AKIRA PSYCHO BALL
【あきら さいこぼーる】
ジャンル
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ピンボール
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売元
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バンダイ
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開発元
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KAZe
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発売日
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2002年2月21日
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定価
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4,980円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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セーブデータ
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70KB以上の空きが必要
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判定
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なし
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ポイント
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アニメ映画『AKIRA』をモチーフとしたピンボール KAZeらしい職人的な作り 幾分の不備も目立つ
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AKIRAゲーム作品 AKIRA / AKIRA PSYCHO BALL
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KAZe/デジタルピンボールシリーズ
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概要
2002年にてバンダイ発売、KAZe製作にてリリースされたプレイステーション2ソフト。
アニメ映画『AKIRA』をモチーフとしたピンボール台を4ステージ分収録している。2016年現在、『AKIRA』を題材としたゲームはファミコン版と本作のみである。
本作の約6年前にリリースされたPS1ソフト『パワーレンジャー ピンボール』と同じ路線で作られたピンボールゲームであり、KAZeが所持するブランド「デジタルピンボール」の一角でもある。
ピンボールとしてはリアル路線を重視しつつも、実物では再現不可能なゲーム的な演出やギミックも組み込まれている。
特徴
主なモード
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ストーリープレイ
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アニメ映画版のダイジェストに沿った台に挑戦する、本作のメインモードにあたる。
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ステージクリア方式を採用しており、特定のギミックをすべて満たすと次のステージに進める流れとなる。
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1人プレイ専用の全4ステージ構成。ステージ内容(台)は以下の通り。
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STAGE 1「ネオ東京」
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STAGE 2「ラボラトリー」
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STAGE 3「Aルーム」
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STAGE 4「オリンピック・スタジアム」
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ステージ中にボールをすべてロスするとゲームオーバーとなるが、コンティニューでそのステージの最初からの再開が可能(コンティニュー回数は無限)。
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セーブデータのあれば、コンティニューの経過をセーブした状態での再開も可能。
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ゲームオーバー(ゲームクリア)後にベストスコアを出すと、ベスト5までのスコアとプレイ難易度が登録でき、ランキングで観覧可能(ネームエントリーは不可)。
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ステージセレクト
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「ラボラトリー」「Aルーム」「オリンピック・スタジアム」の各台を自由に選択して、クリア目標なしでエンドレスにプレイできるモード。
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ゲーム開始時は一切の台が選べないが、上記のストーリープレイでステージを進める事によって選べる台が増えていく。
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こちらも1人プレイ専用である。
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ゲームオーバー後にベストスコアを出すと、こちらもベスト5までのスコアとプレイ難易度が登録でき、ランキングで観覧可能(ストーリープレイとは別枠、ネームエントリー不可なのは同様)。
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VSプレイ
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「ネオ東京」の台のみプレイ可能なモード。3つのゲームモードの中で唯一対戦が可能。
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1人~2人対戦プレイが可能。
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明確なクリア目標はなく、純粋に勝敗結果のみが目的のモードである。対戦成績のセーブは一切できない。
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オプション
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いわゆるオプション項目であり、以下の設定が可能。
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コントローラーの操作を2タイプから選べる。
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ゲーム難易度を3段階から設定できる(ストーリープレイ、ステージセレクトのみに反映される)。
難易度が高い程に初期所持ボールの数が減り、プレイ難易度が上がる。
