スター・ウォーズ バトルフロントII
【すたーうぉーず ばとるふろんとつー】
| ジャンル | FPS/TPS |  
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| 対応機種 | Windows 2000 プレイステーション2
 Xbox(海外のみ)
 プレイステーション・ポータブル(海外のみ)
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| 発売元 | LucasArts エレクトロニック・アーツ(日本語版)
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| 開発元 | Pandemic Studios Savage Entertainment(PSP版)
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| 発売日 | 2005年11月1日(北米) 2006年1月26日(日本)
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 新旧映画6部作を完全網羅 ジェダイも直接操作可能に
 登場兵科・武装も増大
 AIはまだまだ問題アリ
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| スター・ウォーズシリーズ | 
 
ストーリー
A Long Time Ago, in a Galaxy Far, Far Away...
遠い昔、遥か彼方の銀河系で…
 
銀河帝国の樹立から22年後。
「ヴェイダーズ・フィスト」と呼ばれ恐れられる帝国軍第501大隊のベテラン兵士は、かつて自らが経験した戦場での出来事を振り返っていた。
壮絶な初陣となった「ジオノーシスの戦い」、現地のウーキー達と共に分離主義勢力に挑んだ「キャッシークの戦い」、そして反逆者のジェダイを抹殺する「ナイトフォール作戦」…
彼の所属する第501大隊は幾多の戦場を渡り歩き、少なくない犠牲を出しながらも長年共和国および帝国の兵士としての役目を果たし続けていた。
そして…彼が経験した数多くの華々しき戦いの裏では、最高議長にして後の皇帝パルパティーンの思惑によるジェダイ殲滅計画の下準備も進んでいく。
幾多の戦いを潜り抜けた彼は共和国の終焉とジェダイの没落を通し、今や全世界を支配している銀河帝国の大義について考察するのだった。
概要
映画スター・ウォーズシリーズをベースに、『バトルフィールド』型のシステムで映画の激戦を再現した『スター・ウォーズ バトルフロント』の続編。
同2005年に劇場公開された新三部作最終章『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』の内容も収録されており、ついに念願の6部作完全網羅作品となった。
開発担当は前作から引き続きPandemic Studiosが担当しており、おおまかなシステムは共通ながら前作のさまざまな要素が拡張されている。
最大マルチプレイ人数はPC版が64人、Xbox版が32人、PS2版が24人構成。また、新たに「帝国の勃興」というタイトルのキャンペーンモードが登場し、本格的な一人プレイも可能となった。
後にEAから同名のシリーズ続編が発売されたため、Steamでは『Star Wars: Battle Front II(Classic 2005)』というタイトルで配信されている。
ゲームシステム
基本システム
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EP1の「ナブー侵略」から、EP6の「エンドアの戦い」まで、EP1~6までの映画に登場した主要な戦場24種類+αを戦い抜く多人数大戦FPS。
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プレイヤーは一人の兵士(またはドロイド)となり、銃や兵器を利用して敵軍兵士と戦闘を行っていく。
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基本的な操作は一般的なFPSと同様で、一部兵科のみバリアを張る、転がる、ジェットパックを使用するといった特殊な動作が可能。
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ベースとなった『バトルフィールド』同様、歩行兵器や武装車両、航空機といった各種兵器が自軍の影響下にある拠点に供給されるようになっており、敵味方問わず搭乗・鹵獲して活用することができる。
 
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増援システムや回復・補給システム、登場兵器(ややバリエーション増加)などは前作と共通。
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追加要素としてダッシュとローリングが登場し、移動と回避の手段として使えるようになっている。
 
ポイントシステム
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新たにポイントという概念が登場。
 敵を倒す・車両を破壊する・拠点を制圧するといった行為によりポイントが貯まるが、味方を誤射すると減点される。
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溜まったポイントはスペシャルクラスおよびヒーローの出撃に使えるほか、死なずに大量のポイントを稼ぐとアワードボーナスを獲得できる。
 
兵科・ヒーロー
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「ソルジャー」「ヘビーウェポン」「スナイパー」「エンジニア」の4つの基本クラスは前作同様にどの陣営でも共通。
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前作では「スペシャルユニット」に分類されていた兵科が2つのスペシャル/ユニーククラスになり、更に一部条件下で「ヒーロー」が選択可能。このため、総クラス数は合計7つとなった。
 
