「BASEBALL HEROES」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

BASEBALL HEROES - (2014/02/27 (木) 14:57:47) のソース

*BASEBALL HEROES
【べーすぼーるひーろーず】
|ジャンル|トレーディングカードアーケードゲーム|~|
|対応機種|アーケード|~|
|発売・開発元|コナミ(1)&br()コナミデジタルエンタテインメント(2~)|~|
|稼動開始日|1:2005年11月11日&br()2:2006年10月25日&br()3:2007年10月24日&br()2008制覇:2008年10月22日&br()2009覇者:2009年10月28日&br()2010 WINNER:2010年9月22日&br()2011 SHINE STAR:2011年9月21日&br()2012:2012年9月26日&br()2013:2013年4月25日|~|
|1プレイ料金|1試合300~600円|~|
|ポイント|プロ野球の監督になれるゲーム&br()とっつきやすいシステムとTCAG界屈指のカードプール&br()でもあんまりバランスはよくない&br()そしてささやかれる贔屓の噂|~|
|備考|e-AMUSEMENT、PASELI対応|~|

----
#contents(fromhere)
----
**概要
-KONAMIのTCAG。2014年現在は第9作であるBASEBALL HEROES 2013が稼動中。略称は『''BBH''』。
--題材としているのは日本プロ野球。打席は常にフルカウント状態から始まる一球勝負で、基本的に試合はオートで進行していく。
--ではプレイヤーは何をするのかというと野球での''監督業全般''である。
---開始前のオーダー決定、代打やピッチャー交代、守備固めといった選手起用に采配を振るう。
---その他、各選手の打席、及び守備時に「サイン」というコマンドを使って選手に直接指示を与えられ、守備側なら守備シフトを動かすこともできる。采配には相性があり、それによって打撃or投球の成功率が変動する。
---また、プレイヤー同士の直接対決要素としてVSモードがある。これは選択すると九分割したストライクゾーンが現れ、打者側は相手が投げてくるであろうコース、投手側はそれを避けれるコースにそれぞれサークルを置き、タイミングゲージの位置を予想する。そしてタイミングゲージの位置でサークルの大きさが変動し(しない場合も多い)その後二つのサークルの状態によって打席での結果が変わるというものである。サークルが外れていれば空振り三振で投手側の勝ち(フォアボールの場合もある)、サークルが被っていればその被り具合とゲージの位置関係でヒットやホームラン、凡打になる。
--試合が終わると選手カードが排出される。この選手カードを登録して自分好みのチームを作り上げていく。
--そのため、プレイの感覚はTCAGに多く見られるアクション色の強いものではなく、SLG色の強いものになっている。
--カードはプロ野球選手のもので1軍は28人、2軍は14人まで登録可能(2013現在)。選手のグラフィックやモーションはプロ野球スピリッツのものを流用している。
---ちなみに最初のチームにはノンカード選手というものが登録されており、選手カードを1枚も持っていなくてもプレイは可能である。現在ではノンカードでもレベルアップするようになっている
-本作がKONAMIの共通ICカードe-AMUSEMENT PASS対応第1弾でありゲームデータの保存は従来の磁気カードからICカードで行うようになった。

----

**評価点
-とっつきやすいシステム
--やるべきことはタッチパネルでの選手への大まかな指示や采配の選択、VSでのターゲットの位置選択&タイミング予想、選手交代でのカード交換程度。操作も打者や投手の意識を変更するためにカードを上下に動かす程度((野手ならミート打ちか強振、投手なら球威重視かコントロール重視という具合。))。なので初めてプレイするという人でも簡単に遊べるようになっている。

-自由にチームを構築
--チーム構築に関する制限はほぼ無く((稼動時にNPBに所属していない選手は使用不可能。例えば城島健司選手は2005年まで日本でプレーしていたので初代では使用することが出来たが、翌年からメジャーでプレーするようになったので2以降は使用できなくなった。しかし、2010年に日本球界に復帰したので2010 WINNERからはまた使用できる。またNPBには所属していても、一軍の試合に出場することができない育成選手も使用不可。それに加え、後述するノスタルジックカードには2枚までという制限がある。))、プレイヤーが考える最強のオールスターチームや外国人選手オンリーのチームなど、やりかた次第で様々なチームが編成できる。無論、選択したチームの選手のみで構成したチームでプレイする監督も多い。
--オールスターチームを使うプレイヤーと純正チーム((使用チームの所属選手のみで構成されたチーム。現在では、現実と同じメンバーにしているチームを指すことが多い。))を使うプレイヤーの間で度々議論が起こるのだが、それはプレースタイルの問題なのでここでは割愛する。

