ギミック!
【ぎみっく】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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3MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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サン電子
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発売日
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1992年1月31日
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定価
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6,200円
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配信
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プロジェクトEGG:2010年6月8日/500円(税別)
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レーティング
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CERO:A (全年齢対象) ※ゲームアーカイブス版より付加
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判定
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良作
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ポイント
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かなりの激ムズ高難度 幻想的な拡張音源
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概要
スーパーファミコンが登場し、世間が沸き立つ中で登場したサン電子(サンソフト)のアクションゲーム。同社作品の『へべれけ』を発展したようなシステムを持つ。
ファミコン末期の作品なので知名度は低いが、『星のカービィシリーズ』で知られるゲームクリエイターの桜井政博氏が大絶賛した名作である。
プロローグ
年の数のろうそくがケーキの上でゆれています。今日は女の子の誕生日。
いつも仕事で忙しくていないお父さんが今日1日はいてくれます。
久しぶりに家族3人が揃うのが女の子にとって誕生日よりも楽しみなのでした。
「誕生日おめでとう」女の子はうれしそうにちょっと笑ってプレゼントの箱をあけてみました。
ゆめたろーがお店のぬいぐるみを売っているフロアを歩いている時、
プレゼントを買いに来たお父さんが店員に案内されて、そこにやって来ました。
あわてたゆめたろーはぬいぐるみの山に隠れました。
そこにはゆめたろーそっくりのピンクのぬいぐるみがいっぱい積まれていたのです。
ちょうどそこでお父さんは足を止めました。そして、ゆめたろーを手に取ってしまったのです。
ぬいぐるみのふりを続けていたゆめたろーは、リボンをかけた箱に入れられ女の子の家までやってきたのです。
女の子はゆめたろーをとっても気に入り、部屋にだいて帰ると、女の子を見つめる視線がありました。
あまりにゆめたろーばかり可愛がるので、今まで毎年ひとつづつもらったぬいぐるみたちは自分達は
もう愛されることはないのかも知れないという不安を感じずにはいられませんでした。
ある夜、突然ぬいぐるみたちが動き出し、他の空間へ女の子をつれていってしまったのです。
一人たんすの上に残されたゆめたろーは、ぬいぐるみたちの行った空間に女の子を捜しに行きました。
(取扱説明書より)
システム
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主人公は緑色の怪獣のようなぬいぐるみのような生物『ゆめたろー』。
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基本システムは一般的な横視点2Dアクション。ジャンプに攻撃に移動の基本動作にアイテム使用。スクロールはプレイヤーの動きに合わせて移動するが、一定のポイントでエリアチェンジもする。
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攻撃ボタンを長押しする事で頭の上に星を作る事が出来る。ある程度長押しして離すと星を投擲する事が出来る。
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星は重力に従い落下し、地面や壁にぶつかるとボールのようにバウンドする。そのため、真横の敵に当てるにはかなりの慣れが必要。アクションゲームの攻撃方法としてはかなり癖が強い。
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星は一部敵弾を消す効果がある。適当にぶん投げて上部バリアとしても活用可能。
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かなり高速で移動するが、地形を利用すれば星の上に乗って高速移動でき、長距離ジャンプも出来る。
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星は画面内に一つしか存在できない。減速して完全に停止したり、一部の仕掛けや体力のある敵に命中したり、落とし穴や画面外に移動するなどで消滅し、次の星が打てるようになる。
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アイテムは道中に落ちていたり敵が落としたりする。3つまでストックできる。
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3つストックした状態だと、アイテムがブロックのようになり横から押せるようになる。アイテムを二つ重ねると1UPアイテムが完成する。
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固定配置されたアイテムは死ぬと復活するため、ある場所では死に戻りで無限1UPできる。
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ライフ制で、あるアイテムを取るとそのステージでだけライフの上限が伸びる。
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通常ではステージ6まででゲームクリアとなるが、条件を満たせばステージ7が出現する。
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ステージ6で終わるとバッドエンディングになってしまう。
評価点
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かなり癖の強い攻撃方法が特異なゲーム性を生んでおり、かつそれを生かしたステージ構成になっている。
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敵配置やステージ構成、敵の行動など、何度も遊べば自然と対策が付くようになっている。
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かなりスピーディーに進めるゲームで爽快感がある。
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画面切り替えやスクロールが素早くテンポがいい(ただしこれを利用したトラップもあり気が抜けない)。
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ただし、自機や星の扱いが悪いと非常に時間を食ってしまう。
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美しいグラフィック。パステル調の可愛らしい世界観ながらもその書き込みは細密で優秀。
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主人公や敵キャラクターは例外があるものの基本的にぬいぐるみが元なので愛らしい。
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救出対象となる女の子も非常に可愛らしい(別の意味で)。
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それと対比するかのように、背景や仕掛けはかなり細かい。特に機械仕掛けの動きっぷりはタイトルである「ギミック」を象徴する。
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苦労した先にあるステージ7は仕掛けがほとんど無く難易度も低いが、美しく彩られており達成感を感じさせる。一見の価値あり。
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拡張音源が搭載されており、本体内蔵音源と合わせた6和音同時演奏により曲自体の出来も良く、ファンタジックな世界観を彩っている。
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タイトル画面でセレクトを押しながらスタートを押すとサウンドテストになる。隠しコマンドなので分かり辛いが名曲揃いなのでとても有難い。
