テイルズ オブ アライズ
【ているず おぶ あらいず】
ジャンル
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ロールプレイングゲーム (シリーズ内ジャンル名:心の黎明を告げるRPG)
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対応機種
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プレイステーション5 プレイステーション4 Xbox Series X/S Xbox One Windows(Steam/Microsoft Store)
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発売元
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バンダイナムコエンターテインメント
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開発元
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バンダイナムコスタジオ
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発売日
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【PS5/XSX/PS4/One】2021年9月9日 【Win(Steam)】2021年9月10日 【Win(MS Store)】2024年2月20日
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定価(PKG)
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通常版:7,980円 アソビストアコレクターズエディション:19,800円 アソビストアフィギュアエディション:15,980円 プレミアムエディション:11,800円
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定価(DL)
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通常版:7,980円 【PS5/XSX/PS4/One】 デラックスサウンドエディション:9,800円 デラックスコスチュームエディション:11,500円 アルティメットエディション:13,000円 【Steam】 デラックスエディション:11,000円 アルティメットエディション:12,500円(全て税抜)
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レーティング
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CERO:C(15才以上対象)
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判定
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良作
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ポイント
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令和になって初めてのテイルズオブシリーズ アクション寄りとなったモダンな戦闘システム シリーズ25周年記念を飾るにふさわしい完成度
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テイルズ オブ シリーズ
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概要
『テイルズ オブ ベルセリア』から実に5年ぶりとなるオリジナルタイトルで、シリーズ25周年記念作品。
タイトルの「アライズ」や独自ジャンル名の「黎明」には「夜明け」という意味があり、新たな時代へシリーズを繋いでいくための「継承と進化」そして「新生」をテーマに開発された。
グラフィック、システムなどに大幅な刷新が図られ、歴代シリーズからあえて外す事で新規層も入りやすくなっている一方、シリーズの持つ魅力も継承されている。
ストーリー
「ダナ」と呼ばれる世界は、かつては平和であった。空には巨大な惑星「レナ」が浮かび、死者が住まうという迷信が語られていた。
しかし、300年前のある日、突如としてレナはダナへの侵攻を開始した。
圧倒的な科学力と「星霊術」を駆使するレナに対し、ダナはあまりにも無力だった。
瞬く間にレナに支配されたダナは五つの国に分割され、それぞれを「領将(スルド)」と呼ばれるレナ人が支配し、人々は長きに渡る隷属の日々を送っていた。
ある日、頭をすっぽり覆う仮面を付けた記憶と痛覚を失った男が、ダナの国のひとつオルブス・カラグリアに現れた。
彼は人々から「鉄仮面」と呼ばれ、共に奴隷として働いていたが、現状を憂い、虐げられる人々を庇っていた。
彼は輸送列車に乗せらせていた同胞から追われる謎のレナ人の女シオンと出会い、彼女の胸から現れた「主霊石(マスターコア)」から己の身すら焼く「炎の剣」を引き抜いた。
レナに反抗する抵抗組織に助けられた鉄仮面は、領将を倒すというシオンと共闘することを決め、その戦いの中で仮面が割れて「アルフェン」という名前を思い出す。
アルフェンとシオン、二人の出会いは世界を変える始まりであった。
特徴
※多機種で発売されているため、ボタン表記はPS4版をベースに記載する。
バトルシステム
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今作では『リニアモーションバトル』という名称を使用しておらず、歴代作品のシステムを一部踏襲しつつ3Dアクションに特化したシステムとなっている。
移動
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前作に引き続き、ライン移動はなく常時フリーランとなる。右スティックでカメラ操作ができる点も同様。
攻撃アクション
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R1が通常攻撃、△、□、○ボタンの3つが術技、残る×ボタンがジャンプとなっている新たなボタン配置を採用。
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基本的にはこれまでと同様、通常攻撃は3連続まで繋げられ、術技を先行入力してコンボを繋げられる。通常攻撃の連携数はスキルを習得すると4連続以上に伸ばせる他、地上と空中で別計算となっているため地上コンボから空中コンボに繋げることで初期状態でも単独5連携以上を叩きこめるようになった。
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技は地上専用と空中専用に分かれており、地上3種、空中3種で最大6種類の術技を一度にセット可能。ゲームが進めば12種類までセット可能になり、L2ボタンとの同時押しで術技を切り替えられるようになる。