-膨大なカードプール
--12球団の選手を入れるため、カードは1バージョンのシーズン途中で能力査定をした初期カードで360~450枚程度、それに稼動半年程度で追加カードが加わる。他のアーケードカードゲームと比較してもかなり多い。
---ちなみに追加カードというのはバージョンの年での最終成績を加味した査定での再録カードがメイン。パワプロで言うところの決定版である。また3以降、「初期カードの収録から漏れたが、その査定期間以降に活躍した選手が新規で排出される」ということも。
--旧バージョンの選手カードに対するエラッタや現行バージョンに合わせた能力修正は一切行われていない。
---要は旧カードでも旧バージョンのままの能力で使用できるということである(後述する成長も含め)。そのため同じ選手でもバージョンによって全く能力が違うため「各選手のもっとも輝いていた時期」を使うこともでき、「現実の野球では怪我や不振で活躍できてないけどゲームの中でなら活躍できる((例えばかつて東京ヤクルトのストッパーとして活躍した石井弘寿投手。06年に負った怪我が原因で07年以降はまともに一軍で投げていないが1及び2でカード化されているため、ゲーム内では普通に一軍で投げさせられる。))」ということも。旧カードがそういう仕様のため「この選手はどのバージョンを使うのが一番いいか」という議論もよく行われ、選手によってはバージョンによって役割が全く違うカードもある((一例として巨人の西村健太朗選手。リアル野球にて先発とリリーフの配置転換が頻繁におこなわれることで知られ、バージョンによって先発適性と中継ぎ適性のカードのカードが存在している。そのためチームの状況に応じて先発とリリーフの使い分けが可能。野手では捕手から外野へとコンバートされた阪神の浅井良選手にはバージョンによって捕手、外野手両方のカードが存在している。))。一応旧カードを使うことのデメリットは存在している((2013現在は経験値の入りが悪い、キャリアアップに制限がある、デジタルカードの使用不可などの制限が与えられている。また引退や退団等によりどのNPB12球団にも所属してない選手は使用そのものができなくなる場合もある。))。
---よって、カードプールは一部の選手(上記参照)を除いた6バージョンすべてのカードである。参戦選手数は後述するNSを含めると550人を越え、カード総数に至っては2000枚をゆうに越える。
--プロ野球を題材にしているのでカードの絵柄は全て実在するプロ野球選手の写真であり、子供の頃にプロ野球カードを集めていた人のツボを刺激する上、イラストを使用するTCAGでありがちな「イラストによって賛否が分かれる」ということはほとんどない。プロ野球選手のカードコレクションとしても良い。
---また一部のレアカードにはファンの印象に残るシーンや試合((例えばルーキー投手のプロ初勝利試合、ベテラン野手の2000本安打の達成試合といった具合。))の写真が使用されており、特に高い人気を得ている。
---さらに各球団のOB選手のカードである「ノスタルジックカード」というレアリティが存在している。「1チーム2枚までの登録、成長無し((最も活躍した時代の能力で固定されているため。))」という制限があるものの、往年の名選手を使えるということでこれもなかなか好評。ただし「同時期にいたOB選手を一緒に使いたい((巨人黄金時代を支えたONコンビや85年阪神のバース、掛布のクリーンアップコンビなど。))」「成長ないんだから1チーム2枚ってのは…」という意見もある。
--ちなみにこのゲームでのレアカードは追加カード分とNSを除き、通常の選手カードのコンパチになっているので、この手のゲームでありがちな「強いレアカードが必須」ということは一切ない。では通常カードとレアで何が違うのかというと、後述する成長においてレアカードの方が多く経験値を得ることが出来るので早く成長するし、一部のレアカードは最終的な成長具合が優遇されている。逆に言えば、その程度しか差はない。

-華麗なグラフィックと、臨場感と迫力ある演出。
--プロスピシリーズからの流用であるため選手や球場などのグラフィックは非常に綺麗で、選手の打撃フォーム・投球フォームなども再現されている。
---シリーズが進むにつれて演出も進化しており、最近のシリーズではさながらテレビの中継を見ているかのよう。ホームランを打ったときに、打球の行方を至近距離でカメラで追っていく演出は迫力満点。
---また、このゲームにはパワプロシリーズやプロスピシリーズにありがちな「剛速球なのに遅く見える」「変化球のキレが悪い」などといった問題点はほぼ皆無である。速い球は本当に速く見えるし、変化の大きい変化球は本当に鋭く大きく変化する。これは、このゲームのプレイヤーの役目が操作の必要のない監督業であることによることにより、そういったことには一切気にする必要がないことも要因である。

