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キャプテン翼 (MCD) - (2024/01/27 (土) 14:08:07) のソース

*キャプテン翼
【きゃぷてんつばさ】
|ジャンル|スポーツ・シミュレーション|&image(570477_9489_front.jpg,http://www.amazon.co.jp/dp/B000147VVG,width=160)|
|メディア|CD-ROM 1枚|~|
|対応機種|メガCD|~|
|発売元|テクモ|~|
|発売日|1994年9月30日|~|
|定価|7,800円|~|
|プレイ人数|1~2人|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[キャプテン翼ゲームリンク>キャプテン翼シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
-斬新なシステムで高い評価を得た『[[キャプテン翼>キャプテン翼 (FC)]]』の流れを汲む作品。~
より原作準拠のストーリーになっており、漫画本編の冒頭から「中学生編」までを再現。~
媒体がCDであることを生かし、アニメ版(第1期)の声優を用いたビジュアルシーンを展開しているのが特徴。

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**特長・評価点
-ボイスの付いたビジュアルシーン
--原作の要所要所を、従来のようなビジュアルシーンで演出。そこまで試合に関係なかったシーンも収録している。
--安易にムービーを使わなかった点が生きたためか、ビジュアルシーンはかなりの量。
---さらに、本作のビジュアルシーンのボイスはすべて新録というこだわりぶり。
--ただ、完全な原作再現ではない。大まかな話の流れは同じだが、一部原作との差異がある。
--なお実況アナウンサーのオリジナルキャラ・チャーリー高橋も初めてボイスで喋ってくれるようになった。
---ただ残念ながら、その声は原作アニメでアナウンサーを担当した村山明氏ではないのが残念な所ではあるが。

-シナリオ面
--基本的に翼の所属するチームでのプレイであるが、要所要所でスポット的に別のチームを操作する展開が入るため、シナリオ進行の良いアクセントとなっている。
--また、過去作ではスポットの当たらなかった県予選も行われるため、ゲームの密度は高い。

-システムの拡張・修正
--完成度の高かった『[[キャプテン翼II スーパーストライカー]]』のシステムを軸にマイナーチェンジされている。
--「技レベル」の存在。
---キャラクター自身だけでなく、キャラクターの各コマンド(ドリブルやタックルなど)にレベルと経験値が設定されている。
---良く使用するコマンドほど能力が高くなるため、長所を伸ばしたり、短所を補ったりと、キャラクターの育成方針に幅が出た。
---また、経験値がマスクデータではなくなった。数値としてしっかり確認できる。
--フィールド画面のスムーズ化。
---今までの作品では1秒弱に1回、全キャラの位置が再描画されていて、カクカクした移動をせざるを得ず、~
また、敵にまとわり付かれるタイミングも分かりにくかった。
---今作ではかなり滑らかな移動が可能になったうえ、敵との接触で即コマンド画面に移行するようになった。

-必殺技の追加
--特に原作を再現した技がいくつも追加されているのがポイント。~
三杉の「アップキックボレー」や、立花兄弟の「トライアングルシュート」など。
--修哲トリオや、高杉・浦辺・反町といった、~
割とマイナーなキャラにも、少量ながらスポットが当てられている。少々能力が高いだけの汎用キャラではなくなった。

-試合のテンポの良さ
--キャプテン翼シリーズでよく引き合いに出されるのは、試合進行のスピーディさだが、~
本作のそれは3と同等か、少し速い程度。テンポは悪くなく、むしろ良いほうである。試合時間も短くなっており、サクサク進む。

-BGMに関してもある程度の評価がある。一部の曲は特に高評価。

-名勝負モードの存在
--パスワードなどを入力することなく、今まで行ったことのある試合を再プレイすることが出来る。

-難度の易化と、それに伴うスムーズな進行
--同じ試合を何度もやり直してレベルを上げることで試合を進めやすくすることは、キャプテン翼のゲームにおけるセオリーだった。
---今作では経験値取得のバランスが考えられ、レベル上げの必要性が発生しにくくなっている。何度も同じ相手と戦って経験値を溜めるような作業感がないのは、明確な改良点と言える。

**問題点
-ロードの長さ
--ビジュアルシーンと試合の間に入るロードが長め。
--特に2P対戦モードに移行するときにロードが頻発する。
--しかしながら、試合中は一切ロードなどが入らないため、一度ゲーム部分が始まってしまえばストレスフリー。

-少々ボリューム不足
--全試合数は1と2の中間程度。
--Jrユース編は収録されていない。全日本は2P対戦モード専用チームとしてのみ存在。
---内部データには、諸外国のキャラクターが存在している模様。

-新規必殺技が地味で無理矢理感が強い。しかもそれを無理矢理宛がう選手のチーム自体的が外れているものも目立つ。
--小学生編からの原作準拠であまり派手な技を追加できないので仕方が無いのだが後述の通りネーミングがかなり投げやり。「ロングパス」、「ロングシュート」、「すばやいフェイント」等必殺技とは呼べないような物も。
--そんなナゾ技を使い手の中には選手自身もナゾな存在が多々いて、そんなナゾ選手でヘンな形に強化された原作でのザコチームもある。それが下記の通り。

|チーム|大会|選手名|必殺技|
|志水FC|小学生編静岡大会|かとう|スーパーヘディング|
|北山FC|小学生編全国大会|うしやま|パワーブロック|
|新城FC|小学生編全国大会|さわまつ|ロングシュート|
|~|~|ほくと|ひっさつボレーシュート|
|岡部中|中学生静岡大会|しらとり|スウカイパンチング|
|東一中|中学生全国大会|つじ|ハンドトラップ|