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術技の使用には「アーツゲージ(AG)」というゲージを消費する。システム的には『リメD』以降おなじみのチェインキャパなどと同じだが、通常攻撃では消費されなくなった。
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なお、今作では4連携以内に同じ技を使用すると貫通力やのけ反り力などが低下するコンボ補正がかかる。
ジャスト回避(ジャストガード) / カウンターレイド
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お馴染みのステップは廃止され、左スティックとR2ボタンで前転などの回避アクションを行える。タイミングよく入力すればジャスト回避となり、一時的にスローになる。
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ジャスト回避時に通常攻撃を入力すると瞬時に敵に近づいて反撃する「カウンターレイド」が発動する。
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後述のスキルでジャスト回避の受付時間やカウンターレイドの威力を上昇させることも出来る。
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なお、仲間の一人キサラだけは回避アクションの代わりにガードが可能で、ジャストガード時のみダメージを受けずに回避する。
ブーストアタック / ブーストストライク
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時間経過や攻撃を当てることで上昇していく「ブーストゲージ(BG)」が最大の時に方向パッドを入力すると発動するサポートアタック。使用すると敵をダウンさせ、一時的に無防備にさせると同時にAGが回復する。
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方向パッドのそれぞれがキャラに対応しており、L2ボタンを押しながらで非戦闘メンバーのブーストアタックも使用できる。
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操作していないキャラのブーストアタックを発動した際は、そのキャラが瞬間移動してプレイヤーがターゲットしている敵に対して発動する。
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後述のようにキャラクターごとに特性が設定されており、特定の敵に対して妨害効果を発揮できる。
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ボス戦ではボスが特定の行動を取った際にボタンが表示され、入力すると専用演出が入るQTE「特殊なブーストアタック」が発動する。
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敵には菱形のゲージが表示されており、コンボを当てて最大まで溜めると「STRIKE」と表示され、この時に方向パッドを入力するとトドメ技の「ブーストストライク」が発動する。
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簡単に言えば『TOV』のフェイタルストライクのようなもので、仲間と共にド派手な演出でトドメを刺せ、ボスやギガントモンスターの場合は大ダメージを与えられる。ブーストストライクに巻き込んでゲージを溜めれば連続でブーストストライクを発動することも可能。
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「2人で繰り出すトドメ専用技」という意味では、『TOR』の秘奥義にも近い。
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ゲージは初期状態では全く溜まらないが、ダウンさせたり瀕死にさせることで溜まりやすくなる。ただし、コンボが途切れると瞬時にゲージもゼロになってしまうので畳みかける必要がある。
キュアポイント(CP)
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今作で新しく採用されたポイントで、回復・補助術を使用した際に消費されるポイント。パーティ全員で共有されており、CPがなくなると術での回復が出来なくなる。攻撃術では消費しない。
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宿屋や野営、おなじみのオレンジグミやパイングミで回復できる。ダンジョンにはHPとCPを全回復する回復ポイントが用意されていることもある。回復ポイントは1度使うと消滅するが、マップを移動すれば復活する。
キャラクターごとの特性
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今作ではステータスや術技以外にも、前述のブーストアタックのようにキャラクターごとに異なるアクション、得意な敵が設定されている。
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アルフェン
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技使用時にボタンを長押しすると炎の剣を使用した焔撃技に派生できる。焔撃はいずれもHPを消費する。スキルを習得するとチャージが可能になり、より多くのHPを消費するが「瀕死時攻撃・属性攻撃アップ」と組み合わせることで威力が跳ね上がっていく。ブーストアタックではHPを消費する代わりに周囲を巻き込み、あらゆる敵をダウンさせる可能性がある。
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シオン
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爆弾を使用する技を使用する際にボタン長押しで爆弾を直接撃ち抜いて効果を変化させることが出来る。ブーストアタックは空中の敵を叩き落してダウンさせる。
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リンウェル
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呪文詠唱時にボタン長押しすると術をすぐに発動せず、好きなタイミングで解き放つ「マジックチャージ」が使える。マジックチャージ中に同じ術を再度詠唱すると上位術へ派生する。ブーストアタックは全ての敵の詠唱を妨害することができる。
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ロウ
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ダメージを受けずに攻撃を当て続けることでステータスがアップする覚醒能力「アウェイクニング」を持つ。スキルによって強化される。ブーストアタックは防御する敵のガードを破壊してダウンさせる。
