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ファンタズム

【ふぁんたずむ】

ジャンル アクション
対応機種 アーケード(メガシステム1)、ゲームボーイ
メディア 【GB】2MbitROMカートリッジ
販売元【AC】
発売・開発元【GB】
ジャレコ
開発元【AC】 シーピーブレイン
稼働開始日【AC】 1991年
発売日【GB】 1992年11月6日
配信【GB】 バーチャルコンソール
【3DS】2011年6月7日
判定 良作


ストーリー

恋人とのデート中、見知らぬ男達に恋人がさらわれてしまった。それを阻止しようとする主人公は銃で撃たれて死んでしまう。
しかし主人公は恋人の父により幽霊として蘇らされる。そして彼から「自分の研究していた霊エネルギーを狙う組織が犯人」と知らされたうえで娘の救出を頼まれる。主人公は「霊エネルギー」を用いて他人の体に乗り移り、恋人を救い出す事を決意するのだが……

概要

  • 2Dアクション。主人公は幽霊だが、敵キャラクターに憑依して戦う。性能は敵キャラクターによって異なるが、攻撃ボタンとジャンプボタンは共通。
  • 主人公本人の体力である「霊エネルギー」とともに、主人公が乗り移った敵キャラの肉体側にも体力が設定されている。本作ではダメージを受けた場合、基本的には「霊エネルギー」と肉外側の体力の両方が減少する仕様となっている。
    • 肉体側の体力が無くなると乗り移っている敵キャラがその場に倒れ消滅し、主人公本人は幽霊の状態で放り出されてしまう。しかし、霊エネルギーが残っていれば、新しい体(敵キャラクター)に憑依し直す猶予がある。また、憑依できる回数は無制限。
      • 幽霊になっている最中は完全な無敵状態。移動も空中浮遊になり、トラップや敵の攻撃、壁などを完全に無視できる。しかし時間経過とともに霊エネルギーが減少していくため、のんびりしていることはできない。また、過度なショートカットは無謀。
    • 「霊エネルギーが尽きた状態で肉体から放り出される」か、「幽霊状態のまま新しい肉体に乗り移る前に霊エネルギーが尽きる」ことでゲームオーバーとなる。(もし霊エネルギーが尽きていても、肉体側の体力が残っていれば生存状態とみなされる)
  • ステージ最後のボス戦時は、操作キャラの肉体側の体力を無視し「霊エネルギーをそのまま操作キャラの残ライフとして取り扱う」ルールが適用される。そのため、霊エネルギーが敵の攻撃で尽きた時点でゲームオーバーとなる。(霊エネルギーが尽きていて肉体側体力が残った状態でボス戦に突入した場合もボスと戦えるが、どんなに小さなダメージでも一発喰らった時点でゲームオーバー)
    • また、ボス戦ではザコ敵の出現も無い為、新しい体に乗り移ることはできない。(さらに、肉体側ゲージ自体がボス戦の間は不可視となる)
  • 全6ステージ1周エンド、ゲームオーバーからのコンティニューはその場での再開。

