装甲騎兵ボトムズ
【そうこうきへい ぼとむず】
| ジャンル | STG |  
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| 対応機種 | プレイステーション2 | 
| 発売元 | バンダイナムコゲームス | 
| 開発元 | ユークス | 
| 発売日 | 2007年11月15日 | 
| 定価 | 6,800円 | 
| レーティング | CERO:B(12歳以上対象) | 
| 判定 | なし | 
 
概要
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アニメ『装甲騎兵ボトムズ』のゲーム化作品。
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原作の本編は1983年にTV放映された。その後も断続的にだが、OVA・小説・漫画等にて外伝や続編作品が長らく出続けている。
 
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舞台は本編。ボトムズをゲーム化したものはいくつかあるが、ほとんどが外伝的な位置づけが多く、本編を通してゲーム化したのは初めてだった。
システムと特徴
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背後視点のロボットSTG。プレイヤーは主人公キリコとなって、本作の人型ロボットであるAT(エーティ、アーマードトルーパー)を操りながら、ミッションをクリアしていく。
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部位破壊があり、破壊されると様々な障害が発生する。
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またパイロットとATの耐久力が分かれており、ATより先にパイロットが死ぬと、そのATを奪えるようになる。
 
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使えるATは49種。とは言っても機種自体はそこまで多くなく、局地戦仕様やカスタム機、武装違いが多い。
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もっとも原作自体が新型がどんどん出るようなものではなく、量産機が主体となる作品である。純粋に機種で分けてしまうと、数が少なくなってしまうのもある。
 
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各ATにはミッションディスクが複数用意され、どれを選ぶかによってATの傾向を変えられる。また必殺技的なポジションであるコンバットプログラムがセットされている。これも各ミッションディスクで違う。
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このミッションディスク、各ステージに隠されてるものもある。
 
 
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キリコはATから乗り降りでき、またキリコのまま生身でプレイする事もできる。
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原作は四章に分かれていたが、本作も基本的に四章に分かれた形となっていて、各章の一連のミッションをクリアしていく事になる。さらにOVA等をもとにした単独ミッションがある。
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他にATと単独で戦うバトリングモードがある。
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難易度は低め。
 
評価点
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高いATの再現度と気持ちのいい操作感。
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造形が非常にいい。ATを象徴する各種ギミックも見事に反映されている。ローラーダッシュ、アームパンチなどはもちろん、ターレットレンズ、降着機構まで再現されている。
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ローラーダッシュは軽快かつ映えた動き。それはCGでATを構成したOVA『ペールゼンファイルズ』よりも見栄えがいい。しかも見栄えだけでなく、操作も気持ちよくできる。他の操作系もボタン一発が多く、ATを楽にあやつれる。
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ただ唯一難点なのが武装を拾う動作。L3に割り当てられており、つい押してしまう事がある。ボタン一発にこだわりすぎたせいだろうか。
 
 
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インパクトのあるコンバットプログラム。
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本作は基本的に重火器で撃ち合うゲーム。格闘要素も弱く、飛ぶこともできないため、武装の乏しいATによっては単調感が出かねない。それにアクセントを加えているのがコンバットプログラムだ。デモ挿入で表現されたこの必殺技は、使いたくなる気にさせる。さらにコンバットプログラムによっては部位破壊を誘発する効果もあるので、実用面でも使えるのだ。
 
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なければ拾え、奪え。
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原作でのATはそこかしこにありふれたもので、主人公たちは度々それらを修理したり、奪ったりして使っていた。この要素も本作では取り入れられている。
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仲間が用意してくれたATに乗りこんだり、敵が待機させているものを奪ったりできる。
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また先述したようにパイロットが死ぬと、その乗機を奪う事ができる。
 
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さらに部位破壊によって敵が落とした武器を拾う事ができる。ATによっては武装が非常に貧弱なものもあり、武器奪取をあえて狙っていくのもありである。
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この拾うというアクションはキリコの状態でもでき、キリコ自身も(人間用の)各種武装を手にする事ができる。
 
 
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ファンにはうれしいBGMや効果音。
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BGMは原作で使われたもの多数。さらにオリジナルのBGMもいかにもボトムズらしいもの。
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そして効果音。特に原作を象徴するターレットレンズの切り替え音やローラーダッシュの走行音が再現されているのは、ファンにとっては感涙もの。
 
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機甲猟兵プレイも可能。
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キリコがATに乗り降りできるのは先述したとおり。そしてATに乗らずに、生身でATに立ち向かう事もできる。
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ATが4m弱というロボットアニメとしてはかなり低身長だからこそできるプレイスタイルだろう。
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物陰に潜みながらATへダメージを与えていくのはなかなか楽しい。むろん難易度はATでの戦闘の比ではないが。
 
