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SILVER SURFER - (2021/06/20 (日) 17:41:19) の編集履歴(バックアップ)
SILVER SURFER
【しるばーさーふぁー】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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NES(Nintendo Entertainment System 海外版ファミリーコンピュータ)
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開発
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Software Creations
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発売
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Arcadia Systems
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発売日
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1990年11月
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備考
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日本未発売
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判定
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クソゲー
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ポイント
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最高のBGM 最高のグラフィック 一撃死による最悪のゲーム難易度 「高難易度」「ゲームバランスが不安定」では済まない 見てる分には面白い
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Marvel Comics関連作品シリーズ
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概要
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マーベルコミック作品の一つ「SilverSurfer」を題材としたシューティングゲーム。色々な意味で非常に飛び抜けたゲームとして知られている。
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ちなみに開発は『ソルスティス』『ブラスターマスター2』などでお馴染みのSoftware Creationsによるものである。
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オープニングで、SurferはGalactusから呼び出され、宇宙はMagik Domainが率いる集団に脅かされている事を告げられる。
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ステージセレクト方式
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最初は5つのステージを選べる。基本的に横スクロール構成で、縦スクロールも用意。
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それぞれ、1st→2nd→FINALの3つのSECTIONで構成。縦スクロールは1st2ndのいずれかにのみ登場、BGMも交互に代わるようになっている。
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ボスは最奥部で待ち構えている。
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アイテムも登場
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Bはボムアイテム、Fはショットのパワーアップアイテム、Sは1UP、全方向に弾を撃てるオプションなどがある。
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基本的に静止しているが、動き回っている場合も。スクロールで流れる前に爆散する仕様。
登場人物
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SilverSurfer(シルバーサーファー)
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本作の主人公。惑星ゼン・ラに住むノリンという青年。マーベルコミックの中でも屈指の高潔とされる。Galactusのヘラルド(斥候、水先案内人)として従事していた過去を持つ。
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ゼン・ラについては日本語の全裸からもじった疑いが濃厚である。
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驚異的な能力を持つが、本作ではその設定は全く活かされていない。
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元々はヒーローチーム「ファンタスティック・フォー」の敵キャラとして登場したが、後に正義の心に目覚め、コミック・アニメ・ゲームで単独作が作られるほどの人気ヒーローとなった。
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Galactus(ギャラクタス)
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SilverSurferとは色々な因縁もあり悪役として猛威を振るっていた事もあるが、本作では宇宙を守るために力になってくれる。
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Magik Domain
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MagicではなくMagik。宇宙を脅かし「Reptyl」「Fireload」「Possessor」「Emperor」「Mephisto」を従えてコズミックデバイスを狙う。非常に残酷な一面を持つ。
評価点
BGM
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作曲者は同社がそれぞれ4か月ほど前に発売した「PICTIONARY」「ソルスティス 三次元迷宮の狂獣」などで有名なティム・フォリンによるもの。
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上記のゲームでも見られた、認識できないほどの高速アルペジオによって音に厚みを出したり、(差し色ならぬ)差し音によって音数の制限を感じさせない密度を生むといった驚異的な作曲技法は本作でも健在。
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特にステージ中の曲は、まるでギターソロのような特徴的なメロディと、サンプリングされた重厚なドラム音によるリズムパートによって、プレイヤーのテンションが否応なしに上がるダンサブルなトラックとなっている。