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キサラ
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ガード中に技を出せる「ガードイグニッション」を持つ。スキルによって強化される。ブーストアタックは敵の突進を止めてダウンさせる。
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テュオハリム
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ジャスト回避すると一定時間武器が伸長し、性能と攻撃範囲が広がる「ロッドエクステンション」を持つ。スキルによって強化される。ブーストアタックは的確に回避してくる敵の足を封じ、回避できなくさせる。
連戦ボーナス
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その名の通り、連続で戦闘をこなすことで獲得経験値や獲得SPが増加するボーナスが用意されている。
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一度に出現した敵の数が多いほどボーナスが溜まりやすいが、時間経過で徐々にゲージが減っていき、ゲージがなくなるとボーナスも途切れてしまう。
育成システム
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スキルパネル
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称号を獲得することで解放されていく育成システム。各称号に5つずつスキルが用意されており、スキルポイント(SP)を消費して習得できる。スキルは術技を覚えるものやジャスト回避の強化、状態異常攻撃の強化、AGの最大値増加など様々なものが用意されている。
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同じパネルのスキル5つ全てを習得するとコンプリートボーナスでさらに特定のステータスが強化される。
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SPは戦闘に勝利した際やサブクエストを達成した際に獲得できる。
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武器作成
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街にある鍛冶屋で敵から獲得した素材を消費して武器を作成可能。作成した武器は上位の武器の素材となることもある。
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一度入手した武器のスキンは自動登録され、コスチュームなどと同様にビジュアルで好きなものをセット可能になった。
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アクセサリ作成 / 強化 / 合成
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彫金屋に行くことでフィールド上で入手した鉱石からアクセサリを作成可能になる。作成できるアクセサリは鉱石の種類によって異なる。
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鉱石にはレアリティと固有スキルが設定されており、作成したアクセサリに引き継がれる。レアリティが高いほどセットされているスキルの数とスロットが増える。
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作成した直後は固有スキルの効果は発動しないが、鉱石やアクセサリを消費して強化することで発動可能になるソーシャルゲーム的なシステムになっている。
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最大まで強化したアクセサリは、他のアクセサリを合成することで素材となったアクセサリのスキルを1つだけ受け継ぐことが出来る。なお、スキルは好きなスロットにセット可能。
その他システム
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料理
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今作の料理は宿や野営で休憩した際に作成し、一定時間効果が持続するシステムになった。作成できる料理の種類は各地の宝箱やイベントでレシピを入手することで増えていく。
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料理ごとに得意とするキャラクターが設定されており、そのキャラクターに作成させると素材を多く消費する代わりに料理効果が強化されたり、新たな効果を得られる。
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なお、効果が持続中に新しい料理を食べると効果は上書きされる。
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今作では食材は店で買える他、フィールド上に生えているものを採取して集めることで入手できる。ある程度ゲームが進むと牧場を利用可能になり、好きな家畜を育てて食材にできるようになる。
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野営
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今作ではフィールドの各地にたき火跡があり、調べることで野営することが出来る。宿屋同様にHPとCPを全快出来、料理作成も行える。
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野営では料理の他、過去に出現したスキットやムービーを見返したり、仲間と会話して関係を深めることが出来る。仲間との絆を最大まで上げると……。
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アーティファクト
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特定のイベントやサブクエストで入手できる珍しいアイテム。入手するとゲームに影響を与え、術技のセット数増加や敵味方の被ダメージを1にするなど、様々な効果が得られる。
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入手したアーティファクトの効果はオプションからオンオフが可能。
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セーブポイントは廃止され、メニューからいつでもセーブが可能になった。
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1度行った場所はファストトラベルで高速移動できるようになった。実際にその場所に行き、ファストトラベルポイントが解放されることで利用可能になる。ただし、一部のイベント中などファストトラベルが封じられる場面もある。
