クレヨンしんちゃん オラと遊ぼ
【くれよんしんちゃん おらとあそぼ】
| ジャンル | バラエティ(ミニゲーム集) |  | 
| 対応機種 | アーケード(F2システム) | 
| 発売元 | タイトー | 
| 開発元 | NJKテクノ、タイトー | 
| 稼働開始日 | 1993年12月頃 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 判定 | 良作 | 
| クレヨンしんちゃんゲームリンク | 
 
概要
タイトーより発売された、臼井儀人の漫画作品およびそれを原作としたアニメ『クレヨンしんちゃん』を題材としたアーケードゲーム。
1993年8月頃に稼働を開始した『クイズ クレヨンしんちゃん』の続編となる。
前作はタイトルの通りクイズゲームであったが、今作はクイズもあるがそれ以外にも様々なジャンルのゲームが収録されているミニゲーム集といった体を取っている。
なお、上の概要のジャンル名は正式なものが不明なため、一般的なジャンルを便宜的に当てていることだけご容赦頂きたい。
ストーリー
今日は春日部町の町をあげての大ゲーム大会が行われる日。
大会の優勝者には、豪華な賞品が進呈されます。
しんちゃん親子も、優勝目指して大会に出場することになりました。
「しんのすけ、優勝目指して出発よ!」
「がんばれよ、みさえ」
「………あんたも出場するの!」
…まあ、とりあえず出発進行!
しんちゃん親子の運命やいかに!!
※ゲーム開始時のオープニングデモより。
ゲーム内容
収録ミニゲーム
    
    
        | + | クリックで展開 | 
| ミニゲーム選択時 表示アイコン
 | プレイ画面 | ミニゲーム名および概要 |  
|  |  | 「あやしいシロはどれだ?」ゲーム |  
| ターゲットウインドウに表示されているシロと違う動きをしているシロを見つけるゲーム。 成功するたびに見つけるべき数が増え、最終的にはターゲットと同じ動きをしているシロの方が少なくなる。
 時間切れかターゲットと同じ動きをしているシロを選択してしまうとミス。
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|  |  | 「今のは何だ!」クイズ |  
| カーテンの間を物が通っていくので、その順番を覚えた上で○番目に通った物が何か、という4択クイズに答える。 クイズに成功するたびにカーテンの間を通っていく物の数が増える。
 時間切れかクイズに間違えるとミス。
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|  |  | 「岩石砕き」ゲーム |  
| 増減する画面下部のパワーゲージを上手く止めて岩を砕くゲーム。 ゲージ上にある成功ラインよりも右側で止めることが出来れば成功。
 成功するたびに成功ラインはどんどん右に寄っていく。
 時間切れか成功ラインより左側で止めてしまった場合はミス。
 |  
|  |  | 「ぐいぐい引っ張れ」ゲーム |  
| ひたすらボタンを連打して、物をくくりつけられた綱を成功ラインまで引っ張るゲーム。 成功するたびにくくりつけられる物が大きくなり、より連打力を求められるようになる。
 行き着くところまでいくと、月(!?)までも引っ張る対象になる。
 制限時間内に成功ラインまで引っ張りきれなかった場合はミス。
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|  |  | 「計算クイズ」 |  
| その名の通りの計算問題(4択)が出題される。 ただし、四則演算だけではなく、パッと見ではすぐに分からない形(動物の足の本数など)で問題を出されることもある。
 時間切れか間違えるとミス。
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|  |  | 「しんちゃんのクイズ」 |  
| 『クレヨンしんちゃん』の作品に関する問題のみを集めた4択クイズ。 時間切れか間違えるとミス。
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|  |  | 「ターゲットチョイス」ゲーム |  
| ターゲットウインドウに表示された絵柄と同じ絵柄を探すゲーム。 成功するたびに探すべき絵柄が増えていく。
 時間切れかターゲットウインドウにない絵柄を選ぶとミス。
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|  |  | 「何でもパンチ!」ゲーム |  
| 左右から飛んでくる物をパンチで打ち返すゲーム。 打ち返した物を後方を徘徊している障害物にぶつけることが出来るとボーナスポイント。
 成功するたびに物の数が増え、更にスピードも速くなる。
 打ち返すのに失敗するとミス。
 |  
|  |  | 「ネズミ迷路」ゲーム |  
| 指定された枠内のネズミがゴール地点まで進めるように道を作るゲーム。 成功するたびに枠のサイズが大きくなる。
 制限時間内にゴールまでの道を作れなければミス。
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|  |  | 「パタパタ着地」ゲーム |  
| 徐々に降下していくキャラクターを操作し、飛び回るカラスを避けて地面にある円が描かれた着地地点に着地するゲーム。 途中にある風船を拾うとボーナスポイント。
 時間切れ、カラスに触れてしまう、着地地点以外に着地のいずれかでミス。
 |  
|  |  | 「パネルルーレット」ゲーム |  
| 指定された絵柄にルーレットの光を止めるゲーム。 時折中央の星のマーク(恐らくチョコビ)に光が当たることがあり、そこで止めるとライフが1回復する。
 成功するたびにルーレットのスピードが速くなる。
 時間切れか星を除く指定された絵柄以外で止めてしまうとミス。
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|  |  | 「文字探しクイズ」 |  
| 表示された問題とヒントを見て、空欄となっている文字を埋めるゲーム。 成功するたびに埋めるべき文字の数が増える。
 時間切れか違う文字を選ぶとミス。
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|  |  | 「よくあるクイズ」 |  
| いわゆるノンセクションクイズ(4択)。 時間切れか間違えるとミス。
 |  | 
ゲームの基本的なルール
プレイヤーはプレイ開始時にライフを3持っており、それぞれのゲームでミスしてしまうとこのライフが1減り、0になるとゲームオーバー。
また、それぞれのゲームでノルマが設定されており、成功するとこのノルマが1減るので、残りノルマを0にすることでゲームクリア。
ゲームによって詳細は異なるがゲームに成功すると得点が加算され、特定の得点に達するとエクステンドとしてライフが1増える。
ただし、最大ライフは5となっている。
ステージ
    
