワーゲージを消費して使用する。ゲージがない状態でエネルギー弾を撃とうとすると、ポーズは取れるものの弾が飛ばずパッと消えてしまう。
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本作ではパワーゲージが足りない場合は技を撃てない。パワーは時間経過で増加する他、敵の攻撃を受ける事で減り、逆にガードする事で溜まる。
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最大になると身体が光り、攻撃力が大幅に上がるが、一定時間経過後に大量のパワーを消耗する。本作のみの要素である。原作に当てはめると、界王拳のように「気を練って一時的にパワーアップした」という状態になるだろうか。
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キャラクターのボイス
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キャラクターはアニメ同様のボイスが当てられ、とにかくよく喋る。電源をつけた時から真っ暗な画面に「オッス!オラ悟空!いっちょやってみっか!」と非常にクリアなボイスが流れる。
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本作は非常にボイスに力が入れられており、悟空の「かめはめ波!」から始まりピッコロ「むぁかんくぉうさっぽぉぉう!!」、セル「ブゥエェェーー!」、20号「今だァァーーーッ」と声優の力演怪演が余す事なく再現されている。
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ストーリー上でセルゲームでピッコロを使用して敗北した時に悟飯が「ピッコロさーーん!」と叫んだり、コンティニュー時の、18号「続きやんの?そうこなくっちゃ」といった印象的な使われ方をしている。
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当時のロムカセットは容量の関係でボイスデータの扱いが得意ではない為、こういった多数のボイスを用いるゲームは少ない。あっても叫び声や決め台詞程度が多かった。
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メテオスマッシュ
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悟空のみが使用できる隠し技。敵を上空に蹴りあげて叩き落とし、エルボーで吹っ飛ばす、本作の演出をフルに使ったド派手な必殺技。これが好評となって後のシリーズも全員に同じような技が搭載され、「メテオ技」という言葉が生まれた。
モード
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ストーリー
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原作通りの順番で次々とCPUと戦うモード。対戦の合間には文字のみで簡潔にストーリーが語られ、自分が操作するキャラを数人の中から選ぶ事が出来る。
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難易度がやさしい場合は「16号」を倒した時点で終了。高難易度にする事で「Pセル(完全体セル)」までストーリーを進めることが出来る。
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システムは単純な勝ち抜きだが、フリーザ戦以降に悟空が超サイヤ人になる、といった原作再現がなされている。
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敗北するとそのキャラは使用できなくなり全員が敗北するとコンティニュー画面へ(コンティニュー回数はオプションで0にしたり、無限にすることができる)。
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また、最高難易度で原作通りの組み合わせで全ての戦闘に勝利すると…。
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天下一武道会
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原作の天下一武道会さながらのトーナメント形式の対戦モード、最大8人まで参加可能。
プレイヤーが足りない場合はCPUに担当してもらう事も可能。
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対戦
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CPUあるいは2Pと対戦するモード。
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単純な対戦ではなく、ライフ、パワー、攻撃力の高さといったハンデを加える事が出来る。
評価点
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ドラゴンボールらしさを対戦格闘で再現したこと。
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ボタン一つでエネルギー弾、舞空術、デュアルスクリーンやデモ技といった後のシリーズの基となった独自のシステムや演出は本作で一通り完成されている。当時、流行していた『スト2』等の対戦格闘の模写ではなく、独自のシステムでドラゴンボールらしい格闘を表現する事に成功したといえる。
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舞空術を繰り返して追跡エネルギー弾からひたすら逃げ続けるだけでも、「らしさ」がにじみ出ている。
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バトル中のオプションで各キャラの技表が見れると言った親切な設計
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スローモーションといったお遊び的なオプションもあり、同キャラ対戦や、隠しキャラ、各キャラの隠し技といった裏技が非常に多く用意されている。
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後のシリーズでも何らかのお遊び要素を含むことが多くなり、裏ワザのコマンドも本作の物に近いものが採用されるなど影響を与えた。
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ドラゴンボールらしい演出
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ピッコロがデモ技の防御に失敗した際に、負傷した腕をもぎ取って再生するアクションが入ったり、20号にかめはめ波等のエネルギー波を撃っても吸収されて回復されるなど、随所にドラゴンボールらしい演出が入っている。
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ストーリーの範囲が広くキャラクターも多め
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続編の2作ではストーリーの範囲が狭く、登場キャラクターも超サイヤ人に偏りがちになっているが
本作はマジュニア戦からセルゲームまでの間の登場キャラが敵味方共にバランスよくチョイスされている。
武闘伝の3作品で、超サイヤ人になる前の悟空やベジータを使用できるのは本作のみ。
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また美形キャラで人気のある人造人間17号ではなく16号をチョイスしたというシブいキャラ選も見事。さらには原作再現でセルゲームでは味方として使用する事が出来るので設定が十二分に生かされている。
問題点
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動きが全体的に固い。
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パンチ、キック、ジャンプにそれぞれ硬直が多くスムーズな動きとは言いづらい。また、キー入力から反応までもかなりのウェイトがかかる。
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必殺技のコマンドの入力受付がやたらとシビアで、操作に慣れないうちはろくに技を繰り出すことができない。
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特にデモ技で顕著。コマンド入力のタイミングに変なクセがあり、正しく入力したつもりでもエネルギー弾しか出なかったりする。
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ジャンプの軌道も不自然で斜め上に向かって浮かび上がる
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とび蹴りを当てた時もそのまま相手が吹っ飛ぶだけでヒットした爽快感などは殆ど無い。