--存在自体ナゾに思える北山FC・新城FC・岡部中はいずれも確かに原作で名前が出てきて南葛と対戦したチームや学校ではあるが、ロクに試合のシーンは描かれずダイジェストまたはオールカットされた相手ばかりで、いずれも南葛の圧勝だった((新城FCは決勝トーナメント2回戦で7-0、岡部中は静岡大会準決勝で戦い5-1、北山FCは無印では原作・アニメとも勝った事実しか語られないので詳細は不明だが圧勝と思われる。参考までに後の『J』では北山FC戦は8-0。))。当然「うしやま」「さわまつ」「ほくと」「しらとり」は彼らの名前など一度も呼ばれていない。
---この通り、志水FCと東一中を除けば原作では全くとるに足らなかったモブチームばかり。テクモオリジナルは好評だったとはいえ本作は原作準拠なのでこのような改変は違和感しかない。
--志水FCの加藤の「スーパーヘディング」は原作にそれっぽいエピソードがあるのでわからなくもないが、そのシチュエーションは地区大会決勝で若林つぶしのためゴール前に上がったボールに大勢でジャンプして若林に体当りを敢行した((この作品では珍しいことに、このプレーでキーパーチャージの反則を取られている。))ので、そもそもその先導がこの加藤かどうかすらわからないしボール自身ヘディング向きの高さとはいえハナから体当りが目的でヘディングはしていなかったのでかなり無理のある宛がいである。
--東一中のキーパーは確かに辻という名前だったが特に活躍などしていない。来生のシュートはキャッチしたものの、翼のシュートには手も足も出ず不意を突かれたとはいえ高杉のヘディングであっさり決められたりと、キーパー自身に優秀さが感じられるものではなかった((落ちが足りず失敗のドライブシュートのは反応すらできなかった。来生はこの当時はほとんどモブに毛の生えた程度の扱いでしかなかった。))。
---片や難波の巨漢キーパー中西は一切技がない。彼は確かに南葛戦で翼に無失点記録が破られて落ち着きをなくしそのまま5失点で大敗したものの、落ち着いている間は翼のシュートも止めていて、そのでかい図体もあって最初は強キャラ感もあり、この当時は全国区でも若林、若島津に次ぐ3番手ポジションのキーパーだったので、彼の方がまだこういったムリムリ技を貰う価値があったはずだろう。
--また、このようなザコチームを入れるぐらいならば、せめてジュニアユース大会を入れてほしかったという声は多い。

-若林の再弱体化
--IVでは''ペナルティエリア外のシュートに対する大幅な補正''が追加されていたがゲームバランスの関係からか今作では削除されてしまった。
---その為に順当に勝ち進むと、地区予選のモブからの''ペナルティエリア外からのただのシュート''で失点するなんて事も・・・・
--原作では南葛中学の部員たち(ラグビー、ハンドボール、''野球'')の放ったボールをすべてペナルティエリア外から止めて、大学生二人が同時にはなったシュートも止めており、原作準拠の今作でこそこの能力が若林にふさわしかったのでその点でも惜しい。

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**総評
システムもこれまでの良い部分を大きく伸ばしつつ新要素もうまく混ぜ込み、完成度の高いゲームに仕上げたテクモらしい職人芸がうかがえる逸品。~
突出した良い点はないが、悪いところもほとんど見当たらない。派手さもないが、非常に丁寧なつくりになっているという、典型的な良作。
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**余談
-能力値が240程度までいくと、突如インフレを起こす。~
次のレベルになったとたんに最高で500程度にまで跳ね上がる。
--といっても200ほどあればエンディングを迎えられるため、ゲームバランスには影響はない。
-キックオフ直前で放置するとシリーズの名物であるチャーリー高橋の一人語りが始まる、というのは本作でも一緒だが、~
本作ではこの一人語りが「チャーリー劇場」という名で行われ、1シーズンごとではなく、1試合ごとに内容が変わる。
--このためだけに専用のグラフィックが描かれていたり審判の台詞があるなど、やけに手が込んでいる。
-本作でのガッツ不足の際のセリフはなぜか他シリーズとは異なり「ざんねん!ガッツがたりない!!!」表記である。
--とはいえ本作の知名度の低さからあまりネタにされていなかったりするが...
-日の目を見る機会が少なかった本作であるが、2022年10月27日発売のメガドライブミニ2に収録された。良作でありながらプラットフォーム的に遊ぶ機会が限られる作品であるだけに朗報である。
--本作の収録にあたっては前述の通りビジュアルシーンを新録した関係で声優関連の許諾を取るのが非常に大変だったとのこと。
--余談だが、本作はメガドライブミニ2に収録されるメガCD作品としては最後に発表された作品である。
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