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ギャラクシーフォースII - (2018/10/06 (土) 06:05:36) の編集履歴(バックアップ)


ギャラクシーフォースII

【ぎゃらくしーふぉーす つー】

ジャンル 擬似3Dシューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 セガ・エンタープライゼス
稼働開始日 1988年
判定 良作
ポイント 驚異の350度回転ゲーム


概要

  • AM1研制作のYボード作品。自機後方視点の擬似3Dシューティングである。宇宙を舞台に様々な惑星を転戦していく。
    • 本作はアップライト筐体と、乗り込んで左右に回転する大型筐体。そして前後15度、左右335度回転する大型専用筐体の三種類があった。
    • 350度回転の大型筐体はプレイ前にオペレーター(ゲーセン店員)に手荷物を預ける必要があった。
    • Yボードは『アフターバーナー』などで使われたXボードのグレードアップ版で、非常に多く・また大きなスプライトを表示できる代わりにスプライト以外のグラフィックを表示できないという性能。
      • そんな基板で作られた本作はスプライトを重ねて表示させることによる擬似3D表現の最高峰と言えるグラフィックを作り出しており、スプライトのお化けなどと言われることも。
    • 前作『ギャラクシーフォース』(以下『I』と仮称)からROM交換によってコンバートされた新バージョンである。
      『I』は事実上の未完成版と見なされており、その稼働期間は二か月程度だったと言われる(同社の『アフターバーナーII』の時とほぼ同じ事情である)。

ストーリー

無限に広がる大宇宙。絶え間なく緑が広がり、満々たる水をたたえ、多くの生命が満ち溢れていた。ジュノスと呼ばれる恒星系にも、生命の喜びに湧く美しい星々が多く存在していた。その美しい恒星系に魔の手が伸びた。宇宙の悪魔と畏れられている「第四帝国」が侵略を開始してきたのである。殺戮と破壊を繰り返す「第四帝国」の勢力は、今や銀河全体にまで拡大し、強大なものとなりつつあった。「第四帝国」の狙いは、ジュノス恒星系の全惑星に要塞を設置し、ジュノス全体を巨大な魔窟と化すことだった。宇宙の平和を願い、各恒星系が連合して結成された銀河連邦は、いち早く「第四帝国」の真の目的を察知し、ジュノス恒星系の人々の救出と「第四帝国」の殲滅のため最強の戦闘集団「GALAXY FORCE」を組織させた。そして今、「第四帝国」の野望を阻止すべく、ジュノス恒星系に向け「GALAXY FORCE」の最新鋭戦闘機「TRY-Z」が発進するのだった…。


システム

  • 典型的な擬似3Dシューティング。完全な背後視点。画面中央に自機があり、ジョイスティックを操作して上下左右縦横無尽に移動する。基本的には自動で前進しているが、スロットルレバーで速度を調節できる。
    • ジョイスティックには攻撃ボタンがあり、自機前方に発射する機銃と敵を追尾するミサイルの二種類がある。ミサイルの弾数は無限で、同時ロックオンは4発まで。またステージ中に支援機と接触すると、同時発射数が一時的に増える。
  • いわば時間制とも言える作り。エネルギーがあり、ゼロになるとゲームオーバー。このエネルギー、時間経過で減少して行く。被弾や地形の激突で大幅に減少する。
    • ステージ終了時と、一部のステージ中のチェックポイントで、倒した敵の数に応じてエネルギーが回復、プレイ時間を延長できる。
    • 自機にはシールドが張られており、ダメージを減少させる効果があるが、何発か攻撃を受けるとシールドが壊れてしまい、そのクレジットでプレイしている間は復活しない。
  • 全6ステージ*1
    • 1~5ステージのいずれからも開始が可能。クリア後は自動的に次の面へ回る。全5ステージクリアの後に最終ステージへ進行する。
    • ボスのようなものは存在しないが、ステージ最後に敵基地中枢があるためそこでも攻撃推奨。ポイントに大差が生じる。

