「検証依頼」が出ています。依頼内容は「問題文について、実際には映画通りの行動を求められてはいない件」です。対応できる方はご協力をお願いします。
AKIRA
【あきら】
ジャンル
|
アドベンチャー
|
|
|
対応機種
|
ファミリーコンピュータ
|
メディア
|
3MbitROMカートリッジ
|
発売元
|
タイトー
|
開発元
|
トーセ
|
発売日
|
1988年12月24日
|
定価
|
6,800円
|
判定
|
クソゲー
|
ポイント
|
死亡、逮捕だらけの理不尽死にゲー(まさに「常習性アリ」) 自由度が低すぎて、ゲームでやる意味が薄い 原作者監修のシナリオ自体は良質
|
AKIRAゲーム作品 AKIRA / AKIRA PSYCHO BALL
|
概要
SF漫画の金字塔との呼び声も高い、大友克洋原作の80年代を代表する国民的人気コミック「アキラ」の数少ないゲーム化作品。
新型爆弾により壊滅した東京で、暴走族のリーダーである主人公・金田は仲間の鉄雄の事故をきっかけに封印された「アキラ」の謎に関わっていく近未来SF。
劇場アニメ版では先に音声を収録しそれに合わせて口の動きを作成する作画手法や、後半のグロテスクな描写が話題となり、特に主人公の乗るバイクは人気が高く、近年でもフィギュアや実車カスタムバイクが製作されるほどである。
ゲーム自体はオーソドックスなアドベンチャーゲームだが、とにかく難易度が高い。
問題点
-
シンプルに「死にゲー」。ADVがクソゲー化するに有りがちなパターンである「選択肢を間違えたら一発死」がふんだんに用いられている。
-
映画版をやんわり踏襲するという半端さ
-
原作が連載されていた最中である88年の同夏に公開された映画版をベースにゲーム用に相当に圧縮して再構築されたシナリオが用いられているが、金田視点でのみストーリーが進行し鉄雄側の出来事は基本的には描かれない。
-
これにより後半で鉄雄の精神的不安が顕現し対立する理由がわからなくなっている。
-
女性キャラが殆ど登場しない。
-
カオリはグラフィックが出るものの名前すら用意されず、新興宗教の教祖であるミヤコさまに至ってはパスワード入力の画面に出るのみ。ゲーム容量の都合で再編されるのは仕方ないとしても一応レギュラーキャラなのに扱いが雑。
-
唯一活躍の場があるのはゲリラ組織のケイだけである。
-
厳密に映画版をなぞっておらず、映画を見ていても総当たりを要求される
-
例えば操作ができるようになって間もなく手榴弾を持った過激派の学生が現れ、以下の選択肢が出るのだが…。
+
|
... |
さけぶ
あわてる
おどる
にげる
とびかかる
ふせる
みつめる
いのる
-
ユーザーレビューにはこの場面で進めず諦めてしまったという声も見受けられる。何分この状態で何を選んでも全部ゲームオーバーになっている事が多いからだ。
-
直前の流れで写真から仲間3人を選び情報を入手し、ヒロインの情報を得て正解の道に入ってから「叫ぶ」「伏せる」の順番で選ぶ事が正解である。
-
すでに詰んでいる事がわからず先に進めてしまう事が悪いのか、ユーザーに超能力を要求しているのか、映画を見たことがある人を前提としたフラグ立てが多すぎる上それも正確ではない。
|
-
フラグが成立していない時に移動するとゲームオーバー。真っ当なADVにあるような「まだ帰るわけにはいかない…」とプレイヤーを押し止める台詞もなくあっさり死ぬ。
-
柄の悪い兄ちゃんに話しかけたら死ぬ。
-
道を右に曲がったら死ぬ。
-
適当に移動したらいきなり刺されて死ぬ。
-
生きるか死ぬかの緊迫した場面でお茶に誘うと死ぬ。
-
簡単に言ってしまえば映画のシナリオに着地するような選択肢を
選べさえすれば
勝手にシナリオが進む。
選べないから地獄を見るのだが。
-
ようするに時々「一発死しないように選択肢を選ぶミニゲーム」が挿入されるただの小説でしかない。プレイの大半を「テキストを読むこと」に費やすことになる。
-
その手法で成功したゲームジャンルであるサウンドノベルやインタラクティブムービーなどもあるとはいえ、ゲームオリジナル部分として最後のバッドエンドしかないシナリオを体験させられるなら映画や原作を見たほうが十分意義がある。
-
「360°マルチスクリーン」として視点を360°変更できる…と言う臨場感がテレビCMやパッケージやカセットラベルにて宣伝されているのだが、実際には部屋の中で視界を横スクロールするとループすると言うだけ。しかもそれができる部屋は1箇所しかなく、わざわざカッコつけて言う程の仕様ではない。
-
おまけにこのたっぷりアピールした場面そのものが簡単にカットできる。というより正攻法な考え方で進めば大抵がこれをカットしたルートになる。映画の展開を意図的に再現しようと寄り道をした場合でしか見られない。
-
また、敵の追跡機を打ち落とすFPSミニゲームなどと言うものもあるが、これに至っては真ん前か真後ろかの2視点しかない。