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FC時代のカードバトルRPGでのアニメ演出に比べても、明らかにモッサリ。
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防御側優遇に伴うデモ技の不遇
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デモ技を放っても「跳ね返す」を行われると高確率でノーダメージでこちらに返ってくる。その為、パワーを無駄に消費するだけの魅せ技になりがち。
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防御コマンドも簡単なものばかりなので、相手をフラフラにした状態で撃たなければまず使い物にならない。
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「避ける」「防御」と効果が似通ったものがあったり、キャラによっては実装されていない物もあり、まだまだ洗練されていない。
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コマンド入力が成功すればノーリスクノーダメージでデモ技を跳ね返すことができる「跳ね返す」は流石に壊れ性能と言わざるを得なく、次回作では削除された。
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18号、20号に至っては「上+A」という至極簡単なコマンドで「吸収」及び「バリア」でノーリスクで完全無効化(回復)されてしまう。
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原作再現の演出としては秀逸だが、接近戦の出来が良くないため、この2キャラと戦う時は必然的に接近戦のみとなり、退屈な展開になりがち。
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また同じ画面内に相手がいる場合は使用できない上気の消費も大きいため、相手から逃げつつ気を溜めて…というチキンな戦法になりやすい。
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デモ必殺技をぶっぱで撃つとハイリスク・ローリターンで使いづらく、気絶させるなどで対処法を奪ってから使うのがセオリーだというのはシリーズに共通した調整。ただ今作は防御側があまりにも有利すぎ、リスク覚悟でぶっ放す選択肢が事実上存在しない。
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一部のアクションが存在しない
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一般的な格ゲーにある「投げ」が存在せず、画面端に追い詰められると中々抜け出せない事も多い。
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パワーを自分で溜めるには空に飛んで下を押すといった裏ワザ的な事をしなければならない。その際のがに股で気張っているポーズが格好悪く、ドラゴンボールらしさが感じられない。
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ボイスに力が入りすぎた為に違和感を感じる部分がある
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少し殴られただけで「ウギャアァァーーッ!!」と絶叫したり、16号の「デュワァー」「のわぁぁ」等、アニメと比べても違和感のある声もちらほら。
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18号に至っては文章にするのも不可能な悲鳴を上げる。
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「界王拳」や「元気玉」と言った一部のボイスは同キャラ対戦又はサウンドOFFのいずれか(条件はボイスによって違う)の状態でしか再生されない。
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シチュエーションもデモ必殺技で勝った瞬間に「…やった!」と喜ぶフリーザ、ガードする度に「ウワウワウワ~」と唸る16号とバリエーションも豊か。
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お遊び要素なのかもしれないが、裏技を使わないと同キャラ対戦が行えないためもったいない。
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対戦には向かないバランス
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突進技をガードすると異様にライフが削られる。
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Pセルのパーフェクトアタックが猛威をふるい、出せばほとんどの攻撃を打ち消し、ガードしようがライフゲージを一度に半分近く奪うというぶっ壊れた性能。
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故に、友達との対戦で多用するとリアルファイトになりやすかった。また、CPUのセルもこちらを画面端に追い詰めて平気でパーフェクトアタックでハメてくる為、強いというよりは汚さばかりが目立つ。
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ストーリーモードのラスボス相応の壊れ性能で、対戦で使うのはあくまでも裏技なので仕方のない面もあるにはある。ただし、対戦ツールとしてはどうしても同キャラ対戦の解放が必須で、キャラの人選的にも隠しキャラを解放して遊びたくなるため、隠しキャラ利用が前提の対戦ツールとなってしまい、壊れ性能が目立ってしまう結果となってしまった。
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主人公の悟空の「メテオスマッシュ」もガード不能である為、起き上がりざまに放てば相手はなすすべもなく詰む。主人公なので意図的に強く設定したのかもしれないが、対戦ではバランスブレイカー。
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キャラの絵が全体的に太っていて、同時期の格闘ゲームに比べると表示がやや小さい
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大きさに関しては上記の広いフィールドを表現するためかもしれないが、造形自体は…。
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ベジータと超ベジータの技が同じ
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悟空は超サイヤ人になる事で元気玉が使えなくなるといった変化が見られるが、ベジータは超サイヤ人になっても技が変わらず、能力が上がっただけのわずかな変更にとどまっている。
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サイヤ人編の時点で、「ファイナルフラッシュ」や「ビッグバンアタック」といった超サイヤ人の技を使って来るので違和感を感じるところ、ギャリック砲等、使用出来る技はあったはずだが…
総評
ドラゴンボールの格闘ゲーム、アニメ同様のボイスで一世を風靡したものの、粗はかなり多い。
対戦バランスもとても格闘ゲームとして成立しているとは言いがたい出来ではあるが、
どちらかと言えば色々なキャラクターが出るお祭りゲームの雰囲気が見られる。
しかし、上記の問題点の多くは早くも続編である『ドラゴンボールZ 超武闘伝2』で改善されており、
よりゲームとして洗練され、ドラゴンボールらしさも増した結果、名作として申し分ない出来になった。
余談
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隠しコマンドについて
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一応公式では正式な隠しコマンドの入力方法が存在するが、実はコントローラを適当にガチャガチャ動かしても入力が成功してしまう。
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どうやら受付時間内にどのキーとボタンが押されたかのみで条件が判別されているようで、入力する順番は関係なかったりする。
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本作よりゲームでも悟空、悟飯等の声を担当した野沢雅子氏は、2016年10月25日(『ドラゴンボール ゼノバース2』)までの23年218日をもって、「ひとつのビデオゲームのキャラクターを最も長い期間演じた声優」と「ビデオゲームの声優として活動した最も長い期間」の2項目でギネス世界記録に認定されている。