ファーストサムライ

【ふぁーすとさむらい】

ジャンル アクション
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対応機種 スーパーファミコン
メディア 4MbitROMカートリッジ
発売元 ケムコ(コトブキシステム)
開発元 VIVIDIMAGE
発売日 1993年7月2日
判定 バカゲー
ポイント ジャン
英国人による誤った日本観(?)的設定
カオスとしか言えない設定
出来は至って普通のACT


プロローグ

古代の悪霊「魔狂神」が復活した。

かつて悪霊を封じ込めたサムライの一族である主人公とその師匠が、修行中に魔狂神の襲撃を受ける。
師匠は敗れ去り、最後の力を振り絞って天より妖術使いを呼び寄せた。妖術使いの前に、魔狂神は未来へと逃走する。
魔狂神は無数の悪霊を蘇らせ、戦国時代から遠未来にかけて、全ての時代を支配しようと目論む。
主人公は妖術使いを呼び寄せる呼び鈴と破霊の剣を授かり、悪霊を倒すため時空を超える旅に出る。
(Wikipediaより抜粋)

概要

海外産ゲームのローカライズに 色々な意味で 定評のあるケムコが日本に放った横スクロールアクション。
刀を持ったサムライが、師の仇討ちと魔物退治のために様々な時空を進んで戦う内容である。
ゲームとしての出来は至って普通である。しかし設定や演出方面が常人には思いつかないカオスな代物になってしまった

元はイギリスのVIVIDIMAGEが開発したゲームで1991年にAmigaで発売された後、Atari-ST、コモドール64、MS-DOSといった様々なプラットフォームに移植されており、SFC(とSNES)版は最後発に当たる。

ゲームシステム

  • 4ボタン操作。AかBがアイテム操作とジャンプ、XかYがキックとパンチ。AとB、XとYが入れ替わった4パターンからキー操作は選べる。
    • パンチは飛んでようがしゃがんでようが正拳しか打たない。床に壊したいオブジェクトがあるときはキックで。
    • 刀を持っているときはXでもYでも攻撃は変わらない。
    • 体力ゲージと剣ゲージがあり、体力ゲージをなくすと、剣ゲージ分だけ体力が回復する。しかし剣はなくなり、その後素手で攻撃する事に。ザコを倒して、ある程度剣ゲージを回復させると、剣が戻って来る。
    • アイテムは、特定の場所で使うことで妖術師が先へ進む道を開いてくれるベル、遠距離攻撃が出来る小刀・手斧・手榴弾、オプションとして自動攻撃する鉄球、青くした壷にワープできる宝塔の3種類。詳細は後述。
  • フィールドには赤く光るイカリのようなものが5つ隠されており、全て集めて特定の地点に行くと出てくるボスを倒すと面クリアとなる。
    • 炎だらけ*1だったり障害物が邪魔したりして進めない時はベルを鳴らして妖術師を呼ぶといろいろな方法で道を開けてくれる。
      • 雨を降らせて炎を消すのはともかく、謎のレーザー照射で炎を消すのはどうなんだというかなんというか…。
    • フィールドには茶色い壷が置いてあり、壷に重なってしばらくしゃがんでいると刀ゲージ少量と引き換えに壷を青く出来る。先述の宝塔でワープできるようになる他、倒れると再開は一番近い青くした壷からになるので重要。

バカゲー要素

総じてカオスな設定

  • オープニング中では若者と称されている主人公だが、パケ絵のそれはどう見ても50代のおっさんにしか見えない老け顔の男性。*2
    • しかもなぜか本来小袖の上から着る肩衣を地肌に直接羽織り髷とポニーテールが合わさったような不思議な髪型をしている。
      • ゲーム中のドット絵はそこそこ若者に見える、パケ絵と違い上半身は裸だが。
  • オープニングデモは浮世絵調で、そのOPストーリーもツッコミ所満載。
    • 悪霊の顔はどう見ても歌舞伎役者。対して殺される師匠は町人のようなしょぼい格好をしている。
      • なお、師匠は死に際に妖術使いを呼び出す。…最初から呼び出しておけばよかったのでは?
    • そして呼び出された妖術使いは主人公に自分を呼び出す「呼び鈴」と「魔法の剣」を渡す。何故妖術使いが自分で行かないのか、そして刀ではなく何故「魔法の剣」なのかなど、いろいろと疑問だらけのスタートである。
      • そもそも呼び鈴はステージ中で手に入れるアイテムであり、どうやらOPで語られたように主人公へと渡されてはいないらしい。
  • 主人公の体力ゲージが何故か「腕」。 不気味すぎる。そして主人公は常時上半身裸。
  • 時代を超えていくための手段がタイムマシン……ではなくなぜか電車とエレベーター
  • 1999年の東京に行くが、機械と背景に城みたいな物が連なる前衛的な舞台になっている。無論、そんな東京にはならなかった。
    • この東京には「私は、カンヒ」という謎の看板がたくさんある。ネオサイタマな…?
  • ボスが変態。「人面イワーク・コンピューター」「足が生えた巨大な顔*3」と言ってみたらキリがない。
    • ザコにしても手裏剣を投げてくる敵「リケンシュ」地面を這うリング状の敵「グンリ」パンクな髪型をした敵キャラ「クパン」トンボみたいな敵「ケラムシ」風神みたいな敵「ジンフー」などどれもカオスなものばかり。…せめてその適当なネーミングをなんとかしてくれ。