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非常に高品質な曲はファミコン音楽史でも語り継がれる程である。しかし本作は…
グラフィック・ゲーム構成
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デモシーン
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SurferとGalactusの会話シーンが専用BGM、色々なアングルからの顔グラと共に、オープニング、ラストステージ直前と用意。エンディングは勿論、専用の曲である。
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ただし、会話がSurferとGalactusのみなのは残念なところである。
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ステージクリアした際は力強い一枚絵が表示。
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FAILEDした際も一枚絵。細部まで良く書き込まれている。
何度も見る事になってしまうのだが…
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顔グラフィックについて
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主人公たちは勿論、ステージセレクトでは各ボスの画像が用意。選択した際は別アングルで大きな画像も表示されて、とても質が良い。
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ステージボスの顔画像、マップ全体、敵のドット絵、細かいエフェクトに至るまで精緻に作りこまれている。クリア済みの場合はキャラの下の四角い部分が塗りつぶされる仕様に。
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ステージ構成
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それぞれのボスに応じてテーマを見事に表現、大自然、灼熱、古代神殿などがあり、画面を見ればどのボスのステージか一目瞭然。
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各ステージでは、同じBGMと縦、横のスクロールが連続して来ないようになっている。
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サーファーが水地形に入ればエフェクトが出て芸が細かい。なお水中では制限時間などはなく平気。
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雑魚敵の動作
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単調なものではなく複雑な軌道を描く。下から飛び出して来た敵が天井のトゲに突き刺さり更に表情が変わる、左右に往復する敵が方向を変える際に正面を向いたアニメーションパターンが挟まれるなどこちらも細かい。
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BGMも素晴らしいと述べたが、グラフィックも全体的に高品質と言える。流石は色々なゲームで知られるSoftware Creationsである。
賛否両論点
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ヒロインは登場しない
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主人公Surferだけでステージ突破・ボスを倒すだけの展開なので華がない。原作ではヒロイン的キャラクターが存在していた事を考えるとちょっと寂しい。
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残機の表示
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1UPしていくと残機の表示が、9、10、11、12…ではなく、9、A、B、C…になる。この表記は16進数またはジャグリングのサイトスワップでの仕様である。
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これらのフォントは会話シーンの文字を使い回しているわけではなく専用のものとなっている。このあたりからも作りこみの細かさが伝わって来る。
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ラストステージの最後に惨たらしい場面がある。
問題点
『一撃死』
これが本作の評価を一気に低下させた最大の要因である。
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何を食らっても即死。雑魚敵に、敵弾は勿論、地形に触れてもアウト。確かに原作でもシルバーサーファーはザ・シングにワンパンKOでぶち飛ばされた事もあるがこれでは厳しすぎる。
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一撃死ルール自体はSTGではむしろ一般的であり、その中でも『グラディウス』『ゼビウス』等の数々の名作が存在するが、本作では数々の悪条件が重なった結果、理不尽なまでの高難度ゲーになっている。
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当たり判定が見た目通りで大きい。
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他の一撃死STGとの一番の違いはこの点にある。
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キャラクターゲームであり、なおかつ自機が戦闘機の類ではなく人型であるため、細部までポージングを再現したかった意図は分かるが、縦横16ドット程度で構成されることが一般的なFCのSTGと比較しても、1.5~2倍程度の大きさ。縦スクロールステージに至っては、機体の長さが3倍程度になる。
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そんな見た目でありながら、当たり判定への配慮がない。
他の作品では乗っているボード部分には当たり判定がないようにする等で配慮されている事が多いが、本作ではそんな気の効いたものなどなく、ボードの部分に被弾しても容赦なくアウトになる。ボードは助けにならないどころか逆に当たり判定を大きくするなど邪魔になってしまっている。
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キャラクターを大きく見せたいのであれば、その分難易度を抑えるために、『ドラゴンスピリット』のようなライフ制にもできたはずだが…
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雑魚敵は突然現れたり、耐久力もあり、複雑な軌道を描き読み辛い、弾も小さく背景に紛れて見辛いなど、悪い意味での相乗効果と言える。
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雑魚敵は狙い撃ちしやすいよう、規則的、直線的な動きをするゲームが多い中、本作では途中で進路を変えてきたり、円運動や曲線運動を組み合わせたような動き方をしたりと、Software Creationsの技術力の高さが悪い方向に発揮されてしまっている。
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地形によるさらなる高難度化。
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地形効果は即死、これは宇宙のバリアーリボン帯、次元断層と同等、しかも見た目が分かり辛いもの多数。
