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ひょっこりひょうたん島 なぞのかいぞくせん - (2016/11/10 (木) 04:05:12) のソース

*ひょっこりひょうたん島 なぞのかいぞくせん
【ひょっこりひょうたんじま なぞのかいぞくせん】
|ジャンル|アクション・アドベンチャー|&amazon(B000068GX0)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|発売・開発元|ユタカ|~|
|発売日|1992年4月25日|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|子供たちの得意不得意が解る&br;ハカセさん…|~|

**概要
NHKの連続人形劇のうちの一作、かつ国民的人気番組『ひょっこりひょうたん島』がファミコンに上陸。~
当時は『NHKの国民的人形劇がファミコンでゲーム化され、ひょうたん島の世界で遊ぶことができる』という事で話題となり、幼少時代にオリジナル版を見ていた大人の視聴者や、本作が発売されていた当時、NHK-BS2で放送されていたリメイク版を見ていた子供達を大いに歓喜させた。

**あらすじ
ひょうたん島に謎の海賊船が上陸。その中へ五人の子供達のうちの一人であるプリンが入ってしまい、行方不明となる。~
残された四人の子供達は、大人たちが心配する中、プリンを救出する為に海賊船へと乗り込む。~
「子供達だけでは不安だ」という理由でライオンも着いていくことに。~
果たして子供達とライオンは、無事にプリンを見つけ出し、海賊船から脱出する事ができるのであろうか…?

**システム
-アドベンチャーパート
--キャラクターたちのやり取りに加え、三択クイズ等ただテキストを読ませるだけではない要素も用意されている。

-アクションパート
--子供達とライオンを切り替えながら操作していき、海賊船内にいる敵キャラ達を倒していく。
---ライフは存在せず、敵から一撃でも攻撃を貰った場合は即ミス。ステージの最初からやり直しとなる。
--飛び道具としてロープ、拳銃、ブーメランの中から一つを選択し持っていく事ができる。
---ロープやブーメランはは遠くのスイッチを押すのに使用する。敵を攻撃することも可能で、当たった相手はしばらく行動不能になる。
---拳銃は攻撃専用。撃つとビーム光線を発射し、敵に当たると敵は埴輪の様なオブジェクトになる。埴輪になった敵は動かすことも可能で、特に後半はこれを知っているか否かで大分難易度に差が出てくる。

**登場キャラクター
*子供達
-ハカセ
--子供達のリーダーを務める博識の少年。歩くのが遅く、飛び道具も苦手。このゲームにおける実質的な主人公。
-テケ
--食いしん坊の少年で、料理は食べるのも作るのも好き。全ての能力が高く設定されている。
-ライオン
--島のマスコット的存在。オス。ブーメランやロープなど飛び道具の扱いは苦手だが、スピードは一番速い。
-ダンプ
--子供達の中で一番の力持ち。ちからが高く設定されている。
-チャッピ
--金太郎の様な髪型が特徴の少女。ダンプと能力はほぼ同じ。
-プリン
--ちょっぴりおしゃまな少女。彼女が海賊船に乗り込み行方不明となってしまった事から、本作のストーリーが始まった。
*大人達
-ドン・ガバチョ
--一応、原作では主人公。ひょうたん島の初代大統領で、本作では最初のデモ画面にて、岬に謎の海賊船が現れたことを島民たちに告げた。
-マシンガン・ダンディ
--ひょうたん島で保安官を勤めている、元・シカゴのギャング。本作では子供達に愛用の拳銃を一丁貸し出している。
-トラヒゲ
--隻眼の海賊。本作ではデモ画面にのみ登場。
-ムマモメム
--お医者さん。
-サンデー先生
--子供達の担任。行方不明になったプリン、並びに彼女を探す為に海賊船に潜り込んだ子供達を心配する。
*オリジナルキャラクター
-海賊フラットシャープ
--海賊船の船長。元々は世界中の音楽を集めていた海賊だったが、魔物『メゾホルン』との戦いに敗れ死亡。その後睡眠薬を使ってメゾホルンを眠らせることには成功したが、古時計が五回なってしまうとメゾホルンは復活してしまうという…。
-メゾホルン
--フラットシャープを倒した魔物。フラットシャープの手により眠りについていたが…。

