白衣性恋愛症候群 RE:Therapy

【はくいせいれんあいしょうこうぐん りせらぴー】

ジャンル キラ☆ふわガールズラブ看護師アドベンチャー
PSP通常版

PSP限定版

Win版
対応機種 プレイステーション・ポータブル
WindowsXP/Vista/7
発売元 サイバーフロント*1
開発元 工画堂スタジオ(しまりすさんちーむ)
発売日 2012年6月28日
定価 【PSP】通常版:5,040円/限定版:7,140円
【PSP】DL版:4,300円
【Win】6,800円
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
判定 良作
ポイント ヒロイン3人追加でボリュームアップ
システムも若干改善
白衣性恋愛症候群シリーズ
白衣性恋愛症候群 - 白衣性恋愛症候群 RE:Therapy - 白衣性愛情依存症


概要

2011年に発売された『白衣性恋愛症候群』に、追加要素を加えた再診版。
無印で不満点としてあがっていたボリュームの少なさが解消され、さらに快速スキップや用語辞典も追加された。
PSP版と同時にWin版もリリースされたが、内容はほぼ同一。選択肢までのジャンプ機能の追加とごく一部の表現*2が異なる程度となっている。

2019年4月19日にNintendo Switch/プレイステーション・ヴィータ/Steamで同名タイトルのリマスター版がダウンロード販売された。
本項目では2012年6月28日発売のプレイステーション・ポータブル/Windows版について紹介する。

追加・評価点

  • 攻略対象の追加
    • 無印では脇役だった「山之内やすこ」「浅田あみ」の2人を攻略できるようになり、さらに新キャラクター「若本まゆき」も登場している。
      • まゆきは無印でも名前がチラッと出てきていたが「難しい患者だから、あなたは対応しないように」と言われており、画面には出ていなかった。
      • いずれかのエンディングを見たあとで分岐が開放される、隠しキャラ扱いとなっている。
  • シナリオの増量
    • 追加されたキャラのルートはもちろん、共通ルートでのシナリオ加筆や無印で攻略対象だったキャラにアフターストーリーが追加されている。
    • また、ルートによっては公式同人誌で登場したかおりの看護学校時代の元カノ友人「寿らら」も登場している。後姿だけで台詞はなく、本当にチラッとだけだが…。
    • 単純に文章量だけだと、シナリオは倍近くの量になっている。DL版のデータ量も760MBから1326MBと、約二倍。
    • 医療部分の追加
      • エンゼルケアや末期看護*3など、無印よりも踏み込んだ部分も描かれている。
      • 「看護とは誰のためのものなのか」という非常に深い話も。何と言うかもう、看護師教習ソフト?
    • 百合部分の追加
      • やはり行為としてはキスまでだが、色々と百合百合なシーンが追加*4。期待を裏切らない出来になっている。
      • キャストコメントで中の人が「こんなにチュッチュしてましたっけ?」と言ってしまうほど。
      • とくに旧グッドエンド後のアフターストーリーは、イチャラブ度が急上昇する。
      • 設定面で後述する問題点もあるが、まゆきは他ヒロインと被らない性格や生い立ちのため、百合要素は評価されている。
  • システム面の追加
    • 演出をすべてカットして進める快速スキップ機能がつき、周回プレイが楽になった。
    • 用語辞典モードも搭載され、好きなときに閲覧可能。
      • 一部、無印のときと内容が改変されている箇所がある。医療関係の情報は更新が早いため、修正されたものと思われる。
    • その他メインキャラ全員のシステムボイスが追加された他、無印ではシナリオ上おかしかったCGが修正されている。
      • 藤沢なぎさ旧グッドエンドのCG。無印では白衣の上からエプロンを着用していたが、本作では白衣のままになっている*5
    • キャストコメントも全て新規のものになっている。堺さんのアイコンはシナリオクリア時の時間軸に会わせてちゃんと看護士仕様に変更された。天使可愛いよ天使

賛否両論点

  • 攻略対象になった二人は、個別ルートにおいてかなり重い設定が明かされることになり、今までとのギャップを感じることになる。そのため、否定的な意見も出ている。
    • 一応無印でもあみちゃんは「天然に見えて、実は常に周囲に気を配っている」という部分はあったのだが、山之内さんは飄々とした性格を否定するような暗い部分が見え隠れするようになった。
      • ファンブックにおいて無印の段階で設定は固まっていた旨が語られており、内容自体は既定路線だったと言える。しかし、元々サブキャラだったためか共通ルートではそういった面を覗かせる描写がないため、個別ルート突入後の豹変に違和感を感じたプレイヤーもいる。
    • 小説版の後書きでは、「やすこさんは脇役でこそ輝くキャラだということを再認識しました」「リセラピーでやすこルート決定! となったとき「やっべぇ!」と思った」とぶっちゃけている。
  • 相変わらずの鬱部分
    • 無印の時にも「全然キラ☆ふわしてない」「killer☆不和」などといわれていたが、追加シナリオ部分にも鬱要素は多め。その分グッドエンドの百合百合が強調される効果もあるのだが…。
    • ライターの円まどか女氏は本作の画集にて「バッドエンド萌え」だと語っており、そのせいもあるらしい。「百合心中はご褒美」なんて業の深い百合ストもいるが。
    • 攻略キャラに昇格した二人のバッドもかなり鬱。浅田あみの複数のバッドエンドの中で、特にCGのない方のバッドの演出は過激ではないがメンタルに来る。他のキャラは何だかんだ言ってもかおりと一緒にいようとするのだが、彼女はあっさりと別の恋人を作りかおりとの仲を「良い思い出」にしてしまう。
      • 山之内さんの方はどのバッドもそれ以上。ある意味では牛沢先輩より(いろんな意味で)酷い結末になる。それでも初起案よりは抑えた表現らしいが、どこまでアレだったのだろう。
      • おそらくダルマ表現等だったようである。円まどか女史がTwitterで匂わせている。
    • まゆきのバッドエンドは、シナリオ的には報われないものの悲劇性は薄い。というよりバッドルートではマトモな説明がされないため欝というよりは不条理。
      • とは言え、ある意味では(「癒しの手」の意味やかおりたちの過去も含めて)もっとも救いようのない終わり方になる。

