スーパーダライアスII
【すーぱーだらいあすつー】
| ジャンル | 横シューティング |  
 | 
| 対応機種 | PCエンジン スーパーCD-ROM2 | 
| 発売元 | NECアベニュー | 
| 開発元 | A Wave アプリネット
 ソフトマシン
 | 
| 発売日 | 1993年12月24日 | 
| 定価 | 7,800円(税別) | 
| 配信 | バーチャルコンソール 【Wii】2009年2月17日/800Wiiポイント(税5%込)
 | 
| 判定 | 劣化ゲー | 
| シリーズファンから不評 | 
| ポイント | アーケード版のありとあらゆる部分が改悪 方向性が違いすぎるアレンジBGM
 見えている地雷
 前作は良移植だったのに…
 | 
| ダライアスシリーズ | 
 
概要
- 
1989年にてアーケードに登場し、ダイナミックなグラフィックと演出、OGRこと小倉久佳氏によるBGMが好評だった『ダライアスII』。人気作故に多機種にわたって家庭用に移植されたが、その中でもあまりいい目で見られていないのがこのPCエンジン版である。
- 
発売元は前作に引き続きNECアベニューだが、開発元は変わっている。
 
- 
前作『スーパーダライアス』は原作の魅力をほぼ再現し、加えてアーケード版では没になった一部ボス戦艦も全て登場させる等、良移植との声も多かったのだが……。
- 
タイトルに「スーパー」とついているだけあって、本作もまた様々な要素追加や変更が成されているが、発売を散々に延期した挙句、追加変更点が悪い方向に向かってしまうとは誰が予想したであろうか。
 
問題点
- 
ゲームバランスの悪化。
- 
原作自体が褒められたゲームバランスとはいい難い存在だったが、本作はそれをさらに下回るバランスの悪さに仕上がってしまった。
- 
原作の二画面サイズを、家庭用の一画面モニターに無理やり詰め込んだせいで、各所に無理が生じてしまった。前にリリースされたメガドライブ版『ダライアスII』はキャラを縮小させて迫力の犠牲を伴ってまで、プレイしやすさに重点を置いた作りとなっていたのだが…。
- 
異様に視野が狭くなり遠方が見え辛くなってしまった。このせいで、先の見えない攻撃や敵体当たりをもらって理不尽なミスに陥る状況が連発しやすくなった。
- 
自機シルバーホークも妙に大きく、非常に敵弾を避けにくい。
- 
とある巨大ボス戦では、ボスが画面に入りきらないのは仕方ないとしても、そのせいで頻繁に画面スクロールが起きるなど、操作面での改悪もある。
 
- 
ただでさえ原作でも指摘されていたボス難易度のバランスの悪さが更に悪化している。
 
- 
原作の魅力を大幅にオミットしてしまったアレンジBGM。
- 
エレキギターが多用したロックもしくはフュージョン系の曲調で、やたらとギターソロを挟んでくるのが印象的。
 曲単体で評価すれば聴けないレベルでは無く、これはこれで良いという意見もない訳ではないものの、原曲の味を完全否定するかのようなアレンジ故に、多くの原作ファンからは「コレジャナイ」扱いをされた。前作が原曲をそのまま収録し好評だった反動もあるだろう。
- 
アレンジはT's Musicが担当。『ウィンズ・オブ・サンダー』や『バルクスラッシュ』といった良作にも関わっており、実力・実績的にはなんら問題無いのだが、いかんせんエレキギター全開の作風がダライアスIIとはミスマッチだった。
 
- 
そもそも原曲の完成度が高いのに、それを越えるアレンジでメイン曲にするのは困難な事だろう。お仕事を依頼されたT's Musicも正直困ったのではないだろうか?
- 
かといって原曲をそのまま使っても、このゲーム内容の大きな改変では、それはそれで「原曲に失礼」などと不満の種になるのも目に見えてはいるが。
 
- 
ちなみにアーケード作品をCD-ROMに移植する際にBGMがアレンジバージョンになるケースが多いのは、既にゲームミュージックが他社によりレーベル化されているとCD-ROMの音声トラックにもライセンスが及ぶため、原曲をそのまま使うと二次使用という形になりライセンスが面倒くさい話になるからという事情がある。
 
