閉鎖病院
【へいさびょういん】
ジャンル
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サウンドノベル
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対応機種
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プレイステーション
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発売・開発元
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ヴィジット
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発売日
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2000年4月29日
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定価
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5,800円
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廉価版
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2001年3月1日/1,980円
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判定
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なし
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ポイント
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男達のバラード
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ヴィジットサウンドノベルシリーズ
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概要
大阪のメーカーであるヴィジットが世に出した8本のPS用ノベルゲームの第7弾で、同社が展開していた『ハイパーノベル』シリーズの第4作。
『あかずの間』『最終電車』『19時03分 上野発夜光列車』と続いてきた、ヴィジットの『ハイパーノベル』の最終作である。
大正時代末期の病院を舞台としており、パッケージ裏には「サウンドノベルを超えてしまった」というコピーがある。
特徴
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主人公以外の主要キャラ5人に、好感度に当たる「パーソナルポイント」という数値が設定されている。特定の選択肢を選ぶと上昇し、チャイムが鳴る。現在値はいつでも確認可能。
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選択肢の中に「???」と表示されているものが有るが、特定のキャラの好感度を一定以上にすると選択可能になり、隠しシナリオへと進める様になる。
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好感度が下がる選択肢は存在しないが、ゲーム冒頭からやり直すと0に初期化される。しかし1度選択可能になった選択肢はそのままになっている。
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パーセンテージで表わされる「達成度」が登場。一定の数値になると、本編とは別個にプレイできる「外伝」が出現する。
評価点
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『最終電車』同様、各シナリオの設定が微妙に干渉し合っており、台詞や描写などに様々な小ネタが仕込まれている。
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前3作よりもシナリオの分量・バリエーションが豊富になっており、事件のプレストーリーや裏ストーリーなどを描いた外伝シナリオも登場した。
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サウンドテストやムービー観賞といったオマケモードも、シリーズで唯一搭載された。なお前者は、ゲーム本編で特定の選択肢を選ぶと聞ける曲が増えていくという独特のシステムである。
問題点
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達成率100%が不可能になってしまう設定ミスがある。
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本作の初プレイ時のみ、メインシナリオのトゥルーエンドルートに向かおうとすると、途中で院長の「患者達を診てあげるんだ」という台詞が入り、バッドエンドルートに追いやられるという仕掛けがある。
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つまり「初プレイでだけは、メインシナリオのトゥルーエンドは見る事ができない」という仕様で、これ自体は別に悪い事ではないのだが、初プレイ時に最初からバッドエンドルートに入ったり、或いはそこまで行く前にサブシナリオに入ってエンディングを見てしまったりすると、そのセーブデータでは前述の「院長の台詞」が聞けなくなる為、達成率が100%にならなくなってしまう。こうなるとデータを消してやりなおすしかない。
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さらにオートセーブ搭載で、この100%達成が詰みの状態で自動セーブされてしまう。
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手動セーブに切り替えることもできるのだが、その場合は頻繁に「セーブしますか?」と聞かれるため鬱陶しい。
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100%にした時の追加要素が隠しシナリオなどではなく「メインキャラのポートレート閲覧機能」であるため、気にならない人もいるのがせめてもの救いか。
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グラフィックはフルCGで、人物もシルエットではなく表情まで描かれているのだが、これが紙細工の人形のような出来で、シリアスなシーンでも人形劇に見えてしまう。
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『かまいたちの夜』の様に、章単位での読み返しが可能となったのだが、前2作の様なチャート機能は失われた。
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冒頭、主人公の上司が謎の死を遂げるシーンから始まり、主人公の回想へと続いていくのだが、サブシナリオに読み進んだ場合は上司がピンピンしたまま終わったりして、冒頭と繋がらなくなる。
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ムービーはスキップできるが、スタッフロールはスキップできない。
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メインシナリオの中盤にランダム分岐が発生する箇所があるのだが、大筋には関係ない上に、ルート分岐に影響しない選択肢が出るなど中途半端な分岐内容であり、なぜそこだけにそんな仕掛けをしたのかがわからない。
総評
大正時代末期の病院という、サウンドノベル作品としては非常に珍しい舞台設定は本作の魅力の1つかもしれない。
細かい粗を気にしなければ楽しめるが、達成率100%が不可能となる設定ミスだけは見逃せない致命的な欠点と言える。
『ハイパーノベル』シリーズでは最高傑作と呼ばれているが、サウンドノベルというジャンル全体で見れば平凡な作品である。
最終更新:2022年02月26日 18:44