ストーリープレイ、及びステージセレクトのランキングはスコアの他に設定した難易度も表示される。
難易度「イージー」ではアウトレーン(画面左右下部にある落とし穴)の「キックバック」が無限に開放されており、アウトレーンにボールが落ちてもロスせずに何度でも復活できる。
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BGMと効果音の音量を5段階から設定できる。
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アナログコントローラーのバイブレーション機能の有無を設定できる。
但し、これが反映されるのはストーリープレイの「ネオ東京」ステージ、及びVSプレイのみである。
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各モードのプレイを終えた後にオートセーブするかの有無を設定できる。
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各台の特定ギミックを発動した時に起こる、演出による自動視線変更の有無の設定ができる。
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アバウト サイコボール
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「収録ピンボールの基本ルールや攻略法」「アニメ映画版の簡易説明」「アニメ映画版の原作者兼監督である大友克洋氏のプロフィール」が鑑賞できる。
主なルール
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原則として一般的なピンボールゲームと同じ操作系統、及びルールとなっている。
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ピンボールの操作方法は以下の通り。
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△ボタン、もしくはL2/R2ボタンでボールの発射。
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方向キー左で左フリッパー、○ボタンで右フリッパーの操作。
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L1/R1ボタン、もしくはL2/R2ボタンで台揺らし。
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以上の操作はゲーム初期状態のものであり、オプションでもう1タイプの操作方法に変更できる。
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ピンボールのルール環境は以下の通り。
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連続で台を揺らしすぎるとペナルティとして、そのボールを強制ロスしてしまう「ティルト」が発生する(変化台のみ)。
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ボール発射から短時間でボールをロスしてしまうと、救済処置である「フリーズ」が発生し、ロスカウントなしでロスしたボールが復活する(変化台のみ、ティルト時除く)。
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特定のギミックを発動させるとボーナスとして「マルチボール」が発生する場合がある(変化台のみ)。
この状態になると制限時間内にて複数のボールがフィールドに流れ、多大なスコアを稼ぎやすくなる。
また、制限時間内ならば、ボールをロスしてもロスカウントなしで何度でもボールが再発射される。
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対戦台の場合はゲーム開始時から常時マルチボール状態となり、ゲーム終了までその効果は続く。
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対戦台の詳細
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左側のフィールドを1プレイヤー、右側のフィールドを2プレイヤーかCPUが別々で操作する。
例えるならば、運動会の玉入れ競争に近いノリでプレイする形式のルール。
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この台は最初から一度に複数のボール(マルチボール)が両者のフィールドにて無限に落ちてくる。それをフリッパーで上手く跳ね返すと相手フィールドにボールを送る事ができる。
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相手フィールド下部にボールが落ちてロスすると、こちら側のプレイヤーのポイントゲージが蓄積されていく。
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いち早くこちら側のポイントゲージを最大値まで溜め込めば勝利となり、溜め切れなかった側が敗北となる。
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この台では制限時間があり、時間が0になっても決着がつかなければポイントゲージが多い側が勝利となる。
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ストーリープレイのSTAGE 1でこの台をプレイする場合は、右側がCPU担当となる。
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VSプレイでは、2人対戦(1P vs 2P)にするか、右側をCPUに割り当てるかの選択が可能。
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当然ながら2人対戦の場合はコントローラーが2つ接続されていないとプレイできないので注意。
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変化台の詳細
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「ラボラトリー」「Aルーム」「オリンピック・スタジアム」の台に適用された単独プレイ台。
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この分類の台はすべて「上側フィールド」と「下側フィールド」の2つがドッキングした状態で構造されている。
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上側フィールドは「ラボラトリー」「Aルーム」「オリンピック・スタジアム」の3種類、
下側フィールドは「金田VSアーミー」「鉄雄VSナンバーズ」「鉄雄VS金田」の3種類があり、 特定ギミックを発動するなどしてクリア条件をすべて満たす事でラウンドクリアとして下側フィールドが入れ替わる演出が発生、もしくはステージクリアとなる。
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各ステージの台の入れ替わり順は以下の通り。
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【「ラボラトリー」台】
「ラボラトリー + 金田VSアーミー」 ⇒ 「ラボラトリー + 鉄雄VSナンバーズ」 ⇒ 「ラボラトリー + 鉄雄VS金田」
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【「Aルーム」台】
「Aルーム + 金田VSアーミー」 ⇒ 「Aルーム + 鉄雄VSナンバーズ」 ⇒ 「Aルーム + 鉄雄VS金田」
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【「オリンピック・スタジアム」台】
