アルバートオデッセイ2 邪神の胎動
【あるばーとおでっせいつー じゃしんのたいどう】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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16MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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サンソフト(サン電子)
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発売日
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1994年12月22日
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定価
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9,980円
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判定
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なし
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ポイント
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どちらかというと劣化した続編 難度が大幅に増加
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アルバートオデッセイシリーズ 1 / 2 / 外伝
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概要
前作『アルバートオデッセイ』の10年後を舞台にした続編。
前作の登場人物であった『ライアモス伯爵』の子のディーンが主人公で、前作のEDが(演出をはじめかなり変更されているものの)そのまま本作のOPとなっている。
特徴
演出や町と町の間がSRPGになっているという基本的なシステムなどは前作を踏襲しているが、多くの点で他のSRPGと同じになった。
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他のSRPG同様『移動』→『一回行動』というシステムになったため、前作のように1ターンの内にどんなコマンドを使っていくかを考えることはなくなった。また町やダンジョンの中では一丸となって行動するため、仲間をバラバラに動かすこともできなくなった。
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仲間のいるマスを通過できるようになり、狭い道に置くと障害物になるようなことがなくなった。
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ZOCが導入され、モンスターの隣のマスをすり抜けて移動することができなくなった。
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前作では固定装備だった右手武器も変更できるようになり、左手には盾やオーブなどを装備するようになった。
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攻撃システムが変わり、通常攻撃は一度で2回の攻撃が行われるようになった。また命中率が表示されるようになった。
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無限だった特殊能力は、精神力(MP)を消費する有限なものに変わった。どの特殊能力を使っても消費する精神力は1である。
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全体的に難易度が上昇した。
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攻撃された側がカウンターで攻撃する(敵の攻撃の後に『反撃』するのではない)こともあるため、敵に攻撃する際は自分のHPにも注意しなければならない。
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正面から攻撃するとカウンターを喰らいやすい。もちろん、味方がすることもある。
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敵味方とも、攻撃の命中率が変わった。前作ではよほどの力の差が無い限り攻撃が外れることはなかったが、本作では同レベル程度の敵なら70~80くらいの命中率となるため前述のカウンターと合わせて戦闘結果が読み辛くなった。
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敵味方ともに会心の一撃が出るようになり、敵のHPを削ろうとしたら大ダメージが出て倒してしまったり、格下の敵から意外な大ダメージを受けてしまったりと、とにかく戦闘結果が安定しない。
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主人公が死ぬと他の仲間が生きていても敗北となり、所持金が半減されてセーブ地点まで戻され、DEADの数値が一つプラスされる。
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ダンジョン内に宝箱が登場した。消耗品の鍵を使うか、盗賊キャラの特技で開けられる。
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モンスターと同じ扱いであり、隣のマスを通ろうとするとZOCに引っ掛かる。また本当にモンスターが化けていることもある。
問題点
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前作のエンディングからの改変
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町の外に出ようとした僧侶ノイマンが何者かの不意打ちにより無言で絶命するシーンは、敵の攻撃からアルバートをかばって死んだことに改変された。
蘇生魔法を使える僧侶がかばうなよインパクトが台無しである。
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苦労してやっと倒したはずのラスボスが大量発生して町を取り囲むという悪夢のような演出があったが、今作では一匹になっている。
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大量に連れていたはずの部下モンスター達も一切おらず、本当に一匹。ストーリー上で対決するのだが前作のような手ごたえはなく、大勢で取り囲んでの袋叩きになる。姿も異形のモンスターから人型に改変され、威厳も迫力も感じられない。
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前作の問題点が一部改善されていない。
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前作と同じく、味方を中心とした一定の範囲内しか見ることができない。広いマップでは全ての敵を見ることはできないし、味方同士が大きく離れている場合一度メニューを経由しないとカーソルを移せない。
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移動地点を選ぶ際、相変わらず移動不可なHEXは暗く表示される。全体の地形を確かめながら移動することができない。
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敵は強力かつ多数。それでもフィールドは広いため敵を誘き出して各個撃破することができるが、ダンジョンでは狭いマップに強力な敵が犇めき合っているため、戦う→ボロボロになって出る→街に戻って蘇生&回復→また来るの繰り返しとなる。フィールドでも、マップの狭い駐屯地周辺でのペイルとの戦いはゲーム中最大の難所である。また敵の数が多いためテンポが悪い。