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狭い地形が多い。これは前述の当たり判定の大きさもあり、抜けるのにかなりの神経を使う。しかも斜めで狭い個所も多く非常に難儀である、ボードを斜めに傾ければ、まだ避け易いのだろうが生憎そういう事も出来ないので辛い。
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ミス後は一定箇所まで戻される戻り復活制。そのため残機によるゴリ押しは不可能。
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これだけの高難度でありながら、さらに追い打ちをかけるのがコンティニュー有限という厳しい仕様。
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これらは原作のSurferの力強さとあまりにもかけ離れており、キャラクターのイメージを損なったとしても評判が悪い。
その他
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サーファーの攻撃手段は乏しく、ショットのみである。オート連射がないにもかかわらず、敵の方は全体的に硬く数も多い。
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常に手動でそれなりの速度で連射しておかないとあっという間に押し負けてしまうため、指への負担が激しい。
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音楽の扱い
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高品質だとは言ったがステージが2曲しかないのは残念。ボス戦の曲もない。
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FAILED専用曲はなく効果音のみ、ただしGAMEOVER曲は用意。
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クソゲーだがBGMは良い…まるで本作のためにある格言である。
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弾幕の濃淡のバランスが悪いステージ
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一部の縦スクロールステージにて、堂々と画面中央を進むと、左右の砲台から集中砲火を受けるため、画面端ですり抜けるような姑息なテクニックを要求され、ヒーロー感が台無し。
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ボス戦
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Surferとの会話が一切ない
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せっかく高品質な画像があるのだから、そこで会話イベントがあればなお良かったのだが。本作の会話がSurferとGalactusのみなのは寂しいところ。
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道中は非常に凶悪だと述べたが、ステージボスは5体とも移動すらせず簡単で盛り上がらない。見た目も精巧な顔グラフィックとのイメージとそぐわない。
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例えば、REPTYLの顔グラから獰猛かつ敏捷性が高いボス戦を期待したプレーヤーもいたが、実際は鈍重そのもの。他のボスも似たり寄ったり。
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パーツが手に入るのは良いのだが、倒さずにそのまま終わったりボスが撤退する展開も多く消化不良気味。せめて会話を入れておけば印象は違ったはずなのに。
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ラスボス
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大型なのは良いが、見た目からして不遜だった顔グラフィックのイメージと合わない。会話も一切ない。
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行動も左右に歩き回りながら銃を撃つだけであり、弾は遅く、狙い撃ちではなくあさっての方向、その弾も数発で相殺出来るなど適当なもの。
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直前まで色々な意味で凶悪だった本作のボスとしての威厳はない。耐久力は高い。ラスボスだけは移動する。結局のところ本作でまともなボス戦は無かったと言われている。
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エンディングが非常に簡素
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サーファーとギャラクタスはEDでも表情は変わらない、会話が終わったあとはENDマークとともにスタッフの名前が出てくる程度。とはいえ星々が回りながら手前に向かって来る演出は綺麗である。クレジットも表示されるのだが待っているだけでは出ない、そのためTHE ENDで終わってクレジットを見逃したプレーヤーもいた。
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フォントで小文字もあるのは良いのだが、aとdとoの区別が付きにくい。
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高速スクロール面が無い。1つくらいはあっても良かったのでは。
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ただでさえ地形によるミスが多いため、このままのバランスで高速スクロールにしてもさらに高難度化が加速することは予測されるが…
総評
最高の音楽、グラフィックで細部に至るまで作りこまれ…しかし、最悪のゲームバランスにより評価は一気にクソゲーまで急落。
本当に本当に勿体ないゲームだったとプレーヤー達は口を揃える。
余談
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本作の発売よりも前にも、サーファー、ギャラクタスは日本でも登場した事がある。
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1960年台の話になるが宇宙忍者ゴームズ(ファンタスティック・フォー)では、シルバーサーファーはシルバーサーフィン、ギャラクタスはテッカーメンになっているなど色々と変更がされており更に独特な翻訳で笑いまで取って来ているものの恐るべき脅威に変わりはない。
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デッカチー(Watcher)が星屑を流してでも、やり過ごしたかったほどで、サーフィンは水先案内人として地球に襲来、遭遇した際は「もうおしまいだ」。ギャラクタスことテッカーメンには4人の宇宙忍者では勝ち目がないとまで。対抗策をとるために、銀河系から1000億光年以上も先にあるテッカーメンの星に向かうべく、デッカチーと共にファイヤーボーイが宇宙のバリアーリボン帯を越えるなどまさに命がけで色々あって辛くも撃退。
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近年でもファンタスティック・フォーの映画にシルバーサーファーが登場するなど色々と支持されている。