メイドインアビス 闇を目指した連星
【めいどいんあびす やみをめざしたれんせい】
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ジャンル
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アクションRPG
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対応機種
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Nintendo Switch プレイステーション4 Windows(Steam)
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発売元
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スパイク・チュンソフト
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開発元
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有限会社チャイム
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発売日
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【Switch/PS4】2022年9月1日 【Win】2022年9月3日
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定価
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7,920円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:Z(18才以上のみ対象)
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判定
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賛否両論
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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上ることすら困難な仕様 戦闘回避が基本のゲームバランス 世界観の再現度は高評価
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概要
巨大な縦穴「アビス」を舞台に、探窟家として潜入と帰還を繰り返しながら進む3DアクションRPG。
原作『メイドインアビス』の世界観を基に、資源管理やルート選択を行いながら探索を進め、装備や能力を強化してより深層を目指していく。
特徴
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基本構造・ゲームサイクル
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プレイヤーは拠点であるオースの街を起点に、依頼の受注や装備準備を行い、アビスへ潜って探索した後、手持ちの資源を見ながら帰還する流れを繰り返す。
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探索では遺物や素材の回収、原生生物との戦闘、依頼の達成などを行い、帰還後はそれらを売却・加工して資金や経験値を得る。これによりレベルアップや装備強化、笛ランクの昇格が進み、より深い層へ挑めるようになる。
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また、探索で得られる成果と消耗のバランスを見ながら「どこで引き返すか」を判断する必要があり、この判断がそのまま進行効率や生存率に直結する。
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この「潜入→探索→帰還→強化」を何度も重ねながら、少しずつアビスの奥へ進んでいく作りとなっている。
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モード構成
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ゲームには大きく分けて2つのモードが存在する。「HELLO ABYSS」モードは主人公リコを操作し、原作の物語を追っていく形式のモードで、原作序盤から第2層中心、監視基地周辺までを扱う。基本操作やシステムを順番に学べる内容になっており、レグが同行するが一部の要素や装備には制限がある。
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一方、「DEEP IN ABYSS」モードは本編にあたり、プレイヤーが作成したオリジナルキャラクターで探索を行う。こちらではレベルアップ、スキル習得、クラフト、装備管理などが解放され、メイン進行では5層到達が大きな到達点となる。両モードのセーブデータは別扱いで、進行状況や所持品は共有されない。
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探索システム
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アビスは上下に広がる縦型のマップで構成されており、崖や洞窟、滝など高低差のある地形が目立つ。プレイヤーはダッシュ、回避、崖登りなどのアクションを使いながら各層を探索する。進める範囲は笛ランクによって制限されており、昇格すると新たな層へ進めるようになる。
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拠点復帰や一部移動短縮手段は存在するが、自由度の高いファストトラベルではなく制約も多い。セーブは拠点や特定地点でのオートセーブに加え、探索中は消費アイテムによる任意セーブも可能。単に移動するだけではなく、地形の把握や帰還ルートの見極めまで求められる探索になっている。
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資源管理システム
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本作では複数の要素を同時に気にしながら進むことになる。HPは敵の攻撃や落下で減少し、満腹度は時間経過で減っていき、ゼロになるとスタミナ回復ができなくなる。スタミナは攻撃や移動で消費され、尽きるとしばらく動けなくなる。
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これらはそれぞれ独立しておらず、満腹度の低下がそのまま行動の苦しさにつながる。さらに重量制限もあり、持ちすぎると移動速度の低下や登攀のしづらさが発生する。崖登り中に重量超過だと落下の危険も増すため、何を持っていくか、何を持ち帰るかも重要になる。
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クラフト・装備管理
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探索で得た素材は街やアビス内でクラフトに使用でき、武器、道具、食料、医薬品などを作成可能。装備には耐久値があり、使い続けると壊れるため、修理や予備の用意が必要となる。
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戦闘システム
