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白衣性恋愛症候群 - (2021/02/15 (月) 12:33:44) のソース

*白衣性恋愛症候群
【はくいせいれんあいしょうこうぐん】
|ジャンル|キラ☆ふわガールズラブ看護師アドベンチャー|&amazon(B0052QXX5G)|&amazon(B0052IU7H6)|&amazon(B00840JQ6M)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|~|~|
|発売元|サイバーフロント|~|~|~|
|開発元|工画堂スタジオ(しまりすさんちーむ)|~|~|~|
|発売日|UMD版:2011年9月29日/DL版:2012年4月5日|~|~|~|
|定価|通常版:6,090円/限定版:8,190円/DL版:4,800円|~|~|~|
|レーティング|CERO:C(15歳以上対象)|~|~|~|
|判定|なし|~|~|~|
|ポイント|ガチ百合ゲー&br実は小ネタも多し&BADエンドの衝撃|~|~|~|
|>|>|>|>|CENTER:''白衣性恋愛症候群シリーズ''&br()''白衣性恋愛症候群'' - [[白衣性恋愛症候群 RE:Therapy]] - [[白衣性愛情依存症]]|
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#contents(fromhere)
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**概要

-元はWindows向けタイトルとして開発されていたが、諸事情によりPSPソフトとしてリリースされた百合ゲーム。
--その為か、色んな意味で遠慮がない。綺麗なだけの世界ではないんです。

-公式略称は「白こしょう」……だったはずだが、結局定着せずに「白恋」が広く使われるようになった。
--ただそうなると、某サッカーゲームに出てくるチームと被るのが少々厄介。公式Twitterでも、そのゲーム関連の呟きを拾ってしまったりしていた。
--アイキャッチ音声で、低確率だが「しろこしょう」と言ってくれることがある。本当に低確率な上、アイキャッチ自体誰が出るかわからないので狙って聞くのは難しいのだが…。

-キャッチコピーは「白衣の天使の真実を 人の命の美しさを 貴方にお届けします」。

-女性同士の恋愛を描いているだけでもコンシューマ向けタイトルでは珍しいが、さらに「社会人百合」というニッチな作品。
--同じく工画堂の『[[ソルフェージュ>ソルフェージュ~Sweet harmony~]]』と世界観を共有しており、女性同士の恋愛や結婚に対するハードルが低い世界になっている((実際、沢井の上司である大塚主任が患者さんから「孫娘と結婚してくれ」とせがまれるシーンもある。))。また演奏は出来ないが、物語の要となっていた魔導楽器「フォルテール」も(携帯型だが)登場する。
---登場キャラクターの一人が演奏するシーンがあるのだが、シナリオ中一回だけしかない。

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**ストーリー
工画堂スタジオ完全新作、白衣ガールズアドベンチャー!~
『白衣性恋愛症候群』は、女の子同士の友情を描いたキラ☆ふわガールズラブ看護師アドベンチャーゲームです。~
物語の舞台は、都会から少し離れた田舎町、神庫市百合ヶ浜。~
小さな私立病院に新人看護師として着任してきた主人公“沢井かおり”は、そこで多くの人々と触れあうことになります。~
看護学校時代の憧れの先輩、厳しくも優しい看護主任、病院に入院する多くの患者たち。~
様々な経験を通じて成長する一人の少女の、成長、光と影、彼女をとりまく個性豊かなヒロイン達との友情物語をお楽しみください。~
(Amazon商品紹介より)~

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**システム
-オーソドックスなテキストADVだが、オプション設定でテキスト欄の透過率やボイスの個別ON/OFFまで設定できるなど結構頑張っている。
--システムの効果音を、かおりの声に変えることも出来る。「しゅんっ」「かちっ」「とっとっとっと……」など、ゲームの進行に影響はないが可愛いSEになる。
-バックログが、再開時にもそのまま読み返せる。地味だがありがたい機能である。
--欲を言えば、そのシーンまで遡れるともっとありがたいのだが……。
-難解な医療用語に対しては注釈も付き、好きな時に読めるようになっている。
--ただし、「一番新しいものとその直前の語句」しか注釈を見られないのが難点。後になって読み返そうと思っても、その場所までシナリオを進めなければならない。
--辞典モードのようなものも存在しない。どうしてもという人は、メモを取るか医学書を傍らに置くかしよう。
-フルボイスで、かおりを含むメイン六人にはキャストコメントもある。一度クリアすれば「憩いの場」で聞けるので、興味があればどうぞ。

