どこかで見た“あのゲー”ムたちを棒人間で作ってみたけれど、果たしてあなたはクリアできるのか?
【どこかでみたあのげーむたちをぼうにんげんでつくってみたけれど はたしてあなたはくりあできるのか】
ジャンル
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ミニゲーム集
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対応機種
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Nintendo Switch Windows (Steam) プレイステーション4 プレイステーション5
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発売元
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ディースリー・パブリッシャー
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開発元
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モンキークラフト
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発売日
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【Switch/Win】2023年7月20日 【PS4/PS5】2024年1月11日
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定価
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【Switch/Win】1,111円 【PS4/PS5】1,100円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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「あの」ミニゲームが本当に遊べる ステージ自体の作り込みは充分 やり込み要素はとって付けた感あり
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概要
D3パブリッシャーお得意のアイデア勝負なコンセプトとなろう系小説みたいな長いゲームタイトルで登場したミニゲーム集。
タイトルが二重引用符で括られている通り、『あのゲー』を公式略称としている。
情報社会を迎えた2020年代のインターネットにおいて、「ピンを抜いて問題を解決しようとするが失敗」「駐車場から車を出すつもりが適当にぶつかりまくって失敗」「あなたはクリアできる?」といった類の広告を目にしていない人はそういないだろう。
アプリゲームの動画広告やバナー広告で嫌というほど目にする「あの」ゲームである。おまけに実際のゲームには広告で載せた内容が実装されていない場合(つまり広告詐欺)も数多い。
本作はこういった「あの」ゲーム5種をきちんと製作・収録した買い切り型ゲームとしてリリースされた。
収録ミニゲーム
各ステージには☆なし~☆☆☆の3段階のクリアランクが設定されており、クリアまでに要した時間で判定される(「マネーあつめ」を除く)。
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ピンぬき(全100ステージ)
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最も多くの人が目にしてきたであろうあのゲーム。
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建物に刺さったピンを抜いて、障害物を壊したり敵を倒したりしてクリアを目指す。棒人間は丸腰のため敵に攻撃することはできず、宝に辿り着ける時以外は自力での移動もできない。 あくまでプレイヤーがピンを抜くことで場の状況を変化させ、棒人間を助けるゲームである。
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ルールには「たからをうばえ!」と「すべてたおせ!」の2種類がある。
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「たからをうばえ!」では棒人間を宝の位置まで移動させる。宝に辿り着けた時点でクリアとなり、敵を全て処理していなくてもよい。
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「すべてたおせ!」では、文字通り全ての敵を倒す。宝は無く、全ての敵を安全に処理した時点でクリアとなる。
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敵に接触する、槍・棘・爆弾・マグマに当たる、詰みになる(「たからをうばえ!」のみ)とその時点で失敗となる。
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すうじタワー(全50ステージ)
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ピンぬきの次によく見かけると思われるあのゲーム。
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一番左の塔に棒人間がいて、その右に数字やアイテムが入った塔が並んでいる。塔はいくつかの階で構成され、選択すると棒人間が突入して効果を受け、その階が消滅する。全階に突入すると次の塔に進むことができ、全ての塔の全ての階に突入できればクリア。
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塔は左から順に攻略する必要があるが、突入する階数の順番はどのようにしても良い。
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棒人間にはあらかじめ数字が割り当てられている。棒人間より小さい数字の敵がいる階に突入すると、敵を倒したうえでその敵の数字を棒人間の数字に足すことができる。棒人間より大きい数字の敵がいる階に入ると棒人間が倒されてしまい、失敗となる。
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敵の他に「ぴかぴかソード」「さびさびソード」「まっするドリンク」「どくビン」の4種類のアイテムが置かれていることがあり、これらも必ず取得しなければならない。それぞれ順に、棒人間の数字に対してアイテムに書かれた数字を足す、引く、掛ける、数字で割る効果を持つ。どくビンで割る場合、小数点以下は切り捨てとなる。
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クルマだし(全25ステージ)
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目隠ししているのかと言わんばかりのラフプレイの広告で視聴者をイラつかせるあのゲーム。
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大量の自動車が停まっている長方形の駐車場から、それを囲む道路に車を出していく。全ての車を出せばクリア。
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自動車のサイズは3種類。赤い車を基本に、車幅が赤と同じで車長が約1.5倍の青い車(トラック)、車長が赤と同じで車幅が約1.5倍の黄色い車(オープンカー)からなる。
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どの車も前後に直線移動させることができる。障害物や他の車にぶつかっても直接のペナルティはないが車の動きはそこで止まるので、動かす場合は再度指示を出す必要がある。
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道路に面した箇所の一部には「ヤンキーくん」がうろついていることがあり、車をぶつけるとブチ切れされて一発ミスになる。このゲームで唯一のミス要因。
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マネーあつめ(全25ステージ)
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プレイアブル広告でお馴染みのあのゲーム。
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一本道にお金と障害物が置かれており、棒人間がそこを自動で進んでいく。道中でボタンを押すと拾ったお金を使って階段を作ることができるので、適切なタイミングでボタンを押して障害物を避けつつゴールを目指す。ゴールさえできればそのステージはクリア。