評価点
明快ながら丁寧な王道シナリオ
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記憶喪失の主人公がヒロインと運命的に出会い、世界を支配する存在に戦いを挑んでいく。そして、仲間たちと出会っていき、やがて世界の真実・黒幕の存在へと辿り着くという王道展開で、万人受けしやすいシナリオとなっている。
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基本的にヒロイックな物語ではあるが、「善良な非支配層と邪悪な支配層」という単純な二元論にも陥っておらず、誰もが奪われる側から奪う側になりうる危険性等も描かれている。
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ややご都合主義な部分もあるもののそのための理由付けや伏線は概ね用意されており、大筋はよくまとまっている。
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また、今作ではシリーズでは珍しく挿入歌が採用されており、MY LITTLE LOVERの名曲『Hello, Again 〜昔からある場所〜』を今作のグランドテーマを歌う絢香がカバーしたものが流れる演出も好評。
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この場面から怒涛の伏線回収が始まり、エンディングへと繋がっていく。さらにOPムービーも同曲が流れる第2オープニングへと変化する仕掛けが用意されており、こちらも好評を得た。
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なお、原曲は奇しくもシリーズ第1作目『テイルズ オブ ファンタジア』と同じ1995年発売であり、明らかに意識して採用されたことが窺える。
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エンディングに関するネタバレ注意
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直近のシリーズ作品の多くで「誰かが犠牲になることで世界を救う」という展開・エンディングが採用されてきたが、今作では明確に犠牲を否定していく。エンディングではその後を描いた一枚絵が次々に流れていく方式になっており、それぞれの幸せを掴んでいく姿は感慨もひとしお。
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シリーズの売りであるメインキャラクター達の豊かな描写
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前半は仲間達がそれぞれの抱える過去に向き合っていき、後半からは主人公とヒロインに秘められた秘密が明かされていく。敵として立ちはだかる領将たちも、実際に戦う時は人々を虐げるただの敵であるが、終盤では彼らの意外な一面が明らかになるイベントもある。
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メインシナリオ以外ではそれぞれの別の一面が描かれていくお約束も踏襲。武器マニアでお節介焼きのアルフェンや大食いキャラなシオン、イジられ役のロウといったギャグ描写もあり、キャラに愛着が湧きやすい。
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仲間達は過去作に比べると年齢層や抱える過去等のため基本的には落ち着いた雰囲気でもあり、万人受けするパーティと言える。
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また、序盤のサポートキャラとして加入する反抗組織のリーダー・ジルファもその聡明な人柄や含蓄ある発言の数々から人気が高く、「普通にパーティキャラとして使いたかった」という声も多い。
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近作でお馴染みとなったショートチャットも搭載されているが、この種類が非常に膨大でちょっとした事にも仲間たちとが反応を返してくれるため賑やかな道中となっている。
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水の中に入るたびに「炎の剣は無事か!?」と心配したり、とある滝壺に落下した際はロウの背をテュオハリムが押すというギャグ展開もあったりと、面白い内容も多く、色々と試してみたくなる。
本作の主人公であるアルフェンに関する描写
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どのメインキャラクター達の描写も好評だが、特にアルフェンに対するプレイヤー達の評価はとてつもなく高い。
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前向きで一本気な性格で、常に仲間たちをリードし、困難に立ち向かっていく姿。やがて明らかになる自身の過去と向き合い、ダナとレナの平和のため、そしてシオンのために戦う王道主人公として描かれている。
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過去作の主人公同様に重い過去を背負っており、記憶を取り戻した直後はザコ相手にすら苦戦するほど動揺するなど、ゲーム的な面でも彼の心情を表現する場面は多い。
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前述のようにお人好しでとぼけた面もあり、作中きっての好漢となっている。また、新しい衣装に着替えたヒロインに見惚れてしまうなど、アニメやゲームの主人公にありがちな天然鈍感キャラではない事もプレイヤーが感情移入しやすい理由の1つとなっている。
歴代最高のグラフィック
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『TOS』以降の3D作品はトゥーンシェーディングを使う方式で統一されていたが、今作では独自に開発した「アトモスシェーダー」を採用。2D風を採用しつつも、その趣を大幅に変更して美しく世界を描き出している。
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油絵のように繊細でリアリティのある色彩を表現しており、遠くの景色は色が薄く、手前に行くほど濃く描画することで空気感を表現している。
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物語はダナの国を次々と回りながら解放していく形で進むが、それぞれの国も特徴的でプレイヤーを飽きさせない。特に中盤で訪れるエリデ・メナンシアは文字通り豊穣の国と言える美しい場所となっており、プレイヤーを感嘆させた。また、空には常にレナの姿が浮かんで見えるのだが、終盤で明かされるその真の姿も驚くべきものとなっている。設定と描写が上手く噛み合った好例と言えよう。
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キャラクターモデルも作りこまれており、大半のイベントシーンやスキットも3Dキャラで進行する。
