魔法学園LUNAR!
【まほうがくえんるな】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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セガサターン
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発売元
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角川書店 エンターテインメント・ソフトウェア・パブリッシング(ESP)
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開発元
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ゲームアーツ、スタジオアレックス、ビッツラボラトリー
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発売日
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1997年11月20日
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定価
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6,800円(税別)
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判定
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劣化ゲー
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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全てを台無しにした高すぎるエンカウント率
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LUNARシリーズ
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概要
LUNARシリーズの外伝作品であるゲームギアの『LUNAR さんぽする学園』(以下、GG版)を、セガサターンにて移植リメイクしたもの。
GG版は派手さはないもののLUNARの世界観を踏襲して遊びやすくできており、携帯機である関係上ボリュームがやや少ないながらも、なかなかの良作であった。
本作はSSに移植するにあたってムービーの追加・登場人物の追加などを行い、シナリオの構成も変わっている。
特徴
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魔法学園を舞台に、新入生の主人公達が魔法を学びながら成長していくストーリー。全12章構成。
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基本的にはお使いクエストをこなしつつ話を進めていく。
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魔法学園らしく、新たな魔法は「(使えるレベルになってから)先生から教わる」方式。
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概要で述べた通り、GG版からムービーの追加・登場人物の追加などを行い、シナリオの構成も変わっている。
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GG版からの他の変更点は、後の項目でも適宜解説する。
評価点
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LUNARシリーズ特有の温かみのある親しみやすいストーリーは健在。ストーリーの全体的な評価は良好。
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登場人物の個性も強化されており、新キャラの追加も相まってGG版に比べにぎやかな印象。新キャラのブレードの評判も良好。
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ストーリー展開は主人公エリーの設定変更や新キャラのブレード参入などをはじめとして、GGとはまた異なった展開となる。
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合体魔法が追加され、戦闘もGG版に比べ派手になった。
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シリーズ最多の6人パーティが可能。
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岩垂徳行氏と溝口功氏の作曲したBGMは高いクォリティ。GG版からのアレンジ・新曲の評価もともに良好。
問題点
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お金とアイテム全削除
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GG版にはお金や各種アイテムが存在したが、本作ではそれらが全て削除されシンプルになっている。
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装備の購入やアイテム合成(各種の水と薬草を使い薬を作成)などの要素も無くなっている。
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MP回復仕様の変更
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GG版ではフィールド上で「立ち止まっていると」MPが回復していく仕様だったため、自然回復待ちで歩みを止めるわずらわしさを我慢すればガンガン魔法を使うことが出来た。
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しかし本作ではフィールド上を「歩いている時に」少しずつHPとMPが回復する仕様になっている。後述のエンカウント率の高さにより長く歩き続けることは難しく、自然回復の恩恵はあまり無い。
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回復アイテムも削除されている為、自然回復以外には「戦闘中に防御する」事でしかMPを回復できなくなってしまった。
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高すぎるエンカウント
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本作の評価を致命的に落とす元凶。GG版に比べエンカウント率が異常なまでに高くなっており、プレイのテンポが大きく損なわれている。
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後半のダンジョンだと2、3歩歩いただけでエンカウントも珍しくなく、全体的に敵が強いためにMPの回復すらままならないケースもしばしば。
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またダンジョンが全体的に迷いやすい構成になっている上にアイテム収集の要素もないため、プレイしていて相当ストレスがたまりやすい。
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GG版だと敵のドロップ品も、ダンジョン内のアイテム入り宝箱もあったのだが。
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戦闘バランスの厳しさ
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パーティメンバーが最大6人になり合体魔法が付加され攻撃に幅ができたのはいいのだが、いかんせん合体魔法ありきのバランスになっているのでMPの確保が困難で先に進むのも苦労する。
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何よりアイテムの概念がないため回復魔法の使えるメンバーの立て直しが非常に厳しい。
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当然回復魔法の使えるメンバーが全員気絶(戦闘不能状態)になった場合は戦闘中にそのメンバーを復帰させる手段はなくなるため、リセットしてやり直したほうが早いケースもしばしば。
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魔法、合体魔法の習得がやや面倒
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合体魔法の習得もシナリオで習得する以外にも自分で見つけ出すことが必要になってくるのだが、そのためには習得条件となる魔法を同じターンで使って組み合わせを見つけ、学園長に認定してもらって初めて使えるようになるというシステムであり若干面倒。
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また、ある合体魔法の習得に関しては、一度ダンジョンの奥深くまで潜った後そこからさらに入り口まで引き返して学園長に認定してもらわなければならないものまである(しかもその魔法はその章でしか習得できない)。合体魔法の習得は必須ではないとはいえこの構成はきつい。
総評
世界観やストーリーの流れ、キャラクターの立て方は悪くないだけに、異様に高いエンカウント率が全てを台無しにした印象が強い。
加えてGG版に比べMP回復の手段がごっそり欠如しているのだからバランスも何も無い。
せめて過剰なエンカウントの見直しや、アイテム制などの維持があればもう少し評価は上げられたのかもしれない。
余談
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本作はLUNARシリーズでは比較的積極的にメディアミックス展開が行われている作品であり、主だったところではこのゲームの映画が『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』の併映短編として公開されている。
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スラップスティックギャグの10分程度の短い映画だが、こちらの評価は非常に高い。メイン映画が鬱展開だったこともあってか、ある種の癒しとなった側面も。
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ちなみに本作のエンカウント率が高い理由はここを参照。
最終更新:2023年08月27日 20:24