イナズマイレブンGO2 クロノ・ストーン ネップウ/ライメイ
【いなずまいれぶんごーつー くろの・すとーん ねっぷう/らいめい】
| ジャンル | サッカーRPG |  
 | ASINが有効ではありません。 | 
| 対応機種 | ニンテンドー3DS | 
| 発売・開発元 | レベルファイブ | 
| 発売日 | 2012年12月13日 | 
| 定価 | 各5,500円 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 過去や未来の時空を超えてサッカーを守る戦い 新要素『ミキシマックス』『化身アームド』が熱い
 シナリオと新キャラクターはGOシリーズで最高評価
 反面インフレに伴い、化身状態で戦う必要性が減った
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| イナズマイレブンシリーズリンク | 
 
概要
『イナズマイレブンシリーズ』の第5作目。
サッカーを消去するためにやってきた未来の敵と、主人公『松風天馬』と雷門イレブンの時空を超えたサッカーを守るための戦いが始まる。
前作からの変更点等
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ミキシマックス
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ストーリーで重要な役割を持つ新要素。選手と他の選手や動物、様々なオーラを融合して強い選手を作り上げるシステム。
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オーラとなる選手、動物のステータスと技、スキルの一部を引き継げる。
 
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ストーリー上では雷門のメンバー達が過去の偉人達や恐竜とミキシマックスをする。また、それらには専用のグラフィックも用意されている。
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スカウトできる選手たちも全員ミキシマックスすることができる。ミキシマックスをすると髪と肌の色がオーラとして用いられた選手の色に変化する。
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ミキシマックス中は通常より多くのGPを消費し、0になるとミキシマックスが解除される。
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ベストマッチと呼ばれる組み合わせも存在し、その組み合わせでミキシマックスをするとまったく違う選手に変化する。
 
 
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化身アームド
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ミキシマックスと共に今作の目玉とも言える要素の1つ。前作で登場した化身を選手が鎧として身にまとうことが出来る。
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選手のステータスの底上げやKP(化身ポイント)が0になることで消滅するなど基本は化身と同じだが、化身とは違い化身アームドしている間は徐々にKPが減っていく。
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化身の持つ専用技、専用スキルが使えなくなる代わりに化身アームドした状態では通常の必殺技、スキルを使用することができる。
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アームドしている間は何度でも必殺技を使用できるが、発動している間は徐々に、コマンドバトルを行う度に微量ではあるがKPが減少するのでアームドにばかり頼っていればいいというわけではない。
 
 
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シビレックス
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シュート技とキーパー技にシビレダメージというステータスが設定されていて、シュート技はその数値が高いほどキーパーをシビレさせることができる。
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キーパーがシュートを何度も受けるとシビレダメージが蓄積し、ダメージが一定を超えるとキーパーのボールがシビレてしまいボールを取りこぼしたり、コマンドバトルで極端に弱くなってしまうシステム。
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強いキーパーでもなんどもシュートを打つことで打ち崩すことができたり、必要以上にシュートを打たせないようにするといった駆け引きが生まれた。
 
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化身ダメージ
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ドリブル技とブロック技に追加されたステータス。
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化身を出していない選手が化身と戦うときにコマンドバトルの勝敗にかかわらず相手のKPを化身ダメージの分だけ削ることができる。
 
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監督システム。
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前作の監督システムでは選手のステータスに影響を与えるものだったが、今回は必殺タクティクスに影響を与えるものとなった。
 
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アドバンスゲージ
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前作で不評だったシナリオ中の試合におけるミッションを改良したシステム。
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プレイヤーの試合中の行動(パス、ドリブル、シュートをする、必殺技を使う等)でゲージが上昇し一定までたまると試合中シナリオが進行する。試合時間中にゲージをためることができなければゲームオーバーとなる。
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しかしながら強制失点などは相変わらず存在する。
 