    
        | + | クリックで展開 | 
| ステージ | チーム名 | 対戦相手 |  
| 1 | 幼稚園の友達チーム | 風間くん | マサオくん |  
| ボーちゃん | ネネちゃん |  
| 2 | 友達の親御さんチーム | 風間くんのママ | マサオくんのママ |  
| ネネちゃんのママ | ネネちゃんのパパ |  
| 3 | サブキャラ混成チーム | 入れ墨おじさん | おケイさん |  
| ハンバーガー屋の店員 | チーター河村 |  
| 4 | 街の先生チーム | マックス赤石 | 本多歯科院長 |  
| 看護婦のお姉さん | 羽毛山医院院長 |  
| 5 | アクションデパート店員さんチーム | 大宮さん | 越谷さん |  
| 杉戸さん | 川村さん |  
| 6 | 春日部商店街連合軍チーム | 魚屋さん | 焼きいも屋さん |  
| 中村さん | 春日部書店店長 |  
| 7 | 悪役キャラチーム | 吹き出物マリー | 魚の目お銀 |  
| 深爪竜子 | ひとし&てるのぶ |  
| 8 | 幼稚園の先生チーム | まつざか先生 | よしなが先生 |  
| 園長夫人 | 園長先生 |  
| 決勝 | チャンピオン | ??? ※しんのすけ達が知るあの人が…?
 |  | 
ステージ毎に1チーム4名のキャラクターと勝負する(決勝だけ相手は単独)。
各キャラクターと1つのミニゲームで勝負し、クリアすれば勝利という扱い。
つまり、4つのゲームをクリアすれば1ステージがクリアとなるので、それを8セットこなして決勝ステージも勝利すれば優勝、晴れてエンディングとなる。
ちなみに、ミニゲームはそれぞれの勝負で3つランダムで選出され、その中からプレイヤーがプレイしたいゲームを選ぶことが出来る。
評価点
キャラゲーとして評価出来るポイント
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豊富なキャラクターボイス
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様々なシチュエーションに応じて豊富な台詞が用意されており、聞いていても楽しめるが、プレイしているとそれどころでなくなることが多々あるのが惜しまれる。
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もちろん、キャラクターの声は当時のアニメ同様に矢島晶子氏(しんのすけ)とならはしみき氏(みさえ)が担当している。
 
