「ウィザードリィIII ダイヤモンドの騎士」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ウィザードリィIII ダイヤモンドの騎士 - (2017/03/04 (土) 04:17:33) のソース

**ウィザードリィIII ダイヤモンドの騎士
|ジャンル|RPG|&image(http://ec2.images-amazon.com/images/I/51RmXLKZmPL._SL500_AA300_.jpg,http://www.amazon.co.jp/アスキー-ウィザードリィIII/dp/B000068HZV,width=160)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|メディア|2MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|アスキー|~|
|開発元|ゲームスタジオ|~|
|発売日|1990年3月9日|~|
|定価|6,500円|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[Wizardryシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1088.html]]''|

----
#contents(fromhere)
----
#center{&size(16){''おろかもの ここにねむる''}&br()(地下6階の墓石のメッセージ)}
----
**概要
シナリオ2『The Knight of Diamonds』の移植。『[[I>Wizardry#id_484d32d0]]』『[[II>ウィザードリィII リルガミンの遺産]]』と同様にゲームスタジオ担当。~
-FC版では''シナリオ#2と#3の順序が入れ替わっている''。このため、本作は『III』と銘打っているが、原典では『#2』にあたる。(以降、原作版に関しては#表記を用いる)。
--PC版の『#2』は『#1』のキャラクターを引き継いで遊ぶためのシナリオだったが、FC版の本作では新規作成キャラクターで攻略できるようにバランスが調整されている。
---FC版でこのような独自調整を行った理由はFC版『II』を参照のこと。

**ストーリー
> ニルダの杖の加護により、外部の邪悪なる者達に対する鉄壁の守りを得ていた街、リルガミン。~
しかし、内部より生まれた邪悪な魔人ダバルプスにより杖は奪われてしまう。~
リルガミン王家の生き残り、アラビク王子は伝説のダイヤモンドの武具を身にまとい、ダバルプスを打ち倒すが、~
ダバルプスが最後に放った呪いにより、全てが地中に呑み込まれた。~
~
伝説の武具を探し出し、ニルダの杖を取り戻すため、~
冒険者達はダバルプスの呪い穴に挑む…。

**システム
-基本的なゲームシステムは『I』に準じる。
--最大6名のパーティーで、一人称視点の3D迷宮を攻略していく。

-FC版では『I』『II』からキャラクターを転生させることが可能(外部機器ターボファイルが必要)。
--最大の利点は強さそのものよりも、「『I』で使った愛着のあるキャラを、クリアした称号と共に引き継げる」事かもしれない。
//---但し、FC版ではシナリオを入れ替えたことにより、『III』より未来の話であるはずの『II』から転生が可能(逆は無理)という妙な事になってしまっているが。
//PC版でも一度#3で通過の儀式を行ったキャラは自由に#1・2へ転送可能

-全体のバランス調整
--概要で述べた通り、本作は新規作成キャラクターで攻略できるようにバランスが調整され、迷宮も再構成された。
---クリア後の隠し要素も追加されている(詳細は評価点にて)。
--怪物の強さも調整されている他、シリーズの他作品から一部の怪物を移植している。序盤の怪物だと#1からはオークやコボルド、クリーピングコイン等、#3からはマミーやウィッチ等。#4からは主に終盤の強敵が追加されている。
////「#4からモンスターを追加」
//マンティコア、イビルアイ、ゴールドドラゴン、ブラックドラゴン、アイアンゴーレム、サッキュバス、ライカーガス、デーモンロード
--呪文については、#5から「メリト」「ツザリク」「ラダルト」等の新呪文を導入。既存の呪文も一部は習得レベルが変更されている。

-その他、FC版独自のアレンジ
--従来は特性値の上限が一律18だったのを、「種族基本値+10」に変更。成長後も種族毎の個性が出るようになった。また、ホビットの素早さの初期値が10から12に上昇した。
--原典では特定地点において入力式の謎解きがあるが、これを「キーアイテムを所持していれば通過できる」方式に変更。
---なお入力式の謎解きの実装はSFC版の『V』まで待つことになる。

**評価点
-FC版『I』『II』譲りの操作性と、更に向上したグラフィック
--これらについては『I』の評価を参照されたし。本作でもこれらの良点は健在で、美麗に描かれたモンスター相手にストレス無く戦うことができる。
--グラフィックについては『I』や『II』よりも更に向上している。
---『II』でも平坦な白塗りだった迷宮の壁が、本作では苔むした石壁のグラフィックとなり、陰鬱な迷宮の雰囲気作りに貢献している。
---オークやコボルドといった移植モンスターのドット絵も『I』より向上している。当時のFC系雑誌で比較画像が掲載された事もあった。
//具体的な誌名は覚えていませんが、紹介記事の中に確かにあったはず、

-適度なアレンジ
--本作では特に際立っている。ゲームバランスそのものに手を加え、系列作品からも要素をとり入れ、それでいながら元となる#2の雰囲気が損なわれていないのは凄いという他ない。