評価点
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いつもよりアツく泣けるシナリオ。
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サッカーを守るためにタイムトラベルをして偉人達と心を通わせ、ミキシマックスをして未来の敵を倒すのが本作のおおまかなシナリオ。
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本作では『友情』をテーマにしており、偉人達の交流はもちろん、その時代の人々とサッカーを通してわかり合う、友情や信頼関係を築いていく姿は少し無理があると感じるが、苦悩しながらも必死にサッカーを守ろうとする天馬たちの姿に偉人達やその時代の人々が感化され力を貸したり、諦めないことの大切さに気づくなど燃える展開の連続。
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また終盤のどんでん返しやラスボスとの戦いもかなりアツいものになっている。
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タイムトラベルもののお約束でもある出会いと別れがいい塩梅で描かれており。また、終盤は泣かせる展開が何度もあり、ファンの間では日野社長が書いたとは思えないとの声も。
 
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魅力的なキャラクター
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イナズマイレブンでは欠かせない魅力的なキャラクターたちだが、本作の新キャラクターの中では物語の鍵を握る重要キャラ「フェイ・ルーン」と「菜花黄名子」、バージョンアップを繰り返す敵チーム「プロトコル・オメガ」の各キャプテン「アルファ」「ベータ」「ガンマ」、破天荒な言動で幾度も引っ掻き回す「ザナーク」、子供らしさと狂気を併せ持つラスボス「SARU(サル)」らが人気。
 
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ミキシマックスと化身アームド
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ミキシマックスと化身アームドは選手の能力を大幅に底上げすることができる。
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前作までは見た目で気に入ってもステータスが低いキャラクターは使いづらかった。しかし、今作ではミキシマックスと化身をきちんと考えればどんなキャラクターでも主力として使うことができるようになり、イナズマイレブンの特徴の1つである多数のキャラクター(本作では1500人以上)を集め、気に入ったキャラクターでチームを構成する楽しみが増えた。
 
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化身アームド中は必殺技をなんどでも使用できる。
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これによって必殺技のレベルアップが少し楽になった。
 
 
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選手数、必殺技数の増加
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選手は500人追加、必殺技は前作の倍以上に増えた。
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選手、必殺技の中には過去作の一部の選手、必殺技がリファインされ収録されており、ファンを喜ばせた。
 
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仲間にできる選手枠の増加
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前作では112人しか仲間に出来なかったが今作ではなんと条件を満たすことで336人まで仲間にすることが出来る。
 
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アドバンスゲージ
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前作のミッションはサークル、ラインまでボールを運べという指示が試合中に出され、それを達成するまでどちらのチームもシュートを決めることができなくなってしまい試合をやらされている感が強いシステムとなっていたが、今回はある程度自由に試合を進めることができ試合をやらされている感が解消された。
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シナリオ上仕方ない強制失点はあるものの、味方の選手が勝手に得点するのを見せられるということはなくなった。
 
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リプレイの改善
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前作ではゴールを決めた後に見ることの出来るリプレイが飛ばしづらかったが今作では改善された。
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リプレイ中にどんな動きを選手達がしていても強制的に飛ばすことができるようになり快適になった。
 
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イナリンク
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前作のイナッターと同様の要素。イナッターは過去の書き込みを遡るのが面倒という問題があったが、イナリンクはスレッド方式になり会話の展開がわかりやすくなった。
 
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音楽
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本作ではシナリオで中世フランスや戦国時代、幕末の日本など様々な時代、場所へと行くことになるのだが、どの時代、場所のフィールドマップ、試合中その時代、場所に合った音楽が流れ、まるで自分も天馬たちとタイムトラベルをしている気分にさせてくれる。
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T-pistonz+KMCによるOPとキャラクターたちが歌うEDも好評。
 