問題点
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難易度が凄まじい。
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嫌らしい敵の配置とアルゴリズム、数多く存在する初見殺し、主人公の制御の難しさ、ボスの異様な強さが相まって、その難易度は壮絶の一言。
ハッキリ言って、アクションゲームが苦手な人や初心者にはオススメできない域に達している。
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キャッチコピーで「見かけほど、甘くないゼ。」「ハンパなヤツは腕を磨いて出直しな!」などと謳われている。
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一方で、ただ理不尽な難しさに終始しているのではなく、何度もプレイして経験を重ねる事によりクリアへと近づいていける、絶妙なバランスで成り立っている。昔ながらの死んで覚えるゲームといえる。
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地形によっては星が中々消えてくれず、その間次の星を打てないためテンポが悪い。
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できるだけ星の誤射を少なくするのもプレイの課題である。
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ステージ7に進むためには特定の条件を満たさなければならないが……。
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ネタバレ
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「6つのステージにある隠しアイテムを全て獲得した状態でステージ6をクリアする」これがステージ7の出現条件である。
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隠しアイテムは場所こそ分かりやすいが、後半ステージの隠しアイテムの入手にはかなり精密な動作を要求される。
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揚句にコンティニューで隠しアイテムが全て失われてしまう為、グッドエンディングを見る為にはノーコンティニューで進まなければならない。スコアによるエクステンドがそこそこ多い(特に隠しアイテムの得点がべらぼうに高いので結構増える)が、それでも難しい。
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先述の無限1UPが出来る場所はステージ5の後半。遅すぎる。
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ステージ7まで進んでしまえばいくらコンティニューしても問題ない(ハッキリ言ってステージ1より簡単なのでコンティニューする必要はないかもしれないが)。
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スコア加算の処理が少しおかしい。
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得点がロール式で加算されるのだが、隠しアイテムを取得したり、雑魚敵を纏めて倒したり、ボスを倒して高得点を取って加算されている最中にミスをすると、得点が加算され終わるまで戻り復活・ゲームオーバーになるまでの時間が掛かる。
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また得点を稼ぐことでエクステンドによる1UPもあるので、隠しアイテム獲得→加算処理開始→ミス→規定ポイント獲得→チリーン(1UP)→加算処理終了→戻り復活というなんともいえないシュールな光景が見られることも。
総評
古きよき時代のシンプルながらも硬派な難しさを備えたアクションゲームの系統を受け継いだ作品といえる。
難易度の高さ的にも決して万人向けとは言えないが、高クオリティのBGMとグラフィック・繰り返しプレイによる上達・単純ながらも美しいエンディングで、達成感も一際高くなるだろう。
腕に覚えのあるアクションゲームファンにはぜひとも挑戦してもらいたい一品である。
移植
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概要で述べた知名度の低さから、中古市場ではかなりの高額で取引されている。ただし以下の通り他機種への移植は存在しているので、媒体にこだわらなければプレイ自体は容易。
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メモリアル☆シリーズ サンソフトVol.6(プレイステーション)
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こちらもレアソフトと化している。ゲームアーカイブスでも配信中。手軽ではあるが、PSの音源の仕様により音量バランスが狂っているため推奨されない。価格は617円 (税込)。
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プロジェクトEGG版(パソコン版)
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レトロゲーム配信サイト「プロジェクトEGG」での配信。価格は500円(税抜)。
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2020年12月31日にはexA-Arcadia基板によるリマスター版『GIMMICK! EXACT☆MIX』が稼働開始。本作初のアーケード進出である(参考リンク)。
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アーケード作品のため、FC版には無かった制限時間の要素がある。
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女の子はデザイン変更がされ、やや年齢が上がったような印象を受ける。
OPとEDで空間転移する際には何故か一瞬下着姿になる。
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ギミック! SPECIAL EDITION(Nintendo Switch/プレイステーション4/Xbox one/Windows(Steam))
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2023年7月6日にダウンロードソフトとしてシティコネクションより配信。国内パッケージ版はSUPERDELUXE GAMESよりNintendo Switch/プレイステーション4で同年12月7日に発売。開発は同時期に東亜プランSTGのPC移植版を手掛けているスウェーデンのBitwave Games。
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クイックセーブ&ロード・巻き戻し機能の追加で遊びやすくなり、パッケージ画像や説明書も鑑賞可能なギャラリーモード、実績機能、タイムアタックモードも追加されている。
余談
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ステージ7の世界観は、それまでと一線を画している。
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純粋なアクションゲームである分、文章的な情報が存在しないため、謎が多い。
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特にラスボスはぬいぐるみが支配する世界で唯一の特異点であるが、彼についての情報は全く無い。
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本作は欧州でも『Mr.Gimmick!』と改題の上で発売された。
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残機は7機スタート、拡張音源がない、一部ステージが違う等の相違点がある。
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BGMに高い評価を持つ作品だが、一時期はサウンドトラックの収録機会に恵まれず、同社の『へべれけ』シリーズのサウンドトラックである『たくさん へべれけ』(1994年発売)に未使用BGMと共に一部収録されているだけだった。
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その後、2011年の『サンソフト ミュージックコレクション Vol.3』と2013年の『Rom Cassette Disc In SUNSOFT』に本作のBGMが全て収録されている。
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『Rom Cassette Disc In SUNSOFT Remix』初回限定盤には、作曲者本人によるエンディング曲のアレンジ・デモ音源が入ったディスクも付いている。
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「週刊ヤングジャンプ」に連載されていた同名の漫画とは無関係。
最終更新:2024年05月15日 12:30