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**キャラクター
#region(※本編のネタバレ注意)
-沢井かおり(CV:阿澄佳奈)
--主人公の新米看護師。まだまだ半人前だが、熱意と優しさは人一倍。しかし時々やらかす大ポカからは''アホの子''の片鱗が窺える。
--幼少期交通事故にあっており、その前後の記憶があいまいになっている。またその事故のせいで、軽度の男性恐怖症になった。
--事故後から「癒しの手」と呼ばれる能力を身につけたようだが、本人はその能力を全く信じていない。
--ハーレムラブコメの主人公なみにニブい。あまりにもニブい。そのせいでいろんな人(プレイヤー含む)をヤキモキさせてくれる。
--そのわりには自身の気持ちに気付くのは早い方であり、気付いてからアクションを起こすまでも早い。そして意外と……。
--見た目によらずかなり酒に強く、ビール大好き。看護学生時代にお酒を覚えたらしい。「イイコトもワルイコトも、学校で覚えるんだよね」とはなぎさ先輩の弁。

-藤沢なぎさ(CV:日笠陽子)
--沢井の高校時代の先輩。看護師としても先輩。まだまだ未熟さが抜けず、人知れず苦悩することも…。
--入って二年目でありながら主人公の「プリセプター((指導する先輩看護師をプリセプター、指導される後輩看護師をプリセプティーという。実在する制度であり、新人の教育係のようなものだと認識してもらって構わない))」として指導することになる。
--実は貧乳。本人がいうには、学生時代は沢井もつるぺただったらしい。設定上バストの値は沢井とあまり変わらないので、カップの違いなんだろうか。山之内さんが言うには「ブラの着け方が悪い」らしい。
--「もーもー!」と特徴的な怒り方をするため、山之内さんに「牛沢」呼ばわりされたりしている。言い方にはこだわりがあるらしい。
--序盤は後輩想いの優しい先輩なのだが、共通ルートにて「ヤバさ」の片鱗を見せつけ、個別ルートで昇華したといっても過言ではない。
--[[こんなの(ネタバレ注意)>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/1293/207/%E7%97%85%E3%81%BF.jpg]]まで作られる始末。「きら☆ふわ」から最も遠い人物と言える。
--自身のルートの衝撃の割に、他のルートでは最後の一線を越えられない(出来ない)、根本的なヘタレ具合をみせるのも魅力の一つ。

-大塚はつみ(CV:喜多村英梨)
--百合ヶ浜総合病院内科主任看護士。要するに主人公たちの上司。29歳にして最年長(士長はもっと上で定年間近だが、現場にはあまり出ない。序盤で沢井を案内するシーンなどはあるが。また設定段階では三十路だったが、さすがにそれは…ということで引き下げられている)なのを気にしている。おばさん呼ばわりした患児を、笑顔のまま威圧して泣かせたり、それなりに気にしている模様。
--仕事は完璧だが、私生活は驚くほど駄目っぷりを見せつけ、ゴミだらけの''汚部屋''で暮らしている。料理も全く出来ず、白恋のキャラグッズでもネタにされていた((「はつみさんでも茹でられる 白い恋のうどん」という商品が工画堂のweb通販商品で実在したのだが、現在は販売終了している))。
--掃除が下手な上にもったいないオバケに憑かれていて物を棄てられない。カビだらけのパンや用済みの書類なども取ってある。
--また、「色が違うだけで同じでしょ?」と、紅茶を急須で入れてしまうようなズボラさが分かるシーンも。
--仕事一筋の「仕事人間」だったおかげで、29歳にして初恋の恋愛初心者という一面を持つ。

-堺さゆり(CV:今井麻美)
--重度の再生不良性貧血で入院することになった患者。沢井と同じ看護学校に在籍していたが、入院を機に休学。家族との関係も悪く、非常に辛い立場にある。
--非常に真面目で完璧主義、加えてプライドも高いためにのほほんとした主人公に不快感を示すことも。また、「出来る事をしようとしない」という理由でなぎさ先輩も嫌い。受け流しが得意な山之内さんのことを苦手としている。
--主人公に対して厳しく接するが、決して八つ当たりや言いがかりではない。口調が厳しいだけで、筋のとおった的確な叱責である。
--いわゆるツンデレキャラだが、序盤はむしろ「ツンギレ」。キレっぷりは生半可なものではなく、ルートによってはプレイヤーの心を叩き折りそうになるほど((そういう指示を受けていたとはいえあまりにも強烈だったせいか、インタビューで始終、声優の今井麻美は「大丈夫なんでしょうか?」と不安そうにしていた))
--また、好意を持つのも持たれるのも不慣れ。本人曰く「重い女」。しかしエピローグでのデレッぷりは必見。