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スペシャルクラスは強力な反面、出撃には事前にほかの兵科でポイントを稼ぐ必要がある。また、戦場で出撃できる人数にも制限がある。
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ユニーククラスはスペシャルユニット同様各勢力によって固定されている。
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銀河共和国は連射が非常に速いガドリングを使用する「クローン・コマンダー」、独立星系連合は歩兵もロックオン可能なミサイルランチャーを使用する「マグナガード」、反乱同盟軍は一定期間自身の姿を隠せる「ポサン・スパイ」、帝国軍は弾速が速い弾を発射出来る「帝国軍将校」となっている。
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ヒーローは映画に登場した名有りキャラが務め、性能は非常に強力。その反面要求されるポイント数が多く、使用制限時間があり、各陣営毎に基本的に1人しか出撃できない。
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宇宙空間での艦隊戦ステージでは兵科がスターファイターの修理能力を持つ「パイロット」と、敵艦に突入して制圧する「マリーン」の2つの専用クラスに固定される。
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パイロットはドッグファイトに優れるが地上戦には向いておらず、マリーンは敵艦に乗り込んで破壊工作を行える代わりに宇宙船操縦には不向き。勝利には2つのクラス同士の協力が求められる。
 
アワード
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死なずに特定の課題を達成することで、「アワード」と呼ばれる各種特典が獲得可能。
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課題はクラス別に用意されており、「一定量のポイントを獲得しろ」「ヘッドショットを6回決めろ」「4台の車両に直撃させろ」「車両を強奪しろ」などさまざま。
 
    
    
        | + | アワードの内容 | 
エデュランス
 
12ポイント獲得すると達成。スタミナの回復が速くなる。
 ガーディアン
24ポイント獲得すると達成。被ダメージが15%減少する。
 ウォーヒーロー
36ポイント獲得すると達成。与えるダメージが15%増加する。
 フレンジー
「ブラスター・ライフル」で12人倒すと達成。3連射で威力が高い弾を発射するブラスターライフル「エリート・ライフル」が使用可能になる。
 マークスマン
「スナイパーライフル」で6回ヘッドショットすると達成。ズーム倍率が高く、高火力のビームを放つスナイパーライフル「ビームライフル」が使用可能になる。
 デモリション
ウィークポイントと呼ばれる車両の弱点に4回「ロケットランチャー」を直撃させると達成。スターファイターと同様の操作でコントロール可能なロケット弾「リモート・ロケット」が使用可能になる。
 レギュレーター
「ショットガン」で8人倒すと達成。射程距離が長くなり、威力が上がったショットガン「フレシェット・ショットガン」が使用可能になる。
 ガンスリンガー
「ブラスター・ピストル」で6人倒すと達成。弾薬が無制限では無くなるが、威力・連射速度が大きく上がったブラスターピストル「エリート・ピストル」が使用可能になる。
 テクニシャン
敵が搭乗している車両に「フュージョン・カッター」を使用すると「スライス」が溜まっていき、100%にして敵を強制的に車両から降車させると達成。自分が乗っている車両の耐久力が自動的に回復していく。
 
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マルチプレイでは一度死ぬとまた無効化されてしまうが、シングルプレイではアワードレベルという概念が用意されており、アワードを取得した回数に応じてレベルが上昇する。
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レベルが上昇すると獲得基準が引き下げられ、最大レベルに達するとアワード特典が試合開始時から常時適用されるようになる。
 
登場勢力
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参戦する勢力は前作同様に「銀河帝国軍」「反乱同盟軍」「銀河共和国軍」「独立星系連合」のおおむね4つ。
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前作のNPC要素はヒーロークラスとして実装されたが、一部ステージにおける第三勢力要素も健在。ジャワやイウォーク、ウーキーといった現地人が戦闘に参戦する。
 
キャンペーン
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「ギャラクティック・コンクエスト」と「インスタント・アクション」は続投しているが、「ヒストリカル・キャンペーン」は専用のシナリオを有するオリジナルストーリー「帝国の勃興」に置き換わった。
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新たにひとりの老クローン兵の回想というかたちのストーリーが付き、前作よりもシングルプレイの完成度が向上。独自の展開を挟みつつ、ジオノーシスからホスまでの主要な戦いを描く。
 