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アルフェンとシオンは物語が進展するに従い、衣装が変化していく要素が採用された。それぞれの衣装の作り込みも良好で、特に終盤で登場する衣装は人気が高い。
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スキットや一部のイベントは漫画のようにコマが次々と表示されていく方式を採用した。特にスキットでは、これまでは描かれなかった会話しているキャラ達以外の背景も描くことで状況を分かりやすく見せることに成功している。
爽快感の高いバトル
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術技やブーストストライク、秘奥義などの演出が全体的にスピーディーで、特にブーストストライクは上手く決まれば連続発動して一気に決着をつけることが出来、非常に爽快感がある。
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ボスや大型モンスターはHPを削り切ると無条件でブーストストライクの発動が可能となり、「強敵に大技で決着をつける」という高揚感を常に味わえるようになっている。
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前述のように地上技と空中技があるだけでなく、敵を打ち上げつつ自分も飛び上がる上昇技や、逆に敵を叩き落して地上戦に持ち込む落下技も用意されているため、慣れれば地上と空中を自在に行き来してコンボを叩き込むことも可能。
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スキルを習得していけばBGも溜まりやすくなるので、仲間のブーストアタックを駆使してAGを回復し、途切れることなく怒涛の連続攻撃を叩きこめる。これが本当に爽快で楽しい。
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カウンターレイドは発動すれば距離関係なく一気に敵の懐に飛び込んでいくことができるため、回避行動からシームレスに攻撃に移ることができる。また複数戦では敵を撃破した直後にこのカウンターレイドと同等の攻撃を発生することができ、手動でターゲットの元へ移動する必要なくそのまま次の敵へと攻撃を仕掛けられ、コンボを繋げながら多くの敵を次々と撃破していく楽しさが味わえる。
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歴代シリーズの多くで敵側の秘奥義は一方的にダメージを受けるしかなかったが、今作では発動演出の後は通常操作が可能になるため、能動的に攻撃を回避することが可能になっている。
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秘奥義の攻撃判定が発生する場所にはマーキングが表示されるので、注意していれば回避しやすく、演出とアクション性を両立している。
ミニゲーム「釣り」
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中盤から遊べるようになるミニゲーム。各地にある釣り場で遊ぶことが出来る。
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釣りの醍醐味と言えば魚との格闘であるが、本作の釣りの醍醐味は「狙った魚を釣り上げること」にある。
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ボタン操作でルアーを操って魚のアイコンを引き寄せるシステムになっているが、操り方が三通り存在し、ルアーとの組み合わせで反応する魚が変化する。しかし狙った魚以外も反応してしまう事も多く、狙った魚だけを引き寄せるには、引き寄せ幅を上手く調整していく必要があり中々に熱い駆け引きが楽しめる。
その他
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前述のように一度入手した武器のスキンが登録されるようになり、どの武器を装備していても好きなスキンで遊べるようになった。
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過去作からの小ネタなども勿論継承されており、隠しボスとして『ゼスティリア』と『ベルセリア』からアイゼン&エドナ兄妹が登場したり、過去シリーズのマスコットキャラがルアーになっていたりする。
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アーティファクトはナムコネタだらけなのも継承されている。
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取り返しのつかない要素がほぼない。
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過去作ではストーリーを進めることで発生しなくなるスキットやサブイベントなどがあったが、今作では聞き逃したものを含め発生したスキットは野営ですべて確認可能であり、期間限定のサブイベントも存在しない。
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一部のザコ(各領将の配下など)はストーリーを進めることで戦えなくなるが、こうした敵とは道中で強制的に戦闘が発生するためエネミーリストへの登録を逃すといったこともない。
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そのため特にトロコンを意識せずにストーリーを先にクリアしても、クリア後の要素を楽しみながら1周目でトロコンを目指すといったことが容易となった。
賛否両論点
ゲームバランス
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ザコはさほど強くない(強いものもいる、大抵はギガントの色違いなど)一方、ボス戦の難易度は全体的に高め。
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ザコ戦では突っ込んでいって攻撃を繰り返すだけでも問題なく戦えるのに対し、ボス戦では一転して攻撃を回避しつづけて隙をうかがうというヒットアンドアウェイ戦法が有用になっているため、戦い方を切り替える必要がある。最初のボスからこのバランスなので、ザコと同じ感覚で戦うと容易く戦闘不能にされ、回復のためにCPも枯渇しやすい。
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システムの紹介でも触れたとおり、今作はキサラを除きガードができないため「とりあえずガードして様子見」という戦術が取れず、敵の攻撃を見極め的確に回避しなければならない。過去作以上にアクション性に重きが置かれていると言え、うまく立ち回れるようになった際の爽快感は相当なものだが、馴染めないプレイヤーも多かった。
