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キャプテン翼 (MCD) - (2023/07/19 (水) 23:29:49) のソース

*キャプテン翼
【きゃぷてんつばさ】
|ジャンル|スポーツ・シミュレーション|&image(570477_9489_front.jpg,http://www.amazon.co.jp/dp/B000147VVG,width=160)|
|メディア|CD-ROM 1枚|~|
|対応機種|メガCD|~|
|発売元|テクモ|~|
|発売日|1994年9月30日|~|
|定価|7,800円|~|
|プレイ人数|1~2人|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[キャプテン翼ゲームリンク>キャプテン翼シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
-斬新なシステムで高い評価を得た『[[キャプテン翼>キャプテン翼 (FC)]]』の流れを汲む作品。~
より原作準拠のストーリーになっており、漫画本編の冒頭から「中学生編」までを再現。~
媒体がCDであることを生かし、アニメ版(第1期)の声優を用いたビジュアルシーンを展開しているのが特徴。

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**特長・評価点
-ボイスの付いたビジュアルシーン
--原作の要所要所を、従来のようなビジュアルシーンで演出。そこまで試合に関係なかったシーンも収録している。
--安易にムービーを使わなかった点が生きたためか、ビジュアルシーンはかなりの量。
---さらに、本作のビジュアルシーンのボイスはすべて新録というこだわりぶり。
--ただ、完全な原作再現ではない。大まかな話の流れは同じだが、一部原作との差異がある。
--なお実況アナウンサーのオリジナルキャラ・チャーリー高橋も初めてボイスで喋ってくれるようになった。

-シナリオ面
--基本的に翼の所属するチームでのプレイであるが、要所要所でスポット的に別のチームを操作する展開が入るため、シナリオ進行の良いアクセントとなっている。
--また、過去作ではスポットの当たらなかった県予選も行われるため、ゲームの密度は高い。

-システムの拡張・修正
--完成度の高かった『[[キャプテン翼II スーパーストライカー]]』のシステムを軸にマイナーチェンジされている。
--「技レベル」の存在。
---キャラクター自身だけでなく、キャラクターの各コマンド(ドリブルやタックルなど)にレベルと経験値が設定されている。
---良く使用するコマンドほど能力が高くなるため、長所を伸ばしたり、短所を補ったりと、キャラクターの育成方針に幅が出た。
---また、経験値がマスクデータではなくなった。数値としてしっかり確認できる。
--フィールド画面のスムーズ化。
---今までの作品では1秒弱に1回、全キャラの位置が再描画されていて、カクカクした移動をせざるを得ず、~
また、敵にまとわり付かれるタイミングも分かりにくかった。
---今作ではかなり滑らかな移動が可能になったうえ、敵との接触で即コマンド画面に移行するようになった。

-必殺技の追加
--特に原作を再現した技がいくつも追加されているのがポイント。~
三杉の「アップキックボレー」や、立花兄弟の「トライアングルシュート」など。
--修哲トリオや、高杉・浦辺・反町といった、~
割とマイナーなキャラにも、少量ながらスポットが当てられている。少々能力が高いだけの汎用キャラではなくなった。

-試合のテンポの良さ
--キャプテン翼シリーズでよく引き合いに出されるのは、試合進行のスピーディさだが、~
本作のそれは3と同等か、少し速い程度。テンポは悪くなく、むしろ良いほうである。試合時間も短くなっており、サクサク進む。

-BGMに関してもある程度の評価がある。一部の曲は特に高評価。

-名勝負モードの存在
--パスワードなどを入力することなく、今まで行ったことのある試合を再プレイすることが出来る。

-難度の易化と、それに伴うスムーズな進行
--同じ試合を何度もやり直してレベルを上げることで試合を進めやすくすることは、キャプテン翼のゲームにおけるセオリーだった。
---今作では経験値取得のバランスが考えられ、レベル上げの必要性が発生しにくくなっている。何度も同じ相手と戦って経験値を溜めるような作業感がないのは、明確な利点と言える。

**問題点
-ロードの長さ
--ビジュアルシーンと試合の間に入るロードが長め。
--特に2P対戦モードに移行するときにロードが頻発する。
--しかしながら、試合中は一切ロードなどが入らないため、一度ゲーム部分が始まってしまえばストレスフリー。

