ルミナスアーク2 ウィル
【るみなすあーくつーうぃる】
| ジャンル | シミュレーションRPG |  
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| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| 発売元 | マーベラスエンターテイメント | 
| 開発元 | イメージエポック | 
| 発売日 | 2008年5月15日 | 
| 定価 | 5,040円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | システムの改善点多し でもシナリオは相変わらず
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| ルミナスアークシリーズ 1 - 2 - 3 - インフィニティ
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概要
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マーベラスエンターテイメント(現:マーベラス)とイメージエポックがおくるルミナスアークシリーズの2作目。
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前作と同じく魔女がキーワードとなるが、世界観の繋がりは無く設定も異なる。
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前作では魔女は異種族であったが、今作では「レヴ魔法協会」に所属する魔法を使える女性を指す言葉である。
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男性でも魔法協会に所属する事はでき、魔法を使える男性は僧侶と呼ぶが、基本的に女性の方が魔法に関する能力が高いという設定。
 
ストーリー
カルナヴァ王国の見習い騎士である主人公ロランは、成り行きから魔法騎士「ルーンナイト」になったことがきっかけで、女王ソフィアから命を受け
レヴ魔法協会に協力し、突如反乱を起こした氷影の魔女を倒すために旅に出る。
特徴・新規要素
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ラピスアーツ
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新アクセサリー。「ATK+5」「火炎のお守り(火属性のダメージ軽減)」などが存在する。
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キャラクターを強化したり特殊能力を持たせる事ができるため、マップや敵を考慮したものを選べば戦闘を優位に進められる。
 
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エンゲージシステム
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ルーンナイトである主人公のみが使える能力であり、魔法騎士に変身し、一定ターンの間能力値が上昇し、魔法を始めとする変身時限定のスキルが使えるようになる。
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ただし、エンゲージするためには、その属性に対応した魔女を戦闘に参加させる必要がある。例えば、火の魔女と光の魔女を戦闘に参加させている場合はロランは火属性の騎士と光属性の騎士に変身が可能である。
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主人公のロランは通常時の性能は下から数えた方が早いぐらいだが、エンゲージすれば全キャラクター中でも屈指の性能となるため、使い方しだいでは一発逆転を狙う事も可能である。
 
 
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イベント分岐
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ストーリー中で、アルティとファティマのヒロイン2人に絡んだ会話中の選択肢でどちらの立場を選び続けてきたかによって、終盤のイベント及びエンディングが変化する。
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内部的にはファティマの好感度に関わっており、言い分を頭ごなしに否定したりアルティに味方するような言動だと変化せず、逆に目的を問いただしたり中立的な言葉を選ぶと上昇する仕組みである。
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しかし、最終的に片方がパーティから永久離脱するような重い展開があるわけではなく、ゲーム的な変化が薄い。どちらを選ぼうが攻略に影響を及ぼすことは無いので、プレイヤーの好みで選ぶと良い。
 
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ギルドでクエストを受ける事が出来る様になりサブイベントが充実した。
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ただし、その代わりフリーバトルが発生しなくなった。
 
前作からの改善点
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戦闘システムの改善
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移動速度が上がり、ターンが回ってきた時のボイス中にもコマンド入力が可能などテンポが大幅に改善された。
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経験値の取得量が見直され、前作では多すぎた回復・補助系のスキルを使った時の経験値取得量が抑えられた。
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行動順が常に画面に表示されるようになり、戦略が立てやすくなった。
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戦闘マップの表示後に出撃キャラクターを選択するようになったため、自軍のキャラクターの配置を確認できるようになった。
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難易度が上昇し、レベルを上げずに進めた場合かなり手応えのある戦闘を楽しめる。
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ただし、これらは改善とは言っても大抵のSRPGでは出来て当然の事である。
 
 
評価点
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前作と同じく柴乃櫂人氏によるキャラクターは人気が高い。
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キャラクターはシリーズで一番好きだと言う声もあり、ファンイラストなども描かれている。
 