**評価点
-''原作同様の、登場キャラクターの面白いやりとり''
--最初のデモでガバチョが「〇〇ですぞ~!」等、お馴染みの口調で話しながら皆とやりとりをするのはまだ序の口。
--ゲーム終盤でハカセが「ぼくはうんどうがにがてだからみんなのあしをひっぱってばっかりで・・・。もうすこしはやくはしれることができたらこんなめにあわずにすんだんだ。」と、少し罪悪感を感じながら皆に話すシーンは必見である。
--また、メゾホルンを封じるオルゴールを完成させた後、プリンがコンビーフの螺子で回そうとするシーンは脱力感が溢れてくる。

-''演出面の評価点''
--原作の雰囲気が、ファミコンながら上手く再現できている。
--アドベンチャーパートのグラフィックがとても綺麗であり、登場キャラがアニメ調でしっかり再現されている。良い意味でファミコンらしからぬクオリティである。
---原作を見た事がある人ならより楽しめる上、そうでない人でも原作に興味を持つには十分な出来栄えとなっている。
--タイトルに流れるOPもひょっこりひょうたん島のテーマソングを忠実に再現している。アドベンチャーパートのBGMもOP曲のアレンジとなっており、プレイしていて楽しくなること間違いなし。
--エンディングは、夕日をバックに子供達とライオン、そしてダンディが並んでいるというもの。哀愁が溢れていて非常に良い演出である。気になったのであれば、是非ともその目で確かめていただきたい。

-''分かりやすく覚えやすい合言葉''
--章の区切りごとに合言葉(平仮名8文字)が表示され、電源を切った後でも続きから遊べるようになっている。
---表示される合言葉はゲームの内容に関係した特定の短文。非常に覚えやすい為「[[じゅもんがちがいます>ドラゴンクエストII 悪霊の神々]]」といった悲劇も発生しにくい。~
&color(White){例えば「ぼうしはあかいよ」「ぎんのねじはなし」などといった具合。これなら間違える心配も無いだろう。}

**賛否両論点
-''アクションパートがやや難しい''
--上述の様に敵に触れると一発でミスになるので、上手くパターンを練らないといけない。
---また、後半のアクションパートのラッシュは慣れていても少々厳しいものがある。キャラゲーだからと侮っていると間違いなく痛い目を見るだろう。
---銃で埴輪にした敵キャラの動かし方次第では所謂「詰み」に陥ることもある。一応そうなった場合の為に自爆コマンドなんてものもあるのだが、配慮の方向性を若干間違えてはいないだろうか?
--章の終わり以外ではセーブ不可能という仕様もあって、当事本作を遊んだ多くの子供達を返り討ちにしたであろう事は想像に難くない。

-''ハズレ自機同然のハカセ''
--原作でも体育が苦手設定だったためか、スピードも遅く飛び道具も弱い。身も蓋も無い言い方になってしまうが、アクションパートにおいてハカセを有効活用できる箇所は存在しない。飛び道具はともかくスピードが遅いことについては、原作再現として間違ってはいないのだが…。
---アクションパートで「うん!ここなら僕でも大丈夫だ。」と自信ありげに宣言するステージがあるのだが、そのステージがいかんせん長い。足の遅いハカセでそのステージを攻略するのは若干しんどい部分がある。
---一応彼にも見せ場はある。第5章のオルゴール組み立てハカセを選択しなければならないため、ここで彼の存在が活きる。

**問題点
-''プレイヤーキャラクター選択に関する仕様''
--3つの部屋を探検するパートでは一度選択したキャラクターは、そのパートが終わるまで再選択できない。一度選択したキャラを選ぼうとすると「やっぱりじしんがないや、ごめんね。」と辞退してしまう為、どこでどのキャラクターを選ぶかが重要になってくる。これだけならばまだ、戦略性を高める要素だと前向きに捉えることはできなくもないが…。
--イベントによって途中離脱するキャラが多い。本編を通して使用可能なのがよりにもよってハカセ位しかいないのは正直痛い。
--最終面では最強クラスの能力を有するダンディや実はハカセより性能が低いプリンが加入するものの、操作キャラとしては選択できない。キャラゲーとしてそれはどうなのか。

