ジョジョの奇妙な冒険 ラストサバイバー
【じょじょのきみょうなぼうけん らすとさばいばー】
ジャンル
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スタンドバトルロイヤル
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対応機種
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アーケード
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発売元
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バンダイナムコアミューズメント
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開発元
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ヒストリア
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発売日
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2019年12月18日
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プレイ料金
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1クレジット100円 200PP (1マッチ400PP)
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プレイ人数
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1人~20人
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周辺機器
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バンダイナムコパスポート
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判定
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良作
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ポイント
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アーケードでバトロワ 戦闘よりも立ち回りが重要な”スタンドバトルの心理戦” ジャンルと嚙み合った原作再現
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ジョジョの奇妙な冒険シリーズ
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概要
荒木飛呂彦氏の漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険』を題材にしたTPS形式のアクション。Part2からPart6までのキャラが実装されている。
最大20人のプレイヤーで最後の1人(1組)になるまで生き残りをかけて争う、バトルロイヤル形式のゲームとなっている。
これまでのジョジョゲーと異なり「敵から逃げる」「偵察する」など戦闘以外の要素があり、そのまま原作の雰囲気を味わうことができる。
スタンド能力を比較的原作に近い形で使用することができ、なりきりゲーの側面も強い。
システム
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各プレイヤーはレベル1、初期体力1000の状態でスタート。
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レベルはbotや他のプレイヤーを倒すと落ちる「魂のチップ」を取ることで最大6まで上がっていき、レベルに応じてスキル強化など様々な解放要素がある。強化内容はキャラごとに固定。
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体力は1000が最大値で、更にダメージを肩代わりする「シールド」を1000まで取得することができる。体力とシールドを合計した2000が最大HPとなる。体力が0になると「再起不能」となりマッチから退場する。
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ペア戦の場合は「ダウン」となり腹ばい状態になる。30秒以内に隣接して蘇生することで復活できる。
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武器探しや持ち替えはなく、キャラごとに異なる性能の通常攻撃と通常スキル、アルティメットスキル(いわゆる必殺技)を持っている。
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さらにL2ボタンで特殊姿勢を取る。スタンドを出現させ攻撃やスキルの発生が速まる「スタンドON」、画面を拡大し集団性を上げる「構え」、スタンドを操作する「遠隔操作」、一定のリズムでボタンを離すことでバフを得る「波紋の呼吸」の4種類がある。
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スキルや攻撃の残弾は「精神力ゲージ」で一元管理され、精神力が尽きると何もできなくなる。精神力を使い切っても数秒で回復するため弾切れは起きないものの、逆に言えば数秒間は何もできなくなる上、精神力回復にかかる時間もキャラごとに異なるため、息切れは起きうるという駆け引きがある。
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マップは「生存エリア」を「再起不能エリア」が取り囲んでおり、再起不能エリアに出るとダメージを受け続けてしまう。生存エリアは時間とともに収縮していき、最後にはマップ全体が再起不能エリアに覆われてしまう。
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ルールはソロ戦とペア戦の2種類
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メインとなる全国対戦は一人で戦うソロ戦と二人組で戦うペア戦の2種類があり、どちらで遊べるかは日によって異なる。公式サイトで翌月までのスケジュールが掲示される。
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ペア戦にはペア戦限定のスキルを持つキャラもいる他、相方がいることっで運用が大きく変わるスキルもあり、より多彩な戦略が採れる。同キャラペアも可能。
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全国対戦以外では同店舗内でマッチを組む「交流モード」や、無双してスコアを競う一人用モード「ディーラーズチャレンジ」といったものもある。
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恒例のジョジョ立ちや独特なセリフ回しはいわゆるエモートとして実装されている。
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最大4種類までセットすることができるがはじめは1種類ずつしかなく、ゲーム内ガチャで引き当てて増やすことになる。