-山之内やすこ(CV:原由実)
--ちょっと年上の先輩看護士。関西地方の出身。人をからかうのが好きで、後輩へのセクハラ多数。一つ所に落ち着くのが苦手で、各地を転々としていたらしい。
--軽口を叩きながらも周囲をうまく調整し、要領よく渡るタイプ。看護師になった理由も「銭金の為」と軽く言っていた。
--メインキャラで唯一、ガチなのかノンケ((「Non」+「気」。特に変わった趣味を持たない、一般人の意。この場合は異性愛者のこと。))なのか判別出来ない人。主任にアプローチする場面はあるが、からかい半分だった。
--実は同人作家でもある。後輩をアシとしてこきつかったり、執筆で徹夜することもしばしば。……いつ寝ているのだろうか。
--そのスキルを活かして、病棟に貼るポスターや説明用の小冊子を作成することも。子供向けやお年寄り向けなどを作り分けるという芸の細かさを見せた((成年向けのものも作っており、沢井を赤面させていた))。

-浅田あみ(CV:水野愛日)
--ネフローゼ症候群で入院中の患者。身体が弱く入退院を繰り返しており、まともに学校に行けないのが悩み。
--基本的にドジっ子だが、たまに鋭い気配りを見せることも。入院患者の一人が急変して亡くなったときは、他の患児が気付いて不安がらないようにわざと明るく振る舞っていた。
--周囲の人をあだ名で呼ぶ癖がある。「かおり→かおりんさん」「なぎさ→なぎさん」など。流石に主任のことは「主任さん」と呼ぶが。
--上記のとおり、ソルフェージュとのつながりを示してくれる子でもある。
--攻略対象ではないが、肌色CGあり。しかも……((攻略キャラでもないうえに、本作唯一の未成年らしい未成年キャラなのに、なぜかこのようなイベントが集中している。この子一人で、確実にCERO指定を一つ上げている。確実に。))
#endregion

-本作のキャラクターは、ほぼ全員が実在する製薬会社や栄養素など医療関係の名称にちなんで名づけられている。
--「沢井かおり→沢井製薬」「浅田あみ→浅田飴」「太田井さん→太田胃酸」「網野さん→アミノ酸」など。

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**シナリオ
***医療部分
-シナリオ担当の円まどか((本名名義で看護関連の著書もある。ある意味白恋の原型。))・佐倉さくら両女氏が現役看護師なだけあって、医療現場の描写は非常にリアル。会話の中にも専門用語が数多く出てくるので、結構勉強になる。
#region
&image(せんもんてき.jpg)
-何を言っているか、お分かりいただけただろうか? 「鼻をつまんだって、苦手な味が平気になるわけじゃない」ということです。
#endregion

--一部にかなり生々しい描写も。さすがにビジュアルには出てこないが、そういう要素が苦手な方はご注意が必要である。
--軽快退院していったはずの患児が緊急搬送されてきたりするのは、かおりも辛いだろうがプレイヤーも辛い。
--そういうのとはまた違う、あけすけなシーンもいくつか見られる。

#region
&image(穴.bmp)
-採取器具を入れる穴を間違えてしまったイベント。どこの何の穴かは実際にプレイして確認してみてほしい。
-ちなみに、このイベントでのかおりの感想は「ただの採尿でも苦手な子もいるし、そういうものなのかな」というあっさりしたもの。
--お年寄りの場合は比較的起こりやすい事例であるけれども((実際、座薬を入れ間違えて炎症を起こしたりすることもある。))、あみちゃん高校生なのに……。
#endregion

#region
&image(おむつ.bmp)
-言うまでもないが、そのものズバリなCGはない。あったらCERO:Cどころの騒ぎじゃすまない。
#endregion

-主人公が新米看護師ということもあり、とにかく失敗とお説教がてんこ盛りになっている。
--ジャンル名から想像するような、ポップな雰囲気はあんまり感じられない。むしろパッケージにある「キラ☆ふわ」要素の方が少ない。
--どのお説教も的確に心に突き刺さる物ばかりなのだが、労働基準法違反が疑われる描写もいくつかあり、また社会人が本作をプレイすると、あまりにも理不尽極まりない叱責など、どうにも疑問を抱かずにはいられないようなシーンも存在する。
--以下、長文の上にネタバレ要素も強く含むので隠し。

