LUNAR ETERNAL BLUE
【るな えたーなるぶるー】
| ジャンル | RPG |  
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| 対応機種 | メガCD | 
| 発売 | ゲームアーツ | 
| 開発元 | ゲームアーツ、スタジオアレックス | 
| 発売日 | 1994年12月22日 | 
| 定価 | 9,800円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 周辺機器 | バックアップRAMカートリッジ対応 | 
| 判定 | 良作 | 
| LUNARシリーズ | 
 
概要
「メガCD最後の超大作」と銘打たれて発売されたLUNARシリーズの2作目。
そのキャッチコピーにたがわずMDでも最高レベルのRPGとの呼び声高く、今でも熱心なファンが存在する。
特徴・評価点
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ビジュアルシーンを最大限駆使したイベント演出の高さ
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ビジュアルシーンの美麗さはMCDソフトの中でも最高級。無論その内容もそれにふさわしく高レベルであり、声優陣の演技も相まって完成度が非常に高い。
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声優陣も実力派ぞろいであり、その演技力の高さも特筆もの。
 
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ヒロインのルーシアのキャラクター造形の見事さ
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この時代のヒロインとしては珍しい感情変化に乏しいヒロインだが、シナリオの進行にしたがって少しずつ感情が芽生えてくる様子が事細かに描写されている。
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また、彼女は戦闘では終始プレイヤーから指示を出すことはできず、AIのみの行動であるのだが(その代わり彼女はMPが無制限)、戦闘行動でも彼女の感情の動きが分かるようになっているのが心憎い演出。
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物語序盤で彼女は力の大半を奪われ、その後回復はするものの最初はかなり消極的な行動(回復・補助は自分のみ、攻撃魔法もほとんど使わず逃亡率が高い)ばかりだが、物語が進むにつれて少しずつ積極的に行動するようになる。無機質な反応だったのが、味方の体力が減ったら回復魔法を使ったりするのは感動すら覚える。
 
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なお、このAIの行動=心の動きはシナリオとも密接に関係している。即ち、シナリオ状況とプレイヤー実感の一致を、演出だけでなく戦闘でも感じさせる訳。当然ながら感情移入しやすい。
 
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終始一貫した王道的なストーリー
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シナリオの骨子は王道のボーイ・ミーツ・ガールから世界を救う物語ではあるが、奇をてらわず真摯に描写しておりプレイヤーの感情移入度も高い。
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登場人物も非常に個性的でそれぞれのキャラも十分に立っており、各メンバーにしっかり見せ場も完備。声優陣の熱演も相まってストーリーを盛り上げてくれる。
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ボスもそれぞれのキャラクターが抱えるトラウマや葛藤を象徴しており、それに対することがエンディングへと繋がる辺りも凄い。
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また、町の住人たちの台詞も同じセリフしか言わないのではなく、ほぼすべての住人に2種類以上の台詞パターンがあり、またシナリオの進行によっても台詞が細かく変わるため、非常に臨場感が高い。
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エンディングを迎えた後にある追加シナリオの存在も大きい。追加シナリオをクリアした時の感動は特筆もの。
 
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前作に比べグレードアップした戦闘システム
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前作ではややシステム的に不親切な点が残っていた戦闘システムだが、今作で戦闘システムの骨子が完成した形。
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魔法体系が前作に比べ簡素化され、インタフェース的にわかりやすい構成になっている。魔法・技の説明が標準で確認できるようになったのも地味にうれしい。
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一部系列の魔法の習得に関しては「ミラン」と呼ばれるパーティ全体で共有する魔法経験値のようなものを各魔法系列に配分してレベルアップさせて威力を向上、一定レベルごとに新魔法の習得及び魔法のランクアップが行われるシステム。これにより得意魔法を優先的に強化したりMP節約のためにあえて低ランクのままにしたうえでゲームを進行させることが可能になっている。
 
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また前作ではほとんど直接攻撃のオート戦闘に近い「AI」コマンドも本作では状況に応じた判断をしてくれるようになる。
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なお、AIコマンドでの各キャラの行動パターンもそのキャラクターの性格に準じた行動をとるような設計がなされている。
 