 
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BGM
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ほとんどの作中のBGMがアニメ内で使用されているBGMで、使いどころも合っていることもあって、雰囲気を盛り上げるのに大きく貢献している。
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決勝ステージでのミニゲーム中は「オラはにんきもの」のインストゥルメンタルバージョンがかかる。
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エンディングテーマは、当時のアニメエンディングテーマと同じ「Do-して」のインストゥルメンタルバージョン。一聴の価値あり。
 
 
ミニゲームの質
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ゲームの種類が豊富で、かつルールや操作周りが複雑なものがないためにシンプルで取っつきやすく、それでいてのめり込めるものが多い。
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そもそもの操作系統が1レバー+1ボタンなのでそこまで複雑に出来ないというのもあろうが。
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また、ステージによって固定のゲームではなく、ランダムでも3種類のゲームからプレイヤーの任意でプレイしたいゲームが選べるので、プレイヤーに優しいシステムであると言える。
 
 
マルチエンディングの採用
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といっても、エンディングの分岐条件は「優勝賞品をどれにするか」で4つに分岐するだけであり、ゲーム中に突拍子もないことを要求されたりするわけではない。
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基本的にはオチが付くのだが、賞品によってはいい話が展開されることもある。
 
問題点
全体的に難易度がシビア
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「パタパタ着地」のように画面上ではどう見ても円の上に着地しているのに失敗扱いでライフが減るというのもあるが、そういったことを抜きにしても全体的にゲーム内容も成否判定も厳しめになっている。
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特にクイズ以外のミニゲームにおいては成功していくたびに難しくなっていくのだが、その難易度の上がりかたも強烈。
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とはいえ、クリア不能なまでの難易度のインフレを起こすことはない点だけは付記しておく。更に、ミスした次のトライは難易度が1段階下がる。
 
 
運ゲーの側面も強い
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毎回3つの候補が出るとはいえ、ミニゲームの内訳はあくまでランダムなため、運が悪いと不得手なゲームばかりが出てくるということにもなりかねない。
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とはいえ、ゲームのタイプは散っているので特定のゲームだけが得意で後はまるっきり駄目などでなければ、そこまで躓くことはないと思われる。
 
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また、得手不得手の問題で「ぐいぐい引っ張れ」を立て続けに終盤プレイせざるを得なくなると、後半引っ張るものは相当の連打を要求してくるため、誇張抜きで腕が痛くなる。
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レバー操作モードでは1ボタン分しか対応されていないためピアノ連打で複数を交互に押すということも不可能である。ただし…詳細は後述。
 
エクステンドが偏りすぎ
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最初が5万、次が7万、10万、15万、20万、30万点到達でエクステンドがあり、以降は20万点ごとにライフが回復するが、ライフ上限は5でそれ以上は回復しない。
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そのため、序盤はやり過ぎなくらいに回復するのに、ゲーム難易度の問題で本当にライフエクステンドが欲しい中盤以降はほとんど回復が見込めない、という事態になりやすい。
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序盤からエクステンドを頭に入れてプレイをしないと、ライフが5になっているときのエクステンドによるライフの回復はそのまま無駄に終わるため、クリアを目指す場合は点数の管理も重要になってくる。
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なおこのゲームはコンティニューを行ってもスコアの一~十の位などが増加せずコンティニュー未使用時と区別がつかない点やゲームごとに得点差があるのに何がプレイできるかは前述の通り完全ランダムなため、スコアアタックには向かない設計となっている。
 
 
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ゲームによって得られる得点の幅が大きく、難易度に左右されないもの・ある程度難易度に左右されるもの・難易度に大きく左右されるものがあるため、得手不得手だけでなく得点も考えてゲームを選ぶ必要がある。
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特に「あやしいシロはどれだ?」などでは後半だと1回の成功で1万点を超えることもある。
 
ひろしが空気
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上でキャラクターボイスに触れ、そこではしんのすけとみさえ以外は書かなかったが、これは一部抜粋したものではなく、本当にこの2名しかいないのである。
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ちなみに、決勝戦の相手はひろしではなく、空気といっても全く出てこないわけではないが、出てくるといえばエンディングの一部ルートだけでプレイ中は影も形もないという有様。
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本作にはひまわりも出ていないが、こちらはそもそもひまわりの初登場(誕生)が本作稼働から3年ほど経った1996年のことなので、これはむしろ出ていなくて当然である。しかし、ひろしはひまわりのように時期的な問題で無理という訳ではないのだから、プレイアブルキャラクター化とまでは言わなくても、せめてエンディング以外にも出番があっても良かったのではないだろうか。
 