-ゲームクリア後の追加要素
--FC版オリジナルの要素として、隠しボスが用意されている。
--クリアした称号を持つキャラクターがクリア条件である伝説の武具を全て装備した状態で、「1人で」特定地点を訪れると、隠しボスのいる場所への道が開く。
---なお、この道は、最下層のマップの中に巧妙に組み込まれている。宝箱の罠でランダムテレポートしたパーティーが偶然そこに入ってしまうことがあるのはご愛嬌。
//←その方法こそ運任せであるし、正当の想定を運ゲーと揶揄のような表現をするなら隠しボスが強すぎるなど問題点にあげるべき。そもそも強くても問題ではないが。
//運ゲーというのは揶揄じゃなく本気で運ゲーだから、問題点にあげたぞ。

**賛否両論点
-原典からであるが、伝説の武具が強すぎる
--鎧・盾・兜・剣・小手の5種類の伝説の武具(コッズアイテム)があるが、どれも特定の魔法を無限に使えてしまう。特に小手は、最強呪文のティルトウェイトが使い放題。
//--とは言え、原作である#2の時点で、これらを使うこと前提のバランスなのも事実である。

**問題点
-原典からであるが裏技で経験値がインフレする
//自分で書いておいて何ですが、問題点として適当かどうかは何ともいえません。
--まず前提として本シリーズでは、職業ごとにレベルアップに必要な経験値が違う。概して上級職より下級職の方が必要経験値が少ない(=同じ経験値であればレベルが高くなる)。
--また本シリーズにはレベル据え置きで上級職に転職できるアイテム「力のコイン」がある。但しこれを使って下級職から転職した場合、現在経験値も据え置きなので、「(上級職のレベルから逆算して)次レベルに上げるために莫大な量の経験値を要求される」という、ちょっと困ったことになる。
---この場合、(レベルドレイン等で)わざとレベルを下げると、現在経験値も再計算されて上級職相応の経験値に引き上げられる。
--…と、ここまでならシリーズの他作品でもみられる現象だが、本作では『レベル据え置きで下級職に転職できるアイテム』が存在する。先ほどの「力のコイン」の使用後である。これはこの後壊れ、さらに使用キャラの死亡というデメリットがあるが、魔術師呪文のマハマン(ランダム効果)を効果「死者蘇生」が出るまで使えば確実に蘇生可能。
---経験値に関しては上記の逆のことが起きる。つまり「(下級職のレベルから逆算して)経験値が大量に余るため、更なるレベルアップが可能」になる。
--これらを悪用すると、「上級職化→レベルダウンさせて現在経験値を増やす→下級職化→宿屋に泊まってレベルを上げまくる→…」といった経験値の荒稼ぎが可能になってしまう。
--とはいえ、確実に手に入るアイテムではない上に消耗品であるし死亡リスクもあること、また隠しボスを正攻法で倒すにしてもレベル30もあれば十分なことから、このアイテムの存在がバランス崩壊に繋がっているわけではない。
---変化後の職業もランダムなので、うかつに使うとパーティ内の役割分担が崩れることもある。これによるレベルアップが気兼ねなく行えるのは、クリア後のやりこみにおいて同アイテムを大量に入手した後である。

-隠しボスとの戦闘が正攻法で挑むと運ゲー。
--正攻法ではないランダムテレポートに頼る方もそれ自体が運ゲーではある。
--正攻法だと一人での挑戦を強制されるので、いくらレベルを上げても麻痺・クリティカルを1回でも受ければそれで全滅となる((石化に関しては伝説の武具で耐性が付く。))。本作で麻痺とクリティカルに耐性のある装備は、伝説の武具と引き換えに手に入るアイテムと、当の隠しボスからの戦利品しかないので、最初の挑戦時はどうやっても耐性をつけられない。
--そして隠しボスとの戦闘は、隠しボスと、確定で登場する取り巻きのどちらもが麻痺とクリティカル持ち。さらに追加で最大6体の麻痺持ちが取り巻きとして現れる可能性がある。さらにこの取り巻きは仲間を呼ぶ。呪文を唱えることが多く、伝説の武具で攻撃は当たりにくいとはいえ、呪文無効化率の高い敵を1体ずつ切り倒している間に一回でも麻痺をもらったらそこで終わりである。
--また、マバディ(HPを強制的に1~8にする呪文)も唱えられたが最後必中なので、直後に他の攻撃を食らえばやはり終わりである。こちらは隠しボス本人しか唱える可能性がないのが救い。
--隠しボスと戦う前にも麻痺・クリティカル・マバディ持ちがかなりの割合で存在する地下6階の強敵を何回か倒さなければいけないので、隠しボスと戦う前に全滅する可能性もありうる。
--そもそもウィザードリィでは6人パーティでの冒険が前提で、1人での冒険というのは縛りプレイややりこみプレイの域である。6人で挑んでも相当レベルが高くないと苦戦する相手に、それを強制させるのはいかがなものか。

----
**総評
概要や評価点にもある通り、本作はゲームバランスそのものに手を加えた作品である、それでいながら元となる#2の雰囲気が損なわれていないのは凄いという他ない。~
移植版の開発元であるゲームスタジオの妙技ここに極まれり、といったところか。良アレンジの移植作である。