-''出番の無いキャラクターが存在する''
--『なぞのかいぞくせん』という副題にも拘らず、海賊四人組(ガラクータ、トウヘンボク、ドタバータ、ヤッホー)とキッド坊やは本作には登場しない。
---この五人は原作では準レギュラーキャラクターの為、未登場である事を残念がる原作ファンも多い。

-''キャラクターの言動''
--キチンと原作のやりとりを再現している部分が多い一方、やや首を傾げたくなる場面も存在する。
--基本は子供達とライオンで行動するが、その場にいないとはいえハカセがダンディやガバチョ等の年長者を呼び捨てにする。ダンディが目の前にいる場合でも、ボーレーと出くわし極端に怖がる彼に対して「ダ、ダンディ・・・」と呆れたように呟いたりする。
---原作のハカセは基本的に年長者に対しては「~さん」付けであった筈なのだが。
---原作で海賊や魔女に立ち向かったダンディさんも、ボーレーには弱いのだろうか…。
--ハカセについては「テキストによる容量消費を減らす為の苦肉の策」と擁護できない事はないし、ダンディも「実はボーレー(亡霊)だけは極端に苦手」と解釈することは可能ではある。しかし、テケの言動については完全に擁護不能。
---序盤はライオンに対してとにかく冷たい。怖がるライオンに対して「ひとりでかえれば?」と言い放つ等。終盤では「ライオン、いじわるばっかりいってごめんな。」と謝罪する場面はあるのがせめてもの救いかもしれない。
---ある小部屋にアンパンがあったから「食べに帰る」という理由でメンバーから離脱する。テケは度々「腹減った」と言うキャラだが、集団行動を乱すほど食い意地が張っているキャラでは断じてない。

-''とにかく煩わしいドアクイズ''
--ゲームを進行させていくと、船内にいるボーレーが意地悪を仕掛けて来る。
---「三つのドアの中から正解のドアを一つ選べ」という内容だが、間違えると最初の地点に戻されてしまう為非常に煩わしい。
---途中まで進めると何度かクイズを出題してくる。定番の「今、何問目?」系の問題まで出てくるため更に煩わしい。

-''最終ステージの謎解き''

#region(本作の謎解きについてネタバレ要素を含みます。閲覧注意)

-最終ステージでは、手に入れたアイテムを「一つのメロディになるように」配置するという謎解きがあるのだが、音階と符号の位置を合わせる必要がある。絶対音感に自信が無い場合は結構な苦行になる。
--開始前にどのアイテムがどの音に該当するのか説明するシーンはあるが、操作中は前半部分の解説を読めない。絶妙な不親切ぶりである。
--アイテムのアイコンも似たような形状のものがいくつかあるため、余計にややこしくなってしまっている。

-実はゲーム中盤に「正解のメロディそのもの」が流れるシーンがあるが、本作発売当時はカセットテープやビデオぐらいしか録音(録画)環境が無い。中盤の何気ないメロディを記憶しているプレイヤーはそう多くないだろう。ヒントとして機能しているとはとても言い難い。
--音階はドから高いドまで1つずつしか無いので、最悪総当りでもクリアは可能なのがせめてもの救いと思われる。

#endregion

**総評
アクションパート面の難しさやハカセの性能面等、ゲーム単体では引っかかりを覚える点があるものの、ひょうたん島を題材としたゲーム作品の中では「良くも悪くも無難」といった印象が強い。

クソゲーが乱発されがちなキャラゲーにおいて、キャラ設定を活かし、それでいてオリジナルストーリーの違和感も無く、グラフィックのレベルも高いという作品はそうそう無い。~
そういう意味では、本作はキャラゲーとしては水準以上のクオリティを持っている。~
原作のファンなら一度プレイしてみるのも良いだろう。ひょうたん島を知らない世代であっても、触ってみる価値は十分にある一作である。

しかしながら版権の都合上VC配信は難しく、本作を遊ぶには実物のゲームソフトを探すしかないという点が悔やまれる。