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本作で新規に追加された「防御」コマンドは自分もしくは他のメンバーを指定することができ、自分に対して行った場合は敵から距離を取る形で移動をしつつ通常の防御、他のメンバーを指定した場合はそのメンバーを自己判断でサポートする動きをする。
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また、防御中の移動で敵に接近した場合は自己判断で攻撃を行う。
 
 
問題点
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エンディング後の追加シナリオについて、追加されたことがわかりにくい。
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エンディング後に自動的にタイトル画面に戻るのだが、そこでコンティニューを選択してセーブデータを確認して初めてその存在が確認できるため、意外と気づかなかったプレイヤーも多かった。
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また、追加シナリオ用を開始するためのデータはエンディング後に自動的にバックアップラムに保存されるが、その際にバックアップラムの領域が足りないと保存が行われずそのまま気付かないといったケースもあった。
 
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戦闘システム面で若干の詰めの甘さが残っている。
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「防御」コマンドが付加されたのはいいのだが、任意の場所に移動できるコマンドが存在せず、一部の敵ではそのあたりが足かせになることも。
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前述の防御中に敵を自動攻撃する仕様があるのは状況によっては逆に危機を招く事態もある。
 
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「ミラン」を利用した魔法習得システムは柔軟性は高いものの、ある中ボスにてこのシステムで習得する魔法を覚えていないと非常に厳しい戦闘があり、しかもその系列の魔法が性能的にやや見劣りするがために習得が後回しにされることも多く、ここで苦戦するケースもある。
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そのせいか後の移植リメイク版ではこのシステムが廃止されてしまった。
 
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スキルがどちらかというと技偏重の傾向が強く、直接攻撃系のメンバーはMP節約以外で魔法を使う意味がやや薄い。
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とはいえ上記の問題点に関してはあまり大きな問題点にはなっていない。後の移植版や前作リメイク版ではこの問題がかなり緩和されている。
 
総評
まさしくMCDユーザー必携のRPGといっても過言ではない作品。
細かいところまでこだわって作りこみを行っている姿勢は後の『グランディア』にも継承されている。
移植
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後にSS/PSにてリメイクされて『LUNAR2 ETERNAL BLUE』として移植されている。
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ただし、前作『LUNAR THE SILVER STAR』がSSに移植されるにあたり、リメイクされて『LUNAR SILVER STAR STORY』となっており、それをベースにして作られているため一部ストーリー構成が異なる。
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シナリオ面では変更によって評価されたイベントもある一方、MCD版で高い評価を得たイベントが削除されているケースもあり賛否両論。
 
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システム面では以下の点が変更されている。
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フィールドマップ上でのエンカウント廃止、ダンジョンでのエンカウントがシンボルエンカウントに変更。ダンジョンでのダッシュ移動が追加。
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防御コマンドによる戦闘画面での任意移動が可能。
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魔法システムの体系変更(ミランによる魔法習得システムの廃止・紋章システムの追加)。
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アイテム所持システムの変更。
 
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2015年9月16日にPS版がゲームアーカイブスに追加された。価格は617円(当時の税込価格)。
 
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2022年10月27日発売のメガドライブミニ2にてメガCD版が前作共々収録された。
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前述の通りメガCD版とそれ以降のリメイク版では前作共々相違点が多いものの、メガCD版はプラットフォーム的に遊ぶ機会が限られる上に現行ハードへのそのままの移植はこれまで行われていなかっただけに朗報である。
 
余談
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本作の主人公ヒイロの担当声優は本作発売後(1995年4月7日~)に放映された『新機動戦記ガンダムW』の主人公「ヒイロ・ユイ」を演じた緑川光氏。もっとも、名前の由来も性格面も完全に異なる。
 とはいえ、本作の知名度があまり高くなかったこともあり、話題に上ることは少なかった。
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本作でレミーナ・オーサを演じた林原めぐみ氏は後にスレイヤーズのリナ・インバースを演じることになり知名度が大幅に向上することになるが、
 本人曰くレミーナ・オーサを演じた経験がリナ・インバースの演じ方に多大な影響を与えているとのこと。
最終更新:2024年05月27日 06:45