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ウルトラ警備隊 空想特撮ゲーム - (2016/12/01 (木) 21:21:26) の編集履歴(バックアップ)
ウルトラ警備隊 空想特撮ゲーム
【うるとらけいびたい くうそうとくさつげーむ】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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アーケード
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発売元
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バンプレスト
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開発元
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セタ
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稼働開始日
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1996年
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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良作
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ウルトラマンゲームリンク
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概要
ウルトラシリーズ30周年を記念して制作された、ウルトラシリーズとのタイアップ作品としては異色のシューティング作品。
しかも本作の主役はウルトラ戦士ではなく、初代『ウルトラマン』から『ウルトラマン80』までの時代に活躍した防衛隊である。
彼らが有する対怪獣用戦闘機を自機として操作し、全7ステージの攻略を目指す。
内容
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内容は1レバー3ボタン式の縦スクロールシューティングゲームである。1ボタンがショット、2ボタンが機雷、3ボタンがウルトラボムとなっている。
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ショットはセミオート式になっていて、ボタンを押すと一定時間発射し続けるが、しばらくすると途切れる。そのため連射を続けるには定期的にボタンを押す必要がある。
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機雷はボタンを押した際に入力していたレバーの方向に向かって発射され、一定時間その場に浮遊する。同時に最大8発まで発射可能で、時間の経過もしくは敵との接触で消滅する。威力はかなり強烈。
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本作はこの機雷の使い方が鍵となる。敵の登場する場所にあらかじめ設置しておく、当たり判定の無い敵に重なりショットと機雷を連打して瞬殺するといった活用法がある。
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ボムを発動すると自機に対応したウルトラマンが駆けつけて援護攻撃を行う。発動はウルトラマンの登場シーンから始まり、ウルトラマンが画面外に飛び去るまで自機は無敵状態となる。
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自機はアイテムキャリアーを倒すと落とすアイテムを取ることでパワーアップする。
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アイテム一覧
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P:ショットをパワーアップする。最大16段階。なお、隠し要素として、ショットを限界まで強化した状態ででPアイテムを獲得すると、自機の左右からサイドショットが発射されるようになる。
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ただし限界まで強化した場合Pアイテムが出現しなくなるうえ、サイドショットは2段階強化できる。そのためサイドショットを獲得したい場合は、限界一歩手前の段階でPアイテムを2つ以上出現させておく必要がある。
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M:追尾ミサイルを発射できるようになる。獲得するごとに発射される数が増加し、最大で6発まで同時に発射できるようになる。
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B:ウルトラボムの残弾が1発分追加される。ストックは最大9発まで。
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?:フルパワーアップ。ショット(サイドショット含む)及びミサイルが一気に限界まで強化される。ただしコンティニュー時など、極めて限られた状況下でしか出現しない。
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正八面体:(獲得時の得点の100の位の数+1)×1000点のボーナス点がもらえる。100の位の数が9のときは9000点のボーナスとなる。
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自機紹介
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ジェットビートル(ウルトラマン)
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「科学特捜隊(科特隊)」の戦闘機。攻撃力は低いものの、移動速度は全機体中最速である。
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ウルトラボムは画面広範囲にスペシウム光線を発射する「スペシウム光線」。持続時間は比較的長い。
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ウルトラホーク1号(ウルトラセブン)
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「地球防衛軍極東支部 ウルトラ警備隊」、通称「ウルトラ警備隊」の戦闘機。ショットの攻撃範囲が広い。
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ウルトラボムはウルトラセブンがアイスラッガーを投げて画面広範囲を攻撃する「アイスラッガー」。
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マットアロー1号(帰ってきたウルトラマン)
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「MAT(Monster Attack Team)」の戦闘機。ショットのレベルが上がるごとに攻撃力が増す。
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ウルトラボムは「ウルトラスラッシュ(八つ裂き光輪)」。攻撃範囲は狭いが威力が高い。
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タックスペース(ウルトラマンエース)
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「TAC(Terrible-monster Attacking Crew)」の戦闘機。ショットのレベルが上がるごとに攻撃範囲が拡大する。