-少々ボリューム不足
--全試合数は1と2の中間程度。
--Jrユース編は収録されていない。全日本は2P対戦モード専用チームとしてのみ存在。
---内部データには、諸外国のキャラクターが存在している模様。

-新規必殺技が地味
--小学生編からの原作準拠であまり派手な技を追加できないので仕方が無いのだが「ひっさつボレーシュート」、「スカイパンチング」等ネーミングがかなり投げやり。「ロングパス」、「ロングシュート」、「すばやいフェイント」等必殺技とは呼べないような物も。
---ただそんな中でも、特に無理矢理なのが志水FC加藤の「スーパーヘディング」で、志水FCは地区大会決勝で若林つぶしのためゴール前に上がったボールに大勢でジャンプして若林に体当りを敢行した((この作品では珍しいことに、このプレーでキーパーチャージの反則を取られている。))ので、その再現と考えられるが、そもそもボール自身ヘディング向きの高さとはいえハナから体当りが目的だったのでかなり無理のある宛がいである。
---またゲーム中の翼は小学生編ではドリブル状態の必殺シュートとして「バナナシュート」を持っているが、原作では翼がバナナシュートを使ったシーンは国際ジュニアユースが終わり全日本代表に入ったグレミオ戦のみ(しかも新聞記事による事後報告)。『[[VS>キャプテン翼VS]]』のように小学生の翼がドライブシュートというのも無理のある設定だが、元々使っていないシュートなだけに違和感しかない。~
原作では中学3年となった翼がドライブシュートを会得するにあたり、ロベルトが残したノートのメッセージの中に「これはボールの側面をけってカーブをかけるバナナシュートよりも数段難しい」という下りがあったため「バナナシュート」=「ドライブシュートの下位互換」というイメージから起用されたものだとしても少々安直な宛がい。

-若林の再弱体化
--IVでは''ペナルティエリア外のシュートに対する大幅な補正''が追加されていたがゲームバランスの関係からか今作では削除されてしまった。
---その為に順当に勝ち進むと、地区予選のモブからの''ペナルティエリア外からのただのシュート''で失点するなんて事も・・・・
--原作では南葛中学の部員たち(ラグビー、ハンドボール、''野球'')の放ったボールをすべてペナルティエリア外から止めて、大学生二人が同時にはなったシュートも止めており、原作準拠の今作でこそこの能力が若林にふさわしかったのでその点でも惜しい。

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**総評
システムもこれまでの良い部分を大きく伸ばしつつ新要素もうまく混ぜ込み、完成度の高いゲームに仕上げたテクモらしい職人芸がうかがえる逸品。~
突出した良い点はないが、悪いところもほとんど見当たらない。派手さもないが、非常に丁寧なつくりになっているという、典型的な良作。
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**余談
-能力値が240程度までいくと、突如インフレを起こす。~
次のレベルになったとたんに最高で500程度にまで跳ね上がる。
--といっても200ほどあればエンディングを迎えられるため、ゲームバランスには影響はない。
-キックオフ直前で放置するとシリーズの名物であるチャーリー高橋の一人語りが始まる、というのは本作でも一緒だが、~
本作ではこの一人語りが「チャーリー劇場」という名で行われ、1シーズンごとではなく、1試合ごとに内容が変わる。
--このためだけに専用のグラフィックが描かれていたり審判の台詞があるなど、やけに手が込んでいる。
-本作でのガッツ不足の際のセリフはなぜか他シリーズとは異なり「ざんねん!ガッツがたりない!!!」表記である。
--とはいえ本作の知名度の低さからあまりネタにされていなかったりするが...
-日の目を見る機会が少なかった本作であるが、2022年10月27日発売のメガドライブミニ2に収録された。良作でありながらプラットフォーム的に遊ぶ機会が限られる作品であるだけに朗報である。
--本作の収録にあたっては前述の通りビジュアルシーンを新録した関係で声優関連の許諾を取るのが非常に大変だったとのこと。
--余談だが、本作はメガドライブミニ2に収録されるメガCD作品としては最後に発表された作品である。
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