ひみつ戦隊メタモルV
【ひみつせんたいめたもるふぁいぶ】
ジャンル
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ADV
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対応機種
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セガサターン
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発売元
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毎日コミュニケーションズ
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開発元
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フェイクラフト
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発売日
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1998年4月23日
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定価
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5,800円(税抜)
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レーティング
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セガ審査:全年齢推奨
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判定
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バカゲー
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ポイント
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狙いきったバカゲー 濃過ぎる長官
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ひみつ戦隊メタモルVデラックス
【ひみつせんたいめたもるふぁいぶ でらっくす】
対応機種
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プレイステーション
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発売日
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1998年10月15日
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定価
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6,800円(税抜)
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レーティング |
CERO:C(15才以上対象)
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配信
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ゲームアーカイブス:2009年5月27日/600円
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判定
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バカゲー
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※共通項目は省略
概要
『Aランクサンダー』『MARICA ~真実の世界~』などを手掛けた遠藤正二朗による、MCD『魔法の少女シルキーリップ』の流れをくむADV。全6話構成。
タイトルでわかるとおりにスーパー戦隊シリーズを意識しており、特撮作品のノリが強いが、実は別種のパロディやネタの方が多めだったりする。
『ひみつ戦隊メタモルVデラックス』は、伊豆を舞台にした特別編シナリオを追加して移植したもの。
2009年5月にはPSアーカイブスとして配信された。そのアーカイブス版は2014年2月、PSプラスのフリープレイタイトルに選ばれたこともある。
登場人物
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新条咲慧/メタモルレッド
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本作の主人公で、メタモルV二代目レッド。明るく元気な子で、好きな教科は社会。いきなりリーダーに任命されても順応してしまうあたり、かなりの大物かもしれない。
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成長後のメタモルレッドは、天使とバレリーナを組み合わせた姿。そして武器は剣。かなりチグハグな気もするが、気分屋でもあるのだろうか?
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佐山捺紀/メタモルブルー
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メタモルVサブリーダー。開始当初は休職中。冷静なボクッ娘だが、考えすぎるきらいがある。麗子とは仲間意識を超えた強い絆を持っている。
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成長すると、褐色の肌の婦警さんになる。決め台詞は「冷たい格子があなたを待っているわ」。
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友恵もえ子/メタモルイエロー
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常にオドオドしている、気弱な女の子。仲間思いだが引っ込み思案で、結局行動できないことも多い。好物はイエローらしくカレーパン。
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成長後は性格がイケイケになり、ナイスバディなバニーガールとなる。これはきっと本人の願望なのだろう。
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南百合麗子/メタモルブラック
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おっとりとした渉外担当。お金持ちのお嬢様らしく、柔和な笑顔でいることが多い。実はUFOマニアであり、特別編では宇宙人や円盤への思いを語ってくれる。
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メタモルブラックは三叉槍を携えた悪魔コスで、武器だけでなく性格も超攻撃的。これはイエローとは違い「素が出た」ということらしい。成長前に「テメェだけは絶対に許しませんわ!!」と怒りを露にした事もある。
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高杜くるみ/メタモルパープル
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売れっ子子役という顔を持つ女の子。かなり自己中で口が悪い。他人を下の名前で呼ぶのを嫌がるというかわった癖がある。
