ブラッドブラザーズ
【ぶらっどぶらざーず】
| ジャンル | シューティング | 
| 対応機種 | アーケード | 
| 販売元 | テクモ | 
| 開発元 | TADコーポレーション | 
| 稼働開始日 | 1990年 | 
| 判定 | バカゲー | 
| ポイント | 西部劇風画面固定シューティング 絶妙な難易度でゲームとしては良作レベル
 ステージクリア時、全てが分かる
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概要
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同社の過去作『カベール』のシステムをほぼそのまま継承した、固定画面のアクションシューティングゲーム。『カベール』は現代戦がテーマだったが、本作は西部劇がテーマ。
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ゴールドラッシュの影で暗躍する大悪党「ビッグ・バッド・ジョン」を倒すべく同志となった、とあるカウボーイとネイティブアメリカンが二丁拳銃とライフルを手に取り戦いを挑むという筋書き。全5ステージ20シーン構成。
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1P側は二丁拳銃を操るカウボーイ、2P側はライフルを操るネイティブアメリカンとなっているが特に性能差は無い。
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タイトルにもなっている英熟語「blood brothers」とは、「義兄弟」という意味も含まれる。開拓民と原住民が手を取り合う設定と図式は非常に熱い。
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なお、敵側もプレイヤー側と全く同様に開拓民と原住民の混成である。その上、西部劇としては明らかにオーバーテクノロジーな兵器や、本筋とあまり関係無さそうなファンタジー要素も平然と加わっている、勢いとシチュエーション重視の世界観。
 
基本システム
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1レバー+3ボタンで操作。
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レバー操作で自機や照準を動かす。Aボタンで射撃、Bボタンで回数制限はあるが強力なダイナマイト攻撃、Cボタンで緊急回避となる完全無敵動作のローリングが出る。
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Aボタンでの射撃中は自機は動きを止め、照準のみを動かすこととなる。また、射撃で多くの敵弾を撃ち落して消去する事が可能。基本的にはフルオート連射なのだが、一定以上の勢いでボタンを連打すると高速で連射できる隠し仕様がある。
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Bボタンでのローリングは2種類ある。「レバーを下か斜め下に入力した状態」でCボタンを押した場合は小さく移動距離の短いローリング、それ以外の状態では横に飛び込んで転がるような移動距離の長いローリングを行う。動作中完全無敵で動作終了後の隙も皆無という法外なまでに超強力な回避手段ではあるが、「動作中は一切攻撃できない」というデメリットが殲滅を重視せざるをえない激戦区で大きく響き、下手するとジリ貧になりかねない点がありゲームバランスはとれている。
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Cボタンでのダイナマイト攻撃における回数制限は1P側は画面左下、2P側は画面右下のダイナマイトのマークの下に数字で表示される。初期状態では10発、最大で99発まで保持可能。ダイナマイトを1発補充するアイテムは「敵が投げてくる爆弾を撃ち落とす」などの方法で簡単に出現するので、無理しない程度にチマチマと集めていくのが勝利の鍵。
 
 
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画面上の敵及び建築物を破壊すると画面下のゲージが減少し、全て無くすとクリアとなる。
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ボス戦では、画面下のゲージはボスの体力の表示として使用される。
 
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ローリング動作中でない状態で敵の攻撃を喰らうとミスとなり残機が減り、残機が無い状態でミスするとコンティニュー待ちの状態になる(コンティニューしなかった場合はゲームオーバーとなる)。
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なお、分かりにくいが残機表示はダイナマイト発数の数字の真下にある「丸のマーク」。
 
おバカな点
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ステージクリア時の演出
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ステージをクリアすると、破壊しなかったオブジェクトも全て豪快に爆発し、『カベール』同様、軽快な音楽と共に主人公は画面奥に小躍りしながらすっ飛んでいく。
 
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何でもアリな時代設定
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一応、舞台は西部開拓時代の筈だが、二十世紀初頭になって初めて実用化された筈の飛行船や複葉機、装甲車が普通に敵として登場する。
 
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アイテムキャリア
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ステージ中に豚やイノシシが横切る事があるが、これらは撃つとダイナマイトや一定時間武器が強化される「ライフル」や「マシンガン」を出すアイテムキャリアである。
 
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その他のバカゲー要素
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ステージ中にふらりと現れる貴婦人を撃つと、スカートをおっ広げながら大量の得点アイテムを放出し、画面端へと走り去っていくという演出がある。
 