「オリンピック・スタジアム + 金田VSアーミー」 ⇒ 「オリンピック・スタジアム + 鉄雄VSナンバーズ」 ⇒ 「オリンピック・スタジアム + 鉄雄VS金田」
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各台の「~~~ + 金田VSアーミー」のクリア条件をすべて満たすと次のラウンド「~~~ + 鉄雄VSナンバーズ」に移行、
「~~~ + 鉄雄VSナンバーズ」のクリア条件をすべて満たすと次のラウンド「~~~ + 鉄雄VS金田」に移行、 「~~~ + 鉄雄VS金田」のクリア条件をすべて満たせば、ストーリープレイにおいてはその台はステージクリアとなる。
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ステージセレクトにおいては、「~~~ + 鉄雄VS金田」のクリア条件をすべて満たしても、その台の「~~~ +金田VSアーミー」に戻り、以後ゲームオーバーになるまで延々と同じ台のループを繰り返す事となる。
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ネオ東京の台図
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ネオ東京
1 P____Y L____E A____R
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2 P____Y L____E A____R
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フリッパー
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フリッパー
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【ストーリープレイ】 CPUに勝利する ⇒ STAGE2「ラボラトリー」に進む。
【ストーリープレイ】 CPUに敗北する ⇒ ゲームオーバー(コンティニュー)。
【VSプレイ】 勝敗が決着する ⇒ ゲームが一旦終了し、再び対戦するかどうかを選び直す。
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ラボラトリーの台図
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ラボラトリー
STAGE 2 ラボラトリー
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金田VSアーミー ROUND 1
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フリッパー
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↓↓↓↓↓ (ROUND CLEAR)
STAGE 2 ラボラトリー
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鉄雄VSナンバーズ ROUND 2
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フリッパー
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↓↓↓↓↓ (ROUND CLEAR)
STAGE 2 ラボラトリー
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鉄雄 VS 金田 ROUND 3
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フリッパー
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↓↓↓↓↓ (ROUND CLEAR)
【ストーリープレイ】 全ラウンドをクリアする ⇒ STAGE3「Aルーム」に進む。
【ステージセレクト】 全ラウンドをクリアする ⇒ 「ラボラトリー」のROUND 1に戻る(無限ループ)。
【ストーリープレイ/ステージセレクト】 ボールをすべてロスする ⇒ ゲームオーバー(コンティニュー)。
地下下水
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「ラボラトリー + 金田VSアーミー」状態にて、とある条件を満たすと出現するサブフィールド台。
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敵であるフライングプラットホームにボールを複数回当てて破壊し、出口にボールを入れて脱出するのが目的となる。
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クリア、もしくはボールが下部に落ちてしまうと、「ラボラトリー + 金田VSアーミー」状態に戻る。この台ではボールを落としてもロスカウントはされない。
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ラウンドクリア条件には含まれておらず、この台を無視してもクリアには一切影響はない。
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Aルームの台図
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Aルーム
STAGE 3 Aルーム
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金田VSアーミー ROUND 1
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フリッパー
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↓↓↓↓↓ (ROUND CLEAR)
STAGE 3 Aルーム
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鉄雄VSナンバーズ ROUND 2
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フリッパー
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↓↓↓↓↓ (ROUND CLEAR)
STAGE 3 Aルーム
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鉄雄 VS 金田 ROUND 3
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フリッパー
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↓↓↓↓↓ (ROUND CLEAR)
【ストーリープレイ】 全ラウンドをクリアする ⇒ STAGE4「オリンピック・スタジアム」に進む。
【ステージセレクト】 全ラウンドをクリアする ⇒ 「Aルーム」のROUND 1に戻る(無限ループ)。
【ストーリープレイ/ステージセレクト】 ボールをすべてロスする ⇒ ゲームオーバー(コンティニュー)。
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オリンピック・スタジアムの台図
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オリンピック・スタジアム
STAGE 4 Oスタジアム
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金田VSアーミー ROUND 1
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フリッパー
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↓↓↓↓↓ (ROUND CLEAR)
