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魔境伝説
【まきょうでんせつ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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PCエンジン
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メディア
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2MbitHuカード
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発売元
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ビクター音楽産業
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開発元
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エイコム、他数社
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発売日
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1988年9月23日
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定価
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5,200円
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判定
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なし
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ポイント
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洋ゲーに見えるが、れっきとした国産オリジナル作 スタンダードアクションの良い見本 ポケモンショック注意
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概要
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PCエンジン初期にリリースされた正統派横アクションゲーム。
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全6ゾーン構成。
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当時のPCエンジンソフトは『カトちゃんケンちゃん』のような一部アクションプレイヤーからは好評なゲームは存在したものの、『スーパーマリオブラザーズ』クラスの起爆剤級のソフトは存在せず、シューティングの『R-TYPE I』『R-TYPE II』にてようやく注目を集めたばかりであった。本作はそんな時期に登場したソフトである。
ストーリー
とある村で悪の司教ジャグウに捧げる生贄となる少女を決めるくじ引きをしていた。
修行の旅に出ていた青年ゴーガンは幼馴染の少女フレイアが生贄に選ばれたことを知り急ぎ村へと戻ったが、もうフレイアは差し出されてしまっていた。ゴーガンはフレイアを救う事を諦めず、村長から託された伝説の斧「スティング」を手にジャグウの根城である魔境へと単身乗り込む。
特徴・評価点
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なんと言ってもゲームバランスが絶妙すぎる点にある。難易度はやや高めだが、パターンを覚えれば必ず先に進め、理不尽な場面に詰まる事は全く無い。プレイヤーの腕前がちゃんと反映されるという、アクションゲームの鑑のような存在である。
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操作性もかなり良い。ちょっと慣れれば手足の如く自由に操作できる。
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攻撃ゲージと言うものが存在し、ゲージが最大に溜まった状態で敵を攻撃すると、一撃必殺のダメージを与える事ができる。
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ここで重要なのが必殺攻撃を当てると大体の敵がひるみ、間合いを有利に持っていける点にある。これにより「いかに一撃必殺を食らわせ自身の危険を減らせるか」といった「攻撃こそが最大の防御」な戦略性が生まれる。
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逆にゲージが溜まりきらない状態で連打により敵を攻撃しても、敵はほとんどひるまないばかりか、敵によってはダメージすらも与えられずに大きな危機に陥りやすい。その為、このゲームでは適当に攻撃連打するだけのごり押しは通用せず、大味なプレイは命の危険に晒される結果に陥りやすいのである。
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攻撃ゲージは「パワーサプライ」と呼ばれる専用アイテムを取る事によりゲージバーが伸び、その伸びたゲージの分も溜めると、さらに強力な攻撃が可能になっている。
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ゲージ最大の状態で攻撃した時の効果音がとにかく豪快で気持ちいい。特にゲージを限界まで溜めて攻撃した時の演出は、もうとんでもない快感を得られる事は必至である(但し、これには困った弊害もある。詳しくは問題点にて)。
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地味ではあるものの、グラフィックの描き込みは当時のPCEソフトの中でも高水準である。
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また、BGMも非常に上質である。流石は音楽メーカー発売のゲームだと思わざるを得ない。…と言ってもサウンドはハドソンスタッフによるもののようだが。
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画面の半分に収まるくらい巨大なラスボス「ゲ・エナジーガ」はPCエンジン黎明期とは思えないデザインなので一見の価値あり。
問題点
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特に穴場のある地点では、やや視界が見辛い部分がある。特に連続穴場がある地点では先が見えずに転落死というパターンに陥りやすいが、これは覚えて対処するしかないだろう。
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評価点で述べた限界ゲージ溜め攻撃は確かに豪快ではあるのだが、今でいうところのポケモンショック(いわゆる光てんかん)が激しく、プレイヤーの目に優しくないのが困り者。また、限界の演出がやや過剰なので見慣れてしまうと少しテンポの面で気になる部分がある。
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後半面では溜め攻撃を前提としたような難度調整だが、ゲージのレベルが上がると溜め時間が長くなる(さらに溜めが進むに従い溜まるスピードが遅くなる、特にLv3~最大までの間が顕著)。安全に進むには溜め攻撃を駆使せざるを得ないので(5面の長さもあるものの)クリアまでの時間は長くなりがち。
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ステージ5途中の迷路構造が結構迷う。ルートを知らないと無限ループなんてことも!?
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エンディングが割とあっさりしていて、見返りが少ないかもしれない(もっとも、当時のゲームは大体はそうなのだが)。
総評
異様で地味な外見と、まだ『PC原人』や『天外魔境』といったヒット作が存在しなかったPCエンジンでリリースされた影響も相まって過小評価されやすい運命にあるが、アクションとしての出来はしっかりと丁寧に作られた佳作である。
クソゲー扱いされやすい理由
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まず、発売元がビクター音楽産業という点。ここはゲームメーカーとしてはそこそこ古株なのだが、ややイマイチなものも多くここから出るというだけであまり期待されない面も多々ある。ちなみに現在のマーベラスの源流にあたる会社の1つだが、もう1つの会社であるパック・イン・ビデオは日本でもかなり名の知られたクソゲーメーカーであった。
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れっきとした国産ゲームなのに、パッケージ絵が『デスクリムゾン』と同じ臭いのする洋ゲーチックな絵柄。ターザン男がヒロインを背に大グモと戦っている場面が描かれている。
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さらわれたヒロインを助ける為に、愛用の斧だけを武器にターザンスタイルの男が敵地へ乗り込むという凄まじく硬派な設定。まるで『ソード・オブ・ソダン』か『ラスタンサーガ』を彷彿とさせる世界が舞台になっている。媚びが全く無い(もっともこれは人によっては評価点になり得る点なのだが)。
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きっちり丁寧に作られた良好なゲーム性を予想しにくい、当時の次世代機と思えない程の地味な画面。知らない人に「これ洋ゲーの移植だぜ」といっても信じるレベル。
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日本国内ではあまり人気が出なかったが、(ゲーム性の嗜好の違いを考慮する必要はあるものの)海外では一定の人気を獲得した事からも、ゲーム性の良さについては本物である事がわかるだろう。
その他
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関連作品に同じくPCエンジンにてリリースされた『暗黒伝説』があり、北米版PCエンジンであるTurboGrafx-16では本作が"The Legendary Axe"、『暗黒伝説』が"The Legendary Axe II"とシリーズ作品の扱いになっている。ただし『暗黒伝説』は発売元こそ本作と同じだが、開発はアトラス/レッドカンパニーゲームで、出来は決して悪くないものの雰囲気やゲームシステムは本作とは大きく違う。またストーリーも繋がっていない。
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ゲーム性が近いという意味の関連作品には販売ジャレコ・開発エイコムによるアーケードゲーム『ザ・ロード・オブ・キング』が存在する(ファミコンへの移植あり)。単に開発企業が同じというだけではなく、実際の開発に一部共通のスタッフが関与している。
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さらに言えば88年発売のFCソフト『突然! マッチョマン』とも一部スタッフが共通。マッチョ化した主人公のモーションに本作の面影が見出だせる…かも。
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PCエンジン初期のカタログでは「ジャングル王(仮称)」のタイトルで「ターザンが密林の猛獣をバッタバッタと倒していく痛快アクションゲーム」と紹介されていた。
最終更新:2024年04月15日 00:26