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このようにバカゲー要素として突っ込みどころは多いものの、そんな考証をも吹き飛ばせる程のパワーがこの作品の魅力と言ってもいいだろう。
評価点
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破壊のカタルシス
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本作は同社が過去に出した『カベール』のリメイクとも取れる作品だが、この作品も前作同様、画面上の多数のオブジェクトが破壊可能である。
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樽は勿論、家、倉庫といった建築物や、一部の森や岩山も拳銃の連射で破壊出来る豪快さである。
 
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取っつき易いゲーム性
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序盤は弾数も少なく、弾速も遅い。射撃で消せる攻撃も多いので、初心者にもとっつきやすい。
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プレイヤーの操作も前作のトラックボールからレバーに変更された他、オート連射の通常ショットを代表とする各種アクションも豊富かつ強力である事も相まって、性能の良いプレイヤーを簡単な操作で思う存分暴れさせる事が出来るだろう。
 
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BGMは数こそ少ないが、通常面でのBGMはノリが良い。
問題点
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難易度の高い後半ステージ
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本作は前半ステージこそ簡単だが、後半戦になるにつれて難易度が上昇しパターンを組まなければクリアは厳しい。
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ミスすると、強烈な特殊銃を使用中だった場合はその特殊銃が剥奪されてしまう。ミスしてもダイナマイトの数が減ったりはしないものの、ダイナマイトの発数が回復するなどの救済措置も存在しない為リソース管理にも気を配る必要がある。
 
 
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1人プレイ時はボス戦のみ事実上の「戻り復活」方式
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前作『カベール』同様、1人プレイ時のボス戦は事実上の「戻り復活」方式。2人同時プレイ時では発生しないが、1人プレイ時にボス戦でミスするとボスの体力ゲージが完全回復した状態でボスが再度登場しなおす。
 
総評
ステージクリア時の変なステップを代表する奇抜なシーンこそ目立っているが、総じて丁寧に作られている。
余談
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本作を開発したTADコーポレーションは変な作風が特徴のデコことデータイーストのスピンアウト組が設立した会社であり、前作にあたる『カベール』が処女作の知る人ぞ知るメーカーである。
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TADコーポレーションは本作の後、同じく西部劇を舞台とする見下ろし型のアクションシューティング『ヒーテッドバレル』をリリースした。
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こちらはジャンルが違う上に直接的な繋がりは無いものの、こちらも全体的にハジけたキャラクターや演出が健在なことから、TADが西部劇ゲーを作るとこんな作風になってしまうのかもしれない。
 
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日本では一部の好事家には支持されたものの、イマイチぱっとしなかった本作であるが、海外ではかなりの大ヒットを記録しており、1995年頃にはイタリアのプレイマーク社から『ハードタイムズ』というグラフィックを変更したデッドコピー作品が作られる程のロングラン作品となった(80年代とは異なり90年代は長期的な需要の作品でもない限り、コピー基板は作られない)。
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このように大ヒットを記録しながらも海外では数多くのハードに移植された『カベール』や『JuJu伝説』とは異なり、本作はどのハードにも一切移植される事は無かった。実はTADはスーパーファミコンのサードパーティーとしてコンシューマー市場に参入しており、その第一弾として本作が移植される予定で、実際に開発が進んでいたそうなのだが、移植スタッフのリーダーが開発の最中に脳卒中を発症し、治療する為にTADを退社したおかげで開発が中断してしまい、そのまま倒産してしまったとの事だそうである。
 
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ナツメがSFCでリリースした『ワイルドガンズ』および、リメイク作『ワイルドガンズ・リローデッド』は明らかに本作および前作『カベール』からインスパイアされているゲームだが、こちらも良作。
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西部劇が舞台と見せかけて「SFの世界における西部劇のような文明をもった惑星」が舞台であり、敵はロボットやメカが多い。本作とは外見的な雰囲気や操作感はかなり異なっている為、単なるパクリではない。
 
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同ジャンルの作品は他にも『銃武者羅』(ミッチェル)などがあるが、大体の該当ゲームはとんでもなくハジけている。
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『銃武者羅』は「本能寺の変」直前がテーマの話なのにラスボスが織田信長ではなく「機動要塞である安土城そのもの」だったりするなど、なんかもう色々とおかしい。
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なおミッチェルの社長だったロイ尾崎氏は元データイースト社員で、TAD設立当時のスタッフの一人でもあったので、『ブラッドブラザーズ』の前作だった『カベール』にも関わっていた模様である。
 
最終更新:2021年05月25日 18:59