ガンダムバトルユニバース
【がんだむばとるゆにばーす】
ジャンル
|
3Dアクション
|


|
対応機種
|
プレイステーション・ポータブル
|
発売元
|
バンダイナムコゲームス
|
開発元
|
アートディンク
|
発売日
|
2008年7月17日
|
定価
|
5,040円
|
廉価版
|
GUNDAM 30th ANNIVERSARY COLLECTION 2009年12月17日/2,800円 PSP the best パッケージ版:2010年6月3日/2,800円 ダウンロード版:2013年11月7日/2,800円
|
判定
|
良作
|
ポイント
|
1st~CCAの物語を収録、機体はぼぼ網羅 濃厚なボリュームとやりこみ度の高さ
|
ガンダムシリーズ
|
概要
ガンダムバトルタクティクスから始まった
ガンダムバトルシリーズ
の4作目。
宇宙世紀作品は『F91』までほとんど収録され、「ユニバース」の名に恥じない作品になっている。
特徴・評価点
-
キャンペーンモード
-
前作ではエクストラ扱いだった『ZZ』『CCA』のミッションが正式に収録され、ファンを大いに喜ばせた。
この2つの追加により、総ミッション数は200以上と膨大な数に。恒例のパスワードミッションも勿論存在する。
-
エクストラでは、本作の目玉とされる『ガンダム・センチネル』『閃光のハサウェイ』『F91』が主に扱われている。
同時に少数ながら『TV版1st』『ミラーズ・リポート』が新規機体と共に収録、収録機体の穴を埋める形となった。
-
システムの改良
-
ミッション数の更なる増加に伴い、分岐ミッションや連続ミッションでは失敗しても途中からやり直し可能となった。
この場合ランクSクリアはほぼ不可能になるが、キャプチャーモードでのレア機体鹵獲が比較的楽になっている。
-
前作までは『1st』から年代順にプレイする必要があったが、収録作品の増加により本作では時代選択が可能となった。
こちらの成長の関係であまり実用的ではないが、『CCA』からプレイする事も可能であり、自由度が広がっている。
-
ステージとしては「宇宙鉱山」「平原」「空中」が追加。少なすぎると言われた前作の問題点にメスが入っている。
-
小ネタ
-
本作におけるプレイヤーの立ち位置は、「いちパイロットとして各作品の勢力に参加・同行する」というものである。
しかし使用パイロットを原作キャラクターにして特定ステージに挑むと、正確ではないもののある程度の原作再現が行われる。
-
例えば「ラスト・リゾート」でシローを使用すると、アプサラスにギニアスが乗り、更に味方増援としてアイナが出現する等、原作における「震える山」の再現となる。「強行突破作戦」でアムロを使用すると、敵を撃破する度に撃墜数をつぶやくという「コンスコン強襲」の再現となる。
その他、ハマーン様をプレイヤーキャラにした状態でマシュマーをパートナーにすると…等、細かな演出が面白い。
-
登場機体・登場キャラクター
-
前作までに登場したものはほぼそのまま続投する形で、機体は140機から200機、パイロットは44人から69人へと大幅に増加。
携帯ゲーム機としては勿論、それまでのガンダムゲーム全体で見てもとんでもないボリュームである。
-
収録作品は公式的には『1st』『0083』『Z』『ZZ』『CCA』とされているが、正確にはこれ以外に『センチネル』『閃光のハサウェイ』『F91』『MSV』『MSX』『CCA-MSV』『0080』『08小隊』『ギレンの野望』『BLUE DESTINY』『コロニーの落ちた地で…』『ジオニックフロント』『宇宙、閃光の果てに…』『グリーンダイバーズ』等から大量に収録されており、非常に「濃い」。
-
フルアーマーZZガンダムやEx-Sガンダム、Hi-νガンダム等の比較的有名な機体から、ZプラスC1/2型やνガンダム(ダブルフィンファンネル装備型)等のマニアックなものまで網羅。勿論MSに限らずMAまでプレイアブルとして登場している。6機の高機動型ザクが使用できるダムゲーなんて後にも先にも本作(及びその派生作品)ぐらいのものだろう。タイガーバウム仕様のアッグガイなんかは「マニアック過ぎてついて行けない」とまで言われたほど。
-
追加機体に目が行きがちだが、前作までの続投機体にもきっちりメスが入っている。強すぎるものは弱く、弱過ぎるものは強くと性能調整が施され、格闘モーションにも改善・改良が施されている。前作ではイマイチ役に立たなかったミサイルも改善され、実用に耐えうる性能となった。
-
オペレーターは前作の5人から連邦側に1人、ジオン側に1人追加され計7人となった。
具体的には、連邦・ジオン共に3人を選択でき、『クライマックスU.C.』の「エレン・ロシュフィル」のみどの勢力でも選べる形となる。
ちなみに連邦側は『宇宙、閃光の果てに…』に登場した「ミユ・タキザワ」、ジオン側は『第08小隊』に登場した「ケルゲレン子」である。
開発スタッフ様、ばんざぁぁぁぁぁぁい!