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CP回復アイテムの最低ランクであるオレンジグミからして3000ガルドという高値に設定されているため、金策方法が限られる前半では使用を戸惑いがちになり、ジリ貧になりやすい。それを見越してかフィールド上に落ちていたり、宝箱からもよく入手できるようにはなっているが。
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加えて、主人公ということで多くのプレイヤーが使用するであろう
アルフェンの専用システムである焔撃がHP消費制
のため、回復のためにCPが枯渇しやすい要因になっている。アルフェンはAIに任せるのもひとつの手。
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アップデートによって当初の最低難易度より低めの「イージエスト」が追加されており、難しいとする声が多かったことが窺える。
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ただ、その分歯ごたえはシリーズでも随一で、ジャスト回避やブーストアタックを総動員して勝利した時の快感は高い。
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ストーリー上で相対していく領将たちはそれぞれに属性を持っているため、耐性のあるアクセサリを装備するだけでも戦いやすくなる。今作のアクセサリはどれも強力で、属性耐性やステータス強化の他、ヘイトを集めたりすることも出来るので、相性のよいスキルを合成して装備させれば戦闘を有利に運べる。
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前述のアップデート時には、シリーズお馴染みの最高難易度「アンノウン」も追加されたため、戦闘を楽しみたいプレイヤーへの配慮も行われている。
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秘奥義の扱い
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テイルズオブシリーズの目玉の1つとも言える秘奥義だが今回は全体的に不遇。単純に威力が低く、発動後は敵との位置関係がリセットされコンボが切れてしまい詠唱中・発動中の術もキャンセルされてしまうため「出さないほうがマシ」とCPUにすら自動で使わない設定にさせたほうがいいことが多い。
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また敵キャラクターの秘奥義も前述のように必中ではない避けられるものに変更されたが、これも「演出面が弱くなった」「避けられるようになったが逆に言うと避けないといけなくなった(CPUは避けずに即死することがある)」と賛否の声がある。
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戦闘勝利後のリザルト画面の廃止
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シリーズの伝統であった戦闘終了時にパーティが横並びして台詞を発するリザルト画面がなくなった。勝利台詞や複数キャラによる掛け合いは残っているものの、戦闘終了後の移動中にショートチャットで行われる形となった。
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台詞に合わせてキャラが決めポーズを取ったり、動きまで含めた掛け合いが無くなってしまったため、「テンポが良くなった」「同じ掛け合いはどうせ見飽きる」と評価される一方で、やはりシリーズお馴染みとなっていたために寂しいという声も多い。
恋愛要素の多さ
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無理矢理カップルを成立させようとするシナリオライターの思惑に否定的な声もあった。
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『TOS-R』や『TOG/TOGf』でも良くあった展開だが、結ばれる結末にしたせいで今まで無反応だったキャラが突然恋愛に目覚めるようなシーンが今作には多く見受けられた。
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テイルズオブシリーズにしては珍しく、主人公とヒロインが結ばれる。だが、その結末にするため、アルフェンが双世界よりもシオンを救う選択をしており、プレイヤーに寄り添ったストーリーだと感じられない声もあった。
問題点
ストーリー関連
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一部の描写不足
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特にシオン関連については300年の間に茨を持つネウィリを始めとした先祖がどう子孫を残しどう茨が継承されて来たのか不明であったり、シオンがダナに来た方法などもまともな描写はなく、設定と照らし合わせた場合に説明不足な点が多く目立つ。
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ただ、『TOS-R』の頃から良くあったテイルズシリーズ全体における共通の問題点でもあるのだが。
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過去の王に関する末路についてもあっさりしすぎている。印象が弱く、衝撃に欠ける。
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2部について
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ストーリーが全体的に駆け足気味になり、説明が増え、ダンジョンが減った結果、テキストゲーになってしまっている。
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とはいえ全体的なバラシが複雑であるため、説明偏重になるのは致し方なしか。後述するが、ラストダンジョンのシンプルさがこの印象に拍車をかけているのは否めない。
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1部の目的を達成したと思ったら新たな謎を提示され、オープニングが変わり2部に突入、という非常に期待が高まる演出がなされるため、その反動もあるだろう。2部突入時点で全体のストーリーの7~8割は終わっており、明かされる内容自体に驚きはあるものの、「ここまででまだ半分」と思い新たな舞台を期待していた人は些か落差を感じてしまう。
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ヴォルラーンについて
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ヴォルラーンは領将の一人でストーリーに大きく関わってくる本作のラスボス。作中では何度も相対し、その思想は設定などはアルフェンと酷似しながらも対極に位置している。アルフェンたちもヴォルラーンのことは大きく意識しており、正しくアルフェンの宿敵といえる存在。荘厳な物言いや尋常でないヤバさを感じさせるムービーや戦闘スタイル、シオンを誘拐してからの展開など「インパクトのあるイケメン狂人キャラ」とストーリーに絡む中枢人物として大きく推されていた。