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ウルトラボムは「バーチカルギロチン」。ウルトラマンジャックのウルトラスラッシュ同様、攻撃範囲は狭いが威力は高い。
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コンドル1号(ウルトラマンタロウ)
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地球防衛隊「ZAT」の戦闘機。『ウルトラマンタロウ』の防衛隊。移動速度は若干遅いが、ショットの攻撃範囲は全機体中ナンバーワン。
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ウルトラボムはタロウが画面広範囲薙ぎ払う「ストリウム光線」。発射の前には「溜め」の動作があるため即効性には欠けるが、その分無敵時間が長いため使い勝手はいい。
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マッキー3号(ウルトラマンレオ)
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「MAC(Monster Attacking Crew)」の戦闘機。ショットのレベルが上がるごとに攻撃力が増す。
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ウルトラボムは前方を攻撃する「レオ全身発光」。
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シルバーガル(ウルトラマン80)
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「UGM(Utility Government Members)」の戦闘機。移動速度は最低だが、ショットを強化すれば貫通レーザーを発射できるようになる。その攻撃力は間違いなく全機体中トップクラス。
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ウルトラボムは「ウルトラスパイラルビーム」。ウルトラマン80が正面にウルトラスパイラルビームを発射して攻撃する。
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ステージは難易度順に日本(ウルトラマン)・アメリカ(セブン)・ヨーロッパ(ジャック)・中国(エース)・上空(タロウ)・宇宙(レオ)・月面(80)となっており、最初の4ステージは任意で選択可能。
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自機が撃墜された時、ランダムでウルトラの父が現れることがある。現れた際はウルトラアレイで画面全体を攻撃し去っていく。ウルトラの父の攻撃中も自機は完全無敵状態。
評価点
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おなじみの怪獣・宇宙人達
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登場する敵は全て歴代ウルトラシリーズに登場した怪獣・宇宙人・宇宙船である。ウルトラシリーズのファンならば戦いながら「あ、お前は!!」となること必至だろう。
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人気怪獣だけでなく、マイナーどころやマニアでも「これ誰?」な怪獣・宇宙船も登場する。もし全ての怪獣・宇宙人・宇宙船を知っているのであれば、堂々とウルトラ博士を自称しても許されるレベルである。
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登場する怪獣の中には、多くの視聴者にトラウマを植え付けた「ウルトラマンレオの『円盤生物』」も存在する。マッキー3号を選択すれば「円盤生物を相手にMACが逆襲をかける」というifを思わせる構図を作り上げることも可能。これはこれで中々に楽しい。
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ウルトラボムの存在
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ウルトラマンのゲームである以上ウルトラマンが登場するのは当然の事だが、前述の通り主役ではなくプレイヤーをサポートする味方としての登場である。これによりウルトラマンの「ギリギリまでがんばって、それでもどうにもならない時に現れ助けてくれる」というヒーローとしての存在感が一層際立つようになっている。
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ゲームの構成が「自分がウルトラマンとなって防衛隊を助ける」ではなく「防衛隊となった自分をウルトラマンが助けてくれる」となっている為、あたかも本当に防衛隊員になったような気分を味わえる。ファンアイテムの要素としても、ウルトラボムというシステムは非常に優れたものだと評価できるだろう。
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この設定により本作では他のウルトラマンゲームにありがちな「ウルトラマンの敗北」は絶対に存在しない。
怪獣を倒し切らずに帰っちゃうって事だけどね。
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使用されているBGM
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それぞれのステージで使用されているBGMは歴代ウルトラシリーズの主題歌。ウルトラマンシリーズのゲームとして、実に分かっているチョイスである。
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宇宙ステージのBGMは原作で1クール目のみに使用された主題歌「ウルトラマンレオ」。
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前半の4ステージではボス戦BGMとして「ワンダバ」こと「TACの歌」のアレンジバージョンが使用されている。こちらも聴いているだけで気分が盛り上がる曲の為ボス戦のBGMとしてはぴったりである。
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コンティニューが容易
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ゲームオーバー後にコンティニューした際はその場からの復帰となる。
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コンティニューからの復帰時には、確実にウルトラの父が現れて画面の敵を一掃する。その為復帰は他のSTGと比較しても容易な方。
問題点
後半の難易度が高い
最初の3面は当時のシューティングゲームと比してもそこそこの難易度であるが、4面以降の難易度はかなり高め。初心者はクリアに数回程のコンティニューを強いられるかもしれない。
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敵弾が1面からかなり速めで、4面以降は敵にもよるが高速の自機狙い弾を撃ってくる。また、背景によってはかなり視認が難しい。
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連射装置の有無で難易度がかなり変わってくる。というのも密着時やウルトラボム使用時に敵に重なってショット&機雷連射する際に、連射装置の有無で総ダメージ量が激変するため。ただし、攻略に必須と言えるほどではなく、手連射でもノーコンティニュークリアは十分狙える。
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攻略に運の要素がかなり絡む
