降魔霊符伝イヅナ
【ごうまれいふでんいづな】
ジャンル
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ダンジョンRPG
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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サクセス
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開発元
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ニンジャスタジオ
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発売日
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2006年6月8日
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定価
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5,040円
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廉価版
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ぐっどぷらいす:2007年10月18日/2,415円
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判定
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なし
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ポイント
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ただのおっぱいゲーではない 不思議のダンジョンとはまた違ったゲームバランス
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降魔霊符伝イヅナシリーズ 降魔霊符伝イヅナ - 降魔霊符伝イヅナ 弐
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ストーリー
世界が平和になったために解雇されてしまった忍者、イヅナは仲間たちとともに身を寄せる場所を探す旅の途中、カミアリ村に辿りついた。
カミアリ村にひとまず落ち着くことにしたイヅナ達。しかし、イヅナが持ち前の手癖の悪さを発揮し、土着の荒神の御神体を盗んでしまう。それに怒った神々が祟りを起こし、仲間や村人の様子がおかしくなってしまった。
祟りを鎮め、仲間を助けるため、イヅナは神々の潜む不思議な洞窟の中へと潜っていく。
概要
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サクセスが販売、ニンジャスタジオが開発を務めたローグライクRPG。
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典型的なオタク受け狙いの萌えイラストで、主人公が巨乳であることから発売前から「おっぱいゲー」と揶揄され、ゲームにはあまり期待されていなかったのだが…。
特徴
本作のシステムは、基本的に不思議のダンジョンシリーズを始めとするローグ系ゲームに準ずるので、主にそれらとの違いについて記していく。
レベルの仕様
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本作では、ダンジョンから出てもレベルが継続するシステムである。
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不思議のダンジョンシリーズでは嫌われがちなシステムだが、本作は装備よりもレベルによるステータスの影響の方が大きいので、死んでアイテムをロストしてしまっても装備を鍛え直す手間などは少ない。
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後述の装備のシステムと合わせ、(多少の運は絡むが)全てのダンジョンを持ち込みなしでクリアすることも可能。
SP
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不思議のダンジョンシリーズで言うところの「満腹度」に該当するステータス。
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SPは霊符を使う際に消費するほか、敵から攻撃を受ける度に1減少してしまう。また、写し絵というアイテムで回復できる。
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SPが下がるほどイヅナの攻撃力は下がり、最終的には最大時の1/10ほどになってしまう。また、SPが少ないと霊符も使えなくなるので、いかにSPを高く保つかがキモとなる。
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なお、SPは「さみしさポイント」の略記らしい。
本作のキモとなるシステム「霊符」
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霊符は様々な効力を持ち、敵の攻撃から危機回避まで幅広い使い道のある道具である。不思議のダンジョンシリーズで言うところの杖・巻物・草等に該当する。
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霊符には三通りの使用方法がある。
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霊符を「使う」
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イヅナ自らが霊符を使い効果を発揮する。敵を攻撃したり状態異常を起こすものから、アイテムに効果を与えるなど、効果は様々。
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効果は絶大であるが、多量のSPを消費するため、使いどころが重要になってくる。
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霊符を「投げる」
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霊符を敵に向かって投げると、投げあてた敵が霊符を使ったとみなされる。そのため投げ当てられた敵は霊符の効果の対象外になり、プレイヤーが霊符の効果に巻き込まれてしまうが、代わりにSPを消費せずに使うことが出来る。
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自分で使っても効果が無く、敵に投げあてた場合のみ効果を発揮する霊符も一部ある。
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霊符を「貼る」
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武具に霊符を貼りつけることで攻撃力・防御力を上げたり、特殊な能力を付加させる。不思議のダンジョンシリーズで言うところの「合成」に近いシステム。
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霊符を貼りつけると、消費SPと同じ量だけ武具の霊符値を消費する。霊符値を上回る霊符を貼りつけると武器が壊れやすくなるため、むやみに貼り付けることはできない。
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また、貼り付けた霊符は「焼きつける」ことが出来る。焼きつけると貼り付けた霊符は消失するが、霊符によって上昇した攻撃力や防御力が武具本体の性能に加算される。
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なお、同じ効果の霊符でも消費SPが異なる場合がある。この場合、消費SPが高いものほど効果も強力である。
装備アイテムの仕様
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本作の装備(武具)には刀、篭手、爪の三種がある。
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刀は攻撃力が上がり、篭手との併用が出来る。霊符を3枚貼り付けることが出来る。
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篭手は防御力が上がり、刀との併用が可能。霊符を8枚貼り付けることが出来る。
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爪は攻撃力、防御力共に上がる。霊符を8枚貼り付けることが出来る。
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刀や篭手との併用は出来ないが、刀に比べると特殊効果が多様であり、1ターンで着脱可能という利点がある。
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武具には、攻撃力(防御力)、愛用度、霊符値の3つのステータスと、損傷度という隠しステータスがある。
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愛用度は、攻撃力や命中・回避率等に影響があるステータスで、同じ武器を使い続けると上昇する。そのため、多少の強さの差ならば愛用期間が長い武器を利用したほうがよい場合もある。
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霊符値は貼り付けた霊符の持つ霊力に対する限界値である。これをオーバーするだけの霊符を貼り付けた場合、武器の損傷が爆発的に早まってしまう。