#region(「すいません」じゃなくて「すみません」)
-まずゲーム開始直後からあまりにも理不尽極まりない叱責を、はつみから容赦なく浴びせられる事になる。新人として入社したかおりが自己紹介の際に、話の流れの中で「すいません!!」と謝罪するシーンがあるのだが、そこへはつみが「すいませんではなく、すみませんと言いなさい!!」と物凄い剣幕で怒鳴り散らすのである。
--これは接客業としての基本的な礼儀作法であり、即座に注意するのは別に間違いではない。だが注意の仕方が問題なのであり、こんな程度の事で何故こんな怒鳴り散らすような言い方をするのかが到底理解出来ない。
--かおりが患者の命にまで係わる程の重大な失態を犯したのなら怒鳴り散らすのも当然だが、今回の場合は単に言葉選びを間違えただけに過ぎない。こんな事で怒鳴り散らされたのでは部下としてはたまった物ではないだろう。
--ここまで来ると立派なパワハラであり、労働基準監督署に訴えれば確実に監査が入る案件である。
#endregion

#region(残業の扱いについて)
-かおりが残業する事になった際、はつみは「自己都合での残業は時間外手当が出ない」などとかおりに説明するのだが、いかなる理由があろうとも従業員が超過勤務をする事になった際は、労働基準法で定められた正当な時間外手当(超過した労働時間分の賃金の125%)を支払わなければならない。自己都合だろうと何だろうと関係無いのである。
--そもそも「自己都合」と言えば響きはいいのだが、一体どのような状況での残業が「自己都合」だとみなされるのかが、作中では全く明確にされていないのも問題である。
--例えばかおりが仕事で重大な失態を犯し、その失態の穴埋めをする為の作業が「自己都合」なのか。かおりが仕事の遅れを取り戻す為に、上司からの帰宅指示を無視してでも自主的に残業せざるを得なくなってしまった事が「自己都合」なのか。
--前者の状況で時間外手当を払わないのは、例え会社にどれだけ損害が出ていたとしても、明らかな労働基準法違反である。後者の状況だったとしても自己都合の残業で時間外手当を出せないと言うのであれば、残業した分だけ翌日以降のかおりの勤務時間を調整してやるなどの配慮が必要だろう。
--また、残業せざるを得なくなってしまったかおりに対して、はつみがどんなフォローをしたのかが全く描かれていないのも問題である。
#endregion

#region(ギリギリとはいえ遅刻しなかった従業員に対しての理不尽な叱責)
-物語序盤でかおりが寝坊してしまい遅刻ギリギリで出勤し、はつみに物凄い剣幕で怒鳴り散らされるシーンがあるのだが、これにも大きな問題がある。
--労働基準法では''「指定勤務時間外での従業員の行動には、経営者は一切干渉する事が出来ない」''と定められている。かおりはギリギリだったとはいえ遅刻はしておらず、定められた始業時刻にはきちんと間に合っているのだから、叱責される筋合いなど微塵も無いのである。
--かおり自身も遅刻ギリギリになってしまった事を心から反省している事から、こんな物はかおりに対して次からは寝坊しないように軽く注意してやれば済む話であって、これで怒鳴り散らされるというのは悪質なパワハラ、みなし残業の強要だろう。
--はつみの言い分としては「始業時刻は集合時刻ではない」との事だが、この発言の時点で明らかに労働基準法に抵触している。前述の通り「始業時刻以前の従業員の行動に対して、経営者は一切干渉が許されない」からである。
#endregion

