ドンキーコング2001
【どんきーこんぐ にせんいち】
概要
スーパーファミコンで発売された『スーパードンキーコング』のゲームボーイカラー移植作品。
過去にGBで発売されたシリーズを元にしつつ、SFC版に合わせてハンドスラップなどのアクションなどが追加されている。
SFC版と異なる点
SFCとGBの性能差から来る違いは数え切れないほど存在するので、ここでは細部の違いは挙げず、追加・大きく変更された要素を中心に記述する。
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オートセーブの採用。
原作で問題点として上がっていたセーブの不自由さが大きく改善されている。
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オートセーブの採用に伴い、SFC版でセーブポイントの役割を担っていたキャンディーコングの役割が変更。ミニゲーム「キャンディーのチャレンジ」の担当になっている。
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キャンディーの小屋でプレイ出来るミニゲームは後の項で述べるボーナスゲームとは異なり、通常のアクションを使用するもので、従来のボーナスステージから流用された物が多い。
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原作におけるクランキーのヒントは序盤ステージの物しか用意されておらず、結局のところゲームを進めるにつれて役立たずになりがちだったのだが、今作では序盤以降のステージの情報も教えてくれる様になった。しかも、クランキーの情報で発せられる以降のステージ情報は序盤ステージを攻略している最中にも出て来る様になったので、ゲーム序盤の段階で中盤以降のステージの名称をフライングで知る事も出来る。
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ステージ2のマップのキャンディーの店とクランキーの家の位置が交換されている。
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スコークス以外のアニマルフレンドは『2』以降におけるアニマルバレルと同様の変身形式に変更された。
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ステージ2-1「ウィンキーのどうくつ」の構成が変更。
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SFC版オリジナルのコースが前半で、後半はオリジナル。コースがかなり長くなり。それに伴い、一部アイテムの配置が変更されている。
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全コースの中で、後述のシール追加による細かい変更はあっても、ここまで大きな変更がなされたステージはここだけである。
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移動及び回転問わずタル大砲の速度が全体的に低下した事で、1-5「タルたいほうのたに」や4-1「ふぶきのたに」のタル大砲地帯の難易度が下がった。
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空中DKバレルの仕様がコングが2人いる状態で触れても消滅しなくなる2以降と同様の物に変更され、やられた際の保険として扱いやすくなった。
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ステージ4-5「トーチライトトンネル」のスコークスが、コンテナを割ったら即画面全体が明るくなる「やみのスイッチトンネル」と同様の仕様に変更され、難易度の大幅低下と目に優しくなった。
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エリア6の「どくガストンネル」「やみのスイッチトンネル」の間に新コース「クレムリンのどうくつ3」が追加。
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後のGBA版にも移植されていない本作唯一の追加コース。難易度が非常に高いが、スタート直後に3UPできるボーナスステージが隠されている。
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「シール」という収集アイテムが新規に追加された。
「シール」は一部のコースに存在する緑色の10本バナナの近くにこっそり隠されており、ドンキーのハンドスラップで発見可能。
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これに伴い、コースのごく細部が変更されているステージが存在する他、原作では使い道が少なかったハンドスラップも脚光を浴びる事になりコース内の探索要素も強化されている。
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このシールは下記の「プリント」から閲覧可能で、ポケットプリンタで印刷することも可能。
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メインモードの「アドベンチャー」の他に「ボーナスゲーム」というモードがあり、ここから「ファンキーフィッシング」と「クランキーのミニゲーム」が遊べる。
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「ファンキーフィッシング」はエンガードに乗ったドンキーコングを操作し、釣り糸を垂らして魚を釣り上げるゲーム。タイマー制で、同色の魚を一度に複数釣り上げたり、タコのクロクトパスを釣り上げることによってタイマーが回復し、時間経過やゴミを釣り上げて船に入れてしまうとタイマーが減少する。スコアも記録され、同色の魚を連続して釣り上げることで発生する「KOMBO」などの特殊なシステムも存在する。
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「クランキーのミニゲーム」は、ドンキーの家からコンゴジャングルとは反対方向の島を辿り、キングクルールの船と戦うという内容。システム的には『ドンキーコング64』で多く収録されている的当てに近い。
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これらミニゲームは「ケーブルたいせん」で通信対戦も行える。
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「プリント」モードも存在。ゲーム中で獲得したシールをポケットプリンタで印刷できる。
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ドンキーキャラがアルファベットを抱えている「アルファベット」の他、指定の背景と共に英数字を印刷する「バナーメーカー」まである。
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1周するとオプションに「スターバレルOFF」(SFC版のコンティニューバレル)「DKバレルOFF」が追加される。
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これらオプションを適用すると再びゲームの最初から順番にクリアしていく事になる、いわゆる「2周目」以降に相当する上級者向けのやりこみモード的な立ち位置。
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また、これらモードではステージ内のシール配置も全て変更されるため、本作で完全コンプリートを目指すには、3つのモードを最後までクリアし、かつ全ワールドのキャンディーのチャレンジのクリアやシールをすべて集めなければならない。
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BGMは大半が『スーパードンキーコングGB』からの流用。流用されていない曲はSFC版から新規にアレンジされているものが多い。数こそ非常に少ないが、今作初出となる完全オリジナル楽曲も存在している。
評価点