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…はずなのだが肝心のキャラの掘り下げが不足気味で最終的に明かされた設定も「
黒幕に与えられた地位で使命感や理想など何もなくただただ他人をいたぶるだけの領主
」「
アルフェン達にしつこく絡んできたのも簡単に言えば嫉妬
」と率直に言って、小物としか言えない悪役であった。
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上記の様にいまいち魅力に乏しいヴォルラーンが長期に渡り登場しては執拗に物語に絡み、アルフェン側もまるで宿命の敵のように扱うため「ヴォルラーンは物語上ここまで長く引っ張るほどのキャラだったのか?」とイマイチ話に入り込めず、温度差に辟易するプレイヤーも多かった。
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しかし、こういった虐げられ奪われ続けた反動により形成された空虚な人物像だからこそ、アルフェンの主人公としてのキャラクターとの対比、一貫性がより強く伝わる側面もある。
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最終盤でのあまりに不自然な展開、雑な元気玉と揶揄される解決法
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物語の根幹に関わるネタバレがあります
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世界を救うためにアルフェンは、レネギスによって作られた星霊力の道を使い、ダナの人々にシオン、ダナ、レナを救いたいと協力を呼びかける。すると炎の剣にダナの人々の意志の力が収束。剣を介してそれをレナの星霊に送り届けたことによって、二つの星はあるべき姿へと戻り、シオンの命、ダナ、レナ、その全てを救う…という結末だが、その前の話の運び方に大きな不自然さが生じている。
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その最大の理由としては、世界とシオンを救うために元々使う予定であったキーアイテム・『レナス=アルマ』を不可解な行動で失い、窮地に陥ってしまう最悪な展開を礎としているためである。
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当初の世界を救う方法は根源悪をシオンごと焼き払うというものであり、この方法なら全ての問題を確実に解決出来る最善案である事が物語中で語られる。しかしアルフェンは猛反発し、『レナス=アルマ』を用いた方法でシオンが生存した形での世界救済を望む。この案はアルフェンの決死の説得によって勝ち取ったものであった。
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ところが、ヴォルラーンとの最終戦後、すぐにレナス=アルマを回収し、囚われた彼女を解放しなければいけないにもかかわらず、アルフェンは何を思ったのか、レナス=アルマも、あれほど救う救うと言っていたシオンも放置し、何故か悠長にもヴォルラーンとの対話を優先。そして野晒しのレナス=アルマをヴォルラーンに破壊され、シオンの命を救う手立てを失うという大失態を演じてしまった。
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レナ人とダナ人の300年もの間の遺恨のリアリティと、それを根気強い対話によって解決する姿勢はアライズのよい部分ではある反面、この緊迫した場面で対話を優先することには非常に強い不自然さ、最後の解決法にも度を越したご都合感を覚えさせる要因となってしまっている。
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この問題の解決法は唐突にアルフェンが思いついたようにも見えるが、メインでもそれなりに小さな伏線が敷かれており、あるサブクエでは明確に現象として起こっている。しかしながらそれでも、最後の描写に違和感をもたらすレナ人とダナ人の根深い確執を払いのけ、受け手を無理なく納得させる要素としては残念ながら力が不足していると言わざるを得ない。
バトル関連
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ブーストストライクの兼ね合いからか、敵側のほとんどがスーパーアーマー持ちで硬めな傾向にある点は不評。
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特に後半のダンジョンになるほど今までのボスの色違いがアーマーそのままで出てくるため非常に面倒くさい。
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序盤から後半まで同じ種類のモンスターばかりが登場する。
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どの国に行ってもウルフ系、ボア系、ビー系、アルマジロ系、バーサーカー系は必ずと言っていいほど出現するため、色違いばかりという感想になりやすい。これに加えて領将配下のレナ装甲兵も同じような見た目で種類が多い。
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モンスターの総数も前作と比べると100種類以上減っている。また、これらの雑魚敵は同種だけで群れている場合が多く、数種類の敵と同時に戦う機会が少ないため雑魚戦の印象が変わり映えせず、中弛みにつながっている。
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一応、ボスモンスターやギガントモンスターの色違い系も交えてはいる。しかし、ラストダンジョンでも色違いは出てくる。
ダンジョンについて
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全体的に短めかつギミックは鍵系のみと、単純な構成となっている。
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サクサク進められるので一概に欠点とは言えない。ただし、上記モンスターの問題もあるため、ゲーム要素としてのボリュームには欠ける。ダンジョンかモンスターのどちらかは充実させるべきだっただろう。
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ラストダンジョンの構成が歴代に比べシンプル過ぎる
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歴代のラストダンジョンは複雑なギミックや構成、隠し要素の一部が存在するなど、探検する楽しみが大きかった。しかしながら今回はほぼ一本道で、後半は前半部分を上下に反転しただけとなっており、正直手抜き感は否めない。
過去作にあったシステムの廃止