-
新システムの実装
-
パイロットには常時発動する「パッシブスキル」とHP低下で発動する「アディショナルスキル」が用意された。
-
射撃or格闘ダメージが2倍になる「スナイパー/猛打」や、窮地に陥るとSPAゲージが全回復する「激情」、弾数が1.5倍になるがリロード時間も1.5倍になる「ジャンク屋」等、多種多様なスキルが存在している。
-
プレイヤーが使用するオリジナルパイロットの場合、名前・オールドタイプ(以下OT)/ニュータイプ(以下NT)・オペレーターによって所持スキルが変更される。
-
僚機にはセレクトボタン+十字キーで「格闘/射撃/防御/SP」の行動指示ができるようになった。
-
特に僚機SPアタックを任意に発動させられるようになったのは大きく、これが状況を左右する事にもなりうる。
-
ゲームバランス
-
難易度は全体的に大味であり、極端に尖ったMSでなければ簡単に雑魚を撃墜でき、例外はあれどエースもSPアタック1発で大抵沈む。
慣れればこちらが雑魚にやられるような事は殆どなく、やられる時もエースのSPアタックが直撃した時くらいで、かなり簡単な部類である。
-
しかし、本作の最大の評価点は「恐ろしく豊富な機体数」であり、それをバンバン使ってガンガン強化する事がコンセプトである。
つまりこの大味なゲームバランスは、豊富な機体を使いまくる本作には好都合なのである。その意味では絶妙なバランス調整と言えよう。
元々低難易度である上に、気軽に遊べる携帯機という事もあり、軽快にサクサクプレイする事ができる。ガンプラ作成の息抜きに最適。
-
機体は勿論、各種モードも大量に用意されているため、サクサク遊べるからと言ってボリュームがない訳ではない。
全ミッション評価SS達成や全機体をフルチューンする等、やり込もうとすればガッチガチにやり込む事も可能である。
-
前作ではSPアタックで敵を撃破した際、SPAゲージが増加していたが、本作ではSPアタックで倒した場合に限り増加しなくなっている。
これにより「SPAゲージが溜まり次第、SPアタック連発で殲滅」という戦法ができなくなり、簡単すぎないよう配慮はされている。
-
殆どの勢力で序盤、初期機体でもSランクを狙えるようなミッションが用意されているのも大きい。新規入手機体を試乗したり、チューンポイント稼ぎも可能。
-
エフェクト・グラフィック・モーション関連の作り込みの高さ
-
流石に地面や戦艦・飛行機は近寄るとそれなりに粗があるが、MSやMAのグラフィックはPSPながらすこぶる良好。
ガンダム史で観ても線が多い部類のSガンダム系からシンプルなジオン水泳部まで、ボリュームやPSPの性能を考慮しても相当な完成度。
細部にも拘っており、一例として高機動型ザク特有のスパイクアーマーのモールドや、ザクマインレイヤーの胸部・腕部の赤いマーキングが正確に再現されている。高機動型ザクが6機使える事といい、制作スタッフには重度のMSVファンがいる模様である。
-
格闘モーションは機体数の関係で流用がやや多いが、概ね機体のイメージで沿った形できっちりと作られている。
νガンダムの格闘やシャア専用ズゴックのジム殺し等は原作に忠実であり、特にグラブロの膝掴みなんかは本当に芸が細かい。
一方でホビーハイザックの格闘が鉄山靠だったり、ザクレロのSPAが無双乱舞ばりの滅多斬りだったりとネタにも走っている。
-
サウンド面も凝っており、原作BGMが多数使用されている他、従来のダムゲーのBGMやそのアレンジも積極的に使われている。
世代別のビームライフルの銃声、ZZのハイメガキャノンやガンタンクの120ミリ低反動キャノン砲等、効果音も可能な限り再現している。
-
攻撃エフェクトもちゃんと作りこまれており、例えばズサのような「ミサイルを乱射できる機体」で出撃すれば多数のミサイルが尾を引いて飛んでいく、所謂「板野サーカス」を堪能できる。
-
ちなみに一度でもキャンペーンで使えるようになれば、ギャラリー(MS図鑑)からいつでも鑑賞可能。しかし…(後述)
問題点
-
機体が豊富だからこそ気になる「収録機体の穴」
-
映像作品に登場した機体の内、「ジム・スナイパー」「量産型ガンタンク」「ザク・マリナー」が収録されていない。