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成長時の姿はナース風。女優には興味をなくしたのだろうか。武器はメスや注射器で、ある意味ブラックより危険。
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宇宙刑事シャトナー/大紋寺激
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宇宙刑事シャロン
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デラックスにて追加されたキャラクター。シャトナーの元教え子で宇宙刑事。シャトナーが宇宙刑事をしていたころはパートナーを務めていた。
特徴
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変身ではなく、成長
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本作では「変身」ではなく成長して戦うという設定になっている。つまり戦闘時の姿は、彼女らの未来の姿でもある。
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明らかに色々変わっている子もいるが、おそらく人生色々あったのだろう。
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ノンストップ会話システム「ALIS」
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「Active Language Interactive System」の略で、選択肢が表示されるのではなく会話中に「強気」「冷静」「弱気」の中から主人公の反応を選択する。
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これによって、相手にどういう対応をするかが変化する。
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各キャラへの好感度を上げつつ、各話の最後に控えている戦闘で必殺技の構築に必要なキーワードを集めていくシステムで、結構奥が深い。
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また、シナリオの選択肢のほかにも、キャラの会話中に自分の感情を変化させることで好感度が上がるシステムも仕込んである。
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戦闘について
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ストーリー中で手に入れたキーワードを組み合わせて技をつくり、それを使って戦う。
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特定の組み合わせで必殺技が、特に意味のない組み合わせだと「メタモルアタック」という強攻撃になる。何もしなくても通常攻撃は可能。
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敵味方の体力最大値は同じで、必ずこちらの先行になる。また敵の攻撃力はこちらの「好感度によるアップがない状態での攻撃力」と同じなので、絶対に負けることはない。
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ただし、あまり時間をかけると長官に怒られたり戦闘後の好感度上昇に影響する。
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キーワードの組み合わせによって編み出した必殺技は1回だけしか使えないため、的確な組み合わせを見つける必要がある。
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負けることはないが、戦闘終了後の残りのHPが高いほど好感度が上がるため、高ランクのエンドを見るためには戦闘を早く終わらせる必要がある。とはいえ実は一番見るのが難しいのはバッドエンドだったりするが。
評価点
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ストーリー
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戦隊ものと魔法少女ものを合わせたようなストーリーでシナリオの完成度は高い。
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一見、下記のバカ要素や見た目等のイメージが先行して普通のギャルゲーの様に見えてしまいがち。だが、基本ストーリーはシリアスで、まるで「中学生日記」の様だと評するファンも居る。
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遠藤正二朗氏が手掛けただけあって重い展開や考えさせられる展開もあり、凡百のギャルゲーとは一風変わった構成になっているのも特徴。
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声優の起用も実力派の声優を多数起用しておりかなり豪華な構成。
バカ要素
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むせ返るほどのパロディ
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徹頭徹尾ネタの塊のような感じで、そこかしこに有名作品などのパロディが仕込まれている。
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例えばレッドが最初に成長するシーンの台詞「声まで変わってる…」は、TBCのテレビCMの「そんな、声まで変わって…」が元ネタ。
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敵であるアドニス帝国が地球に来た理由も「民衆クーデターで母星を追放されて逃亡中、偶然進路上にあったから」という宇宙猿人ゴリのような理由になっている。
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途中で出てくるメタモル特性オレンジの少女「エリカ」は、「出身はブラジル」「両親はケバブ屋を経営(屋号は「アントン亭」)」「苗字がボンバイエ」と、どこかの三日月のような顔をした元レスラーを思い起こさせる。元気ですかー!!
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巨大な敵が出てきた時には「こんなこともあろうかと思って」建造していたロボットが出撃。咲慧の反応は「いつか出てくるんじゃないかと思ってたけど、こんな所にあったなんて!!」。どんな予定調和だ。
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その他、特撮やアニメの定番(お約束)ネタも多数。「お前たちは作戦を立てないと戦えないのだろう?」と会議の時間をくれるラスボス、毎回毎回同じ手で目くらましをくらう敵など。
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また「主人公の行動範囲でしか悪さをしない」というのも勿論入っている。小学生なみの行動力で地球を征服する気なのか…。
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特別編が伊豆というのも、昭和の特撮番組でよくあった観光地タイアップ回をイメージしたものではないだろうか?