-選手の成長
--試合で経験値を得て成長していくという、育成要素が存在している。
---最初は能力の低い若手選手でも、鍛え上げればベテランの中軸選手にも負けない能力に成長していく。逆に能力の下がったベテラン選手も成長すれば全盛期の能力を取り戻す。育成の楽しみはなかなかの味わい。

-環境変化の早さ
--プロ野球を題材にしているため、1年単位で確実に環境が変化する。なのでマンネリ化というのが少ない。
--基本的な部分の完成度は高く、根本的なシステムは昔から変わっていない。

-コンボ
--3から追加された要素で、自軍のチームの設定された特定の組み合わせによりプラス要素((攻撃時ならミート率アップ、守備時はVSサークルの縮小など))があるというもの。((クリーンアップトリオや黄金バッテリー、必勝リレーなど。))
--これはリアル野球に即した要素である為、純正使いのプレイヤーにとっては嬉しい。また、「コンボ導入によって、さらに純正でプレーすることが重視された」という意見もある。

-能力の毎月の更新・成績ボーナス
--これは2012から導入されたものである。2012からは初期バージョンの選手カードに能力値が記載されなくなり、現実のプロ野球の活躍や成績によって毎月に((無論、シーズン中に限る))能力・スキルを更新するシステムである。成績ボーナスとは、現実でのプロ野球において一週間ごとにその選手の活躍に応じて、能力値・スキルをプラスするシステムである。双方とも、当然そのシリーズのカード限定である。((2012なら2012のカード、2013なら2013のカード))
--能力の毎月の更新はパワプロシリーズでも導入を望まれていたシステムであり、成績ボーナスも前述のように一週間ごとなので、現実のプロ野球に沿っており、このBBHシリーズで実現できたことは評価が高い。

-カードアルバム
--2011途中から導入された。そのバージョンのカードに限り集めたカードを登録でき、その登録枚数に応じて((総登録枚数やレアカードの登録枚数、球団ごとの登録枚数など))、特典がもらえるシステムである。
--自分があまり欲しいとは思わないカードが手に入っても、嬉しさなどは皆無ですぐにそのカードを捨てたり他人にあげてしまったりといったことがありがちだったが、このカードアルバムによってさらにカードを集めて登録し特典がもらえることで、どのカードでも集める喜びが増し、プレイヤーからの評価は非常に良い。

----

**賛否両論点
-デッキに使用するカード数が群を抜いて多い
--野球を題材にしているので仕方ないのだが、育てたチームで闘うにはレギュラー9人+打撃陣控え+投手陣控えのカードを常に持って居なければならない。カードの管理、筐体へのセット時や回収時も一苦労である。待っている人のために1プレイで交代しなければならない環境だと、面倒さを感じてしまうことも。

-オート試合
--このゲームにおいてはプレイヤーの試合に対する介入度が低く、ハンドスキルというものがほぼ存在しない。あるとしてもやりこみで成長させた選手の起用法と相手の腹を探る能力ぐらいで、後は完全なランダムである。初めて間もない初心者がかなりやりこんでいる上級者に勝ってしまう確率も0ではない。野球選手ではなく、野球監督をするゲームであるため仕方ないとする反面、批判的な意見も当然ある。
---また確率問題ゆえ「采配の相性が良くても失敗することもある」ので、相性ではこちらが成功率が高いのに失敗すると結構イライラする。ただし、その逆は結構嬉しい。
---これは2008から顕著になった。ただ、3まではこちらの相性が良ければほぼ成功((例えば、打者が強振で「引っ張り」で、投手が「内角高め」だとパワーの無い選手でもホームランになることが非常に多かった。))となっていたため、バランスを取るため致し方ないとも言える。
--ただしそんなゲーム性ゆえ、他のアーケードゲームでは迷惑行為とされている「初心者狩り」がこのゲームにおいてはそれほど大きく問題視されていない。何せ先述のとおり、上級者であっても初心者に勝てる確率は100%ではないのだ。確かに資産が集まっていれば勝ちやすくはなるが''それで必勝できるほどこのゲームは甘くない''。試合展開とサイン、そしてVS一発、スペシャルサインでも試合はひっくり返る。
---またメインのICで育てた選手を新規ICに移すなんてことはできない。新規ICでプレイすると選手は1からの育て直しとなる。そのためサブICは純粋にメインICとは違うチームで遊びたいから作るという理由で作られることが多い((サブICで初心者狩りをすることがまかり通ってしまうゲームはかなり多く、メーカーを悩ませている。))。これには後述のデータの問題も背景にあるのだが…。