カオスなSE集

  • 敵を倒す際にいちいち流れる「☆ジャン☆」(オーケストラヒット音) 
    • ステージクリアの際にも出る。起動時にも出る。出る頻度が半端ないので思わず笑ってしまう。
    • また、一部の敵や障害物を攻撃すると「ガンッ」という、まるで鉄パイプか何かで殴ったような鈍い音が出る。刀…だよね?
  • 愛用の刀を、失う際に「Oh No! My sword!」入手するたびに「My sword!」……刀フェチかお前は。
    • 体力を失うと、最初は残機の代わりに刀が無くなる。敵を倒して刀ゲージを貯め、6,7割程貯まると刀が復活する。
      • 刀ゲージがない状態で体力が0になるとミスになるが、ミス時は派手に爆発する。
      • ちなみにゲーム中のボイスはこの2種類のみ*4そのたびに「なんなんだこのSE」と突っ込まざるを得ない。
  • 回復アイテム詰め合わせのフルーツバスケットや、得点アイテムの詰め合わせの宝箱を破壊した際に「ハ~レルヤ♪ ハ~レルヤ♪」 大事なことなので(ry
    • ちなみにハレルヤは「主を褒め称えよ」という意味のキリスト教によく用いられるヘブライ語で、この作品で用いられているフレーズはヘンデルの有名な宗教曲「メサイア」のハレルヤコーラスからの引用である。いずれにせよ時代劇を舞台にした はずの 本作に、そしてその状況で使う意味がさっぱり分からないのだが。
      • ちなみに、アイテム取得後に移動せずにその場に留まるとハレルヤの合唱が続き、更にどんどんとキーが上がって音程がおかしくなっていく。
  • 1ステージ目のBGMが何故か演歌
    • しかもゲームと同時にその歌のCDが発売されていたりする。歌い手はかつて『イルカに乗った少年』で有名になった城みちる。
    • 歌い手の歌唱力もあって無駄に上手い。が、歌詞の内容がいまいちゲームと合っていない*5
      • 実はこの曲はオリジナルのAmiga版及びSNESでは使われていない曲で、ローカライズに際してケムコ側で追加された新規BGMである。

評価点

  • 横視点型ACTとしては難易度は低めで操作も簡単と、割りと親しみやすい。……世界観以外は
  • 難易度は低め。雑魚敵は無限湧きでひっきりなしに出てくる上に無敵時間が少ないためダメージを食らいやすいが、前述のようにちょっとでも刀ゲージがあれば死なないのでゴリ押しが一番楽。
    • 剣をなくしても、ザコキャラをいくらか倒せば剣が戻るシステム。素手でもザコキャラを倒すのは難しくないので、元の状態に戻るのはそう苦ではない。逆に、剣装備状態での体力がわずかな時、わざと喰らって体力を回復させる方法に使える。
    • ミスで失うオプションとして鉄球があるが、プレイを大きく楽にするほど強くもないので、復帰後大苦戦という事はない。
    • 回復アイテムも豊富。
    • ただしヌルゲー気味とも言える。
      • しかしボスはなかなか強い。刀を失うと攻撃力・攻撃範囲が減少する上に取り戻す手段が無いボスが多く、非常にやりづらい。
  • 操作性も洋ゲーにありがちな変な癖もなくそこそこよい。
  • BGMも熱くカッコいい。
    • 上述の1面BGM「1973 Battle Field」は本作のメインテーマといえる曲であり、奇怪な絵面とのギャップがいろいろアレだが、曲自体はカッコよく熱い。
      • オリジナル版であるAmiga及びSNES版では道中のBGMは1曲だけしかなかったが、スーパーファミコン版では1面含めてオリジナルのBGMが書き下ろされており、オリジナル版以上にハイテンションなノリが醸し出されている。ある意味、妙なる味付けによって本作の奇異なテイストが倍増したといっていいだろう。