評価点
映画シリーズ完全収録
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本作最大のウリとなるポイント。北米では同年公開の映画『シスの復讐』のDVD発売と時期を合わせ、EP3の内容を追体験できるちょうどいい時期に発売された。
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『シスの復讐』由来の登場要素としては惑星ウータパウやムスタファー、フェルーシアなどが登場。艦隊戦ではプロヴィデンス級などが参戦し、映画で見覚えのある戦場を直接体験できる。
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クローン戦争後期に登場したARC-170やVウイング、BARCスピーダーといった固有メカも参戦。帝国と反乱同盟の戦力もややバリエーションが増加し、前作よりも戦略性が増加している。
 
ヒーロー要素の実装
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前作ではNPCが乱入してくるだけだったヒーロー要素が、直接操作が可能な方式に変更。
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華麗なジャンプで大群を飛びぬけたり、ライトセーバーをブンブン振り回して敵をバッタバッタと薙ぎ倒せるようになり、より映画になりきった気分で楽しめるようになった。
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とはいえ、もとが大規模戦であるためゲーム全体で見ればそこまで万能の存在ではない。人海戦術で無理やり倒したり強力な戦車の砲火を浴びせるなどの手段を用いて迎撃することも可能。
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ヒーロー同士の激闘を味わいたいというプレイヤー向けにヒーロー限定のモードも抜かりなく用意されており、お互いにライトセーバーを構えての熾烈な決闘を演じられる。
 
シングルプレイの強化
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前作では映画の追体験という内容でしかなかったキャンペーンが、新たに「1人の兵士の回想」という独自の内容に変更。
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基本的なルールはマルチプレイと共通だが、防衛目標や回収すべきオブジェクトの追加、制限時間内に倒すべき特殊な敵といった要素で独自性を出している。
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主人公が501大隊ということで、映画終盤で強烈な印象を残した「ジェダイ・テンプルの攻撃」も再現。映画ではジェダイたちが撃ち殺される絶望的な展開だったが、ゲームではクローンとして大量のジェダイを相手にすることになるためこっちはこっちで過酷な内容となる。
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映画5作品分(「ホスの戦い」で終わるので『ジェダイの帰還』の要素はない)の戦場を追体験するため、ボリュームもかなり多め。マルチプレイ無しでもそれなりに楽しめるようになった。
 
操作性改善
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ダッシュとローリングの追加により機動力が向上している。地味な更新点だが、広大なマップを駆け巡る必要のある本作にとっては重要なポイント。
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敵もローリングで弾を回避したりと挙動は侮れない。駆け引きという点でも有効に働いており、撃ち合いの戦略性が増している。
 
MODサポート
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公式でMOD対応・作成ツールのリリースがされており、ファンによる追加マップやキャラクターモデル、新規ストーリーなどを制作することが可能。
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後のシリーズでは(公式には)採用されなかった要素であり、その関係で現在でも本作向けMODが開発されたりもしている。
 
ラグ改善
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前作で頻発したラグや処理落ちもできる範囲で改善が図られている。
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起こる時は起こるが、総じてかなりマルチプレイが遊びやすくなった。
 
賛否両論点
史実とちょっと違う501大隊
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マルチプレイ用マップをできるだけ流用し、映画の流れを再現しながら作成されている関係で、シングルプレイの展開はやや無茶な部分がある。
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クローン戦争パートでは「他のジェダイが他のクローン部隊を連れて戦っていたはずの戦場になぜか第501大隊がいる」というシチュエーションが多く、全体を通してみると違和感が強い。
 コマンダー・バカーラがいるはずのマイギートーやコマンダー・グリーがいるはずのキャッシークをはじめ、映画で比較的目立っていたコマンダー・コーディがいるはずのウータパウでも全員が501大隊メンバーであり、他の名有りクローンは登場しない。
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また、これは発売時期的に仕方ないことではあるが、後の『クローン・ウォーズ(2008)』以降のレギュラーキャラであるキャプテン・レックスに相当するような人物も一切登場せず、クローントルーパー側の表現はかなり地味。
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本作発売当時は「元クローンがホスの戦いに参加するのは年齢的におかしい」という声も挙がった。ただし、前作および本作の帝国軍スペシャルユニット「ダーク・トルーパー」は老化対策でサイボーグ化された元クローンということになっているため、設定上はホスにいてもギリギリ成立しなくもない。
 