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前作に引き続き光田康典氏をはじめとした作曲チームによるBGMの評価は高い。
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保志総一郎氏や加藤英美里氏をはじめ、声優陣は非常に豪華である。
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作中の造語や設定をまとめた用語集を実装。
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ストーリーに併せてそれまでに登場した設定が追加されてゆく仕組みのため、本作の世界観を無理なく理解できる親切設計となっている。
 
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やり込み要素「温泉ダンジョン」
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強敵との戦いに勝利する必要があるものの、ご褒美として任意のキャラクターと入浴する事ができる。
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ダンジョンを進めていくと、本編のラスボスよりも強い敵が出現する。
 
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前作で好評を博したマスコットキャラクター「コピン」による小劇場も健在。
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本編のシナリオがいかんせん……なため「こちらが本編」と揶揄されることもしばしば。
 
問題点
ゲームバランス
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キャラクターの性能差が前作以上に酷い。前作よりも劣化している数少ない部分である。
強いキャラ
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アルティ
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高威力・広範囲の魔法が使え、何より完全復活魔法が使える。
 
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サティ
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範囲こそ狭いものの高威力の魔法が使える。AOと移動力が高く飛行ユニットであるため扱いやすい。
 
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ファティマ
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高威力・広範囲かつ強力な状態異常を付加する魔法が使え、全能力値が非常に高い。
 
これら3人は戦力を考えるなら一軍確定である。
主人公であるロランを含めると戦闘メンバー6人中4人が確定となってしまう。
弱いキャラ
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ラッシュ
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近接戦闘キャラクターであるにもかかわらず移動力とAOが全キャラクター中最低。
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戦闘が終わる前に敵に攻撃する機会が回ってくる事自体があまりなく、仮に攻撃できたとしても命中率が低く攻撃が当たり難い。
 
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キャパ
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ラッシュ程ではないが移動力が低いため攻撃する機会が少ない。攻撃力も低い。
 
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ポプリ
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魔女なのにアタックが高くマジックが低いためアーツと能力値が噛み合っていない。
 
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ジョジィ
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魔法使い系なのにほとんど射程1の魔法しか覚えない。
 
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アリス
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5属性の魔法を使えるものの、下級魔法しか覚えないため器用貧乏。
 
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基本的に前半に仲間になるキャラクターは、後半に仲間になるキャラクターの下位互換である。
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ラッシュはリヒテルの下位互換、ディアはアルティ、ファティマ、サティの下位互換である。
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ディアは上位互換が3人もいるが、全体で見れば平均以上の性能ではある。
 
 
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性能の良いキャラクターが女性に偏っており、一軍になれる程性能の良い男性がロランとリヒテルぐらいしかいない。
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擁護点
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弱キャラもメンバーが少ないうちは戦力にはなる。
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一応、愛さえあればラピスアーツやレベリングで無理やり戦力にすることは出来なくはない。
 
シナリオ
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前作に引き続き小峰徳司氏が担当しているが、やはり描写不足やご都合主義のせいで評価は低い。
 ただし、前作のヨハネスの様な露骨な捨てキャラはいないため、まだ幾分かマシになっていると言える。
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味方「キャパ」
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前作のニコラと同じく「魔女オタク」ポジションの自称アーティスト。だが育ちゆえに品の良いあちらと違い、パパラッチ根性丸出しの迷惑な賑やかしっぷりでウザさに拍車が掛かっており、好き嫌いが分かれる。
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主人公一行についていく理由も「魔女が沢山見れるから」という下心に起因するもので、他のキャラと比べて何か薄っぺらい。
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ただし芯はマジメであることを一応フォローしておく。問題は作中でマジメぶりを窺えるシーンが非常に少ない事だが……
 
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同じボスと何度も戦う。特に中盤以降の敵側のキーパーソンである「バルバ」との戦闘は他のボスキャラと比べても明らかに多い。
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一応バルバに関しては並外れた生命力や元いた世界でのチートじみた特殊能力など、それなりに納得できる理由はある。
 