問題点

  • ゲーム性がやや単調。
    • アイテムを含め、ギミックなどが少なく、中盤を過ぎる辺りからマンネリ感が出て来る。
  • 操作性は自体はよい方だが、刀を持った上攻撃以外の攻撃の範囲が微妙に狭い。
    • 特にジャンプ攻撃は下方向しかカバーしないので、高いところを攻撃したいときに不便。
  • ボスの弱点が分かりづらい。
    • 一定状況でないと攻撃できないボスが多く、初見ではどこを攻撃すればダメージ与えられるか分りづらい。
  • スコアが無意味。
    • タイムアップがないので、無限に湧き出て来るザコを倒せばいくらでも点が稼げる。

総評

ここまで読んで頂ければお分かり頂けたと思うが、世界観、演出などカオス全開と言えるのまごうことなきバカゲーである。
それでいて細部まで作りこまれたその作風を損ねることなくローカライズする(そしてさらに突き抜けた方向へ昇華する)手腕はさすがケムコといったところ。
とにかくバカゲーとして素質十分な代物なので、機会とその気があるのならば一度はお目にかかって欲しい。決して記憶から忘れることは無いでしょう。

余談

  • 本作はローカライズ時点で数々の変更が施されており、上述のカオスな敵や演歌調のハイテンションなBGMはケムコ側の手によるものである。
    • BGMのほかは人型の敵がモンスターに差し替えられたり出血描写が削除されている。
  • 現在もスカパーで放送中の人気番組ゲームセンターCXでも第74回で登場。有野課長もそのシュールな世界観に度々ツッコミを入れていた。
  • 一方、ヨーロッパでは好評だったのか1994年に続編の『The Second Samurai』が欧州版のメガドライブ*6とAmigaの2機種で発売された*7。また、同作ではシグノシスがパブリッシャー兼Amiga版の開発に参加しており、双方のパッケージにシグノシスのロゴマークも入っている。
    • Amigaで発売された物は本作のシステムを継承した正統進化とも言うべき作品だが、MDの方は描き込みが綿密になった上にプレイヤーのアクションも大幅に増えたり協力プレーが可能になったりと前作とはほぼ別ゲーと言うべき進化を遂げた作品になっている。特にMD版の2P側キャラとして登場する 「髷を結った女のサムライ」 は一見の価値あり。
    • 2016年11月に本作のAmiga版をベースにしたリブート作である「Super Samurai」の開発がアナウンスされ、Kickstarterによるクラウドファンディングも行われたが、開発側からキャンペーンの締切り前に突然キャンセルが告知され、プロジェクト自体も事実上の停止状態となってしまった。
  • その後、2021年7月23日にSteamでの配信が開始された。内容はリブート版ではなく、(トレーラームービーやスクリーンショットから判別できるが)原点であるAmiga版でもなく SNES版を復刻移植したもの となっている。また、パブリッシャーがPiko Interactiveということから同社が権利を保有しているものと思われる。
    • また、GOG.comでは『The Second Samurai』とカップリングされた『The First Samurai + The Second Samurai Bundle』の配信が開始されている。なお、『The Second Samurai』の方は欧州MD版を移植したものが収録されている。
    • 2022年2月17日には前述の欧州MD版『The Second Samurai』の復刻移植版がSteamで配信開始された。
    • 2022年11月10日にSwitch/PS5/PS4/XSX/Oneでダウンロード専用ソフト『The Samurai Collection (QUByte Classics)』が配信。こちらも『ファーストサムライ』『The Second Samurai』のカップリングとなっている。 ちなみに、ファーストサムライはSNES版だが日本版のBGMが収録されている。
最終更新:2022年11月11日 05:50

*1 炎を出す敵も多いがここでは床で燃えてるやつを指す。非常にダメージが大きい。

*2 ちなみにこのパッケージデザインはSFC版とSNES版のみで、先に出ていたAmiga版などは若い侍の横顔に刀と富士山(っぽいもの)が描かれているデザインとなっている。

*3 ちなみにこいつがラスボス。しかも目玉が飛ぶ。

*4 厳密に言えば剣を振る時の「イヤァ!」もある。

*5 歌詞には『西向くサムライ東を向いた』だの『いつでも大事な愛がある』だの、ゲーム内容と大分ズレている。三番に至っては『サムライ日本 一本 二本』と、ダジャレかよ!とツッコミたくなるのも已む無しである。

*6 ヨーロッパ地域でのH/Wの名称は日本と同じ「メガドライブ」。「GENESIS」ではないので注意

*7 実際、正式には双方ともヨーロッパ地域でのみの発売となっている。なので、北米(GENESIS)版は存在しない。