評価点

  • 「ごく一部の例外を除きどの敵キャラクターも憑依・操作可能」*1であり「憑依して自機として操作する際のキャラの性能はザコ敵時と同一」という前提があるにもかかわらず、敵の種類が非常に多いという大盤振る舞いなゲームデザイン。状況に応じて多くの、異なる性能の自機を操作する楽しみがある。
    • ザコ敵として戦っている際のキャラは基本的に「種類別の行動ルーチンに従って動く」。ごく一部存在する「高い自由度でプレイヤーキャラのようにあちこち動き回る」者(アマゾネス、ヨガ等)や、「プレイヤーの行動を見てから動き後の先を狙ってくる」者(ヴァンパイア、スラッガー等)のような厄介な敵を除き「対戦型アクションゲーム並のシビアな読み合い」を要求されることはない。
      • 具体的には「その場から動かず攻撃するだけ」の者(固定砲台タイプのギャング等)や、「弾消し効果を持った攻撃を繰り出せるがジャンプとしゃがみを一切行わない」者(ドラゴン系)、といった具合の者が大半を占める。つまり、一般的な同ジャンルのザコ敵相応な者が多いので身構える必要はない。
      • 「プレイヤーキャラと敵キャラが全くの同性能である」という対戦型アクションゲームそのものなゲームデザインではあるが、一対多の状況で戦いながらゴールを目指す一般的なアクションゲームらしさを保つ上でこの調整は英断と言える。
  • 一般的なアクションゲームでは「リーチの短い攻撃しかできないキャラクター」は圧倒的不利である事が常であるが、本作で該当するキャラクターはいずれも一芸に秀でた猛者揃い。状況にもよるが、該当キャラに乗り移った場合はハズレどころか大活躍も可能なケースもあるという、懐の深いゲームバランスとなっている。
    • 該当するキャラクターは「クセの少ない安定した高機動力」のアマゾン系、「高い体力を持つ上に敵弾消去能力とボスをも瞬殺可能な超火力のドラゴンブレスを吐ける」ドラゴン系、「敵の弾をバットで打ち返す事が可能」なスラッガー、「無制限に飛行可能」なヨガ、「挙動にクセがあるが万力鎖のリーチが短めな以外は圧倒的な高性能」の赤忍者。
  • 敵は「何かの組織」のはずだが、ギャングや忍者はまだしも魔法使いや野球選手、果ては空中浮遊する怪しい行者に吸血鬼やドラゴンと、得体の知れない生物まで出てくる。こんな個性豊かなキャラが揃うものの、何の組織なのかは結局最後まで不明のまま。本作を知る者にはネタにされる。
  • キャラクターはポップに描かれており、割かし可愛らしい。BGMもそれにあわせてノリが良い。
    • 一方で、感動的な部分では非常にシックな曲が流れる。特に後述のエンディング時は必聴。
  • そのストーリーを生かした、直球勝負ながら非常に評価の高いグッドエンディング。本作最大の魅力でもあり、そこでの主人公の台詞は知る人ぞ知る「名言」であり、涙無しには語れない。
    • マルチエンドだが、グッドエンド条件である「恋人の救出」を達成できないと大抵の場合ラスボスにプレイヤーが対抗する事が困難である、バッドエンドを見るためにはよほど実力が無い限り連続コンティニューを覚悟しなくてはならない。
      • そこまでのボスとは比較にならないほどラスボスは強い。しかし「恋人の救出」を達成するとラスボス戦でプレイヤーが大幅に有利になる為、プレイする上でのモチベーションに直結していると言えるだろう。
+ ネタバレ注意
  • ここまで読めば、ある程度の予測はつくだろうが…ラスボス戦でプレイヤーが有利になる理由は「捕らえられていた主人公の恋人その人が最後のキャラであり本作最強キャラである」為。敵キャラのままで恋人を連れ出す事が不可能と判断した主人公は、仕方なく彼女に乗り移るという最終手段を取る事に。
    • なんで彼女が最強キャラなのかと言うと、移動速度・ジャンプ力ともに優秀(アマゾネスと同等)で、更にゲーム中最高クラスの威力を持つ飛び道具のレーザー銃(レーザーアーミーと同等)を持っているから。通称「最終兵器彼女」。
    • 一応オープニングは不意を討たれたとか、父親から護身用に渡されていても心優しい彼女には使えなかったとか、理由付けは出来なくも無いが…敵は捕らえたときに気付かなかったのか?(ちなみにレーザー銃は手持ち式ではなく、腕時計のように装着するタイプという微妙に凝ったデザイン)
    • 彼女には体力が設定されていない。主人公が乗り移った時点で体力の仕様が「霊エネルギーが純粋にライフとして扱われる」という、前述のボス戦仕様に切り替わる。つまり、主人公が力尽きない限り彼女は決して倒れない。愛の力が為せる業か…。

問題点

  • 一度乗り移った敵キャラの肉体体力が尽きないと、憑依解除不能な仕様。このため簡単にキャラチェンジが出来ず、本作のコンセプトを大幅に殺いでしまっている。致命的な仕様の欠陥と言われても仕方がない。
    • 肉体ダメージも霊ダメージも低く調整が容易、なおかつ極めて安定した方法である「敵にしつこく接触し続ける」方法と「ダメージ床の上で居座る」方法が代表的。というよりも、意図的にチェンジしたければほぼそうするしかない。
      • ただし後述のGB移植版では新たに「肉体乗り捨て」の仕様が搭載され、問題改善とともに戦略性が増している。
  • 大半の敵キャラクターに上位互換と下位互換があり、下位互換の敵を選んでしまった場合の難易度は余計に高くなってしまう。
    • 上位下位は基本的に色違いで分類されており、衣装の装飾が多い者、衣装が警戒色である者などが上位互換であるケースが多いため、視覚的には分かりやすい。また、敵として出てきたときの強さで能力を想像できるので、何度かプレイしていけば選択肢は自ずと絞られてくるだろう。
    • ボス戦では体を乗り換える事が出来ないので、事前の情報無しにはとんでもない苦戦を強いられるケースも。
  • 恋人の救出には牢屋の鍵を集める必要があるのだが、場所に関してはまったくのノーヒント。
    • 特に謎解き等は無いので何度もプレイして(またはコンティニューしまくって)マップを把握すれば問題は無いが。
    • 鍵はすべて脇道にあり、もし取り忘れた状態でボスを倒してしまう(ステージクリアしてしまう)と当然その鍵を取りに戻る事は不可能。
  • ラスボス手前のステージがやたらと広い。タイムアップ(永パ防止キャラ)が存在するアーケードゲームとしてこれは…。やはりマップを覚える必要がある。