    
    
        | + | 前半の大ボスについて、ネタバレ注意 | 
そのキャラクターの名前はマティアスといい、レヴ魔法協会の先代のマスターであり、その正体は主人公ロランの父親である。
15年前に突如として反乱を起こし、魔剣レガを使って各地で殺戮をはじめるが、魔法協会の幹部5人の魔女によって封印される事になる。魔女達の被害も大きく、その戦いで舞風の魔女サティを除く4人の魔女が死亡した。
そして15年後、彼の養女である氷影の魔女ファティマによって封印は解かれ、再び殺戮を繰り返す事となる。
そしてストーリーの前半の終わりにて、ついに主人公達はマティアスを追いつめるのだが、死の瞬間に語られる彼の目的は、彼は近い未来、異世界から魔物が侵攻してくる事を知ったため、異世界に行き魔物の王を倒す事である事が判明する。異世界に行くためには魔剣に人間の魂を集める事が必要であり、そのために各地で殺戮を繰り返したのだった。
彼が親友の騎士や魔法協会の魔女達に本当の目的を伝えなかったのは、大罪を背負う事になるこの計画に他の人間を巻き込みたくなかったからだと語るが、ここに至るまで主人公達に幾度となく「私に協力しろ」と勧誘しているため、明らかな矛盾である。
また、マティアスの真意を知った後、パーティメンバーの一人が「マスターがこんなに優しい人だったなんて」と発言するが、笑いながら人間を殺し続けたマティアスの様子からは、とてもではないが優しいとは思えない。
マティアスがロランの実父であることを養父スタンから告げられ、スタンがマティアスに殺害された後の会話イベントでロランは「僕の父さんはスタンだけだ!」と言い放ったが後の戦いでマティアスが死ぬ直前、マティアスに父さんと言い、その後も彼が絡むイベントでは父さんと言っている。
 
誤解のないように説明を記入しておく。魔剣レガは使い手の心を食らうとされており、マティアスの性格はかなり変貌していたことを示す描写がある。他にもスタンに指摘されるまでロランのことを忘れていたり、マティアスを信じて疑わないファティマが彼の行いに戸惑ったりしている。死の間際のマティアスをロランが父さんと呼べたのも本来の性格に接して共感したからだろう。
このことは前述した用語集「魔剣レガ①」に書かれているが、これを読まなないと上記のような誤解を招く。
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システム
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戦闘終了後のキャラクターとの会話であるアフターブレイクの難易度が高い。
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明らかに成功と思われる選択肢でもその後の主人公の失言で失敗したり、明らかに失敗と思われる選択肢でもその後の主人公の話術により成功する事が多い。
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ほとんど運ゲーであり、セーブ/ロードを駆使したいところだが、戦闘中の中断セーブからやり直す必要があるため手間がかかる。
 
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戦闘ボイスがどの様な行動をとっても区別がない。
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回復しているのに「くらえ」「うざいんだよ」「容赦はしないわ」などのどう考えてもミスマッチなボイスが流れる事が多い。
 
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前作に引き続きアイテムのソート機能がない。
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強力な装備やラピスアーツほど下部に配置されるので、数が増えてくると手間取る。
 
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主人公の変身の演出が不評である。
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対応した属性の魔女がウェディングドレス姿で現れるという唐突過ぎる画像が流れる。もしかしたらイメージ映像なのかもしれない。
 
総評
シミュレーション部分を見れば前作から改善された部分が多いが、シナリオ部分の出来は前作に引き続き相変わらずである。
要所に成長が見て取れる出来であり、そこそこ面白いSRPGと言える程にはなったが、前作の汚名を返上するには至らなかったと言える。
余談
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前作に引き続き女性キャラクターには3サイズが設定されている。
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これは神の啓示によって決まっている(日本語訳すると水谷プロデューサーが決定権を持っている)事が特典によって判明した。
 
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加藤氏は本作でヒロインのアルティを演じた事がきっかけとなり、翌年に同じ発売元・開発会社から発売された『アークライズファンタジア』にて、プレイヤーに多大なインパクトを与えたヤンデール様ことアデールを演じる事になる。
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ラピスアーツ・温泉ダンジョンは『3』に引き継がれている。
最終更新:2020年06月05日 09:15