賛否両論点
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パラレルワールドイベント
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タイムトラベルの弊害によるパラレルワールドの発生を利用したイベント。普段見ることの出来ないキャラクター達の一面を垣間見ることができる。
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美意識がねじまがった世界で、三国太一がイケメンとして扱われており、彼を中心とした「雷門中イケメンコンテスト」が開催されるイベントや、適正婚姻法により重婚が可能になった世界で、円堂が秋・夏未・冬花の3人と結婚しており、「円堂守の奥さんセンター総選挙」が行われるイベントなど、パラレルワールドならではのイベントばかりだが、一部では悪ノリしすぎではとの声も。
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ただし、これらのイベントは選択肢によって貰えるアイテムが違うくらいしか本編への影響は無いため、気軽に好きな選択肢を選んだり、キャラクター達の寸劇を楽しむことができる。
 
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ミキシマックスという新要素
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未来の道具を用いて歴史の偉人等から力を受け取って強くなるという設定が、ドーピングにあたるのではという指摘がある。特に、過去作で散々ドーピングを否定してきた円堂がミキシマックスについて何も言わない点は、気になる人には気になるだろう。
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一応、ストーリー中では「力を受け取る側にも相応の器が必要」という描写によって手軽に強くなれる手段ではないということは強調されており、中には道具を使わずにミキシマックスができるようになったキャラもいる。
 
問題点
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一部キャラクターの説明不足な点。
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仲間になるにもかかわらずストーリーにほぼ関係のない新キャラクター「トーブ」。
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ストーリー上で仲間になる新キャラクターの「フェイ・ルーン」と「菜花黄名子」がストーリー上で重要な役目を果たすのに対して、彼はストーリー中盤の恐竜時代で雷門イレブンに加入するのだが、彼について語られるのは何故恐竜時代にいるのかくらいで恐竜時代のシナリオ以外に彼に関わる話は一切ない。
 
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彼はサッカー未経験だがストーリー終盤ではテンションが上がったという理由だけで化身アームドまで成功させてしまう。
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グラ・ファに召喚された子供たちについて
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クリア後にあるチームを倒すと見れるイベントだが、その子供たちの詳細など一切語られないので結局どのような経緯で召喚されたのか不明のまま。
 
 
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入手できない秘伝書がいつにも増して多い。
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キャラクターに好きな技を覚えさせて自由にカスタマイズできる要素である秘伝書。ポケモンでいえば技マシンにあたるアイテム。
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今作では上位の技の秘伝書がほとんど存在しない。
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例えばシュート技の最強クラスの技は風林火山無の5属性×3(威力、シビレダメージの数値違い)の15種類あるのだが、その中の10種類が入手できず最高威力のものに至っては5属性すべて入手できない。攻略本でも配信の予定もないとされている。
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スキルも1つしか手に入らないものが多く、後述のミキシマックスの項で触れる「ちょうわざ!」「こんしん!」はかなり重要なスキルだが、1つのデータで1つずつしか入手できないため、周回プレイをして集めるプレイヤーが現れたほど。
 
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上位の技でまともに入手できるのはキーパー技くらいとなっている。どういう基準かわからない。
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入手可能な秘伝書の一部についても、3DS本体の歩数計機能でしか獲得できない「ゲームコイン」を消費した上で、さらにランダム入手となる「ゲームコインガチャ」限定のものがあり、このソフト単体の問題点とは言い切れないものの入手が非常に困難である。
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一応ミキシマックスで引き継いで使わせることができるが技のレベルアップはオーラとなる選手で行っておかなければならなかったりと面倒。
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本気で対戦をするとなれば後述のように技よりスキルを引き継いだ方が圧倒的に良いためあまり旨みがない。
 