#region(部下に対しての虐待まがいの行為の強要)
-物語中盤で、身体が不自由で自力で着替えが出来ない患者のおむつの交換を、担当だったかおりとなぎさがうっかり忘れてしまい、その患者がおむつの中でウンコをしたまま長時間放置されてしまった事で、はつみがかおりとなぎさを激しく怒鳴り散らす場面がある。
--ここまではいい。患者の尊厳をも踏みにじりかねない程の重大な失態を犯した2人に対して即座に叱責するのは、上司として当然の行動であるのだが、その後のはつみの態度が大きな問題なのである。
---はつみは今回のような失態を二度と繰り返さない為の対策を2人に考えさせる為に、終業後に寮で反省文を書くよう2人に命じるのだが、実はこれも「業務時間外での労働の強要」であり、労働基準法違反に問われる立派な犯罪なのである。
---「仕事上のしがらみから完全に開放されて、初めて終業だとみなされる」「従業員に何かしらの拘束をかける(今回の場合、寮で反省文を書けと命じる)時点で労働だとみなされる」からである。
---もし反省文を書かせるのであれば業務時間内に書かせるか、どうしても終業後に書けというのであれば反省文を製作するのにかかった時間の分だけ、時間外手当を払わないといけないだろう。現実にこのようなケースで従業員が経営者を相手に裁判を起こし、裁判官が経営者に時間外手当を払うよう命じたという判例もある。
--ここまでならまだ時間外手当の問題だけで済ませられるのだが……何とあろう事かはつみは、かおりとなぎさに対して''「実際におむつの中でウンコをしたまま、長時間そのままの状態でいる」事を強要している''のである。
---これは患者と同じ苦しみを体験させる事で、心から反省させるつもりだったのだろうが、こんな物は悪質な虐待以外の何物でも無いだろう。もしこんな事が世間に知られよう物なら、はつみだけでなく病院自体が世間から凄まじい批判に晒される事になるのは間違いないはずである。
---仮にかおりとなぎさが全く反省していないというのであれば、だったら実際に自分で体験してみろと命じるのは間違いではない(それでも世間に知れれば大問題になるだろうが)。
---だがかおりもなぎさも憔悴し切った表情で、心の底から反省の態度を見せているのである。それなのにさらにこんな虐待まがいの命令まで下し、部下の身も心も無駄に追い詰めるような真似をしてどうするというのか。そんな事も理解出来ないようでは主任としては完全に失格だろう。
---実際にかおりと共に反省文を執筆していたなぎさが、「(実際にウンコをせずに)適当な事を書いて誤魔化しちゃおうか」とかおりに提案してしまっている。部下たちに反省させるどころか、虐待まがいの命令をした事で逆に部下たちの反感を招いてしまっているのである。
---後になぎさがはつみに対して不信感を抱き、反抗的な態度を示すような描写が幾つか見られるようになってしまう。今回のはつみの対応が完全な悪手だったという事の典型例だと言えるだろう。
---このような状況の場合、「2人が抱えている仕事の量に問題は無かったのか」「問題無いのであれば、何故おむつの交換を忘れてしまったのか」「今後どうすれば再発を防げるのか」などをその場で3人で話し合い、互いに納得し合ったら互いに綺麗さっぱり忘れて、通常業務に戻れば済む話なのである。
#endregion

#region(有給休暇の扱いについて)
---物語中盤ではつみがボロボロに疲れ切ったかおりを有給休暇扱いで休ませる描写があるのだが、労働基準法では''従業員が有給休暇を行使する権利を取得出来るのは、労働契約を結んでから180日後''だと決められているはずである。かおりは入社してから1ヶ月も経っていないはずなのだが…。
#endregion

---''……社会人諸氏は身をもってご存知のことと思うが、現代日本において労働基準法が厳格に守られる例は滅多にない。そういった「悪い意味でのリアリティ」をカットしないあたりも本作の特徴と言えるだろう。''

-また、外側からはよく分からない看護業界の問題もストーリーに絡んでくる。
--潜在看護師((資格はあるが、実際に就業はしていない看護師。過酷な労働環境から増加の一途を辿り、「有資格者は多いのに現場が人手不足」というねじれ現象を生んでいる。))の増加や、職場での陰湿なイジメなど((山之内さん曰く「(看護師詰め所は)気の強い女ばかり集まった大奥みたいなモンだから、確執や軋轢は日常茶飯事」とのこと。))。
-なお、この手の作品に付き物の「男性患者からのセクハラ」はない。そもそもモブじゃない(顔が出てくる)男性自体がほぼいない。百合ゲーだしね。
--入院中の男の子にスカートをめくられるシーンはあるが。あと、山之内さんからのセクハラはある。百合ゲーだしね。