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ゲームボーイカラーの性能を考えれば、移植度は上出来といえるレベル。コースもほぼ忠実に再現されており、ゲームボーイの限界に迫ったタイトルと言える。
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ボスも、ボスノーティが速くならないなどの問題はあるものの概ね忠実に再現されている。
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『スーパードンキーコングGB』に登場しなかったアニマルフレンドも、本作では全員が登場を果たしている。細かい変更・アイテム配置の調整こそあれど、SFC版の要素はほぼ全てが余すところなく移植されていると言ってもいいだろう。
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後のGBA版ではボスの行動パターンが大きく変更されているなどSFC版から変更された要素も多く、「オリジナルからの忠実さ」という観点ではむしろGBA版より優っているといえる点もある。
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ゲームボーイカラー専用となったためグラフィックレベルが大きく上昇し、GBシリーズ共通の課題であった画面が見づらいという問題もかなり改善されている。
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流石にSFC版には遠く及ばないが、マップ画面などの再現度もかなり高い。
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ゲームのボリュームの増加。
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シールの追加により探索要素が強化されたり、実質3周エンド化、新コースやキャンディーのチャレンジが追加された事によって、ゲーム本編のやり込みがいや密度も原作から大幅に向上している。
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原作では性能差の面で冷遇されていたドンキーはハンドスラップにシールを出現させられるという個性が追加された事で、「ステージ探索はドンキーで、ステージ攻略はディディーで」というようにキャラの棲み分けも今作で成されている。
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またシールは今作における目玉要素なので、これの入手に強く関わるドンキーは追加ミニゲームでの活躍も相まって移植によってようやく主人公らしい活躍を得られたと言える。
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「ファンキーフィッシング」は一見地味な内容だが、なかなかスコア稼ぎが熱いゲームであり、稼ぎだすとなかなかやめられない中毒性を持っている。
問題点
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BGMの流用は同じSFC版を元にした曲が多いので気にならないものが多いのだが、『GB』でステージ曲用としてアレンジされた「キングクルールの船」はラスボス戦としては若干緊張感に欠ける。
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また、クルール戦の途中で流れる偽EDのBGMはSFCとは異なり本物のED曲が流れる仕様になっているため、本作が初プレイの人は騙されやすくなっている。
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SEもGB版シリーズの流用が多く、妙にチープ。
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DKバレルの騒ぎ声やネッキーの鳴き声を再現しようと頑張っている節はあるが。
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アニマルフレンドに変身している間にセレクトボタンで自由に解除が可能だが、再度変身ができない。
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このため「ふたたびふぶきのたに」の第2ボーナスに入る難易度が上昇してしまった。
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ハードスペックの問題からか、敵が大量に映ると処理落ちしてしまう。序盤の「クレムリンのどうくつ」から処理落ちポイントが散見される。
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過去のGBシリーズからアニメーションの枚数をかなり減らしており、相当な無茶移植であることが窺える。
枚数が減ったとは言えGBのアクションゲームとしては水準を大きく上回る滑らかさであり、プレイに支障を来すほどではない。
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「オンボロ工場」は本作だと薄暗くなる程度に明度が落とされるだけで、非常に易化している。
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しかし、「やみのスイッチトンネル」は何も見えなくなるほど真っ暗になる。原作とは違い、薄ら足場や、敵、コングたちが見えることもない。更に、オン・オフバレルの「ON」の制限時間がかなりギリギリに設定されてしまっているため、RTAやTASもかくやというほどの動きを半強制的に求められる。
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結果的に原作の難関ステージ「ふぶきのたに」は前述のタル大砲の速度低下の件もあり、「やみのスイッチトンネル」は実質的に本作の最高難易度を誇るステージとなってしまった。
総評
ハード性能上、変更点や劣化点は避けられないため、オリジナル版をそっくりそのままとはいかないが、ハード性能の限界に迫ると言って差し支えないほどのクオリティを保っており、十分遊べる出来になっている。
しかし、3年後により完成度の高いGBA版が発売されたこともあり、今から本作をプレイする価値は薄くなってしまっているのが実情である。
余談
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本作は出来そのものは良質ではあるが、「移植作でありながらその旨がはっきり打ち出されなかった」点が問題視され、イメージダウンに繋がってしまった
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本作がSFC版『スーパードンキーコング』の移植であることを窺わせる要素は公式ホームページのスクリーンショットくらいであり、パッケージ等には一切記載されなかった。
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海外では、日本の2ヶ月前の2000年11月にSFC版の原題通りに『Donkey Kong Country』のタイトルで発売されていた。
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なぜ日本だけこのような販売戦略になったのかは不明だが、タイトルに関しては『スーパードンキーコングGB』のタイトルが既に使用されていたため、混同を避けるためと思われる。
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海外版ではゲーム起動時のレア社ロゴの後に言語選択画面が表示される様になっている。
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3DSのバーチャルコンソールではゲームボーイで発売されたドンキーシリーズの殆どが配信されているのだが、ゲームボーイ最終作である今作だけは配信されなかった。
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もっとも、同ハードではNew専用だが移植元のSFC版初代がバーチャルコンソールで配信されていたので、New3DSで初代SDKが遊べた。
最終更新:2025年04月10日 12:18