STAGE 4 Oスタジアム
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鉄雄VSナンバーズ ROUND 2
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フリッパー
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↓↓↓↓↓ (ROUND CLEAR)
STAGE 4 Oスタジアム
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鉄雄 VS 金田 ROUND 3
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フリッパー
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↓↓↓↓↓ (ROUND CLEAR)
【ストーリープレイ】 全ラウンドをクリアする ⇒ エンディングへ。
【ステージセレクト】 全ラウンドをクリアする ⇒ 「オリンピック・スタジアム」のROUND 1に戻る(無限ループ)。
【ストーリープレイ/ステージセレクト】 ボールをすべてロスする ⇒ ゲームオーバー(コンティニュー)。
アキラドーム
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「オリンピック・スタジアム + 金田VSアーミー」状態にて、とある条件を満たすと出現するサブフィールド台。
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塞がれた扉にボールを複数回当てて破壊し、扉に奥にある複数のカプセルもすべて破壊するのが目的となる。
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クリア、もしくはボールが下部に落ちてしまうと、「オリンピック・スタジアム + 金田VSアーミー」状態に戻る。この台ではボールを落としてもロスカウントはされない。
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ラウンドクリア条件に含まれており、次ラウンドに進む為には必ず攻略する必要がある。
SOL
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「オリンピック・スタジアム + 鉄雄VSナンバーズ」状態にて、とある条件を満たすと出現するサブフィールド台。
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敵であるSOLにボールを複数回当てて破壊するのが目的となる。
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この台には無重力空間のフィールドという設定となっており、ボールの動きに独特の慣性が働く仕掛けとなっている為、それをわきまえたプレイが重要となる。
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クリア、もしくはボールが下部に落ちてしまうと、「オリンピック・スタジアム + 鉄雄VSナンバーズ」状態に戻る。この台ではボールを落としてもロスカウントはされない。
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ラウンドクリア条件に含まれており、次ラウンドに進む為には必ず攻略する必要がある。
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評価点
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KAZe製のピンボールゲームの例に漏れず、純粋にピンボールの完成度が高い。
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「フリッパーでボールを操作して、様々なギミックに狙いを定める」といったピンボールとしての面白さはもちろん上質に作られている。
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ボールの機軸が違和感なく自然かつスピーディに動き、ピンボールとしてのリアルさに関しても丁寧な作り込みがなされている。
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各台のギミックはわかりやすさと丁寧さを両立させた構造となっており、あまりピンボールに詳しくない人でも楽しみやすいものとなっている。
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グラフィック周りやデザイン、BGMに関してもハイクオリティ。
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2002年のPS2のゲームとしては綺麗な部類のグラフィックであり、KAZe製だけあってデザインセンスも極めて優秀なものとなっている。
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ハードスペックの向上もあり、『パワーレンジャー ピンボール』(以下、PRP)よりも画像解析度がより繊細となり、外観の粗さが減った。
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ゲーム内にて凝った言い回しのナレーションボイスが頻繁に流れる演出がかっこよく、ゲームを盛り上げてくれる。
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ゲームにぴったりとマッチした良曲揃いのBGMもいい感じである。残念ながらサウンドテストは不可だが…。
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AKIRAファンには嬉しい演出の数々。
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ストーリープレイでは、ゲームを進める度にアニメ映画版AKIRAの映像が大方ダイジェスト通りに流れる演出が発生し、アニメ映画版を知っている人ならばニヤリとできる事は必至だと思われる。
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台の中でも「AKIRAの名シーンを忠実に再現した」ギミックが組み込まれており、アニメ映画版を知っている人はより攻略が楽しくなる作りとなっている。
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その他の評価点。
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ロードは極めて短く、下記の演出の問題点の件はあるものの過剰に待たされる心配はない。
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ゲーム内にてピンボールの説明はおろか、アニメ映画版や大友克洋氏の情報が拝めるデータベース的な項目もあり、ファンにとっては嬉しい。
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相変わらず説明書のデザインが優秀で、説明の解説もわかりやすい。ゲーム内に説明情報があるのに、説明書の作りの手を抜かないあたりがKAZeクオリティというべきか。
賛否両論点
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「AKIRA」のゲームとしての賛否両論点。
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ピンボールゲームとしてのデザインセンスを大きく評価する者が多い反面、「あまりにもデザインが綺麗すぎて、AKIRA特有の荒廃した雰囲気が足りない」といった批判をする者もおり、純粋にAKIRAの世界観を完全再現できているかどうかは疑問である。
