甲虫王者ムシキング ~グレイテストチャンピオンへの道2~

【こうちゅうおうじゃむしきんぐ ぐれいてすとちゃんぴおんへのみち2】

ジャンル 甲虫バトルRPG
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 セガ
開発元 インテンス
酒田エス・エー・エス
発売日 2006年7月27日
価格 5,040円
レーティング CERO:全年齢対象
判定 なし
ポイント 前作から正当進化
前作の短所はほぼそのまま受け継いでしまっている
甲虫王者ムシキングシリーズリンク


概要

  • GBA版の発売からほぼ1年後に発売された続編。DS移植版と異なり、完全な新規作となっている(以下、GBA版、DS版を総じて『前作』と称する)。
  • アーケード版の『2005セカンド』のシステムを受け継いだ作品。前作のムシに加え、新たに13種のムシが追加された。
    • アーケード版のバージョン更新に伴い、極々一部のムシは超必殺技や能力が変更されている。

主なルール

  • 簡単に言えば、お互いのムシを戦わせ、じゃんけんの勝ち負けで技を繰り出して先に相手のHPを0にした方が勝ちとなる、カードゲーム。やることはじゃんけん。
  • ムシを戦わせるには、「ムシカード」と「わざカード」を組み合わせる必要がある。
  • 先に相手を2体倒した方が勝ちとなる、勝ち抜き式のルールが採用されている。
    • ムシカード: ムシを戦わせるためのカード。(1種を除いて)実在するカブト・クワガタのデータが入っている。
      • 各ムシ100~200までの範囲で強さが区分されている。強いムシは基礎能力が高い代わりに、高度な技は使いこなせず、弱いムシは高度な技でも使いこなせるが、
        基礎能力は低い。
    • わざカード: ムシをパワーアップさせるためのカード。単純に能力を上げるものから、特別な条件下のみでプレイヤーを補助するものまである。

特徴

  • 基本的なシステムは前作を継承しているため、前作の項目を参照。以下新システム。
  • 主人公は「ハネダシティ」に在住する一人の小学生。
    今作では、ムシキングで世界征服を企む「ワルキング団」と、レアカード大好きな暗黒の博士「ブラック博士」が手を組み、
    ムシキング研究所の所長である「ネブ博士」を誘拐してしまう。
    • ネブ博士の親友であるさすらいのムシマスター「ジョニー」に弟子として(唐突に)認められた主人公が、彼と共にネブ博士を救出することが今作最大の目的である。
    • 始めはムシキングに興味すら無かった主人公だが、ジョニーや他のムシバトラーとの接触により、彼自身大きく成長していく。
    • もちろん、他のムシバトラーもネブ博士の救出に協力してくれる。
    • しかし時にはワルキング団に「センノー」(いわゆる洗脳、以下『洗脳』と記す)されてしまい、完全に敵対することも…。
  • タイトルに「グレイテストチャンピオンへの道」とあるが、シナリオがシナリオなだけに、今作ではグレイテストチャンピオンになることが目的ではない。

改善点

  • ハネダシティの他にも、4つの町外にあるエリアに行けるようになった。前作のハネダシティ東部西部にあったバトル施設は、1エリアに凝縮されている。
  • 日数制限システムが撤回されており、じっくりとプレイすることが可能になっている。
    • ただし、朝・昼・夜の時間帯システムは継続。夜には自宅にしか行けないのも同様。
      とはいってもイベント進行以外で時間が進むことはない為、プレイヤーに対する強い束縛にはならない。
    • ムシキングバトルをするために1枚必要となるバトルコインは、『じぶんの家』に帰れば10枚入手でき、30枚までストック可能。
      上記の通り、自宅に帰っても時間経過しないため、3回帰ればすぐに30枚貯まる。勿論30枚を超えない範囲なら無限に回収可能。
  • 細かいUIの改善
    • DSの2画面を活かし、(バトル時以外なら)いつでも下画面からタッチ1つでバトル用のデッキ編成や、入手済みのカード確認などができるようになった。
    • ムシキングカードは従来通り、ゲームコーナーでのムシキングバトルの他、イベント戦でもバトルコインを消費する代わりに1枚入手できる。
    • 余ったカードは自宅にて研究所に送ると、今作に登場するムシのフィギュアがもらえる。非常にリアルだが、フィギュアが常に回転しておりじっくりと見辛いのが残念。
    • セーブデータは3つまで保存できる。前作とは違い、データ消去可能。
    • 設定でテキストを漢字か平仮名表記を選択できるようになり、音声読み上げ機能も追加された。
    • 前作で集めていたムシキングカードを、各カードにつき1枚だけ引き継ぐことが可能。