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新しい『テイルズ オブ』を目指したゆえ、取捨選択で廃止されるシステムがあるのは仕方ないが、プレイ面で便利だった要素まで廃止されてしまった。
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ショートカットが廃止されたため、仲間の術技を任意のタイミングで発動してコンボを伸ばすことが出来なくなった。
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作戦がパーティ全員に対する設定しか出来ず、個別に行動方針を変えることが出来なくなった。
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このため前衛を突撃させて術担当に距離をとらせるといった基本的な設定が出来ない。今作のボス戦の難易度を考えれば、全員で距離をとる作戦でも問題はないが…。
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一応、特定の術技の使用タイミングのみ設定可能。
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グレードショップが廃止され、周回引継ぎはアーティファクトを入手することで引き継ぎ要素が充実していく方式になった。
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レベルや装備などのほとんどを引き継ぐことが可能で、獲得経験値増加などの効果も得られるが、経験値半減などの要素はなくなっている。
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また今作では一周目のクリア後データでほぼ全ての要素を回収でき、トロフィーも全て揃えられる。二周目以降でのみ得られる要素は、開始直後に手に入るビジュアル装備のみ。これは二周目をやる手間がなくなったとも言えるし、「二周目以降が本番」とされた従来のシリーズからやり応えが減ったとも言え、賛否ある。
劇中アニメーションのクオリティ
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テイルズオブシリーズといえば時折挿入される美麗なアニメがウリであり、多くの過去作にあった要素をカットした本作でも残されている。しかし本作のアニメのクオリティは前作『TOB』と比べて明らかに低い。
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3Dモデルが大きく進化したこともあってか、アニメシーンになるとかなりの落差がある。総合Pによると本作のアニメシーンは歴代で最も多いらしいが、これなら本作の劇中アニメは要らなかった、むしろ全部3DCGで見せてほしかったという声も多い。
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一応製作は前作までと変わらずufotableだが、某鬼アニメの方に人員を割いた結果なのかもしれない。
総評
システムの多くを刷新しつつ、シリーズの伝統も受け継ぎ、新時代のテイルズを感じさせてくれる。
新規層でも入りやすいキャラクターやシナリオ、爽快な戦闘システムも好評で、後述のような賞を獲得したことからも、その評価の高さが窺えるだろう。
アルフェンの言葉を借りれば「壁を壊す」ことに成功し、見事にプレイヤーの期待に応えてみせた良作である。
余談
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本作は元々2020年内に発売予定だったがコロナ禍の流行により開発環境に支障があって発売が延期にされたが、延期に伴ってか本来は開発予定のなかったPS5版も同時販売される事になった。
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2021年12月に発表された「The Game Awards 2021」にてBest Role Playingを受賞するシリーズ初の快挙を成し遂げた。
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Amazonの長期利用者等に体験版が配布されたが、配布の方法が「PS4のパッケージを送付、BDトレイ部にダウンロードコードが書かれたディスク形状の紙が入っている」という形だったため、この紙をBDドライブに直接入れて詰まらせるというトラブルが散見された。
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2022年1月発売のファミ通に本作の「ファンアンケート結果発表」が掲載された。アンケートは本作発売から約3ヶ月後となる2021年12月7日~12日にファミ通.comで実施されたもの。
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総回答数963人。性別は男性47%、女性46%、未回答7%。年齢層は10代以下2%、20代46%、30代42%、40代6%、50~60代1%、未回答3%であった。
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『SCARLET NEXUS』とのコラボレーションが無料DLCで行われている。
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アルフェンの装備として同作の主人公・ユイトの初期装備「妙法村正・レプリカ」が、アタッチメントとしてもう一人の主人公・カサネが身に着けている髪飾りが登場。通常戦闘曲を同作のBGMに変更することもできる。
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「妙法村正・レプリカ」はアルフェンの初期装備より頭一つ強い性能となっており、ゲーム開始後すぐに受け取れるため最序盤の攻略に役立つレベルの性能となっている。
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同作と本作のバンドル販売もなされている。
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ファミ通のインタビューでPVに映っている人物を指して「彼女はヒロインなのでしょうか?」とわざわざ尋ねるシーンがあり、プロデューサーがしっかりと「ヒロインです」と回答する珍事が発生している。過去作品による爪痕の深さを感じられる。
その後の展開
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2023年9月15日に本編の終了から1年後を描いた大型ストーリーDLC「ビヨンドザドーン」が発表され、11月9日に配信された。価格は4000円。
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本編の終了から1年後とあるがラスボス戦後からエンディングまでの空白期間を描いたもので、新キャラのナザミルを中心としたメインシナリオと、新規サブクエスト、復興クエスト、新ダンジョンが主な内容。戦闘面での追加要素はない。
最終更新:2024年09月15日 13:45