 
みさえもやや空気
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デモなどでも登場するだけひろしよりはマシだが、それでも1人プレイでは1P側だろうと2P側だろうとしんのすけを操作することになり、みさえはあくまで2人プレイの時の2人目のキャラクターの担当になるため、ほとんどしんのすけ以外が空気といってもいいかもしれない。
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オープニングデモでもやる気満々な様子を見せていたり、上記収録ミニゲーム紹介の画像のようにコイン投入待ちの画面演出も凝っている分、2P側でプレイした時はみさえで固定にするなど、もう少しやりようは無かったのだろうか。
 
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ちなみに、みさえは「何でもパンチ」での性能がしんのすけと異なっており、しんのすけがパンチを繰り出すときにやや前に出るようにパンチをするが、みさえはその場でパンチを繰り出す。
プレイヤー無視の4ボタンモード
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このゲーム、通常操作は1レバー+1ボタンだが、当時ゲームセンターに普及していたクイズゲーム用のレバー無し4ボタン筐体にも対応しており、基板上の設定を変えることで容易に対応させることができた。
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しかし、この設定にするとレバー操作が必要なミニゲーム(具体的には「あやしいシロはどれだ?」「ターゲットチョイス」「ネズミ迷路」「パタパタ着地」「文字探しクイズ」の5つ)全部が丸ごとごっそりとカットされるだけという対応なので、4ボタン筐体でプレイするとかなり物足りなく感じてしまう。
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ゲームセンター側にとっては4ボタン筐体も活かせるありがたい設定だが、プレイヤーにとってはメリット皆無の設定項目となってしまっている。
 
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一応、数少ないメリットとして上げられ得るのが「何でもパンチ」で振り向きからのパンチ操作が1ボタンで行える等のほかに「ぐいぐい引っ張れ」の引っ張り動作が4ボタン全てで独立して行えるという変化がある。しかも必要連打数は1ボタン設定時と変わらない。
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ノルマ後半はこれによってやっとまともにクリア出来るレベルのため、このゲームだけ4ボタンモードでのプレイを前提にした調整の疑いを向けたくなるほど。
 
 
総評
全体的なゲームの難易度はややシビアで、1プレイが長くなりがちなところはあるが、個々のミニゲームの出来はもちろん、ゲーム全体としてキャラゲーとの色眼鏡を無しに見ても、十分に楽しめる作品である。
また、キャラゲーとして見ても雰囲気を損なうようなものも見受けられず、エンディングもルートによってはアニメ『クレヨンしんちゃん』らしい笑える要素もあれば、家族愛を感じさせる要素もあるため、作品のファンがプレイしても眉をひそめる要素はまずないであろう。
なにぶん20年以上前のゲームなので、現状ではゲームセンターで探すのも難しいところはある。家庭用にも移植されておらず、『タイトーメモリーズ』などのオムニバスソフトにも版権などの問題があるのか、本作は収録されていない。
それでも、「子ども向けの原作作品のゲーム」などと敬遠するのはもったいない。運良く見つけることが出来たなら、是非一度プレイして欲しい作品である。
余談
ひろしは34歳?
このゲームにおける「しんちゃんのクイズ」において、ひろしの年齢を問う問題がある。
アニメ・原作漫画ともに一貫してひろしの年齢を35歳と設定しているのだが、このクイズの選択肢には35歳の選択肢が存在しない。
この問題の答えは34歳となっているのだが、この年齢で設定されている(あるいは表記されている)のは映画の初期作のパンフレットとこのゲームだけである。
そのため、該当作のパンフレットなどを購入していなければ、アニメなどで設定されている年齢の選択肢がそもそもないため、この問題自体の答えが分からないということになってしまった。
とはいえ、一度間違えれば答えが分かるようになっているため、「このゲームにおける正解は34歳なんだ」と割り切ればいいだけの話ではあるのだが。
最終更新:2022年07月18日 08:16