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損傷度はその名の通り武具の損傷の具合を示すステータスで、これが溜まると武具が消滅してしまう。同じ武器を使い続けるためには修理が必要。
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そして、本作の特徴として、「武具の初期ステータスが固定されていない」ことが挙げられる。
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例えば、最初に拾った「無双の太刀」の攻撃力が10でも、次に拾った「無双の太刀」の攻撃力が25である、といった具合。なお、変化するのは攻撃(防御)力、霊符値、損傷度の3つ。
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このため、(ある程度のセオリーはあるものの)毎回特定の武器にばかり頼るというのが難しくなっている。
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なお、難しいダンジョンの深いフロアほど基本性能の高い武具が入手しやすくなっている。
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飛び道具
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遠距離から攻撃できる「手裏剣」、威力は手裏剣に劣るが三方向に投げられる「くない」、地面に設置して敵に踏ませる「撒き菱」、しばらくすると爆発する「爆弾」の4つがある。
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飛び道具にはそれぞれにショートカットキーが設定されており、いちいち装備を変える必要はない。
ダンジョンの仕様
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基本的には不思議のダンジョンシリーズと一緒だが、なんと本作、1フロア当たりに出現する敵の数が決まっている。つまり、フロア内の敵を殲滅することが可能。また、同じフロアに長期滞在する際のペナルティもない。
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…とこう聞くととても簡単なように感じてしまうが、その分新しいフロアに降り立った直後はかなりシビアに設計されており、バランスは悪くない。そういうものだと割り切ってしまえば馴染めてしまう。
その他
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ボスに関する特徴
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ボスの戦闘は特殊なフロアではなく、普通のダンジョンで行われる。
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当然毎回フロアの形が違うし、雑魚敵が出たりアイテムが落ちていたりする。
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地味だが、不思議なダンジョンシリーズなどではボスフロアがシンプルかつ固定なために戦闘が単調になりがちなので、なかなかおいしい特徴だったりする。
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ストーリーモード攻略後に、シナリオボスと再戦が出来る。
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しかも戦うたびにだんだん強くなるおまけ付き。なかなかやり込み甲斐がある。
評価点
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難易度こそ低めだが、バランスは良好。
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特に霊符システムは自由度も高く、オリジナル要素としてはなかなかの出来。
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何気に持ち込み不可&レベル1のダンジョンも完備している。こちらの難易度はかなりのもの。
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モンスターやワナはそれなりに凝っている。
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モンスターは妖怪をベースにしたものが多い。一反木綿のレベルが上がると一反ナイロンになるなどなかなかぶっ飛んだセンスである。
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罠も「煙玉の罠」と言った忍者らしいものから「ソロバンの罠」「タライの罠」といったネタ臭いものまで。「ムレムレの罠」なんてマニアには嬉しいようなものもある。
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音楽は和風でなかなかカッコいい。
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おっぱい。
問題点
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シナリオがとても短い。
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ダンジョンが長いので、エンディングまではそれなりに時間がかかるが、イベント等は短く、イヅナ以外のキャラにはあまり焦点が当てられていない。
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もともと長いシナリオは好まれないジャンルなのであまり問題点にはなっていないが…。
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バリエーションに乏しい。
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ダンジョンはシナリオダンジョン(6つ)、持ち込み最難関ダンジョン、持ち込み不可能ダンジョンだけであり、レベル継続システムとの兼ね合い上シナリオダンジョンと持ち込み最難関ダンジョンは事実上ひとつながりのダンジョンとなっているので、ダンジョンは実質二つ。特殊ルールのダンジョン等は無い。
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持ち込みなしダンジョンのやりごたえはかなりのものであり、前述のボスとの再戦もあるので、ボリュームが無いわけではない。
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グラフィックの質
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上画面の立ち絵表示は悪くないが、下画面のドット絵はやや稚拙。
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ゲームテンポが若干悪い
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特に敵を攻撃したり、敵から攻撃される際のアニメーションがもっさりしている。
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UI面の不備
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店や倉庫などの施設を利用する際、毎回店員との会話が入るため、とてもテンポが悪い。
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特にエンディング後の倉庫版との会話がとても長い。良く使う施設なのでストレスがたまりやすい。
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アイテム欄でカーソルを上下にしか動かせない。
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例えば不思議のダンジョンシリーズのアイテム欄では上下でページ内のアイテムを選択、左右でカーソルの位置を保ちつつページを選択できるのだが、本作ではそれが出来ないため、アイテム欄の真ん中にあるアイテムを選ぶのに十字キーを何度も押さなければならない。
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ダンジョンで倒れた後に宿屋に戻されるため、すぐに再挑戦が出来ない。
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特に持ち込み不可ダンジョンは入口が遠く、とある事情から序盤死亡が多発するのでストレスになる。
総評
試験的な要素が多く垣間見え、大味な作品ではあるものの、製作者の意欲が伝わってくる作品。
霊符や装備破壊、フロアに湧く敵の数など、不思議のダンジョンシリーズとは一線を架すシステムが多く組み込まれていることから賛否はあるが、決してバランスは悪くなく、作品のアイデンティティとして昇華出来ている。
主にUIを中心に粗が多く、良作とは呼びがたい作品ではあるが、単なる「おっぱいゲー」で済ますにはもったいないゲームである。
その後の展開
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サクセス及びニンジャスタジオは本作のイヅナやシノを他の自社新作にゲスト出演をよくさせるようになった。
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それよりも本作続編やメディア展開の方をしてほしいというファンも多いが。
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同じくサクセス発の『ウィンディ×ウィンダム』へゲスト参戦の際には、隠しキャラのはずがパッケージや公式サイトにも堂々とイヅナとシノが描かれている目立ちっぷり。忍者なら少しは忍べ。
最終更新:2021年11月23日 18:47