この3機さえ収録されていれば、『1st』から『CCA』までに登場した全機体が完全に網羅されていただけに惜しいところである。
-
また、微妙なところでガンダム試作3号機のコアユニット「ガンダム・ステイメン」も、独立機体としては収録されていない。
合体・分離機能の再現がシステム的に難しかったのかもしれないが、様々な機体を細かく収録しているだけに本当に惜しい。
-
更に影が薄くなる格闘
-
シリーズ自体…というか原作の世界観からしてそうなのだが、格闘が今ひとつ使いにくい。
システムからして、格闘を行う際に踏み込み(相手に接近する)が無く、その場で近接武器を振るので自分で密接しないとまず当たらない。
空中格闘は誘導があるものの、空中では一回しか格闘攻撃を行えず、外した場合は一度着地する必要があるため空中戦もできない。
-
ガンガン使ってガンガン強化する本シリーズでは、効率の良いクリアには射撃の多用を余儀なくされるため、結果として格闘を使わなくなる。
-
従来はガード不能だった格闘系SPAがガード可能になったという点も、格闘向きMSの使い勝手を下げている。
-
一応チャージブーストから格闘系SPAに繋げるコンボを使えば、エース機体さえガードが間に合わず登場と同時に蒸発する。チャージブースト一回で懐に入れる距離に出現してくれれば、だが。
-
更に目立つようになったフィールドの狭さ
-
機体の増加やルード分岐ミッションの追加により、より一層フィールドの狭さが目立つようになった。
-
「EXAM」や「ALICE」など、SPAが機動力を大幅に上げるタイプの機体を使用した際に、一回のステップ動作でフィールド端の壁にぶつかる等、機動力が高くなった際に逆に移動に支障が出る様になってしまっている。
-
敵がエース機の場合は、体力が低下するとSPAを発動してくる場合も多く、それを避けようとしたら壁にぶつかって全弾命中したり、下記の分岐に接触してしまったりと、高機動との相性が致命的に悪くなってしまっている。
-
ルート分岐ミッションでは戦闘中に一定範囲に入ると派生分岐し、ミッションが進行するのだが、フィールドが狭く、交戦中に分岐範囲が出現することがあり、敵の攻撃をステップで回避したら分岐に入ってしまう等が多い。
-
判定される範囲の広さもマップの1/5ぐらいとなっているが、上記の通り高機動の機体は1回のステップで隅から隅へ行けてしまう為、意図せず入ってしまいやすい。
-
相変わらず練り込みの足りないコンテナ輸送ミッション
-
ミッションの中にはフィールドに散らばったコンテナを指定箇所に集めるものがあるが、これが非常にめんどくさい。
-
コンテナはロックオンできるが回収地点はできないため、ロックオン前提の本作の操作性ではかなり厳しいものがある。
平地だとコンテナと回収地点を直線的に行き来すればいいので比較的楽だが、起伏の激しい地形だともどかしい思いをさせられる。
また、旋回性能の低いホバータイプは、目の前のコンテナを絶妙に避けて旋回してしまい、上手く拾えない事がしばしば発生する。
-
相変わらずのNT優遇
-
これも原作からしてそうなのだが、オリジナルパイロットをパートナー共々OTにすると、「君は、刻の涙をみる」羽目になる。
-
OTは初期能力が高くEXAM搭載機を使用できるが、成長率の関係からゲーム中盤辺りでどうしてもNTに逆転されてしまう。
EXAM搭載機は『1st』にしか無く、『Z』以降は強力な機体の大半がNT専用機であり、これを使えないのは戦力的にかなり痛い。
-
特に映画作品である『CCA』のミッションは、元より登場機体が少ないため、OTだと3~4機にしか乗れない事になる。
一応リ・ガズィやギラ・ドーガでも十分クリアはできるが、主役機のνガンダムや
ヤクト・ドーガ
サザビーが使えないのは悲しい。
-
ただしセーブデータは12個まで作れる上、稼いだポイントも全データで共有されるので、困った時のやり直しは容易に行える。
また、「特定ミッションを一定評価以上でクリア」すれば原作パイロットを使用できるため、そちらに頼るという手段もある。
-
相変わらずステージの使い回しが多い
-
追加ステージもあるため前作よりかは改善されているが、異なる年代・勢力で一つのステージが何度も出るのは違和感がある。
-
「MSチューン限界解除」のめんどくささ
-