評価点

  • 前作からグラフィックが大幅向上。GBA版はおろか、DS移植版よりもリアルになっている。
    • 流石に『スーパーコレクション』には及ばないが、あちらとは違い処理落ちは一切しない。
    • アーケード版の『2005ファースト』から導入された、わざカードによる攻撃強化値がHPにも加算されるシステムが本作にも採用されており、
      小型甲虫*1であってもカスタマイズ次第では、大型甲虫*2ともある程度は互角に戦えるようになった。
  • シナリオは悪役に立ち向かうという王道なものにはなったものの、主人公が成長する様子が強く描写されたものとなり、主人公に感情移入しやすくなった。
    • 目的の関係上、他のバトラーと共闘する機会が多くなったため、スポットの当たるキャラクターが増えた。シナリオ物のゲームでこれは嬉しい。
    • 特にアキラは「前作と同一人物か?」と思えるほど良識のある人間へと成長している。彼を見直したプレイヤーも多いだろう。
    • 逆に、前作では主人公の兄貴分だったタクマは…
+...
  • タクマの出番は最終盤、ワルキング団が主催する「優勝者の欲望をなんでも叶える」という大会の対戦相手として、洗脳された状態で敵対する。
    • その際に、本作が CEROZ指定 になりかねないような、とんでもない欲望を吐き出そうとする。もっとも、ネブ博士に遮られてしまうのだが。
    • 裏シナリオのイベントにも登場するのだが、プレイヤーの反感さえ買いかねない茶番イベントとなっており、とことん扱いが悪い。
  • 日数制限が無くなり、バトルコインが簡単に入手できるようになったおかげで自由度が大幅に増した。
  • この手の悪役が関わるシナリオ物のゲームにありがちな、「悪役に負けたらバッドエンド」というような鬱エンドは無く、誰にでも安心して遊べる。
    アーケード版、アニメ版のムシキングは鬱要素の塊なのに。