-
ほとんどの場面で効果音代わりのノイズがザーザー鳴り続ける。音声入力の配線を間違えたかと言うくらいのレベルで、もはや臨場感や演出になっておらず、ただうるさい。
-
BGMはアキラということを考えないで聞いた場合、現代の数十年後を舞台としたサイバーパンクっぽさはあるのだが、映画版のBGMを聞いてからだと萎えるだけ。
-
当たり前だが芸能山城組の名曲は全て使われていない。
-
原作を知っていても、普通に考えて行動したら死ぬよりも恐ろしい(正しくは果てしなく長いやり直しを強いられる)虚しい終わりにたどり着くハメになる。
-
あまつさえ原作に沿ったシナリオ以外はゲームオリジナルなので誰に向けたゲームか最早わかりようがない。
-
尤も映画原作のゲームは地雷であることが多いのでこのゲームもその一つと言われてしまえばそれまでだが。
+
|
映画を含めネタバレ注意
|
-
映画での鉄雄との戦いと同様に最終的には金田の放ったレーザーが鉄雄の右腕に命中してそこから怪物化が進んでいく展開になる。つまり映画を見ていればレーザーで鉄雄の右腕を狙うこと自体は想像することはたやすい。
-
だが、ゲームではその場面でバカ正直に鉄雄の腕を狙に命中させても胸を貫いたことになり鉄雄は苦しみだして鉄雄は死んでしまいましたと状況だけを伝える淡泊なメッセージと、金田が「やったぜ山形ァ!」と適当に喜んで「金田の活躍でネオ東京に平和が戻った」とこれまた適当に状況だけを伝えるメッセージで終わる。
-
一応ご都合主義的にはハッピーエンドではあるが、どう考えても呆気なく終わりすぎて本当のエンドでないことは誰が見ても明白。しかもこれはゲームオーバーではないのですぐやり直すことができず、こんな展開は誰も想像していないであろうことからパスワードを取っている可能性も薄く、また死に選択ゲーを最初からやり直すハメになったはずだ。或いはそのまま投げ出したか…
どっちにせよ、こんなことならまだゲームオーバー扱いの方がゼンゼンマシである。
-
実はゲームオリジナルの展開がここにあり、1回目の鉄雄との戦いで引き返した後、ケイから鏡を受け取って、その鏡でレーザーを反射させないと右腕に命中させることができないのだ。鉄雄自身の腕にどんなに必死に合わせようとしても、鉄雄の体に当てれば、結局胸を貫いたことになってしまう。
-
2回目以降ならばその局面の直前でパスワードを取ってすぐやり直せるが、上記のような想像に至ることは容易ではない。そのため何度も何度もパスワードを入れる苦汁を味わったと思われる。
-
また1回目の戦いでは、鉄雄の体の部位によって異なる展開が用意されており、この時も胸に命中させると、上記と同じ虚しいだけのバッドエンドになる。映画では同じ場面で鉄雄の胸をレーザーが貫く描写があるため、この時も勘違いしやすい。
|
評価点
-
グラフィックについてはかなりのこだわりが感じられる。小さめのキャラや背景の遠近法こそ適当なものの、顔のアップや一枚絵の描き込みは決して手抜きではないし、キャラクターの口パクもある。
-
ゲームオーバーになっても直前からコンティニューが出来る
-
一応IFエンディングがある。
-
真エンドはアニメーションがあるので差別化がされている。
-
映画版再現のエンディングは勿論、アキラの覚醒を金田が阻止して平和になるエンディングや、連載(休載)中だった漫画版に続くようなエンディングなど。大友克洋本人が監修しているシナリオなので「アキラ」の一つのストーリーとして楽しむことは出来る。
-
ただし分岐点は最終盤の選択肢のみであり、エンディングを見るためのフラグ立てはほぼ無いので、総当たり死にゲーな事に変わりはない。
総評
映画版を知っているとFCレベルのグラフィックで金田視点のシナリオを浅くなぞっただけのシナリオ、映画版を知らないなら理不尽な選択肢の翻弄されるだけのゲームである。
情けない死に様を笑うバカゲーとして楽しもうにも、死亡ポイントのあまりの多さに辟易する可能性の方が高い。
まがりなりにも原作者の監修が入っていてIFエンディングもあり、少なくとも原作レイプにはなっていないのが救いか。
余談
-
かつて『月刊少年ジャンプ』にて連載されていた「われらホビーズ ファミコンゼミナール」で本作を題材にした話がある。
-
流石に集英社と講談社ではグループが違うのでそのまま使うのは問題があったようで、タイトルも作中のセリフも「ア●ラ」と伏字にされていた。(版権作でも美味しんぼは普通に名前を出している。)
-
本作自体が原作の内容を元にゲーム化したのもあって、内容はゲームのパロディというよりAKIRAのパロディになっていた。
-
CMはアニメ映像がふんだんに使われている。
-
最初に「360°マルチスクリーン」と謳っているが、そのゲーム画面は出てこない。上記の通りなのでその画面を直接見せないのは賢明な判断。
-
「常習性アリ」も死ぬ常習性が大アリなので間違っていない。
最終更新:2024年08月02日 02:05