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ちなみに、ファミコン版『AKIRA』はゲームとしては理不尽な難易度でクソゲーの印を押されている様だが、世界観の再現という意味では優秀であった。
問題点
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アニメ演出はやや過剰である。
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評価点で述べた「アニメ映画版AKIRAの映像が流れる」のは確かに嬉しいが、何度も同じ台をプレイする機会が多いピンボールゲームの本作においては「ゲームが中断された状態で映像を何度も見せられる」という煩わしさも兼ね備えている。
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PRPもゲーム中に様々な演出が流されたが、あちらは「演出がスピーディで大半はスキップできる」というものだった。
しかし、本作の演出は「演出時間が長めでスキップできない」というものであり、実質の台プレイ中のロード時間と同じようなものとなってしまっている。
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これにより、「最初は嬉しい演出も段々と邪魔になる」という問題を抱えてしまっている。アニメ演出に関してはオプションでのON/OFF設定が一切できない。
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あまり面白みのない対戦台。
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対戦台は「ネオ東京」の1台ぽっきりしか用意されておらず、対戦プレイのバリエーションはかなり乏しい。
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しかも、その対戦台に関しても「画面内にボールが溢れかえる故に狙って相手フィールドにボールを送るのは難しく、フリッパーを適当に動かすだけ」という単調なプレイになりやすい。
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実際、「こんな中途半端な対戦台を入れる位なら、こっちも変化台として作って欲しかった」というプレイヤーが多い程である。
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実は台のバリエーションはそんなに多くない。
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PRPの場合は「完全個別に作られた11の台」が用意されていたが、本作に関しては「対戦台1台 + 上下3つのフィールドを組み合わせた変化台9種類 + サブフィールド台3台」という台収録となっている。
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変化台に関しては悪くいえば「同じフィールドを使い回したツギハギ台の水増しによる9種類」であり、各台の個性という意味ではPRPよりも幾分か劣ってしまう。
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変化台を除けば、「上記に述べた対戦台」「変化台に比べると大幅にギミックが少ないサブフィールド台」しかなく、あまり魅力のある存在とはいえない。
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とはいえ、変化台のラウンドクリア条件はフィールドが切り替わる度に毎回変わる為、完全なる水増し台という手抜き構造ではなく、ある程度の差別化は図られている。
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一部台の構造が見え辛い。
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本作の台は他のピンボールゲームと比べるとレーンの敷地面積が多い構造となっており、それが原因で「レーンの影にボールが隠れる」といった状況に陥りやすい。
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サブフィールド台の「地下下水」「アキラドーム」は他の台よりも前方視野が確認し辛く、思いもよらぬミスをしやすい。
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ゲーム的なピンボールゲームとしてみると物足りなさを感じる。
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PRPの場合は「群がる雑魚敵をボールを当てて破壊したり、ボス敵にボールを複数回当てて倒す」といった非リアル趣向な場面が多かったが、本作はそういった場面が激減し、リアル路線のピンボールに近い攻略メインのゲーム性になっている。
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その為、PRPと同じようなゲーム性を期待すると「演出は派手でもゲーム自体は地味になってしまった」と解釈されやすく、作風に好みが分かれる傾向にある。
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逆にギミックの仕掛けに関してはPRPよりも本作の方が作り込まれており、「ピンボールゲームとして純粋に面白い」と評する物も少なくない。
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コンティニューのやり直しがきつい。
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ストーリープレイの変化台でゲームオーバーとなると、「そのステージの最初のラウンドからのコンティニュー」を余儀なくされる。
すなわち、いくらラウンドが進んでいようがゲームオーバーになると必ずそのステージの最初のラウンドからやり直さなければならない。
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本作はPRPに比べるとクリア条件までの道のりが多少複雑化している故に、よりやり直しの負担が大きく、下手すると数十分単位のプレイ時間がパァになってしまう恐れすらもあるのが厄介である。
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その他の問題点など。
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PRPには存在しなかったスコアランキング表示が追加されたはいいが、ネームエントリーができない。5つあるPS2のピンボールゲームの中でそれができないのは本作のみ。何故だ?
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ゲーム中で流れるアニメ演出自身を鑑賞できるモードは搭載されていない。この辺は「劇場アニメ版のDVDソフトなどを買って見とけ」という事なのだろうか?
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説明書の裏表紙には「AKIRAをレトロなリアルピンボール風に再現した台の絵(インストカード付き)」が描かれているが、ゲーム内にはこれは収録されていない。
今にも動き出しそうな位に面白そうな構造の絵となっているだけに是非プレイしてみたかった…。
総評
KAZe製だけあってピンボールゲームとしての面白さは折り紙付きだが、問題点などの項でも述べた無視できない問題もあり、「面白いけど良作と呼ぶには今一つ足りない」というべき作品である模様。
上記にて様々な批評を述べたが、少なくとも同期リリースのピンボールゲームとしてはしっかりと作られている事実は間違いないだろう。
すでにKAZe(カゼ・ネット)は家庭用ゲーム事業から遠のいている為、本作と同じ路線の家庭用デジタルピンボールがリリースされる機会はほぼ絶望的なのが悲しい次第。
最終更新:2025年03月23日 13:35