- 
演出面でも劣化。例えば、原作のゾーンAや最終ゾーンでは道中からボス戦までBGMによるシンクロ演出がなされ、それがゲームの雰囲気を盛り上げていたが、本作は曲が途中で途切れて普通にボス戦BGMが流れる仕様となっている。
- 
音楽のCD-DA再生とPCエンジンのRAM容量制限というハードの仕様上、仕方が無いことではあるのだが。
 
- 
あまりにもショボい効果音
- 
「ポポポ」や「モモモモ」といったギャグレベルの効果音から、「ざざざ」「ぼふっ」等雑音レベルの物まで、原作を知っている者から聞けば、「ふざけてんのか?」と思える程の脱力音が満載である。
- 
前作の効果音はちゃんと原作重視であり、こんな脱力音ではなかったのに、何故こんなものになってしまったのか?
 一応は内蔵音源だからという説もあるが、それは前作にも言えた事。
 
- 
原作の二人同時プレイが削除された。もっとも、これに関しては他の家庭用移植でもいえる事なので、本作だけを責めるわけではないのだが。
- 
グラフィックの再現度はまずまずだが、やはり問題点はある。
- 
スコア表示が異様にでかく、画面レイアウトを考えずに無理やり表示しているので違和感がある。
- 
何故か一番の見せ所である、最終ステージのラスタースクロールがZ、X等の一部のステージを除きカットされている。MD版はおろか、日本未発売のマスターシステム版ですら再現されていたのに…。
- 
他ステージのラスター演出も軒並みカットされているが、ゾーンA等ラスターが再現されているステージもある為、技術的には再現できたはずである。出来るならなぜ他でやらなかったのか。
- 
ZやXのラスター演出がカットされていないのはどちらもゾーンAの色違いステージであるからと思われる。
 
- 
あまりにも派手にキャラ表示をさせている影響なのか、要所で画面がちらつく現象が多発する。
- 
因みに前作同様、VC版ではちらつきが改善されている。
 
 
- 
ボスがほぼ一新されたのだが、昔のSTGにありがちな立体として成立していない平面画であり、シリーズファンからは特に槍玉にあげられた。
- 
あまりに見た目が酷すぎるせいか、殆どのボスに「謎の生物」「タコチュウ」「ガスコンロ付き屋形船」等といった呼び名で揶揄される事態に。
- 
だいたいのボスは攻撃手段もシンプルで避けやすい攻撃ばかりで盛り上がりに欠ける上に、やたらと柔らかく瞬殺出来てしまうのが多い。一方で中ボスはやけに硬く、攻撃も手強く個性的なギミックもあったりで面白いものが多い。
- 
ラスボスの内の1体である「メカバイオストロング」は『R-TYPE』の最初のボスを思わせるデザインになっており、破壊直後に首が落ちたりとグロさが増している。
 
- 
致命的バグとして、ゾーンZのヒラメ型中ボスに対して、横向き状態でショットを撃ち込んで破壊するとフリーズを起こす事がある。バグを回避するには横向きでショットを撃ってはいけない。
- 
VC版でもこのバグは未修正。VC内の説明書では「当時の再現が目的なのであえてそのまま」と説明されている。
 
評価点
- 
原作を再現出来ている部分も一応ある。
- 
アーケード版同様、ちゃんと7ステージ26ゾーンが完備されている。ステージ構成も基本忠実。
- 
一画面向けに変更した地形及び敵キャラの配置もアーケード版とはほとんど違うが、さして悪いものではない。
- 
キャラのグラフィックや背景は、PCエンジンにしては頑張って再現されている方。アーケード版と遜色ない良い出来の部分は多い。
- 
MD版ではカットされていた、ステージ開始時に上空から降下して始まる演出もある。
- 
パワーアップ時に追加されるサブショットがMD版と違いメインショットとは別に連射されるため、AC版よりショットの連射数が減ったことによる攻撃力の低下がある程度緩和されている。
- 
ほとんどのボスがオリジナルキャラに置き換えられているが、なぜかステージ2の「キラーヒジア」及びステージ5の「ヤマト」と「リーダイン」の3体は原作のまま登場。そこそこの再現度である。全てのボスをこの調子で再現してくれれば良かったのだが。
- 
特にヤマト戦では、自機の動きに合わせて画面が左右にスクロールしてヤマトの巨大さが堪能出来るという気合いの入れよう。
- 
メカバイオストロングは本作オリジナルだが、他のオリジナルボスと比べてアーケード版に出てきてもおかしくないドット絵の雰囲気をちゃんと出せている。
 