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障害物には当たるとお金を失うものと、当たると即ミスになるものの2種類がある。後者はもちろんのこと、前者でも持ち金が0の状態でぶつかるとミスになる。
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他に、確率でお金を失うルートと100%お金が増えるルートに分かれた2段の「ゲート」が設置されていることがある。例えばWork(労働)とRobbery(強盗)のゲートでは、Workに入ると必ず持ち金が増えるが、Robberyに入ると65%の確率でお金を失ってしまう。もちろん100%のルートを選ぶのが安全だが、高い位置に設置されていて結果的に遠回りになるケースもあるため、どちらに進むかはプレイヤー次第となる。
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このゲームのみ、クリアランクはゴール時の持ち金の額で決定される。金額は画面右上に表示されている。
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持ち金には他に「poor」から「gorgeous」までの評定がありクリア後の演出が変わるが、クリアランクには直接関係ない。
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カラーわけ(全50ステージ)
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上4つのようなパンチ力は無いものの、やはり動画広告でよく見かけるあのゲーム。
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様々な色の薬が層になって入っている試験管が並んでいるので、薬を色ごとに移し替えて一つの試験管に一つの色だけが満杯に入っている状態にするとクリア。最大で8色、10本の試験管を扱うことになる。
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液体は試験管の一番上の色の部分を、同じ色が一番上に来ていてかつ十分な空きがある試験管または空の試験管にのみ、移し替えることができる。
例えば、黄色の液体が一番上にある試験管に緑の液体を移したり、4分の1の空きしかない試験管に2分の1の量の液体を移したりはできない。
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薬を移せない状態になってしまった場合はミスとなる。
ゲームモード
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ミニゲームであそぶ
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ミニゲームを1つずつ遊ぶ。クリアすると後述のガチャに使う「コイン」が手に入るほか、そのステージを初めてクリアした場合のみ「IQ」が1加算される。
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いずれのミニゲームも初期状態では最初の5ステージしか遊べず、IQが一定数に到達することで後半のステージが解放される。
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ランキングにチャレンジ
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「ミニゲームであそぶ」で、いずれかのゲームを全ステージクリアすると解放されるモード。
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それまでにクリアしたステージから特定の3~5面がピックアップされ、その合計スコア・タイムが記録される。ミニゲーム別の他に全ミニゲームごちゃ混ぜのチャレンジがあり、さらに難易度別に「かんたん」「ふつう」「むずかしい」の3種類がある。
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さいしんのランキング
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インターネット接続で、「ランキングにチャレンジ」での成績トップ3位までと、自己ベスト付近それぞれの世界ランクを見ることができる。
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ランキングは月ごとにリセットされる。
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ガチャ
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下記の「プレートカスタマイズ」で使える素材が手に入るガチャ。ミニゲームやミッションのクリアで手に入るコインで回す。
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プレートカスタマイズ
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ランキングでの名前表示に反映されるプレートの背景と称号を設定できる。
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称号は「元気な」「お金持ちの」などの前半部分と「ルーキー」「ヒーロー」などの後半部分で構成され、前半と後半から1つずつを組み合わせた名称を使用する。
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背景画像や称号はコインでガチャを引いて手に入れるほか、下記「ミッション」でも一部手に入る。
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ミッション
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達成するとコインやプレート用の背景画像・称号が貰えるお題。
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一度だけ達成できる「トータル」(全99個)と、日ごとにリセットされる「デイリー」(全4個)がある。
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オプション
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BGM・SE音量の変更とスタッフクレジットの閲覧ができる。
評価点
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ちゃんと遊べる
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よく知られたあのゲームたちをきちんと再現しているだけでなく、バランスの良い難易度変化があり、不自然のない範囲でオリジナリティも組み込むなどきちんと作り込まれている。
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後述するような各ミニゲーム単独の作品は複数存在しているが、これらを『あのゲー』としてまとめて収録するのは新しいアイデアといえる。
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「ピンぬき」では棒人間ではなく宝を動かしてスーパープレイを狙えるステージが複数あるなど、シンプルながら研究しがいがある設計なのも楽しい。
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スマホゲームらしい演出
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ステージの番号がずらっと並ぶ、最大評価が☆☆☆、ミッションやガチャがあるなど、スマートフォンのゲームアプリをイメージさせる演出がそれっぽい。
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もちろん本作に課金要素は存在しない。
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コミカルかつ分かりやすいデザイン
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あえてキャラクター性を廃したコミカルなデザインで、低予算ゲーム特有の気恥ずかしさが無い。