問題点

  • あるキャラのネタバレ
    • 攻略対象キャラの一人について、発売前に公式サイトで重大なネタバレをしてしまっていた(現在その箇所はない)。本来はシナリオ終盤まで伏せられている設定なのだが…*6
+ ネタバレ注意
  • 新キャラである若本まゆきに関する年齢設定で、中学生くらいに見えるが実は45歳。一年に約四歳分若返る奇病に罹り、このままでは後三年ほどで消滅してしまうという非常に厄介な事態になっている。
  • また彼女のルートでは、この病気の研究の(そして若返りつづけるまゆきを隔離する)ために百合ヶ浜総合病院が建てられたという設定も追加される。
    • しかしそうなると「この地域唯一の総合病院」が、ほんの十年ほど前に出来たことになるのだが。その前は別の病院があったのだろうか?
  • 元々フォルテールの設定や主任のもつ精神干渉能力などほんのりファンタジーな要素がある話ではあるが、このシナリオのみそういう部分がかなり強くなっている。
    • 癒しの手に関しても若干設定が変化している。世界観を共有する『白衣性愛情依存症』ではこちらの設定が採用され「専門機関で極秘裏に研究されている特殊な才能」として名前が登場する。
  • 無印との重複部位について
    • 初回プレイ時の「問診」で重複する部分を既読にすることが出来るのだが、テキストのみでイベントCGは解放されない。
    • また、問診は初回プレイのみで後から「やはり重複部分を既読にしたい」と思っても出来ない。システムデータを削除すれば別だが、そうするとCGなども一から集めなおしになる。
  • システム面
    • 相変わらずクイックセーブは一箇所だけ、クイックロードに関しても無印と同じ。そこだけどうして改善されなかったのだろうか。
    • 個別ルートに入るまで誰よりに進んでいるのかわかりにくいのも変わらず。
      • 攻略対象が増えてフラグ立ての難度が上がっているため、その辺がやはり気になる。特に牛沢先輩は、イベントの都合でフラグ立てがさらに面倒に。

総評

ヒロイン3人が追加されたことでボリュームが増加。個別ルートは白恋らしく苦味と甘さを両立している。
システムの不満点も幾分か改善され、百合ゲーとしての完成度は大きく上がった。

が、上記の点のほか無印と辻褄のあわない部分があったりするなど、どこか噛み合わない部分があるのが残念*7
鬱部分も相変わらず多いので、その辺の耐性も加味して購入を検討することを勧める。

余談

  • 当初は結婚エンドの構想もあったそうだが、結局お流れに。
    • 白恋世界では百合結婚が法的に認められている。とは言え異性婚の方が一般的であり、抵抗のある人もいる。
  • 開発段階では『白衣性恋愛症候群 ~末期症状~』というタイトルだったらしい。ある意味末期ではあるかもしれない。
  • 2015年4月30に世界観が共通の『白衣性愛情依存症』がPS Vitaで発売。
    • それに伴い本作の中古価格が若干高騰した。

*1 サイバーフロント倒産後、DL版のみ工画堂スタジオ名義に変えて販売されている

*2 シャワーシーンでの湯気の量が減っている。また、院内廊下にある「某国民的キャラっぽい絵」はPSP版では画面サイズの関係でほとんど見えないのだが、Win版では一応確認可能。公式画集でも、その話がちょっとだけ出ている。

*3 前者は、亡くなった患者さんに対して行ういわゆる「死に化粧」のようなもの。後者は回復する見込みのない患者さんへの「最期の時を迎えるまでの」看護。

*4 浅田あみのみ、「まだ未成年だから」ということで唇へのキスシーンがない。まあ無印の時点で、それ以上のシーンがあったが。

*5 エプロンは白衣を汚さないためのもので、百合ヶ浜総合病院では「新人であることの目印」となっている。エンディングの時点ではすでに沢井は新人扱いではないため、立ち絵ではエプロンを着用していなかった

*6 提示された当初は、仮データか誤植の類だと思われていた。しかし正しい設定だと知ってさらに驚いたユーザーも多い。

*7 その中でも大きかった堺さゆりシナリオと藤沢なぎさシナリオの補完SSが、画集に収録されている。前者はシナリオ中ではまったく存在しなかった「母との和解」が描かれ、後者はなぎさルートを彼女の視点から再構築したもので漸くハッピーエンドを迎えられる気分になれる。