評価点

  • 大型筐体の体感性を十分生かす構成。
    • ほぼ全てのステージで、自由に動ける空や宇宙と、要塞(惑星によっては洞窟を利用したものもある)などの隘路が、交互に組み込まれた構成になっている。大きく曲がりくねった隘路も多く、機体の旋回を堪能できる。
      • 洞窟では、左右に旋回する必要が出ると警告アナウンスが入る。
    • 各ステージはコンセプトがよく出ており、単調感はない。
      • LEVEL1:宇宙ステージ。最初のステージらしく、プレイしやすい。洞窟は1つでそう曲がりくねっていない。
      • LEVEL2:火山惑星。プロミネンスのように吹き出る溶岩が印象的。回避もしくはミサイルで吹き飛ばしながら進む。洞窟が二か所ある。
      • LEVEL3:森林惑星。立ち並ぶ木々飛行を妨げる。敵も原生生物が多く、それまでの敵とは違う動きをする。洞窟には大きく旋回する場所がいくつもある。洞窟が二か所ある。
      • LEVEL4:岩石惑星。敵基地があり立ち並ぶ岩や構造物が多い。洞窟は1か所だが狭くなり難易度が上がっている。
      • LEVEL5:雲海惑星。次々と迫る雲が視界を妨げる。大型の敵も現れる。洞窟は狭く微妙に上下しているので厄介。洞窟が二か所ある。
      • LEVEL6:亜空間。最初から隘路。しかも左右だけでなく上下にも曲がりくねっている上、狭い。最初の隘路から出た中盤も、動きを制限する障害多数。後半の要塞内も狭い。
    • 速度に緩急をつけるのもなかなか臨場感がある。時間制なこのゲーム。速く進むほどいいのだが、遅い方が敵を撃破しやすい。この速度の緩急は、クリアのコツでもある。
  • 操作性はかなりいい。『アフターバーナー』などの従来のものよりも滑らかで、滑るように機体を動かせる。
  • 弾数無制限のミサイルは、なかなかの爽快感。
    • これまた弾数制限があった『アフターバーナー』とは違い、残弾に気を遣う必要がなくなった。
  • 派手な演出。
    • 蛇状の敵や、分裂編隊を組む敵、ミサイルなど、それまでのセガの疑似3DSTGにあったものが総出演。
    • 爆発、ミサイルの噴射煙なども見栄えがいい。
    • もちろん各ステージ演出も派手。
  • さすがのBGM。
    • ファンキーK.Hこと林克洋、PRITTY.K.Nこと並木晃一の手がける、スラップベース(チョッパー)をふんだんに使ったしっとりとしたフュージョン系のBGMも素晴らしい。

問題点

  • びっくりのプレイ価格。
    • 中型1クレ200円、大型300円の負担。まさにバブルの時代に沿った値段設定である。
  • 疑似3Dなため、慣れない内は壁との距離感がつかみにくい。
    • 特にLEVEL5の洞窟は、床と天井が凸凹した岩で描写されているため、上りと下りが分かりにくい。
  • 派手な演出が逆に邪魔な時も。
    • ミサイルの噴射煙や、敵の爆炎などで前方が見えなくなる場合がある。特にミサイルは自機周辺から発射されるので、四発以上同時発射すると一瞬画面中央は煙だらけとなる。動きが制限される洞窟などでは、少々邪魔。近距離で敵を多数撃破しても、似たような状態になる。

総評

ビックリドッキリの超駆動大型筐体ゲーム。ある意味大変セガらしい。
大型筐体を長らく出してきたセガの集大成ともいえるゲーム。体感性をぞんぶんに味わえるステージ構成や、操作感のよさ、ステージによくあったBGMなど、疑似3Dシューティングとして十分満足できる出来。ただ一点、プレイ価格が高すぎるのが玉に瑕。

PL法の制約が厳しいことや、セガ(当時)自身ジョイポリスで死亡事故を起こしたり*2した影響もあり、体感「ゲーム」から有人運営でゲーム性のない体感「マシン」へと移り、最終的に体感筐体はほぼ作られなくなった。おそらく今後超えられることがないであろう「最高峰」と言える。