-ベンチムード
--2008 制覇から導入されたシステムで、互いのベンチのムードが画面に表示され1プレイごとにそれが上下し、高ければ高いほど試合展開が有利になるというものだが…。
--基本的には後追いの方がベンチムードが上がりやすいとされ、先制したほうは上昇率が低く下降率のほうが高いため、先制逃げ切りというのが非常にしんどい。特にひどいときは「1-0のというロースコアの試合で追加点を入れても、ベンチムードを見ると自軍はかなり低く、相手側は異様に高い」なんてこともよくある。
--また後述のタクティカルスキルでも、ベンチムードに影響を及ぼす系統のものもあり、使うと使わないでは差が大きく、さらにバランスを悪くさせてしまっている。しかも、それらのタクティカルスキルは大抵は廃人並みにやり込まないと取得できないものばかり。
---上記のような不満の声が続出したためか、2012からはベンチムードは廃止された。

-EXスキルとキャリアアップ
--2010 WINNERからの新要素((ただしEXスキルについては似たようなシステムが2009 覇者から実装されている。))で、EXスキルは選手が1試合中に一定の条件を満たすともらえる能力ボーナス、キャリアアップは「最大レベルまで成長した選手のレベルを1に戻す代わりに」効果の高いEXスキルが取れるようになったり、装備できるEXスキルが増えたりする。
--だがそのEXスキルを取得するため、「一試合中の成績において付与される」という仕様を逆手にとる悪用((プレイヤーの少ない深夜帯での時報マッチで効果の高いEXスキルを意図的につけるというもの。))が横行している。プレイヤー間で問題視されたものの、KONAMI側はしばらく何の対策も取らなかった。まあ対策のしにくいことだとは判るが…。
--2011 SHINE STARではEXスキルも選手成長と同じく経験値を貯めて獲得する仕様になり、なりを潜めている。

-タクティカルスキル
--これも2010 WINNERからの新要素でチーム全体にスキルを付与し、チームを強化するというものだが…。
--スキルの効果で明らかに強弱があり、強いものと弱いものの差が大きく、強いスキルを持つプレイヤーと持たないプレイヤーの間では大きな差がある。
--また一部スキルの習得条件には「PASELIでの出費」や「一定の試合数」というものがあるので、貢ぎゲーの側面も存在している。

-デジタルカード
--2010 WINNERからの要素。ゲーム内で一定の条件を満たすともらえる選手の強化カードで、これがあると「カード内容に応じて選手の能力がアップする」というもの。ちなみに装備できるのは2010 WINNERバージョンで排出されたカードのみで旧カードはこれを装備できない。
--しかし普通にプレイしていると入手方法が限定されている。効率的に集めようとすると「VSチャレンジモード」という、PASERIを払ったときにのみプレイできるモードをやりこむ必要がある。かかるお金は決して安くないのでこれも貢ぎゲー要素と言われている。
--さらにこのデジタルカード、種類が多いうえに容赦なくダブる。
---1選手に対しデジタルカードは4種類用意されており、その総数は単純計算でも2000枚はいく。更にどの方法でも手に入るデジタルカードはランダム。なので自分が使う選手の分だけを集めるというのも非常にしんどい。せめてダブらない仕様にするか他プレイヤーとのトレード機能があればよかったとも。
--2011では試合前に使って選手のコンディションを調整したり、獲得経験値を増やす「アイテムデジカ」が追加されている。
--一方でデジカの獲得条件はよりタイトになっている。頻繁にデジカ獲得のキャンペーンが行われているものの、アイテムデジカの方がよくもらえる傾向にあるため、選手の強化は難しくなっている。
--また一部のデジカにはグリーのソーシャルゲームである『ドリームナイン』をやらないともらえないものもある。少々阿漕に見えてしまう。
--しかしこのデジタルカードは所謂「あればそれにこしたことはないが無くても問題はない」というものなので、軽く遊ぶ程度ならそれほど気にするようなものではない。