***百合部分
-コンシューマーのオリジナル作品ながらしっかり恋愛として「百合」を扱っている。
--百合ゲーなのに何を言っているんだ、という話だが実を言うと初めからコンシューマーとしてガッツリ百合ゲーしているのは、本作が初めてである。
---『[[あやかし忍伝 くの一番]]』や『[[リトルウィッチパルフェ>リトル・ウィッチ パルフェ ~黒猫印の魔法屋さん~]]』、『[[蒼い海のトリスティア>蒼い海のトリスティア/蒼い空のネオスフィア]]』、『蒼い空のネオスフィア』はPCからの移植であり、『[[ソルフェージュ>ソルフェージュ~Sweet harmony~]]』はPC→コンシューマー→PCという経緯をたどっている。『[[Strawberry Panic!]]』は電撃GSマガジンの読者参加企画が原作である。サクセスから発売している『[[アカイイト]]』『[[アオイシロ]]』の二作も、良作ではあるがそもそも百合へのウェイトが少なめだったのと「恋愛」として感情が扱われることは殆どなかった。
---本作も大人の事情でパッケージには「友情物語」と書かれている。また、ゲーム誌の掲載記事でも「恋愛に近い友情」となっていた。しかし蓋を開けたら一切偽らない姿勢には拍手を送りたい。
--もともとWin版で出されるはずだったとはいえ、思い切った作品であることは確か。

-医療に関係する展開などの起伏が激しい分、恋愛方面での起伏が少なめになっている。
--主人公も自分が恋している事と、恋の相手の感情の動きは人並みに敏感なので、すぐに恋仲に近い関係になっている。
--その反面、あるキャラクターは物語の都合上個別ルートでのイチャイチャが非常に少なくなってしまっている。

***実は濃い鬱要素
-グッドエンドでは上記のように非常にイチャイチャ甘々な展開を楽しめるのだが、その分バッドエンドとの落差が非常に大きいのが本作品の魅力?の一つである。
-本編のエンディングに関わるネタバレがあります、注意

#region
-看護士もの、しかも百合ゲーのオチで''拉致監禁されて衰弱死だの亡骸を抱えて後追い入水だの身体を乗っ取られるだの''パンチの利いたエンディングがあるとは思うまい。
-ルートによっては四六時中かなり重たい雰囲気のなか進むものもある。
--ただし話やエンディング自体の出来は良くインパクトがあるため、驚いたという声はあるものの評価自体はかなり高い。悲劇的ではあるが想いが通じ合う為、ノーマルエンドより話としてはよかったという声も。
--またそこまで酷いエンディングにならない終わり方もあるのだが、そちらも悲恋の要素がかなり強く相当気持ちが落ち込む。
-一応のエンディング分けは「グッド」「ノーマル」「バッド」なのだが、どう考えても個別ルート後の「ノーマル」が「ノーマル」の重さじゃない。
--もはや「グッド」「バッド」「ワースト」といってもいい。
--ただしグッドエンディングはちゃんと「グッド」の機能を果たしているので安心してもらいたい。
--バッドエンドにも専用のCGが用意されていたりするので、CGコンプをするには鬱エンディングを見る必要がある。
-余談ではあるが、[[公式ブログ>http://blog.kogado.com/shirokoi/]]に掲載された四コマまんがシリーズ「しろΘこい」も途中から''ドン鬱''になる。鬱要素を示唆していたんだろうか。
--その回のブログ本文は「[[たのしいじかんは おわりです>http://blog.kogado.com/shirokoi/?p=1702]]」。怖いよ!
#endregion

***小ネタ
-医療関係からどうでもいい話まで、実はシナリオ内に大量の小ネタがちりばめられている。
-山之内さんのダイエットトークや下着のラインが透けない方法などのガールズトーク(……と言っていいんだろうか?)などと共に「看護とは何か?」という深いテーマまでさまざま。
--「それが今の私のジャスティス!」「守銭道((超長寿少女マンガ「パタリロ!」で登場した言葉。かなり古いのだが、山之内さんホントに26歳なんだろうか?))」などのように知ってる人しかわからないものも。
--「極楽バナナ」の元ネタなんて、たぶんユーザーの半分も知らないんじゃないだろうか((「眠れぬ夜の奇妙な話(現「ネムキ」)」で連載されていた「極楽りんご」が元ネタ。沢井の言うとおりにシュールでブラック、かつ全力でボケ倒す力業のギャグ。ちなみに、作者の林氏は2010年にお亡くなりになっている))。
-実は「病院あるある」も多数含まれている。未使用の検尿カップでお茶を飲んだり((目盛りが付いてるだけで、普通の紙コップと同じだと言うが、実際何も知らずに目にしたら退く。))、ドクターごとに指示書の書き方が違っていて非常にややこしかったり。
--一部、自分らの愚痴じゃないかと思うような箇所もあるが。

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**評価点
-上記で述べたように、看護師という設定を生かしたシナリオ
--医療の小ネタの多さや患者との向き合い方を熟考する場面から、看護師の喜びと苦しみがしっかりと伝わってくる。
--社会人としての責任を問われるシーンがあるなど、大人の厳しさも学べる。