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このゲームではアイテムを出現させるのに「アイテムキャリアー」という敵を倒さないといけないのだが、このアイテムキャリアーが妙に強い。というのも自機をめがけて3way弾で攻撃してくるうえに、出現タイミングが不規則。7面の狭い通路を潜り抜けていく時に出現したり(しかも敵弾は壁を貫通する)、さらにはアイテムキャリアーがボス戦中でもお構いなく出現する。
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エクステンドが難しい。エクステンド手段はアイテムキャリアーが極稀に落とす1UPアイテムを獲得する事のみ。さらに初期残機数も少な目(設定でも変えられない)。本作においては可能な限りノーミスで進むことを心がけ、「エクステンドできれば儲けもの」位に考えないといけない。
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ウルトラボムも1機につき3発で、ボムアイテムも希少かつ出現タイミングがランダムのため乱発不可能。
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後半のうち、ステージ5(上空ステージ)とステージ7(月面ステージ)はかなりの難関。
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ステージ5はボスのゲランが「作中最強のボス」として名高い。画面中央に居座って頭を振り回し、時々頭突きで時機を攻撃するのだが、頭突きが高速で見切りづらく、攻撃タイミングを事前に予習していないとほぼ確実に直撃する。さらに弱点は頭しかないためダメージを与えにくい。
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なお、ウルトラシリーズのファンからは「なぜゲランが上空ステージのボスなのか?」という疑問の声も挙がっている。
そもそもバードンやタイラント、テンペラー星人といった人気・実力ともにボス敵に相応しい怪獣達を押しのけてなぜマイナーなゲランが選ばれたのか。しかもゲランは「地底1万メートルで冬眠していた地底怪獣」である。飛行能力があるとは明言されておらず、本編でも飛行はしていなかったので飛べるとは考えにくい。
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ステージ7は道中に難所が多く、STG上級者ですらウルトラボム連発によるゴリ押しを強いられる。しかも道中自体が長い。
特に道中の左右両側からドリルが伸びてくるエリアと、ビームによって進路が阻まれるエリアはどちらも「移動できる範囲が限られる」「障害物が自機のショットを阻むため奥から現れる敵の対処が難しい」「障害物に触れるとミス」という三重苦。
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自機の性能差が大きい
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具体的に不遇機体を挙げるとするならば、マットアロー1号とマッキー3号がその筆頭であろう。
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どう不遇なのかというと「特徴らしい特徴が無い」この一点に尽きる。紹介項目で「ショットのレベルが上がるごとに攻撃力が増す。」と書いたが、本当にこんな当たり前の事位しか取り立てて書けるような特徴が無いのである。
ファンの中にはこれらの作品に思い入れのある人もいそうなものだが、この扱いはあんまりと言う他無い。
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名誉のために付言すると、どうしようもないほど扱いにくいという訳ではない。しかし他の機体と比較するとどうしても見劣りしてしまう。
賛否両論点
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原作無視の点
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グラフィック・BGM、ゲーム性など、トータルで見れば本作の原作再現度は高い方である。しかし、一部に「さすがにこれはどうだろう」という原作無視要素も。
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ウルトラセブンとウルトラマンレオの声がウルトラマンジャックの声に変わっている。また、中国ステージのボスであるバキシムの声がレッドキングの鳴き声になっている。
攻略上問題がある訳ではないのだが、原作ファンがプレイするとかなり違和感がある。ウルトラマンのファン向けゲームとしてこれはどうなのか。
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登場怪獣の選定に若干の問題がある
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ギエロン星獣やウー、ジャミラといった「倒すのにためらいのある怪獣」が何体か出現する。中ボス扱いのギエロン星獣はまだいいにしても、ウーやジャミラはあろうことか雑魚敵として大量出現する。
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なお、本作以前に発売されたウルトラマン (SFC)やウルトラセブンではそういった悲劇性も再現されている。
もっとも、原作再現に重きをおいた上記2作と異なり今作はお祭りゲー的な雰囲気もあったので、設定が無視されがちだったのではないだろうか?
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ミスターファイヤーヘッドことゾフィーの出番が無い
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地球に常駐していないという設定や、昭和二期(『A』以降)のTV作品においては扱いも戦績も最悪だったと言うのが理由だろうが、仮にも宇宙警備隊最強の戦士、流石に何かしらの出番があってもよかったのではなかろうか。
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それこそM87光線という必殺技もあるのだから、状況に応じてウルトラの父の代わりに駆けつける…といった活躍もできない訳ではないだろうに。
総評
「細かい点で原作との相違が見られる」「自機の性能に大きな差がある」など原作ファンにとっては見逃せない点が目立つのも事実ではあるが、一方で「シンプルイズベストなゲーム性」「美麗なグラフィックと高めの原作再現度がもたらす集客性の高さ」といった良点も多く、シューターだけでなくサラリーマンなど幅広い層がこぞってプレイしていた佳作シューティング。
ウルトラマンのゲームといえば格闘やアクションというイメージが強いだけに、本作での「防衛軍の戦闘機を操作しウルトラマンと共に戦う」というアプローチは非常に斬新なものとして評価できるだろう。それを実現する為のウルトラボムも「ウルトラマンの魅力を表現する手段」と「STGとしてのシステム」を高いレベルで両立させたものとなっている。
こうしたアプローチが後の名作『ウルトラ警備隊 MONSTER ATTACK』『怪獣バスターズ』を生み出す土壌となったであろう事は想像に難くない。
ウルトラマンシリーズのゲーム作品の歴史において、本作が果たした役割は非常に大きいものだったと言えよう。
移植
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2016年10月現在においても、移植・アーカイブズ配信はなされていない。
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キャラゲー移植最大の壁である「版権」の問題のみならず、デベロッパーであるセタの制作した全ゲームの版権が、2007年にゲーム事業から撤退した親会社のユニバーサルエンターテイメント(旧・アルゼ)によって飼い殺しにされているという事情も大きい。
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難易度変更機能をつけた上で移植・配信を行えば「難易度の高さ」「クレジットの大量消費」といった問題点を解消可能と思われるだけに、ただただ残念でならない。