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宇宙刑事シャトナーの存在そのもの
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某画像掲示板で「キングオブ若本」と呼ばれたほどのネタキャラであり、その濃さは主人公たちがかすむほど。
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まず格好が下向きの矢印が描かれた純白の全身タイツ。矢印の意味は「強い自信」らしいが、メタモル図鑑では「そんなところをジロジロ見るなコラァ!!」と言っている。見せたいのか見せたくないのかはっきりしない。
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この全身タイツはシャトナーの所属する銀河連邦警察の正式な制服であり、そのため彼の元教え子であるシャロンも胸の部分に星マークをつけた純白の全身タイツ姿を見せていたりする。しかし彼女はシャトナーとは違い格好を恥ずかしがっていない。
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なお平常時の格好も純白のコートに身を包み、負傷した左足を支えるための杖を常備(ウルトラマンレオ時代のモロボシダンのオマージュ)とこちらもこちらでかなり強烈な格好。これで小学校の保健医をやっているのだからある意味凄まじい。
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本来はこの上にプロテクターを纏うらしいが、地球赴任前にゾルバ星系で受けた負傷により戦えないため装備も出来ないらしい。
そもそも赴任前に負傷したならそのまま仕事に来ずに、誰かと変わった方が…。それとも「地球防衛くらい怪我人でも大丈夫」と上が判断したのだろうか。地球を馬鹿にしているのか!?
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毎回自作BGMを背負って豪快に出てくるあたり、もしかしたら戦えるのではないだろうか。
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その言動・行動も無茶で破天荒。というか格好を考えると、既に変質者の域に達している。
賛否両論点
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テキスト表示がない
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台詞は音声のみ、バックログもない。
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分岐がない分、聞き逃しても大きな損にはならないが。
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もっとも、テキストが無いことによって流れるような会話が成立しているところがメリットか。
問題点
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説明がかなり不十分
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いきなり「先のマジカル星人との戦いで…」と始まるが、彼らの情報は説明書に名前が出てくるだけ。先代レッドのこともロクに語られない。
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また「カラード特性が茶色なのに成長して、おじいちゃんになったタカシ君」「シャトナーが経験したゾルバ星系での戦い」など、触れられずに済ませてしまっている部分が多い。それもネタの一環なのかもしれないが…。
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シナリオ分岐がない
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ALISによる変化はかなり小さめで、結局シナリオは一本道。
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例えば「○○と一緒に帰る」と言う選択の場合、帰り道の会話が変わるだけでシナリオ自体はほとんど変化しない。
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フルボイスのせいもあるのだろうか。
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フラッシュ演出の多用
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毎話の戦闘パート直前にシャトナーが敵に食らわせる目くらましの他、シナリオ中の敵の攻撃等に使われるフラッシュが本当に眩しい。
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画面全体がビカビカと光り非常に目に悪そうなレベル。うおっまぶしっ!
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しかも目くらましをされる際に敵キャラが「まぶしすぎる!」「目に痛いわね!」などと発言するため、なんだか敵キャラに感情移入してしまう。
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ちなみに最終話直前の頃になるとプレイヤーも「あっシャトナー来た、フラッシュですねわかります」と身構えてしまうようになるのだが、最終話ではラスボスが「目くらましなど効かぬわ!」とフラッシュ前にシャトナーを制止し、しかも作戦を立てるのを待ってくれる。アドニス皇帝マジ良い人。
総評
パロディ全開の、狙い済ましたバカゲー。
とはいえ作り自体は中々よく、ある意味作風が後のプリキュアシリーズなどにも通じるものがあるので、この手の作品が好きならばオススメできる。
ただ、成長後は皆スタイル抜群になるのでロリコンな紳士の方々にはあまりオススメしない。
余談
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後に発売された設定資料集では先述のマジカル星人との戦いのあらすじが全26話で示されていたりする。
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また、先代レッドも設定資料集やドラマCDに出演している。
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SS版発売五ヶ月前にかの「ポケモンショック」が起きている。
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当時はあちこちでフラッシュ演出の自粛がなされていたのだが……自粛よりも脚本の没入感を取ったということか。
最終更新:2024年01月18日 10:00