-スペシャルサイン
--2012から導入された要素。試合でチャンスやピンチになった時、「勝負の分かれ目 ターニングポイント」状態になり、通常のサインコマンドとは違うスペシャルサインが使えるようになるシステム。
--このスペシャルサインは、通常のサインコマンドとは違い、決められた約6つ(場合によっては7つ)のサインを選び、相手の選んだサインとの相性によって結果が決まる。このスペシャルサインは、''相性が良ければほぼ成功する''((例えば、こちらが「思い切って引っ張れ」にして、相手が「強気で内角を攻めろ」だと「采配成功」となってホームランになりやすい。))((逆に、相性が良くても失敗することもある。例えば、攻撃時に「采配成功」になっても野手の正面をついてアウトになったり、「采配失敗」になっても守りがエラーをしたりすることもある。))。つまり、''その打者と投手の能力は関係ない。''
--2012稼働当初は、''「スペシャルサインを最大で20回使用可」「ターニングポイント状態になると通常のサインコマンドが使えなくなる」''という、あまりにも従来のシリーズのバランスを壊す状態だった為、プレイヤーからは当然反発の声が多く上がった。
---そのため、何度かアップデートを繰り返すうちに、''「スペシャルサインは最大で5回まで」「スペシャルサインは、回数の増減・相手の発動キャンセルなどタクティカルスキルでの介入は一切不可」「ターニングポイント状態でも通常のサインコマンドは使用可」''と変更されて固定された。現在稼働している2013でもこれで固定されている。
--おそらくこのスペシャルサインは、「初心者でも熟練者と対等に戦えるように」というコンセプトで導入されたものと思われる。

-チャット
--2009から導入された要素で、相手プレイヤーと決められた言葉・顔文字でコミュニケーションをとるというもの。
--「対戦も楽しみつつ、相手とのコミュニケーションもとれて良い」という意見もある反面、「対戦だけに集中したいからいらない」などといった意見も。
--前述のように言葉があらかじめ決められている為、プレイヤー同士で口喧嘩になることはないものの、使い方によっては相手に不快感を与えかねないこともあり((例えば、相手の采配のやることなすことに「なにそれ?」を連発したり、デッドボールで相手選手を負傷させたのに「ナイス!」などといった喜び系の言葉や顔文字を打ったりすることなど。また、チャットにばかり夢中になって肝心のプレーを疎かにしてしまうことも含まれる。あくまで、おまけ機能であることを忘れてはならない。))、使う際にはプレイヤーのモラルが求められる。

----

**問題点
-不十分な点がある野球部分。
--異常にポテンヒットが多い、ショートやサードへのボテボテの内野安打が多い、ピッチャー前やキャッチャー前に弱い打球が飛ぶと異様に投手と捕手が処理をもたつくなど((現在稼働している2013ではこれが最も顕著である))、対戦に支障をきたすようなものは無いが、野球部分においては不十分な点はある。

-データの問題
--e-AMUSEMENT PASSに対応しているのだが、e-AMUSEMENT PASS1枚につき残せるデータは1チーム分のみなので違うチームを作りたいなら別のe-AMUSEMENT PASSを作る必要が出てしまう。
--選手の成長を管理するという部分もあるので仕方ないが、1カードで1チーム(1デッキ)しか使えないのはカードゲームとしては少々もの足りない。