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ガチャから出るのはカスタム用のセリフ・ポーズ・カラバリ・スキン・アイコンの5種類。引いたアイテムは連動サイトにバンダイナムコパスポートを登録することでカスタムできるようになる。
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期間限定イベントもあり、期間内にゲームを遊ぶとセリフやポーズなどがもらえる。
特徴
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近距離戦主体のバトルロイヤル
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大半のキャラがスタンドによるラッシュ攻撃をメイン装備としており、威力が高く当たり判定が大きい。狙いをつけるのが苦手な人でも一般的なシューティングに比べると非常に当てやすい。そして射程距離が数キャラ分しかないため、被弾を避けることが難しい。
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ここにバトロワの要素が加わることで戦闘よりも不意打ちのほうが安全牌となるゲーム性となり、後述のウルトの強力さもあって位置取りやヘイト管理といった大局的な視点が重要となる。
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ラッシュ攻撃はキャラごとに威力・射程・リロード時間が細かく調整されている。食らいモーションやリロードモーションがなく、ほんの1発・数フレームの違いで生死が決まるため正面対決では格闘ゲームに近い緊張感がある。
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音を「擬音」で表現
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移動や攻撃など、アクション時に鳴る音がジョジョらしく「擬音」で画面に表示される。騒音の大きいゲームセンターでも音から情報収集ができるようになっている。
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擬音が見える距離(音の大きさ)はキャラやアクションによって異なる。キャラバレを防ぐため隠密行動する、音を出して自分からキャラを開示してヘイトを下げるなど、音による立ち回りが重要なのは他のゲームと同様。
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必殺技が非常に強力
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アルティメットスキル、いわゆる必殺技が非常に強力で、適切に使えば確実に敵を倒すことが可能。その代わり回数制限や解放レベルで差別化されており、「いつ誰に使うか」、「使用できないがブラフをかける」など駆け引きに大きく影響する。
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極端なほど個性的なキャラクター性能
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キャラ毎に個性付けがはっきりしており、強い場面、地形が大きく異なる。「序盤は厳しいが最終盤で敵を詰ませることのできる東方仗助」「市街地戦では強力だが平地では性能の活かせないアナスイ」など選ぶキャラによって立ち回りは別物になる。
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キャラを変えるとゲーム性が全く異なってくるため、マンネリ化しにくいことも高評価につながっている。
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キャラ性能が尖っている分、キャラ間相性もかなり明確であり、不利な相手に勝つことは非常に難しい。
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副題に「the Animation」を冠しており、声優やビジュアルは2012年以降のアニメ版が元になっている。セリフはすべて新録。
評価点
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戦闘よりも大局的な視点が必要なバトルロイヤル
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大半のキャラは通常攻撃が強力かつ射程距離が短いため、上級者でも無傷で戦闘を終えることは難しい。そのため有利なポジションを取ったり漁夫の利を狙うなどして立ち回りで優位に立つ動きが勝ちにつながりやすい。
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必殺技が強力なことから、「最後まで隠密して残り二人になったときに必殺技で残った敵を倒す」というセオリーがあり、初心者が上級者を倒すことも決して不可能ではない。多くの同ジャンルで嫌われがちな「芋」が最適解になることもままある。
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必殺技が非常に強力なうえキャラ相性が明確なため、不利対面はまず覆せない。そのため「強力な敵を倒すため一時的に共闘する」「必殺技を無駄撃ちして狙われにくくする」など駆け引きの要素が強い。
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ゲーム性に噛み合う形での高い原作再現度。
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スタンド能力を原作そのままに使用できる
キャラが多い。
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遠隔操作スタンドは建物をすり抜けることができ、索敵や奇襲が可能。
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空気弾を操作し離れた位置から敵を攻撃する川尻浩作、足跡から敵の位置と正体を割り出すアバッキオなど、バトロワというジャンルならではの能力になっている。
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時止めには当然のように時止め返しが可能。
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アニメでは描写がなかったものにも演出が付け足されている。
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フーゴは自分の毒でダメージを受けてしまう。
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ザ・ワールド(時間を止める)とキング・クリムゾン(時間をスキップする)の相互作用。ファンの間でも解釈が分かれるものに一つのアンサーを提示した。
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マップはアニメ制作時の資料を参考に作られており、原作の舞台を再現している。
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トニオのレストランなど原作に登場した建物も配置されており、外観はそのままにアニメに登場しない部屋まで作り込まれている。
自由に散策ができるのはジョジョゲー初
