このページはプレイステーションソフト『逢魔が時』とその続編『逢魔が時2』、及び非売品である『逢魔が時プレミアムFANディスク』の紹介をしています。 ---- #contents(fromhere) ---- *逢魔が時 【おうまがどき】 |ジャンル|サウンドノベル|&amazon(B00005OVPX)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売元|ビクターインタラクティブソフトウェア|~| |開発元|ブレイク|~| |発売日|2001年8月9日|~| |定価|5800円|~| |ポイント|スキップまるで無し&br()結末水増し&br()いちいちやり直し|~| |>|>|CENTER:''ビクターサウンドノベル・リンク''&br()[[魔女たちの眠り・復活祭>魔女たちの眠り]]/[[夜想曲1・2>赤川次郎 夜想曲]]/''逢魔が時1・2''/月の光 沈める鐘の殺人| **概要 -赤川次郎原作のサウンドノベル『[[夜想曲>赤川次郎 夜想曲]]』に続き、ビクターが送り出した新サウンドノベル。 --江戸時代にタイムスリップした主人公が寺子屋の教師を務めながら、様々な怪事件を解決(?)するというもの。 --発売時は「『夜想曲』のビクターと『マリア』シリーズのブレイクが送る」と宣伝されていた。 **特徴 -本作は6本のシナリオからなっている。まず「序章」をプレイし、第2話の「河童」に進む。次に「脱衣婆」「池袋の女」「一本たたら」という3本のシナリオが出現(これらは好きな順番でプレイ可能)。3つともクリアすると最終話「二尺の顔」がプレイでき、これをクリアすると1周終了となる。 --どのシナリオにもバッドエンドは無く、どの結末であっても次のシナリオに進める。 --1度クリアしたシナリオは、その周ではプレイできなくなる。また次周からは、再び序章からプレイしなければならない。 **問題点 開発元が異なる為、システムは『夜想曲』とはまったく異なっている。 -テキストやムービーのスキップが無く、メーカーロゴも飛ばせない。「速読」という機能はあるが、ただ表示速度が少し速くなるだけの違いである。 -シナリオの結末数は、「序章」が2、「河童」「二尺の顔」が各3、「脱衣婆」が4、「池袋の女」「一本たたら」が各5と、バラつきがある。 --前述の通り1周するとまた最初から読み直さなくてはならない為、コンプするには結末が出揃い済みのシナリオも何回もプレイし直さねばならない。テキストもムービーもスキップできないのに。 ---しかもこの結末が露骨な水増し。「序章」は「河童」との繋がりを考えると2つある内の片方だけで十分。『夜想曲』では序章の結末は1つだけで2度プレイしなくて良いと説明書にも書かれていたのだが…。 ---「一本たたら」は主人公が直接調査に赴く展開(結末2種)と人から話を聞くだけの展開(結末3種)のルートに分かれるのだが、後者の場合は「その話を聞いて主人公はどう思ったか」というだけの違いに過ぎない。 ---「脱衣婆」は、登場人物2人の生死を組み合わせただけ(両方生存・両方死亡・片方生存が2種類)。 --「迎えた結末によって次のシナリオの展開が変化する」という触れ込みだが、実際は「河童」の結末によって最終話の文章が少し変るのと、「脱衣婆」であるキャラが死んだ場合、次のシナリオの冒頭がこれまた少し変る程度。 -主人公は、名前の他に愛称も入力できるのだが、その愛称を呼んでくれるキャラは1人だけ(しかも呼ぶ回数自体少ない)。いらないだろこの機能。 -主人公は記憶喪失なのだが、非常に都合の良い忘れ方をしており、ご都合主義そのもの。 --しかも不自然なまでに疑い深かったり、他人の好き嫌いが激しかったり、怪異を目の当たりにした時に他人事の様に接したりと、人格破綻者にしか見えない。 この様になんともペラい内容。最終話まで進めても待っているのはちゃぶ台をひっくり返すようなトンデモ展開なのであった。 **良い点 -しかし生活細部に及ぶ時代考証や主人公を囲む江戸の世界観は非常に良い。「PS2に迫るグラフィック」という売り文句通り、CGも江戸時代のそれらしい雰囲気を出すべくほの暗く綺麗。 -世界観が良く出来ているため、自分がタイムスリップした気になってほのぼのと楽しむことができる。 -前の章で行った選択により、次の章のストーリーも影響する続編シナリオシステムは斬新。 --''まるで活かされていないが。'' -和風BGMは地味に良い味を出している。 -文章レベルは総じて高いため、サウンドノベルが好きならば楽しめる。 **総評 -世界観、時代考証、文章、BGMのレベルが総じて高いだけに、肝心のシナリオ内容が肩透かしであることが非常にがっかりするゲームである。 -実は本作は「逢魔が時」という作品の前編に過ぎず、中途半端なところで後編に続くのだ(パッケには表記されていない)。1ヵ月後、後編の『逢魔が時2』が発売されるのだが… -後に2と一緒に「PS one Books」で廉価版が出た。 ~ ---- *逢魔が時2 【おうまがどき2】 |ジャンル|サウンドノベル|&amazon(B00005QBBQ)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売元|ビクターインタラクティブソフトウェア|~| |開発元|ブレイク|~| |発売日|2001年9月13日|~| |定価|5800円|~| |ポイント|あんまりな結末&br()システム進歩せず&br()まとめて1本で出せ|~| **概要 -書籍などでは「前作『逢魔が時』から1ヵ月後という驚異的な速さで発売された続編」とあるが、それもそのはずで、本作は「続編」というより「前後編の後編」である。 -シナリオは前作同様6本で、「序章」「山姥」「火車」「天狗」「鈴が森」「人面獣」の順番で出現する。 --但し前作とは違い、1度出現したシナリオは自由にやり直せる。 --またシナリオ間の繋がりも前作より強くなっており、「あるシナリオで特定の結末を見ておかないと到達できない結末」というものも登場した。''1つだけだが。'' -前作の結末は3種類あったが、そのセーブデータがある場合、それぞれの結末の続き(選択可能)からプレイできる。 --前作のセーブデータが無い場合は、「序章~河童~」というシナリオをプレイさせられる。これは主人公が江戸時代にタイムスリップする経緯と、前作のシナリオ「河童」を元に再構成したシナリオで、結末は前作の「河童」と全く同じである(タイムスリップする経緯は異なっている)。 --前作で既に見ていた結末は、本作でもエンディングリストに最初から載っている。 **問題点 -前作同様、パッケには後編である事がまったく触れられていないので、本作だけ買った人は内容に首を捻るであろう。 --前作では敵は「やつら」とだけ呼ばれており、正体の明言を避けていたのだが、本作は「序章~河童~」でいきなりETだと断言されている。前作のセーブデータから続ける場合だと最終章でようやく明言されるという形をとっているのに。 --そもそもなぜ2分割したのかがわからない。2枚組にすれば済むことだし、そうすれば「序章~河童~」はいらないだろうに。 -パッケには「怪奇の謎を解き明かしていく」とあるが、実際に解き明かすのは「山姥」だけ。しかもありがちなオチ。 -登場人物解説欄では「なぜ主人公には親がいないのか?」と思わせぶりな一文があるが、別のキャラの紹介を読めば大体見当が付くという間抜けぶり。 -例によって文章もムービーもスキップできない。 --しかも最終話は他の2倍程の長さがあり、やたら冗長である。 -主人公の言動がおかしい。 --「山姥」では、「江戸では『ぼかぁ学者です、科学者です』と偉ぶっていた僕が…」と我が身を恥じるシーンがあるが、前作を含めてこれまでそんな偉ぶったシーンは出てこない。しかもそれより後の「鈴が森」で、二言目には「ぼかぁ学者です」を連発する有様。逆だろ? -そして一番わからないのがシナリオ。主人公は前作から、事あるごとに「個人の都合で歴史を変えてはいけない」と主張してきた。しかし本作では、恩人の病気を治すために抗生物質が必要となり、歴史を変えるべきか否かと葛藤する事になる… --…のだが、その葛藤は''途中で適当に有耶無耶になってしまい''、「歴史を変えればグッドエンド、変えなければバッドエンド」というあんまりなオチが待っている。 --更に、歴史や生命を面白半分に弄んでいた妹も、特に制裁を受けるわけでもなく放ったらかし。投げっぱなしもいいところである。 ~ ---- *逢魔が時プレミアムFANディスク 【おうまがどきぷれみあむFANでぃすく】 |ジャンル|サウンドノベル|~| |対応機種|プレイステーション|~| |発売元|ビクターインタラクティブソフトウェア|~| |開発元|ブレイク|~| |発送|2001年11月|~| |定価|非売品|~| //|分類||~| **概要 「もう1つの逢魔が時キャンペーン」の景品。『逢魔が時』『逢魔が時2』の帯に付いている応募券と、送料分の切手を送るともれなく入手できた。~ 本編の後日談である「外伝」と、ぷよぷよタイプのパズルゲーム「落物遊戯」、サウンドテスト、グラフィックとムービーを閲覧できるモードがある。~ **問題点 -外伝は1本道のシナリオで、4章立て。例によって文章スキップは不可能。やたら長い上に好きな章から読むことはできない。 --同封された印刷物では「そして原田は…?」と思わせぶりな表記があるが、実際はその他大勢のごとくちょっと触れられているだけ。 --慶応大学出身のスタッフでもいるのか、福沢諭吉がやたらヨイショされている。 -落物遊戯は、タイトルロゴが拡大縮小しながら異様な色に点滅しており、見ていると目がチカチカする。 -ムービー閲覧モードでは、ようやくムービースキップ機能が搭載された。今更こんなところで実装されても…。 -後に発売元のビクターは、イベントで「逢魔が時があのような出来になったのはブレイクのせいだ」と否定的なコメントを残している。 -翌年、ビクターは新サウンドノベル『月の光』を世に出しているが、これは『夜想曲』と同じ開発元によるものであった。 -同じく02年、ブレイクは『[[最終電車(PS2)>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/105.html]]』の開発に係わっているが…こちらは当該項目参照。 -余談だが、応募券は冗談の様に小さかった。