-マッチングの問題
--このゲームのマッチングは三国志大戦などのように階級別で分けられているということは無く、基本的にはフリーマッチの状態である。そのため、初心者や中級者でも上級プレイヤーとよく当たる。
---勝てる確率は0ではないが、基本的に自分より数段やりこんでいるプレイヤーは選手の成長レベルからして大幅に劣っているので、基本的には不利である。
---さらに2010 WINNERではそれまでのシリーズではあった級ランク((一番下の位。新規ICはここから始まる。))のみでマッチするOP戦が廃止され、始めたばかりのプレイヤーが容赦なく潰される光景も珍しくはなくなった。初心者側もそうだが、良心的な中上級者プレイヤーだと初心者から勝ちを奪うことを申し訳なく思うことも多い。
--一応所属選手率や戦力値でのマッチングは存在するが、確固たる階級でのマッチ区分がないのが一番の問題である。
--誰ともマッチせずにCPU戦になるということを減らすという観点からは評価できるが、できれば階級や総試合数、勝ち数などで明確に廃人とライトユーザーのマッチを区切って欲しいというのは昔から根強く言われ続けている。
--そんな意見を反映してか、2011にて監督ランク・チームの戦力値を考慮したマッチランクが作られた。
---しかし所属選手率((ベースとなっているチームの選手がどれだけ在籍しているかを表した数字。))がマッチに加味されないため、戦力差のある純正とASのマッチが増えてしまったことに不満が出ることも多い。
---加えてペナントレースの日程の中に交流戦を組み込んでいるため、交流戦時は「同じく交流戦になっているプレイヤー」とマッチしないといけなくなりマッチがしずらくなった((2010までの交流戦は一定期間内で同一球団以外のプレイヤーがフリーにマッチするというものだった。))。
---クライマックスシリーズ・日本シリーズも日程に組み込まれたため、これまたマッチがしにくくなった((2010では4戦するとその成績を計上。その成績が同じ期間(一週間区切り)に成績を計上したプレイヤーの中で上位であれば成績を計上した翌週にクライマックスシリーズモードに移行するというものだった。こちらでも週の頭にやらないとマッチは困難であった。))。
--ただし、2011の途中からマッチングランクが自軍所属球団選手の人数によってさらに細かく分けられるようになった為、純正使いは純正使いと対戦、オールスター使いはオールスター使いと対戦というのが主流となっている。

-炎上モード
--投手が何の脈絡もなく集中打を浴び、大量失点してしまう現象。四球、エラー、先頭打者のヒットなど些細なきっかけで発動する。
--こうなるとサイン勝ちしていても打線は止まりにくくなるため、VSで無理やり止めるかCPUの良心に頼るほかない。
--これが発生するとワンサイドゲームになりやすく、負けているほうからすれば苦痛、勝っているほうからすれば退屈なゲームになりがち。
--早い回でこれが発生し、先発投手が早々に降板してしまうと余計なリリーフ陣をつぎ込むことになり、投手のやりくりがきつくなる。
---また打ったほうのチームのベンチムードは非常に高くなるため、再度の炎上モードが発生しやすく投手の防御率もどんどん悪くなるという悪循環に陥ってしまう。
--そのため投了のための試合終了ボタンが実装されており、試合終了を決定するとその試合での成績がリセットされ、0-9で負けるようになっている。なお相手側での対戦はNPCがチームの操作を引き継ぐことで継続している。

-お世辞にもバランスはよくない
--一部のサインコマンドが成功率が高いとプレイヤー間で言われており、一切の読み合いを放棄してそのサインコマンドばかり繰り返す所謂「厨采配」の存在がプレイヤー間では問題視されている。サインキャンセル((守備側の采配の際にどのサインコマンドも選択しないこと。2009覇者バージョンあたりから増えてきた。))は特に批判が多い。
---この厨采配に関しては2012からはほぼ根絶できつつある。((必ず外角か内角かを選択しなければならないため))
--また、バランスブレーカーが毎バージョン発見される。例を上げると3におけるムードメーカーオールスター((当時はスペシャルスキル「ムードメーカー」持ちの選手が試合で好成績をあげると「他の野手全員の調子が上がる」という効果だった。調子が良ければ良いほど好成績を残しやすくなるので、ムードメーカー持ちの選手ばかりでチームを組めば全員が常に絶好調を維持できてしまう。))、2010 WINNERの全力発進((ベンチムードが非常に高い状態で試合を開始できるタクティカルスキル。))を筆頭としたベンチムード操作系のタクティカルスキルなど。
-タクティカルスキルやEXスキル、デジタルカードは総じて廃人優遇のシステムであり、ミドル・ライト層との戦力格差をより大きなものにしてしまった。
--元々育てた選手だけが資本であったゲームであったため、ミドル・ライト層でも戦力差のある廃人相手に対し最低限のワンチャンは残されていたが、そのワンチャンすらも摘み取ってしまうものとなってしまった。