-共通ルートでもニヤニヤ出来る部分は多いのだが、個別ルートに入った後は、どのルートでもかなり濃度が濃い百合展開が楽しめる。
--特に一部のキャラは個別ルートのデレっぷりが光る。何かと辛い描写が多いだけにイチャイチャシーンがより映えるというもの。
--直接的な描写としてはキスどまりではあるものの、イチャつきシーンの百合度の高さはニヤニヤものである。

-肌色分もPSPにしては多め。マッサージのようなものや、お医者さんごっこなんかもある。肌色多めで。
--周回時用に、主任の下着姿が3パターン用意されていたりする。なお、シナリオ上の違いは''主人公と山之内さんの感想の違い''のみ((大人の女性が付ける下着とは何か、熱く語ってくれるのは見物))。
--ちなみに、本作でもっとも肌色分が多いのは主人公であるかおり。揉まれたり捲られたり、''主任さんに全裸にされて抱き締められながら、泣きながら主任さんと一緒にシャワーに打たれたり。''
--逆に堺さんは、患者ということもあり((まあ、同じく入院患者であるあみちゃんにはあるのだが…。))肌を見せるイベントCGが存在しない。

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**賛否両論点
-現実的な描写
--予期せぬトラブルにとっさに対応できずにあわや大惨事・自分に非がないのに理不尽な説教を受けるなどは現実的であるが、それ故にプレイヤーの精神も磨耗しやすい。
--特に労働経験者にとっては自分の失敗と照らし合わせて、自己嫌悪に陥ってしまうことも十分ありうる。
---とはいえこういった描写があるために、看護師は決して楽な仕事ではないと伝わってくる。

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**問題点
''難易度が高い''
-個別ルートに入るまでのフラグ立てがかなり厳しめになっている。
--少し選択肢を間違えただけでも共通ルートに行ってしまうので誰も攻略できずに終わってしまうことも。
---そのため公式blogで[[ヒント>http://blog.kogado.com/shirokoi/?p=1842#more-1842]]が出されている。真エンドを出すためには最低三周しないといけないのはやや辛い。

-特に攻略キャラの一人である藤沢なぎさルートは困難を極め、初見で入れたプレイヤーはいないのではないだろうか。
--「先輩を肯定しつつも公私を弁え、他のキャラと仲良くして嫉妬を煽りヤンデレ化させる」という高難度のプレイが求められる。
---ただ仲良くしてるだけだったり、ハメをはずしたりするとダメ。判断がかなり難しい。
--個別ルートの選択肢も判読に困るものが続き、初見でグッドエンドを迎えるのは非常に困難だといえる。
--ちなみに他のルートではバッドエンドフラグ要員となる。ついたあだ名が「デストラップ先輩」。あんまりだ。

-共通ルートの長さとフラグ立て難易度の割に、クイックセーブが一つしかない。
--選択肢と選択肢の間がかなり離れており、やり直すのに結構時間がかかる。
--しかもクイックロードをタイトル画面から行う事が出来ない。これは地味に不親切である。
--同じ世界観を持つ作品『ソルフェージュ』ではクイックセーブが多数保存できたため、何故今作では出来ないのかと不満が出た。また、同作ではシナリオデータのオートセーブ機能もあった。本作ではシステムデータのみオートセーブされる。

-好感度調整を失敗すると「ノーマル」と「バッド」しかたどり着けなくなる場合がある。
--個別ルート後すべての選択肢でほぼ正解に近い方を選ばないといけないため、攻略情報なしだと高確率でこの状態になる。
--「いかにも」な選択肢どちらを選んでも「ノーマル」「バッド」状態になったときは、&bold(){まさにどうあがいても絶望としか言えない。}

-いつ、どこで、誰のルートに入ったのかが画面上では全く表示されず、しかもセーブデータにもルート表記が全くされないので非常に分かりにくい。
--現在誰のルートに入っているのかを把握しておくには、攻略サイトを頼りにするしかない。