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固有の建物(DIOの屋敷や露伴邸など)にはキャラによっては専用のセリフが用意されている。
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絶妙なバランス調整
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1シーズン3か月を基本単位とし、シーズン初めの大型アップデートとシーズン半ばの中間アップデートと、2回のバランス調整が行われる。
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使用率や勝率だけでなく、環境全体を見たうえでバランス調整が為されている。勝率が中間でも環境に強い影響を持つキャラが弱体化されたり、逆に勝率が高くても少数の上級者が勝率を引き上げており本来環境に対応できていない性能の場合には強化される。
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「威力が20減少」「攻撃の前隙が0.1秒減少」など、微細だが確実に使用感を変える調整が多い。その一方で、パッとしないキャラに強めの強化を与え、環境に変化を与えるようなアプデも行われている。
賛否両論点
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射撃キャラが全体的に弱め。
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1マッチあたりのゲームスピードが速く生存エリアが閉じ切ることが多い=最後は至近距離での戦いを余儀なくされるため射撃キャラはゲーム性に逆行しており致し方ないところではある。
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実装キャラの大半が近距離キャラであり、序盤に接敵するとまず勝てないことから調整に慎重になると思われる。
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個性付けが怪しいキャラクターが散見される。
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一部原作には無い能力を持つキャラがおり、原作ファンからすると違和感を禁じ得ない。
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承太郎とDIOが強すぎる。
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戦闘に長けた承太郎と戦闘の拒否に長けたDIOと真逆の性能ではあるものの総合力が非常に高く、この2キャラを使い分けていればどの環境でも十分以上に戦えると言われている。
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環境上位にいるキャラは下方修正が入るのが対戦ゲームの常だが、この2人にはその様子が見られない。
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とはいえ集中砲火をされればさすがに沈むので、環境を壊すほどにはなっていない。
問題点
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実力によるマッチングがあまり機能していない
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プレイヤーの実力に応じてマッチングが3つに分けられているものの、1つは初心者、もう1つは初級者、といった具合であり実質的には残る1つの部屋に中級者~全国大会レベルまでがまとめられている状態である。
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バトロワである以上プレイ人口との兼ね合いがあるのだろうが、初級者を脱したところに全国レベルの猛者に蹂躙されるのはモチベーションを大きく削がれる。
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マッチングでランダムペアとオフペアが分けられていない。
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ペア戦では待機中の人と無作為に組むランダムペア、特定の人と組むIDペア、同店舗の人と組むオフペアの3種類があるが、全て同じマッチに放り込まれる。会話で意思疎通ができるオフペアと、チャットとピン立てでしか意思疎通ができないランダムペアとがマッチングで分けられていない。
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チャット機能が不便なうえにカスタムもできないため意思疎通には限界がある。
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一部極端な構成のマップがあり、キャラ性能を活かせるかが大きく変わってくる。
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マップとキャラ性能が噛み合わない場合は何もできないまま逃げ回るしかないので理不尽さを感じる。
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ゲーム性とは無関係だが、極端なマップに限って原作要素が薄く、IPの良さを活かし切れていない。
総評
これまでのジョジョゲーとは異なり自由に歩き回れるTPSスタイル、更に「心理戦」を取り入れたゲーム性によって間口の広さと原作さながらの能力バトル・読み合いを両立した傑作。
有名IPと間口の広さが嚙み合っており、ゲームに不慣れなフレイヤーであっても隠密からの必殺技で勝利することができる一方で、慣れたプレイヤーは手に汗握る近接戦闘や詰め将棋のような頭脳戦など様々な楽しみ方ができる。
また索敵や隠密で強みを発揮する能力をそのまま再現しているのはジョジョゲーにおいては唯一無二であり、自分がキャラになりきってスタンド能力を活用するないしはされるような没入感・緊張感がある。原作ありきのキャラゲーとしても高い水準で纏まっており、総じて満足度の高いゲームである。
余談
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当ゲームのプロデューサーには「プレイスキル以外でも勝てる…知能とかズル賢さとかで勝てるゲームが作れないか」という考えがあり、ゲーム性に強く表れている。
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運営は店舗大会や交流会など、プレイヤー同士のオフライン交流を積極的に推し進めている。プレイヤーのモチベーションも高く、プレイヤー主導で交流会が開催されたりもした。「古き良きゲーセン文化の再来」との声もある。
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使用キャラ等を記入してXの固定ツイートに据える「自己紹介カード」や、遊んだ後に食事の写真を張る「ラスサバ飯」などプレイヤー主導で広まった活動が公式に逆輸入された例も。
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出演声優によるステージイベントや写真コンテストなどメインコンテンツ以外のイベントも行われており、「ジョジョの奇妙な冒険」の原作イベントと絡めてのプロモーションもあって稼働から3年後に増台、2024年には5周年を迎えておりアーケードゲームにしては長寿コンテンツとなりつつある。
最終更新:2025年04月20日 06:49