-能力査定と贔屓の噂
--1、2時代は査定がゆるく非常にはっちゃけた能力値が多かったのだが、3以降で査定が一気に辛くなり同じ選手でも昔のカードと現在のカードでは別人と思えるほどに能力の開きがある場合がある。
---打高投低だった2010でも、特に野手の能力が非常にはっちゃけた能力が多かった((例えば、シーズン200安打を達成した阪神のマートン選手やヤクルトの青木選手はミート20である。))。しかし、次作の2011でも別人と思えるくらい厳しい査定になっている。
--一部の球団における贔屓というのが毎回毎回噂され、実際その球団のカードは能力が高かったりする。
---具体名を挙げると08以前が阪神、09以降が巨人とされている。また、成長面においては広島が優遇されているとも。
--その逆に冷遇されている球団もある。セ・リーグでは中日、パ・リーグに関しては「KONAMIはパ・リーグを全然見ていない」とプレイヤーからよく言われるほど査定が適当で特にロッテ、楽天が酷いとされている。
--プレイヤーの使用チームの一極集中とそれに伴う対戦相手の画一化を引き起こしてしまうため、査定面もこのゲームのバランスがよくないとされる要因のひとつである。
--ただしこれはあくまでもパワプロシリーズにおける阪神優遇査定と同じ都市伝説レベルのものなので、そこは留意しておきたい。

-補正の噂
--プレイヤー間でいくつかの補正の存在が噂されている。有名な例をあげると…
--低段補正
---高ランクプレイヤーと低ランクプレイヤーがマッチングすると高ランクのプレイヤーに補正がかかり、勝ちにくくなるというもの。
--連敗補正
---何をしても勝てなくなる状態。本当に打たなくなる。
--ただしこれも都市伝説レベルの話であることを留意しておきたい。

-オートの守備フォーメーション
--一部の選手カードが打席に入ったときに守備に入る野手が自動的に特殊シフトを組み、ヒットが出にくくなる現象。
--これは昔のバージョンにて実在することが証明されており、該当する選手だと本当にヒットが出なかった。最近のバージョンではないとされている((2時代には確かに存在していたと証明され、そのシフトが引かれる選手まで特定されていた。3以降はないとされている。))。

-処理落ちがある。
--ゲッツーの処理やVSの時などに多く発生する。現在稼働している2013でも改善されていない。

-カード化する選手のチョイスに疑問符がつくことがある。
--これは2013が最も顕著で、例えば2013年の現実のプロ野球で活躍を見せた巨人の中井大介選手や青木高広選手や、広島のキラ選手などがカード化されていない((スペシャルノンカードされているのみであり、トレカでのカード化自体はされていない。))。それなのに同じ選手が違うバージョンで何枚もカード化されていたり((例えば、巨人の長野選手は違うバージョンでのノーマルカードで3枚もカード化されている。))、あまり活躍していない選手がカード化されていたりしている((2013年に巨人に入団したが、活躍できずに退団したアコスタ選手や、阪神のコンラッド選手など))。
//自分は巨人の純正なので巨人のことしか基本的にわかりません。他のチームの使っている方で知っている方がいれば加筆をお願い致します。

----

**総評
-バランスなどで問題があるため良作とは言いづらい部分もあるが、稼動開始から8年を過ぎてなおコアな人気を維持しているゲームである。
--万人ウケするタイプではないが、やはりプロ野球の監督というものは男の子の憧れのひとつであり、ゲームではあるがそれを疑似体験できるというのはファンにはたまらない。「自分の好きなチーム、自分の育てたチームで勝つ」「自分の采配でチームを勝たせる」という要素はなかなか気持ちのいいものである。SLG色の強いゲームなので長く続けていると選手に愛着がわいてくるということも多い。
--チーム作りの制限が全くないことと膨大なカードプールの合わせ技により、チーム編成自体も結構楽しい。成長面も考慮に入れて強いチームを作ろうと思うと、カード集めのほうに本気ではまり込んでしまう恐ろしいゲームでもある。
-やることは簡単でとっつきやすく、選手カードを1枚も持っていなくてもプレイ可能。最近は安い料金でプレイできる店舗も多いので、プロ野球ファンなら一度遊んでみても損はないだろう。

----

**余談
-2009バージョンではその年に行われたWBCを題材にしたモードが存在していた。
--しかしそのモードは「専用カードが必要」「通常のNPBモードとカードや選手を共有できない」「選手の成長がない」などの仕様の問題から非常に低調だった。
---代わりに、WBCが開催された年に稼働されている2013では、その年の12球団の代表選手の一人を''「侍ジャパン」カード''として出している。しかも、そのカードはその選手を代表のユニフォームに変更することも可能。
-初代から2012までは山口冨士夫氏が実況を務めていたが、2013からは三橋泰介氏に替わっている。プロスピ2013の変更に伴った模様。

----