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戦闘は3Dアクション形式で行われ、近接武器を軸に弓・銃などの遠距離武器も使用できる。敵ごとに攻撃パターンや特性が異なり、基本は回避しながら隙を見て攻撃していく形になる。
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戦闘そのものがHPやスタミナ、装備耐久を消耗する行動でもあり、状況によっては戦わず回避する判断も重要となる。
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成長要素
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キャラクターは経験値でレベルアップし、能力上昇とスキルポイントの獲得が行われる。スキルは戦闘系、探索系、クラフト系に分かれており、好みに応じて習得できる。
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笛ランクの昇格により新たなエリアや要素が解放され、見習いから最上位の白笛を目指して成長していく。
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上昇負荷(アビスの呪い)
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アビスを上昇する際には「上昇負荷」と呼ばれる影響が発生する。層ごとに症状は異なり、吐き気による満腹度低下、HP減少、視界異常などさまざまな悪影響が起こる。深い層ほど影響は重くなり、帰還時の判断にも大きく関わってくる。
評価点
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アビスの世界観と雰囲気の再現度
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物語の舞台であるアビスは、表層から深層へ進むほど環境が大きく変化し、生態系・地形・空気感のすべてが別物になっていく世界として描かれている。本作でもその変化は、見た目だけでなく探索の進み方やプレイ感触を通じて再現されている。
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景色の変化にとどまらず、場所ごとに動き方や判断基準も変化し、探索そのものに違いが出てくる。単なる演出にとどまらず、ゲーム体験の中心として感じられる点は、自然と体験の軸になっている。
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特に、序盤の穏やかな空気が深く潜るにつれて崩れていく点が印象に残る。見た目は可愛らしいままでも、進むほど敵配置や地形の危険さが増していく。
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その結果、「見た目ほど安全ではない」という意識が自然と染みつき、無理に進めば危険に直結するため、「引く判断」を常に求められる。
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探索は縦方向に広がる立体構造が特徴で、崖や洞窟、縦穴が入り組んでいる。進行にはルート選択と帰還経路の把握が欠かせず、行き詰まりや危険な状況に陥ることもある。
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帰り道を意識して動けば無理のないルート取りができ、「場所に合わせて動く」という意識も自然と身についていく。
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環境表現も一定の作り込みが見られ、草木の揺れや光の差し方、洞窟の暗さや環境音から各地点の空気が自然に伝わる。特に暗所や深層では視界の悪さも相まって緊張感が増し、「安全ではない場所にいる」という実感が途切れにくい。雰囲気にとどまらず、探索中の判断や行動にも影響してくる点が印象に残る。
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未踏エリアの存在も世界観を支えており、新たなルートや場所を見つけて自分の足で辿り着く流れは素直に楽しい。「潜っている」という実感が得られ、どこまで進むか、どこで引くかを自分で決める形になるため、探索主体のゲームとしての手応えもある。原作の「アビスに挑む感覚」はしっかり再現されている。
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探窟家ライフの疑似体験
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「DEEP IN ABYSS」モードでは、新米の探窟家としてスタートし、笛ランクを上げながら段階的にできることが増えていく。序盤は動きも制限されるが、スキル習得により壁登りや運搬、採取が効率化され、行動の幅が広がる。この変化は分かりやすく、「以前より動けるようになった」と実感しやすい。成長と行動範囲の広がりが結び付いている点も手応えとして分かりやすい。
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探索の中心は未踏エリアの開拓である。新しい場所に進む際は帰還できる保証がなく、それでも遺物や素材を持ち帰らなければ進行しないため、「どこまで行くか」「何を持ち帰るか」を常に考える必要がある。
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欲張れば帰還できず、慎重すぎれば成果が出にくい。この判断の積み重ねが結果に繋がりやすい。
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重量制限や満腹度も大きく影響する。持ちすぎれば移動が鈍り、食料が尽きれば行動が制限される。一要素でも崩れると立て直しが難しく、「無事に帰ること」を優先する動きが自然と求められる。この流れは探窟家としての行動に近い。
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準備やルートを意識すればある程度は安定するが、不意の事故や判断ミスで一気に崩れることもある。特に複雑な地形ではその差が出やすく、「どう動くか」で状況が変わる感覚ははっきりしている。
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探索・成長・判断が積み重なる構造で、単なる前進ではなく「どう生きて帰るか」を考える遊びになっている。探索ゲームとしてのシビアさも含めて、これはこれで十分面白い。
問題点
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難易度・敵配置の問題
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大きな問題点の一つは、敵の出現頻度と配置によって探索中の行動が制限されやすい点にある。特に深界3層・大断層では顕著で、崖や壁を登っている最中に攻撃を受けやすい。
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スタミナが限界に近い状態で被弾すると体勢を崩し、そのまま落下死に繋がるケースがある。チェックポイント間隔も長めで、セーブ状況によっては巻き戻しが大きくなりやすい。
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弱い敵でも複数体にタイミングをずらして攻撃されると回復が追いつかず、ゲームオーバーに繋がることがある。
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視認しにくい場所に潜む敵による不意打ちで突き落とされる場面もある。草むらや死角に潜む吹き飛ばし系の原生生物により崖下へ落とされることもあり、初見では対処しづらい。「アビスの脅威の再現」とも言えるが、試行錯誤の意欲を削ぐ要因にもなりやすい。