移植

  • MD版、セガマスターシステム版、FM-TOWNS版、SS版、PS2版(セガエイジス)、3DS版(セガ3D復刻プロジェクト)がある。全てバージョンアップ版である本作がベース。
    • MD版は本体の性能差はあれ、できる限りなされたという忠実な移植。マップが狭くなっているなどの問題はある。
    • FM-TOWNS版は音楽は専門家によって独特のアレンジされた曲。難易度選択が可能である。最低難易度はかなり易しい。また難易度に関わらずオリジナルと異なり全く攻撃してこなくなった敵が多い。マップはMD版と同じようにオリジナルより簡略化されている。
    • マスターシステム版はエネルギー数値がないなど、大きく異なる。日本では未発売。ちなみに変換アダプタを使って、日本のマスターシステムやFM音源パックを搭載したセガマークIIIでこのソフトを起動するとFM音源仕様のBGMになるという隠し仕様がある。
    • SS版は画面効果を含めかなりAC版に忠実な移植ではあるが、フレームレートがAC版より低く、一部のキャラが省略されてたりと細かい部分での差異がある。
    • PS2版はアーケード版の再現(画面効果もアーケード忠実再現か、PS2での演出の「ネオクラシック」のいずれか選択可能)に加えてMD版&セガマスターシステム版を収録、TOWNS版のBGMも収録。
    • 3DS版はPS2版をベースにした移植。追加要素は少なめだが、他の復刻作品同様に筐体を見る視界を再現したモードも用意されている。
      • 流石に要求スペックが高かったようで、普通出来ない物を実現してしまう 変態 技術者集団M2を持ってしても処理速度が足りず、他の復刻作品とは異なりBGMはストリーム再生で妥協している*3。また、筐体再現モードの駆動音はSDX、DXどちらをセレクトしてもDXの音しか鳴らない。理由は後にも書いてあるが、SDXの稼働筐体が存在しなかったため。


余談

  • 世界的に有名なキングオブポップスこと「マイケル・ジャクソン」が350度回転の大型筐体を所持していたのは有名。
    • 私財を全てオークションに出す際に出展されたが、オークション自体がその後無かった事にされ、間も無くマイケル・ジャクソンが亡くなってしまった為、本作の純正筐体の行方は明らかになっていない。
  • メガドライブ「スーパー大戦略」の隠しユニットとしてTRY-Zが登場する。名称は「ギャラクシーF」。
    • 後付けの設定かも知れないが、搭載武器に「フォトントーピード(光子魚雷)」「パワートーピード」「46mmキャノン」と、本作にはない具体的な名称で登録されている。
  • 本体自体が貴重品である。しかもでかい。
    • インカムが振るわなければ撤去されても仕方がない為、現存数は指折り程度とされている。把握されている物としてはSDXの稼働筐体は国内に0機、故障中の静態保存機すら1機しか無い。DX筐体は一応セガ社内に動態保存機が1機存在する。
      • 現存筐体の大部分は、海外のコレクターの手に渡っていると思われる。
      • また筐体のみならず前述の差し替えにより、コンバージョン前の『I』のROMが載った基板も現存していないのではないかとの話もある。
  • 店舗側にもお金のかかる筐体だった
    • アップライト筐体は100万(当時相場)程で中型(DX)が330万。大型の350度回転筐体(SDX)は500万と言う驚きの価格。
      • もっとも、昨今のように「汎用筐体用の基板バージョンアップだけで200万円」「トップ導入には1000万円以上する10席セット必須」「単なるビデオゲームなのに1プレイ200円」が当たり前な今から思えばまだ良心的に見える。市場縮小で量産効果を失うことがいかにひどい事かがよくわかろうというものだ。
    • 店側は安全の為に荷物を預かる人員を用意しなければならないので、人件費も馬鹿にならない。
  • そもそも安全性に疑問があり、公の場所で合法的にプレイできるかどうか怪しい。というか、PL法のせいでかなりヤバい。