 
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おまけのミッションも凝っている。
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OVAを題材としたものや、なんとパラレルワールド的外伝『青の騎士ベルゼルガ物語』のものまである。
 
問題点
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ゲームが進むほど乏しくなってくるボリューム。
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本作は「ウド編」「クメン編」「サンサ編」「クエント編」の四章に分かれているのだが、用意されているミッションが話が進むほど少なくなっていく。
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ウド編では16、クメン編では13、サンサ編では9、クエント編では6ミッション。
 
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またステージも先に進むほど構造が簡単になり、さらに似たようなミッションも増えていく。開発スケジュールに余裕がなくなっていったかのような作り。
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もっとも原作の後半では宇宙での戦闘もある。システム上宇宙戦を組み込んでいない本作では、サンサ編、クエント編のミッション数が少なくなってしまうのは仕方がない面もある。
 
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ATの造形はいいがステージ自体はやや雑。
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PS2の技術も成熟期に入っていた頃の作品。それにしてはステージの造形が今一つ。
 
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各種ギミックに効果が薄いものがある。
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ギミックの再現度は高く、スワンピークラッグ(湿地専用装備)やサンドローラー(砂漠専用装備)すらある。しかしこれらは数値上では効果がある事になっているのだが、プレイ上でそれを感じるほどの差はでない。
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また歩きの状態があまり意味をなさない。平坦なステージが多いため、河川以外は歩く必要がまるでないのだ。むしろ脚部破壊時のペナルティ的な存在になってしまっている。
 
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ミサイルが強すぎる。
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武装の内、ミサイルやソリッドシューターなどにはダウン効果がある。これがかなり強く、バックしながら撃つだけで何とかなってしまうミッションも多い。
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その分リロード時間が長いが、それもあまりデメリットになっていない。
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さらにカス当りすらダウンする。せめてそれがなければまだマシだったのだが。
 
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逆に敵が使っても強い。ミサイル等を装備している敵には瞬殺される事さえある。
 
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処理落ち。
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ATの造形にポリゴンを割きすぎたのか、ATの数が多くなると処理落ちが起こる。特に難易度がハードだと敵ATの数が増えるため、これが頻発する。
 
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雑なストーリー展開。
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原作本編のゲーム化なので、ストーリーは原作通り。だが、そのストーリーの進め方がいただけない。簡単に言えば紙芝居で説明しているだけ。その内容もファンならなんとか分かるというレベル。原作未見のプレイヤーには全くわからないと思われる。
 
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残念なオープニング。
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オープニングはフルCGで原作のそれを再現した凝ったもの。当然曲は「炎のさだめ」。
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が、それを全て台無しにしてしまっているのが、キリコの造形。妙にリアルタッチな作りにしてしまったせいでキリコの雰囲気が全然再現されておらず、まるでキリコのコスプレをした山崎邦正とでも表現したくなるような悲しい作り。映像内でひたすら浮きまくり、違和感を溢れさせている。
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ゲーム本編でのキリコはきちんと原作の容姿が再現されている。
 
 
総評
ようやく出てきたファンが満足できるボトムズ本編のゲーム。それまでは外伝的なものや、出来自体が今一つなものが多く、原作という意味ではしっくりくるものがなかった。本作の見事なATの造形と軽快な動きは、それらを払拭するものである。
ゲームとしてもプレイしやすい出来だ。コンバットプログラムなどアクション面でのインパクトもある。難易度も低めで、年齢層が高めなボトムズファンにはありがたい。
一方でボリューム不足は否めない。特にストーリー後半は、数が減った上にミッションが似通っていく。また同時期のPS2ゲームに比べると、ステージの造形が一歩落ちるのは残念な所。
原作ファンならば手にして間違いない作品。原作を知らない一般ユーザーとしては微妙な所だろうか。
余談
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発売本数が少なかったのか、中古でもなかなか値段が落ちない。特に攻略本はすさまじく、定価1,600円のものが一時期1万円近い値段をつけていた。
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本作には、発売直前にシリーズが始まったOVA作品『ペールゼン・ファイルズ』のミッションも収録されておりファンを驚かせた。ただ本作は第一巻が発売された直後の作品なので、当然再現されているのは全12話の内第1話の部分のみ。
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キリコと生死を共にする仲間で「最低(ボトムズ)野郎」の表現がよく似合い味のあるキャラクターが揃った「バーコフ分隊」の面々は登場しない。
 
最終更新:2021年05月14日 06:45