ランダム要素は一切ないため、現在は攻略サイトを見れば解決する問題ではある。

''ストーリー''
-主要キャラなのに「山之内やすこ」及び「浅田あみ」が攻略できない((限定版のジャケット画像でも二人だけ奥のほうに離れて描かれているので、勘のいい人は気づいていたかもしれないが…。))。色々フラグを立てていると思ったら実はできないと落ち込んだ人も多少はいる。((山之内さんに至っては、各キャラ個別ルート分岐イベントで「どのキャラの個別ルート条件も満たしていない場合」に登場するため、もしかしたらと期待する人もいた))
--あみちゃんに至っては、同じようなスタンスのサブキャラが出てくるおかげでルートによっては完全に空気化している。一応ラスト付近で見せ場はあるが。
--山之内さんの場合は、メインは張れないが結構重要な役どころを演じているいいキャラのためどうしても人気が高くなり((公式BLOGで行われた人気投票もどきでは、攻略キャラと主人公を差し置いて一位だった))「攻略したかった」という声もちらほらあった。

-真エンド到達条件を満たすと、以後主任ルートの中途半端エンドが見られなくなる((何もかも解決しないままで終わってしまうという、文字通りの中途半端なエンディングなので、あまり見たいとは思わないかも知れないが。))。主任を最後に攻略した場合、そのエンドに気づくこともできない。
--もう一度見るにはセーブデータを残しておくか、システムデータを削除するしかない。
-一部、ちょっと矛盾するような箇所がある。
--前に説明された語句を、はじめて聞いたように聞き返したりするシーンがいくつかある。太田井さんのイベントの時の「ステルベン」のくだりなど。

-重要設定であるはずの「癒しの手」が、ほとんど役に立っていない。というか本人はその能力を否定している。
--「ただのプラシーボ効果」と言い切っているため、それを使って患者を救うようなシーンはない。実際「手当て」と言うように、幹部に誰かが触れることで精神的な改善効果が起こることが実証されてはいるが「気のせい」レベルの話である。~
『RE:Therapy』のあるルートでは非常に有効に使われるものの、それまでとの設定差が大きい。
--同じく重要設定であるはずの「男性恐怖症」も、あまり強調されるような場面はない。男性患者に対して及び腰になるような箇所もなく、むしろ車に対する恐怖心の方が強い感じがする((実際、目の前をロクに減速もせず走り抜けた車のせいでへたり込んでしまうシーンも。交通事故で生死の境を彷徨ったのだから、トラウマになって当然かもしれない。))。

''システム''
-UMD版はロードの回数がやたらと多くて長いので、物凄くテンポが悪い。
--「セリフ→ロード→セリフ→ロード…」という感じで次から次へといちいち長いロードが入るので、人によっては相当イライラさせられるだろう。
--データインストール(約600MB必要)を行えば一転して快適に遊べるので、可能ならインストールを済ませておく事をお勧めする。

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**総評
評価としては中の上くらいで結構いい感じなのだが、いかんせんボリュームが不足気味なのが悔やまれる。個別ルートが三人分しかないというのはやや惜しい。~

ボリューム面とシステム面で不満は残るものの、昨今の百合ゲー事情((「百合ゲーは売れない」という風潮からか、PCでもゲームが出にくい状況である。「出れば買うけど、自分達で作る気はない」というクリエイターもおり、需要はあるのに供給量が不足しているのが現状。))からしてここまでしっかり恋愛した百合ゲーというのは非常に貴重である。百合好きで社会人モノが好きなら傑作にもなりうるだろう。~

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**余談
通常版・限定版共通で、PSP用デコレーションステッカーと''ドナーカードが付属している''。~
シナリオ内に骨髄移植に関する件があるので、その関連だと思われる。移植について詳しく知りたい方は、最寄りの医療機関や身近な看護師さんに聞いてみよう。

限定版の出荷数も他のゲームと比較して相当少なかった模様。
本作から2週間後に『蒼い』シリーズ最新作のPSP『白銀のカルと蒼空の女王』の発売が控えていたことも、出荷の少なさの一因だったようだ。~

**関連作品
本作発売から半年を経て、追加要素を加えた『[[白衣性恋愛症候群 RE:Therapy]]((意味は「再診療」。))』の発売が発表され、Win版/PSP版共に2012年6月28日に発売された。~
山之内さんとあみちゃんが攻略対象になった事に加えて新キャラも登場し、要望の多かった用語集モードも実装されている。~
システム等が改善されている完全版のため、現在はこちらかリマスター版を購入することを推奨する。

Win向けタイトル『[[白衣性恋愛症候群 ザ·デッドライン>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/1293/213/%E7%99%BD%E6%81%8BTDL.jpg]]』も『RE:Therapy』と同時発売の予定……となっていたが、エイプリルフール企画でした。アイレムかよ! 

2015年4月30日に世界観が共通の『[[白衣性愛情依存症]]』がPS Vitaで発売。
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