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武器の耐久消費も早く、戦闘を続けると装備が枯渇しやすい。探索中に武器が壊れて立て直しに苦しむ場面もあり、準備不足だと復帰が困難になりやすい。
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問題の本質は敵の強さよりも「出現頻度」にあり、進行を阻害しやすい点にある。1層からその傾向が見られ、「戦うより逃げる」選択を強いられやすい。さらに2層から3層にかけて難易度の上昇も大きく、序盤の感覚のままでは通用しにくくなる。特に3層では帰還ルートの確保に苦労しやすい。
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モード間のボリュームと設計差
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「HELLO ABYSS」と「DEEP IN ABYSS」の二部構成となっているが、この構成によりゲーム体験に差が生じている。
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HELLO ABYSSはチュートリアルとして基本操作や流れを学べるが、説明は操作の基礎にとどまり、クラフトや帰還準備、上昇負荷への対処といった本編で必須となる知識には十分触れていない。ボリュームも控えめで、原作重視のプレイヤーには物足りなさが残る。
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DEEP IN ABYSSでは難易度や要求される判断の重さが大きく変化し、序盤とのギャップが強い。モード間で求められるプレイ内容の差が大きく、移行時に戸惑いやすい。
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探索システムの負荷
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原作の過酷さを再現しようとした意欲は伝わるが、その代償としてプレイアビリティに影響が出ている。操作の快適さ、進行テンポ、ストレス耐性の面で遊びやすいとは言い難い。
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リソース管理の厳しさが特に影響しており、各要素が連動するため常に余裕がない。満腹度低下によるスタミナ枯渇が詰みに直結しやすく、空腹や重量超過も移動性能の低下に繋がるため、一度崩れると立て直しが難しい。
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食料や回復手段も安定しにくく、探索中は補給不足の不安が付きまとう。導線の不明瞭さも目立ち、3層は視認性が悪く目的地が分かりにくい。複数の管理要素を同時に求められるため、準備不足のまま潜ると苦しい状況になりやすい。加えて一部素材は入手手段が分かりにくく、無駄な探索を招きやすい。
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上昇負荷は原作を象徴する要素だが、帰還時の負担を大きく増幅させている。吐き気やスタミナ消費の増加により、下降時より行動が大きく制限される。崖のルートも限られ、下りで使えた道が上りでは通りにくいことも多い。特に3層は帰路が分かりにくく、迷子と戦闘が重なると一気に消耗する。
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移動の多くが登攀となるため帰還に時間がかかり、同じルートの往復も増えやすい。緊張感には繋がるが、テンポや快適さは損なわれている。
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原作ではアビスに存在する上昇負荷をもたらす力場は伸縮性のある見えない幕が頭の上からかぶさるようなものと例えられ、上昇し続けて伸びきった力場を突き破った際に上昇負荷が発生すると説明されているが、本作ではこの設定に沿っておらず少し登ってまた元の高さに降りても降りた分は考慮されない。その場でジャンプを繰り返すだけでも上昇した距離だけが合算されていき上昇負荷が発生してしまう。
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操作性・UI・技術面の粗さ
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操作の基盤に不安定さが見られる。動作は重く、ジャンプや回避に遅延があり、意図通りに動かない場面がある。
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登攀やジャンプの判定もやや曖昧で、掴めず落下することがある。回避は2連打入力だが安定しにくく、戦闘はヒット&アウェイに寄りやすい。
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カメラ挙動も安定せず、高所では視界を遮り事故に繋がることがある。アイテムリングや各種メニューも使いにくく、緊急時ほど操作がもたつきやすい。
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戦闘や敵AIは簡素で、報酬も控えめなため達成感は弱い。同行AIも安定せず、補助役として活かしきれていない場面がある。探索主体に対し戦闘面の完成度が追いついていない。
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ボス戦も単調になりやすく、探索に比べると奥行きは限定的である。
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導線・進行設計の不親切さ
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HELLO ABYSSは導入としての説明が不足気味で、DEEP IN ABYSSとの難易度差も大きい。クラフトや帰還準備などの重要要素も十分に教えられず、目的地や進行条件が分かりにくい場面がある。
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育成や報酬設計も単調で、長時間プレイの動機付けが弱い。進行に対するリターンが薄く、継続意欲に繋がりにくい。快適性に関わる要素の改善も遅く、序盤は窮屈さが続きやすい。
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セーブは拠点や特定地点のオートセーブに加え、消費型のセーブバルーンによる任意セーブがあるが、間隔が空く場合もあり、未使用時は大きく巻き戻る可能性がある。
総評
原作『メイドインアビス』の世界観を題材にした3DアクションRPG。アビスの危険さや未知の領域へ潜る緊張感はよく再現されており、縦方向のマップ探索や資源管理、「生きて帰る」ための判断を重視したゲーム性は独自の魅力となっている。
一方で、過酷さの再現を優先した結果、敵配置や出現頻度の理不尽さ、帰還負担、操作性やUIの粗さなど、快適性やバランスには欠点がある。強いストレス要因にもなっており、人を選ぶ作りであるのは否めない。
唯一無二の探索体験と高い原作再現度を持つ反面、完成度は粗削り。良作とは言い難いが、過酷なサバイバル探索やアビスの世界に強く惹かれる人には、他では代え難い価値を見出せるだろう。
余談
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原作では深界4層でリコとレグがはぐれてしまうプロットが当初構想されていた。本作ではこれを採用。
最終更新:2026年05月01日 01:25