 
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相変わらず主張しすぎな新要素
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前作の化身同様、ミキシマックスと化身アームドが試合を支配する重要な要素となる。
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特にミキシマックスは選手とオーラとなる選手のスキルの効果が重複するという仕様のせいでパワーインフレがとんでもないことになっている。
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例えば「ちょうわざ!」「こんしん!」というスキルはリスクをともなうが技の威力を1.25倍する。選手に「ちょうわざ!」「こんしん!」、オーラに「ちょうわざ!」「こんしん!」を覚えさせてミキシマックスをすれば約2.4倍の威力を発揮することになる。
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ベストマッチは引き継げるステータスが多いのだが、ストーリー上のキャラにしか組み合わせが無い。また、恐竜などの育成が不可能なものとしかベストマッチの組み合わせがないキャラは人間キャラとベストマッチ可能なキャラより不利になる。
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今作ではシュートなどの威力が表示されるようになっており、きちんとスキルを揃え育成したプレイヤー同士の試合となると3000vs2800といったとんでもない数値のぶつかり合いが見られる。
 
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新要素の反動で化身のまま戦う事が減り、現状はその先方が主流となった。
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今作では化身アームドをした方が強いというのが大方の見解であり、アームドせずに発動する化身はKPの消費を抑えるため、コマンドバトル時にアームドすると化身スキルの効果がそのコマンドバトル時のみに適用されるためそれを活かすためくらいの役割になってしまった。
 
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またステータスのシーソーシステムとシビレックスの仕様を考慮した場合キーパーキャラを起用できない。
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シビレックスはテクニックの値が高いとダメージを緩和できる仕様なのだが、キャッチとテクニックがシーソーの関係にあるキーパーが一番キーパーに不向きになってしまう。
 
 
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一部ミキシマックスを除き、ベストマッチ形態が別選手のモデルの使い回しである点
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白竜とシュウ、天馬と剣城など、ミキシマックスすることで2人の平均をうまく取ったオリジナルの姿になる組み合わせもあるが、天馬と信助、神童と剣城など、主要キャラ同士のベストマッチにもかかわらず、モブキャラクター含む既存のキャラクターの2Pカラーのような姿になる(一例として、バーンとガゼルのミキシマックスは色違いの雨宮太陽の姿になる)。それに加え、大多数のモブキャラクターには工数削減のため天馬たちのような表情差分が作られておらず、メインキャラであれどそういったキャラのモデルを借りた姿になると彼ら同様に表情が消え、不気味になる。
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南沢篤志とシュウ、鬼道有人と千原サキヤなど、一切関わりがなかった2人がベストマッチになるという奇妙な例もある。確かに2組とも姿は見事に特徴の平均を取った選手の姿になるが、赤の他人なのにベストマッチとは一体…?
 
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バグが多い。
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大半はパッチ配信で修正されているが、配信前は特定の条件下での進行不可バグなども存在した。
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あるキャラの顔が歪むなどといったネタになるバグから、ストーリー上の試合で相手がスローインせずボールを持ったままどこかへ消えてしまいそのまま敗北という笑えないバグまで存在する。
 
 
総評
無印シリーズのような熱く、時には泣けるシナリオ。新システムのミキシマックス、化身アームドのおかげで好きなキャラでイレブンを作るということが従来に比べ自由度が増し、趣味と実益を兼ねた要素は良好でイナズマイレブンの集大成に本作を挙げる人は多い。
その反面、パワーインフレが激しく何度も周回をしてスキルや化身を集めるプレイヤーが現れ、本作での一般プレイヤーといわゆる廃人、ガチ勢と呼ばれるプレイヤーたちの溝はいつにも増して深い。
しかしそれらの不満点を補って余りあるほどにボリュームは豊富で完成度はかなり高い。GOシリーズでは最も評価の高い作品になっている。無印のような熱い展開をもう一度味わいたい人は是非とも購入をオススメする。
余談
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GO3部作は後年になって再評価が進んだが、本作はGO3部作で唯一発売当時から好意的な意見が多数を占めていた。
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発売前に放送したアニメからストーリーやキャラクターで大好評を得ることに成功した功績も大きい。
 
最終更新:2025年04月28日 16:04