やたら難しいナイトフォール作戦
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キャンペーン中盤で発生するジェダイ聖堂襲撃ミッション「ナイトフォール作戦」はジェダイの猛攻もさることながら、情報抹消を図る残党からジェダイ・アーカイブを死守するミッションの難易度が(初見では)高い。
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移動にもたついていると書庫への到着時には既にアーカイブが破壊されていた…なんてこともザラであり、正攻法で突破するのはかなり難しめ。
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ただし解決法も用意されており…なぜかクローン・エンジニアはフュージョンカッターでジェダイ・アーカイブを修理できる。銀河一の賞金稼ぎの遺伝子は伊達ではなかった。
 
一部ステージのリストラ
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追加要素が豊富な反面前作からリストラされた要素もあり、そのうち人気ステージであった「クラウド・シティ」の撤廃には失望の声が上がった。
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一応その後Xbox liveのDLCで上記の惑星ベスピン「クラウド・シティ」の他にヤヴィン4「競技場」、惑星レン・ヴァー「灯台」、「山頂」の4つのマップが配信されたのだが、それ以外のハードでは適用されずじまい。結局PC版ではMOD対応が為されたため、一部ファンは自ら追加するという方法で解決した。
 
問題点
まだまだアホなAI
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前作から多少改善されたとはいえ、NPCの挙動はだいぶアホ寄り。マルチプレイではさほど気にならないが、シングルプレイでは顕著。
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相変わらず組織的集団行動が苦手であり、無謀な突撃を行ったり、あてもなく徘徊していたり、適当にグレネードを投げて味方共々吹き飛んだりといった間抜けな絵面に多く遭遇する。
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特に宇宙空間で行われる艦隊戦のスコアは酷いもので、プレイヤーが戦艦を沈めてミッションを追えるまでに2機落とせれば有能、ファイターですら1機も撃墜できないこともザラといった有様。
 
総評
操作性向上、兵科増加、ヒーロー登場、シングルプレイ強化、マップ増大…と、前作の基本は踏襲しつつ、多くの新要素を盛り込んだ言わば「完全版」。
特に映画6部作の完全網羅という点は前作では達成し得なかった要素であったため、ファンにとってかなり嬉しい内容となった。
各要素の大幅な改善は批評面で好評を博し、映画『シスの復讐』とのタイアップ効果も後押しして前作を凌ぐ大ヒットを記録。
MODサポートによる拡張性も高く評価され、今もなお数多くのファンから支持される一作となっている。
余談
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各機種ごとの違い
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家庭用機(PS2/Xbox)版では画面分割協力・対戦機能が追加されており、ギャラクティック・コンクエストモードを用いて2陣営に分かれて銀河を奪い合うなどの遊び方が出来る。
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また、Xbox版は有料DLCが2回に分けて配信され、ヒーローアサルト(ヒーロー限定対戦モード)用のマップ追加、リストラされていた過去作マップの再実装、キット・フィストーとアサージ・ヴェントレスのヒーロー追加が行われた。
 2010年4月15日にLiveサーバーが閉鎖されたため、現在はこれらのDLCは入手不可能。
 
 
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国内未発売のPSP版は概ねPC/PS2版を携帯機向けにダウングレードした内容となっているほか、『帝国の勃興』が未収録となっている。
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その代わりとして、各惑星で原住民を排除する「Imperial Enforcer」、帝国軍将校の抹殺を狙う「Rogue Assassin」、物資を拾い集めて拠点へと持ち帰る「Rebel Raider」の3つのシングルプレイモードが収録されている。
 
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マルチプレイサポート
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2012年にgamespyとの契約終了によりマルチプレイのサポートが終了したが、なんと閉鎖から8年後、発売から16年後の2020年5月1日にはSteam版のマルチプレイヤーサポート再開が発表された。
 
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その後の展開
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本作と前作『バトルフロント』のリマスター版のカップリングソフト『Star Wars Battlefront Classic Collection』が2024年3月14日に発売された。
 
最終更新:2025年04月23日 02:00