- 
原作ではプレイヤーがミスすると装備ランクが一気に初期段階まで戻り、立て直しがかなり厳しい作りだったのだが、本作では設定難易度によるがその点が緩和される様になっている。これは改善点と言ってもいいだろう。
- 
同じく原作のアームは残り枚数が1枚になっても見た目が変化しないため、残りアーム枚数の把握がしづらいという難点があったが、本作ではアームの色が赤色に変化するように改善されており、残りアーム枚数の把握が容易になった。
 
- 
前作ボスの殆どが中ボスとして登場するというファンサービス要素がある。特にファンから人気の高いグレートシングが原作には登場しなかった事もあり、中ボスとしての登場を喜んだファンもいた。
- 
Wゾーンに登場するホオジロザメ型の中ボス「エーザム」は破壊されると下部からコバンザメ型の「アインダート」が脱出。しばらく後に再出現し、激しく上下移動しつつ月の形をした障害物を出現させその後ろからレーザーを放つという面白い攻撃パターンを見せる。
 
- 
オプションは比較的充実しており、三段階の難易度設定が可能。
- 
自機を赤機か青機に選択可能な他、連射機能のON/OFFやサウンドテストも可能となっている。
 
総評
「複数画面を1画面に押し込む」という時点で完全再現は難しく、それをカバーする為に色々アレンジするという方向性は間違っていないだろう。
しかし、出来る範囲で最大限の原作再現を果たしていた前作『スーパーダライアス』に対し、本作はそのアレンジの中身があまりにも斜め上だった為、シリーズファンを大いに失望させる結果となってしまった。
ただ、改変内容については事前情報でほぼ公開されていた他、またアーケードやメガドライブ版から大幅に遅れた移植でもあったため事前回避も容易であり、当時は地雷というよりひっそりと闇に消えた作品(今で言う「見えている地雷」)という扱いであった。
道中ステージや、ヤマトをはじめとする原作ボスの再現度を見ると、本作スタッフは決して技術力が大幅に不足していたわけではないと思える。BGMやボスキャラに余計なアレンジを加えず素直に原作再現し、かつゲームバランスをもっと調整していれば、あるいは好評をもって迎えられたのかもしれない。
アーケード版の『ダライアスII』と、そもそもダライアスシリーズを知らないで本作に触れたプレイヤーからの「普通に楽しめるシューティングゲーム」という好意的な評価の声は、決して少なくない。
単品のシューティングゲームとしては、佳作レベルの出来と言えるだろう。
余談
- 
本作は発売から数年経過しても中古相場は比較的高値を維持し続けていたが、その後はさらに価格高騰し続け、現在では完品で10,000円以上で販売されているプレミアソフトとなった。
- 
バーチャルコンソールでの配信が、2019年に終了した影響も少なからずあるだろう。
 
- 
本作のサウンドトラックは出回った数が相当少なかったらしく、ゲーム本体ほどではないが高額で取引されている。
- 
上述した通り、一部では評価する声もあるからと思われる。
 
- 
後にGBAで発売された『ダライアスR』が、それまで発売されてきたシリーズ作品の中でも特に酷い出来だったため、奇しくも本作に再評価の声が挙がるようになった。
- 
ダライアスシリーズが家庭用オリジナル作品を含めて色々と増えた事から世界観が広がり、「今は一周回ってむしろ好きになった」という古参のファンもいる。
 
- 
2010年3月11日、タイトーは家庭用ゲーム機向け事業を親会社のスクウェア・エニックスに譲渡した為、PCE版以外の家庭用ダライアスII配信は絶望的である。
- 
これは旧スクウェア・旧エニックス共にFC・SFCのみにソフトを出していた為。さらにその2機種にはダライアスIIの移植はされなかった。
- 
と、思われていたが、2019年2月28日、Nintendo Switchでダライアスシリーズが複数収録された『ダライアス コズミックコレクション』が発売。
 通常版は海外版を含むアーケード版4タイトルを収録。特装版は通常版に加え、セガマスターシステム版、メガドライブ版の他、SFCのオリジナルシリーズなど家庭用作品が5タイトル収録された。後にこの家庭用作品は、DL専用の『コンシューマーエディション』として配信されている。
- 
ただし本作は収録されていない。理由は単純で、スーパーダライアス同様に「CD-ROM2のエミュレーションエンジンが出来ていないため、やろうにも出来ない」である(この時点ではPCエンジンのエミュレーションエンジンも試作品の段階だった)。
 
 
最終更新:2024年12月25日 06:30