問題点

  • やはりテキストが長い。ムシキングバトルをしたくて購入した人にはマイナス。
  • ゲーム開始時のチュートリアルに時間がかかるのも前作と同様。
    • チュートリアルを断る選択肢があるのだが、断った場合話が進まなくなるためさほど意味がない。
  • カードはランダムに一枚ずつしか手に入らず、ダブりも容赦なく出る。全カードをコンプリートしようとすると時間がかかる。
    • 一応今作には救済策が2つある。1つはイベント戦でもカード入手ができるようになった点、もう1つはゲームコーナーでの「ノゾキングラス」の存在である。
    • 今作のゲームコーナーは、NPCの後ろに並んで順番待ちした後に、自分がプレイする番が周ってくるというもの。
      一見すればテンポが悪くなっただけの改悪にみえるが、ノゾキングラスを利用することによって前に並んでいたNPCの引いたカードが分かるようになる。
    • ゲームコーナーで入手できるカードの並びは固定されているため、カードの配列を見破ってしまえば簡単に金レアをも入手できる。*3見破られれば、の話だが。
  • 敵組織のワルキング団が弱い。
+...
  • 通常戦闘員のデッキは、例外なくわざカードが一切セットされていない、小型甲虫の「カブトムシ」と「メンガタカブト」で統一されている。
    言うまでもないが、尋常ではないくらい弱い。しかも何度も何度も戦うことになるので非常に鬱陶しい。
  • トップ3の3幹部も、例によってわざカードが一切セットされていない大型甲虫使うというデッキとなっている。
    ムシ自体の強さはともかく、戦略が甘いため悲しいほどに弱く、公式攻略本にさえ 「見かけ倒し」 「負けはしないだろう」 といったことが書かれている始末。
  • 洗脳されたムシバトラーは、洗脳前と洗脳後でのデッキも戦略もほとんど変わらない。
    おまけに洗脳前に1度戦う→洗脳されて再戦というパターンが多いため、短期間に2度も同じ相手と戦うことになる。
    • 特にモモタは弱い上に3回も洗脳されるため、「またお前か」となること請け合い。
  • 一応ワルキング団の名誉(?)のためにフォローすると、ブラックマスク(各エリアのリーダー)は、初見での対決になる上に手強い。
    • やはりというか、1人を除いて結局 2回戦うことになる のだが。
  • 前作登場人物のデッキは極一部を除き前作と同様のもので、戦略も同じ。そのためシナリオ最後の大会ネブカップは前作をプレイした経験があれば無制限大会という点もあり簡単に攻略できてしまう。
  • デッキ流用により大きな弊害を受けたのはブラック博士とアオイ。この2人はアクティオンやギラファに超必殺わざをセットしたデッキを使用していたのだが、この2匹は前作から超必殺わざが変更されているため 超必殺わざではないガンガンスマッシュやブルロックを使用する 残念なデッキとなってしまっている。
    • 一方で同じくギラファにブルロックを組み込んでいたタクマのデッキは超必殺わざのGネックブリーカーに差し替えられている。
  • シナリオクリア後の後日談として、前作にも登場した少女アオイとブラック博士のエピソードが登場する。
    • 内容自体は微笑ましいものなのだが、今作においては2人が仲良くしている理由やきっかけが一切描写されておらず、主人公が蚊帳の外な扱いを受けてしまっているのもあり前作未経験者には置いてけぼりにされがち。
    • 一応、アオイがワルキング団に加担したブラック博士の身を案じる場面はあるもののシナリオには一切関わらないため、見逃してしまうプレイヤーもいる。
  • 新たに追加された特殊技「すてみのいちげき」がゲームバランスを破壊しかねないほど強力。
    • 効果は自分のHPが5%減る代わりに相手のHP15%分ダメージを付け加えるというもので、*4発動条件も「カウント10のタイミングで出す手を決める」と簡単な部類であることも強力さに拍車をかけている。
    • 原作であるアーケード版ムシキング「2005セカンド」においても同様で、この時期の公式大会は「すてみのいちげき」が大流行し、カウント10でボタン即押し&鬼火力のゴリ押しによる、スピーディで緊張感のないバトルが多発していたほど。
      • 開発側もこれを重く見ており、次シーズン「2006ファースト」ではHP減少が7.5%、付加ダメージが10%と大幅に弱体化された。現状弱体化前の「すてみのいちげき」を扱える唯一の作品であり、そういった意味ではある意味希少と言えるのかもしれない。

総評

前作よりも自由度が上がって遊びやすくなり、バトルの迫力も増している。
同じ相手と何度も戦うことになるため、バトルに飽きが来かねない点はマイナスだろう。
シナリオの出来は良い。「グレイテストチャンピオン」の世界観が好きな方は、買って損はない一作。

余談

  • このシリーズの売り上げは、GBA版は約62万本、DS移植版は約19万本、そして今作は約13万本となっている。
    • 前作までと比較すると決して売り上げが高いとは言えないが、GBA版発売から半年後にDS移植版が、そのまた半年後に今作が発売と、
      短期間で本シリーズが乱立していたことを考えればむしろ大成功だったといえる。