MSチューン限界解除は「全勢力+全ビックターゲット+全ハイパーボスをS以上でクリア」が解禁条件になっている。
しかし本作は機体とミッションが大幅に増加したため、これの解禁にかなりの手間が掛かるようになってしまった。
各勢力クリアで非常に強力な機体が使用可能になるため、Sランククリア自体は難しくないのだが、すこぶる時間が掛かる。
-
パイロットの「パッシブスキル」と「アディショナルスキル」のランダム生成
-
各スキルは任意で選べず、名前・オペレーター・NTか否かで算出・決定されるため、狙ったスキルの取得が難しい。
他はまだしも名前が特にネックで、「好きな名前に付けたいスキルで理想のパイロット」等はまずできない仕様である。
-
パイロット選択で自分が作成したパートナーのパイロットが選べない
-
本作の成長システムは戦闘中の行動に紐づいてスキルが上がる仕様なので、プレイヤーの成長度合いに対して相方が育ちにくい。
それに加えて「パートナーは操作キャラクターにできない」という仕様があり、意図的な育成が難しい状態となっている。
-
また、パートナーは十分な戦力になるものの、被弾時と指示を受けた時しか喋らない。下手に目立つよりはいいかもしれないが…
-
僚機に出せる指示が4種類しかないため、戦力にはなるが戦略には組み込みにくい
-
僚機への指示は行動方針程度で、「護衛対象の近くで迎撃」「特定の敵機を優先して攻撃」等の細かい指示までは出せない。
ただし、「僚機に近い敵」「プレイヤーがロックしている敵」を優先的に攻撃するので、少なくとも後者についてはさほど困らない。
-
問題はコンテナ回収ミッション。コンテナに対して完全に無関心なので、回収を任せる・手分けして回収等のプレイは不可能。
こちらも、コンテナを拾った直後に敵機にロックオンを移す事で、プレイヤー機がコンテナ回収を、僚機が敵機掃討を担当する形になるため、少なくとも単機で挑むよりは楽になる。要は仕様を理解すればある程度はフォロー可能という事である。
-
対戦モードの作り込みの甘さ
-
前作同様対戦モードが存在するが、タイム制とサバイバルの両方に置いてCPUが一番スコアの高いプレイヤーをリンチするという仕様になっている。
-
意図的に作られた仕様であるとは思われるが、これなら二軍対戦で戦力ゲージにしてしまった方が良かったのではないかという声もある。
-
またCPUのみの観戦モードが存在せず、サバイバルで自機が落ちた後もCPUへの視点切り替えができないといった部分で痒い所に手が届かない。
-
コレクションモードのMS鑑賞が痒い所に手が届かない
-
本作は戦艦や航空機等も含め、収録されている全ての機体を「ギャラリー」で鑑賞でき、それ自体は素直な評価点である。
しかし全機例外なく前進モーションしか用意されておらず、変形・素立ち・防御・各攻撃等のモーションは一切見られない。
武装は勿論、足の裏のモールドまで再現するほどモデリングに拘っている本作なだけに、この点は本当に、本当に惜しいと言える。
-
ただし、静止状態の敵機
に一方的に殴られる痛さと怖さを教えてやる相手に機体の試し乗りができる「演習」ミッションはある。
そこに行けば各モーションや、数値では分からない実性能を確認でき、時間制限もないためモデリングも鑑賞できる。やや面倒ではあるが。
総評
軽快なプレイ感に圧倒的なボリューム、細かい粗もあるが、それを含めても余りある魅力を持っている。
特にガノタにとっては(実質「逆シャア」までとはいえ)その宇宙世紀規模のボリュームから血の涙を流して喜ぶ内容であろう。
余談
-
前作からゲーム自体はほぼそのままボリュームアップした本作だが、次作である『ガンダムアサルトサヴァイブ』では、宇宙世紀作品以外も取り入れ、システム周りなども別路線にシフトしてしまった。
また、登場MSが大幅に増えたものの、逆に本作で登場した宇宙世紀機体やキャラが大幅に削除されてしまったため、この路線の続きを期待したファンにとっては残念な作品となってしまった。
-
ファミ通でのインタビューにて、編集者からの最初の質問は「ガンダムバトル『ユニバース』ということですが、∀ガンダムのハリー・オードは登場しますか?」という濃い質問だった。(現実には開発者の返答通り登場しない。)
最終更新:2024年03月11日 12:43