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説明文には平仮名を多用しており、低年齢層にも遊びやすい。説明はステージ一覧からも見返せる配慮もされている。
問題点
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ボリューム
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「全250ステージ」という触れ込みだが、1000円超のゲームとしてはやや物足りないうえ、先述した通り50ステージ×5ゲームではない。
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「ピンぬき」が100ステージあるのに対し、「クルマだし」と「マネーあつめ」はわずか25ステージしかなく、実に4倍もの差がある。オムニバスとはいえ、この2つはさすがにもう少しボリュームがあるべきだろう。
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家庭用機とは一概に比較できないが、スマホではこれらのミニゲームを収録したある程度まともなゲームであってももっと安価でステージ数が多いものが多数配信されている。
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例として、同じくピン抜きを本当にプレイできるようにしたスマホゲーム『Hero Rescue』は本作を上回る全450ステージを無料で遊ぶことができ、広告削除も400円(2023年現在)で行える。
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クリア評価が「マネーあつめ」以外時間制
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特に「クルマだし」は早解きよりも手数を減らすことを極めていくタイプのゲームであり、タイムアタックはコンセプトに合っていない感が強い。評価点で記述した通り、ステージがかなり作り込まれているだけになおさらである。
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考え抜いてクリアに辿り着いたとしても、時間ノルマをクリアできていなければ「さっき考えた攻略法でもう一度同じステージをクリアする」という不毛な周回プレイが必要になってしまう。
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「すうじタワー」については構成上クリアまでの手数は必ず一定になるため、時間制にするのは仕方がないのだが、上記の問題は依然として残る。
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多くの類似ゲームではクリアに要した手数が評価基準になっているが、本作ではそうなっていない。それどころかミッションにおいても、意図的に手数を増やすものはあっても減らすものは一切無い。
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下記の運要素があるとはいえ、ステージごとのハイスコアも記録されない。
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実力で対応できない運要素がある
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「マネーあつめ」において確率でプラスかマイナスかになるゲートを通過した場合、「全く同じ手順でクリアしたのに最終評価が違う」という理不尽な展開になってしまう。
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クリアタイムがオンラインランキングの対象となる「ランキングにチャレンジ」でも、選ばれるステージはプレイする度にランダムである(完全ランダムではなく、対象のステージはある程度決まっているが)。
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理論上最速でクリアしたとしても選ばれたステージによって成績が変わってきてしまうため、ランキングとしてはやや不条理さがある。
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一部ミッションの内容
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ステージ数がそれほど多いわけではないのに、「ミニゲームを○回クリアする」というミッションが複数存在する。最大は各ミニゲームを500回クリアするというもので、非常に作業的。
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上記の通り「ピンぬき」でも100ステージしかないため、400回近くものクリア作業を繰り返さないと達成できない。
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これだけ気の遠くなるような回数なのに、進捗状況が表示されないのも難点。
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タッチ操作の反応が悪い
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大元がスマホ向けのゲームのためコントローラーでの操作が煩雑なのは仕方ないにせよ、Switch版は頼みのタッチ操作の反応までよろしくない。
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特にスライド操作が苦手なようで、ピンぬきでピンを抜く動作やクルマだしで車を動かす操作が反応しないことが多い。
ストレスなくプレイしたい場合、この2つはカーソル指定だけタッチで行い方向操作はスティックで行うのが良いだろう。
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処理落ち
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3Dグラフィックを使用している「マネーあつめ」「クルマだし」では処理落ちがある。
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「クルマだし」では、既に駐車場から出て外周を走っている車と、駐車場から外周へ出ようとする車が交差すると通常は片方が一旦止まってもう片方を行かせる動作になるのだが、その動作にならず引っかかって両者が数秒間ほとんど動かなくなってしまうことがよく起こる。
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また、駐車場内を移動している車の動きが突然遅くなることもしばしば。
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このせいで普通に動いていれば当たらない車同士がぶつかってしまったり、タイミングがずれてヤンキーくんに当たってしまったりといった事故が多発する。車が交差しないようにある程度間を置いて動かせば防げなくはないものの、制限時間の厳しい前半ではそれも難しく、きわめてストレスフルである。
総評
詐欺ゲーや粗悪ゲー、動画広告がしつこいゲームが目立つ中で快適なプレイ環境を提供してくれる、救いのようなゲーム。そういった広告が流れやすいスマートデバイスでの展開が無いのが惜しまれるが、お手軽に遊べて熱中できる暇つぶしにぴったりな作品である。
ただ、お値段に比してボリュームが控えめなのは気になる点。やり込み要素にも難が目立ってしまっている。間違いなく画期的な作品ではあるが、現状で満足できるゲームがあるならばむやみに買い足すほどではないだろう。
余談
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2024年7月18日に、続編『どこかで見た“あのゲー”ムたちを棒人間で作ってみたけれど、果たしてあなたはクリアできるのか?2』(あのゲー2)が発売された。
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2024年12月19日にはコラボ作『ぷにるはかわいいスライムのゲームを“あのゲー”ムで作ってみたけれど、果たしてあなたはクリアできるのか?』が発売された。
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2025年4月24日には『どこかで見た“あのゲー”ムたちをもっと激しく作ってみたけれど、棒人間には限界があった件。』がSwitch/PS5/PS4/Win(Steam)で発売された。
最終更新:2025年04月25日 19:54