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後半になると召喚魔法を使う敵が増える。あろうことか一度に6匹も召喚するような敵が複数いる始末。ZOCがあるので召喚される前に倒そうにも届かず、精神力切れを起こすまで延々と召喚され続けることになる。
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フィールドマップにおいても町中においても、画面に多数のユニットが表示されると処理落ちする。特に敵も味方も数が増える後半は顕著。
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敵側有利な状態異常。
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マヒはダメージを受けた時でなく、魔法「マヒ弾」を命中させないと引き起こせなくなった。しかも当たってもマヒするとは限らず、絶対にマヒしない敵もいる。ボス敵も絶対にマヒしない。
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マヒしたモンスターにもなぜかZOCは適用され、通行を妨げられてしまう。
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せっかくマヒさせてもマップを切り替えると治ってしまう。町に戻って回復してまた来るという戦法とは相性が悪い。
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敵は通常攻撃の追加でマヒや今回追加された毒、石化を仕掛けてくるようになった。毒と石化は自然回復せず、どちらも放置すると死に至る。
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前作ではどこにいてもアイテムで治せたが、今作は味方が近くまで行かないと治せなくなった。また治すだけで行動終了してしまうので、近くにいる敵の排除も同時に行わないとまた状態異常にされるという悪循環に陥ってしまう。
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治療用アイテムも状態異常の種類によって違うため数を用意するのにお金がかかる。治癒魔法は種類問わず治せるが、使える仲間は足が遅いので近くに行くのが大変。
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主人公(笑)。
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ディーンは主人公なのに持つ特殊能力が地味かつあまり役に立たず、前作の主人公アルバートが仲間になるとさらに影が薄くなる。また倒されると即敗北なのにもかかわらず特に打たれ強くもないため、やられないよう仲間の後ろでじっとしていることも多い。紙と揶揄されることも。
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主人公だけは死なないように町のそばで待機させて、仲間を敵陣のまっただ中に突撃させるなんて場面もよくある。仲間は死んでも蘇生費用は安く、一度の蘇生で全員生き返るので全然問題ない。
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前作はレベルアップに必要な経験値がキャラ毎に設定されており、支援キャラは少ない経験値でレベルアップできたのだが、今作は全員が同じ経験値でレベルアップするため、攻撃力の低いキャラのレベル上げがとにかく大変。
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面倒だからと言って弱いキャラのレベル上げをさぼると、特定の攻撃しか通用しない敵との戦いで苦労することになる。よりによってラスボスも特定の攻撃しか通用せず、ラスボスの攻撃を防ぎきるためのキャラの育成も必要であるため、へたすると最後の最後で詰みかねない。
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ゲーム中に登場する宝箱は6種類のランク設定がなされており、レベルや色で分けられているのだが、青と緑の宝箱は全てトラップボックスであり、中身を一切入手できない。
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データ上は青や緑の宝箱にもアイテムテーブルが用意されているのだが、入手できないため、多くのアイテムがデータ上だけの存在となってしまっている。
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敵からアイテムを盗むことでそのうちのいくつかは入手可能だが、完全に入手不可能なアイテムも存在する。
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システムはかゆい所に手が届かない。フィールドで味方にカーソルを合わせてもレベルは表示されないし、買い物の時に持っているアイテムの個数がわからない等。
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奇妙なモンスター名が多い。他のゲームなら「イフリート」となるところが「『エ』フリート」となっている。他にも「オーグル」(他のゲームでいうところの『オウガー』)や、「ビッ『ク』バイパー」なんてのもある。
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エンディングは前作のような酷い内容ではないのだが、仲間の魔法使いキャラが何故か甲冑をまとった一般兵に変わるというシーンがある。これが何を意味するのか一切説明がなく、完全に意味不明。
評価点
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小高直樹氏作曲の音楽は今作でも好評。
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前作のアレンジ曲が多く、前作と同じ個所で使われているため、経験者にはなつかしく感じられる。
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前作同様、ボスの行動順になるとボス用BGMに切り替わる。前作よりも更に迫力に磨きがかかっている。
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フィールドBGMも前半、後半、雪原の3種類あり、どれも聞きごたえがある。
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主人公の名前を「コンサート」にすることでサウンドテストができる。へべれけのゲストキャラはここで出演している。
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町などの拠点への移動は、主人公を拠点に入れるだけで全員が一斉に移動するようになった。
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装備品購入時に、装備可能かどうかが表示されるようになった。
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夜しか開いていない怪しげな店もあったりする。攻撃力の上がる防具など面白いものもあるが、防御力が異様に低かったりするので主人公に装備させるのは大変危険である。
総評
独特のシステムが凡百化したのを皮切りに、前作の伏線を一応回収してはいるが凡庸なシナリオなどでさほど話題にならなかった。
前作が良くも悪くもプレイヤーに強烈な印象を与えたこともあり、単体ならともかく続編としては劣化した作品であろう。
その後の展開
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セガサターンで『アルバートオデッセイ外伝 レジェンドオブエルディーン』が発売された。ジャンルはRPGに変更、2から数百年後を舞台にして差別化を図っている。
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戦闘がコマンド選択式になったり、イベント、戦闘にキャラクターボイスが採用されたりなど過去作とは一線を画している。
最終更新:2024年05月12日 05:01