賛否両論点

+ エンディングのネタバレあり

前述の通り本作のエンディングはグッドとバッドの2種類があるが、どちらであろうとも主人公は消滅と言う、ある意味バッドエンドしか存在しない(一応グッドの方は成仏扱いだが)。つまりオープニングの時点で死亡が確定しており、奇跡なんてものは存在しない。

総評

移殖…というか、完全版

  • 本作はゲームボーイにのみ移殖されている。さすがにグラフィックが大々的に変化しているなどの違いはあるが、基本事項を踏襲した上で欠点を修正し、多くの追加要素を取り入れたため「完全版」と呼ぶべき内容に大幅パワーアップを遂げている
    • 前述の「肉体乗り捨て」仕様の追加。セレクトボタンで道中いつでも可能だが、肉体残エネルギー分の霊ダメージを受けてしまう為戦略的に使用する必要がある。
      • アーケード版では「敵に接触し続ける」か「ダメージ床の上に居座る」のが肉体乗り捨ての最適解であったが、ゲームボーイ版では敵との接触ダメージとダメージ床から受けるダメージが激増しており同じ戦法を取ることは難しいので注意。
    • また、敵に乗り移った時の演出が画面暗転とキャラのアップを交えた派手なものになり「乗り移った」感が業務用よりも段違いに上昇。業務用では一枚絵の紙芝居と普通のフォントで構成されていたエンディングも、キャラや背景のアニメーションと筆記体のようなおしゃれな文字のスタッフロールになっているなど、演出面の大幅な強化が見られる。
    • 一部敵の性能変化、ステージクリア時に霊エネルギー回復、コンティニューの仕様変化(その場復活→ステージの最初から)、スコア&制限時間(永パ防止キャラ)廃止、幽霊状態で地形を抜けてショートカットしようとすると「猛烈な勢いで霊エネルギーが減る」ペナルティが課せられる、といったシステム面での変化もある。
      • 「ボス戦突入時に霊エネルギーより肉体側残体力の方が多い」場合に限り「肉体側残体力の方がボス戦用のプレイヤー残ライフとして適用される」という、アーケード版には無かった細かい配慮も。
    • グッドエンディング後の非常にかわいらしい一枚絵や、「敵攻撃力倍増+ザコ敵ルーチン大幅強化+配置の凶悪化」が図られたエキスパートモード*2、レアな新キャラクター「透明人間」などが追加されている。
      • 「透明人間」は攻撃性能を持たない代わりに、敵の攻撃からは無敵で移動速度・ジャンプ力も最高クラス。ただし乗り移ってから一定時間で死んでしまう(エキスパートモードではこの時間も短くなる)。
      • エキスパートモードはどの敵の攻撃も喰らえば大ダメージで攻撃も配置も厳しい、元々はほとんど不要だったはずの「対戦型アクションゲーム並の読み合い」が必要な場面まで増える…という、まさにエキスパートな内容。
      • 要所に登場し、本作最強の攻撃力を誇るキャラであるレーザーガン兵は元々肉体即死+霊エネルギー5割というとんでもない攻撃力だったのだが、それがさらに威力倍増されているため「攻撃を受けると一撃でゲームオーバーになる」というアクションゲームでは異例といえる強烈な性能であり、GB版で存在感が増したキャラ。
      • エキスパートモードでは一度に出現する敵の数も増えるため、GBのゲームでありながら露骨なまでに処理落ちが頻発する
      • なお、このエキスパートモードをクリアときだけ見れる一枚絵もあるが、色んな意味でものすごいどんでん返しが待っている。
    • BGMは半分は移植、半分は新曲。オミットされた曲も一部。総じて曲のクオリティは高い。
      • 鍵部屋のBGMは残念ながらオミットされてしまった。
      • 3面・5面・最終面・恋人救出時のBGMは新曲となっている。不気味さが前面に出ていた最終面のBGMは本作のストーリーに合わせた熱い曲調となり、純粋に再開を喜ぶかのような曲調だった恋人救出時BGMがグッドエンディングの内容を匂わせる雰囲気の曲調となっている。概ね最終面からエンディングにかけて気合が入っている。

余談

  • 海外では【Avenging Spirit】と言うタイトルで発売されている。ゲーム中の文章が英訳されている以外は同様の内容。
  • "憑依"の意味を持つ『ファンタズム』というタイトルのメディア作品は多く、ゲームも何種類か出ているが本作はGB版以外コンシューマー移植されていない。
    • 長らく入手困難なゲームだったが、現在は3DSのバーチャルコンソールで配信されており、プレイ環境も容易なものとなった。
  • 本作の特徴でもある「敵に憑依するシステム」で近似なものとしてはボーステックの『レリクス』が有名どころではあるが、それ以外ではアトラスが1992年にACとSFCでリリースした横スクロールSTG、『ブレイゾン』が挙げられる。
    • ちなみに『ブレイゾン』のシステムは乗っ取り可能な敵に対して特殊弾である「トランキランダー」を打込むと敵がフリーズし、それに触れることで乗っ取り成功となり、自機が変形、操作体系も変わると言う代物。*3