天誅 参
【てんちゅう さん】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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DVD-ROM 1枚
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発売元
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フロム・ソフトウェア
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開発元
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K2
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発売日
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2003年4月24日
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定価
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6,800円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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セーブデータ
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128KB以上
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判定
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良作
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天誅シリーズ 天誅 (忍凱旋) / 忍百選 / 弐 / 参 (回帰ノ章) / 紅 (Portable) 忍大全 / 千乱 / 4 (PULS) / DARK SHADOW / Shadow Assault
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概要
2000年にPSで発売された『立体忍者活劇 天誅弐』から3年ぶりの続編。
物語の舞台は第1作『立体忍者活劇 天誅』から1年後となる郷田の国。力丸26歳、彩女22歳。
力丸編と彩女編の両方を最後までプレイすると、新たなキャラとして始末屋「藤岡鉄舟」が登場する。
シリーズ初の2Pプレイによる対戦・協力プレイ実装。
前作の版権騒動の影響で、『天誅』の生みの親でもあるアクワイアは今作では開発に関わっていない。
評価点
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ハードが前作までのPSからPS2へと移ったことにより、グラフィック表現全般が大幅に向上した。
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操作性も改善された。L3ボタンで自由に移動できる、2段ジャンプが容易など、アクションゲームが苦手でも比較的なじみやすい。
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力丸と彩女の繰り出す、見ごたえある忍殺シーン。始末屋である鉄舟もまた、忍者とは一味違う殺しの技を披露してくれる。
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忍殺で倒していくことで「九字の印ゲージ」が溜まっていく。力丸と彩女は、このゲージが全て溜まることで新たな奥義を習得できる。
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ちなみに、忍殺シーンはボタンでスキップすることもできる。そのため、演出の長さのせいで周りの敵に発見されたり、不安定な足場で発動してしまいモーション中に穴に落ちるといった過去作での欠点がだいぶ改善されている。
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対戦モードではボスだけでなく雑魚キャラも含んだ総勢18名を選択可能。ステージはタイプの異なる6種類が用意されている。
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協力プレイでは、本編とはまた異なる任務が用意されている。協力プレイ時にだけ見られる「合体忍殺」も。
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煙玉や手裏剣、変化の術といった忍者らしい道具・忍術を始めとして、敵の注意を上空に引きつける花火(打ち上げ式)や、装備すると体力が減っていくかわりに攻撃力がアップする武器など、バリエーション豊かな「忍具」が数多く用意されている。
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伝統忍具「痺れ団子」に誘われる敵など、シリアスなストーリーに不釣合いな笑える要素は今作も健在である。
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鉄舟編では痺れ団子の代わりに「春画」が登場する。男女問わずその目を引きつけ、拾わせる効果を持つが、動物にも拾われてしまうのはご愛嬌。
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1作目同様、変化の術を使用した状態でムービーが始まると、主人公が変身したままイベントが進む(時間制限はあるが)。
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敵忍者の格好で殿と再会したり、町娘が鉄舟の攻撃を華麗に回避したりと笑えるムービーにするのもあり。
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1作目同様作曲を手がける朝倉紀行氏によるBGMは好評。特に、主題歌『宿命~SADAME~』は美麗なOP映像と相まって人気が高い。
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ちなみに、序盤の任務で訪れる越後屋の屋敷では、初代天誅の商人屋敷をアレンジしたBGMが流れる。
賛否両論点
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隠しコマンドの存在。忍具を増やしたり一瞬で体力を全快できる。初心者の救済処置と解釈できるが、乱用すると明らかにバランスが崩壊する。
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タイトル画面で隠しコマンドを使うと、本編クリア後に用意されている「特別任務」をいきなりプレイすることが可能。
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対戦プレイの各種キャラは、本来ストーリーを攻略することで増えていくのだが、隠しコマンドで全員出すことが可能。
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ただし、上記の各種隠しコマンド自体は、過去作から存在するおなじみの隠し要素である。
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協力プレイの、鍾乳洞と天来城塞弐の理不尽な難易度。
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鍾乳洞は疑似的時間制限があるうえほとんどの敵を合体忍殺しなければならない。
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天来城塞弐は本編の各種ボスと2対2の5連戦。忍具を持ちこむこともできず、各勝負の後で少し体力が回復するのみで、攻略は極めて難しい。
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ただ、最初に戦うことになる那須は体力が半分になると命乞いで土下座をする様になり、いくつかの種類の忍具をランダムで出してくる。
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近づくと攻撃してくるがその後の隙がかなり大きいので、ギリギリ当たらない所まで近づき攻撃し終わった時、押し込むことで幾らでも忍具を強引に回収することが出来る。
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対戦プレイのキャラクターのバランス。ボスや雑魚の技がそのままの威力と性能で体力だけが調整されているため、後半のボスを選べば無類の強さになってしまう。
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一方で那須、上くの一、爪上忍は明らかに弱い(しかも那須はもともとボス)。しかし、序盤のボスと後半のボスで同等の強さだったらそれはそれでおかしいが…。
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機舞羅や巌陀といったボスキャラが使えない反面、力丸と彩女と同じ性能の犬が2匹いるなどキャラの選出も微妙な点がある。
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1つの任務のボリュームが多い代わりに一本道を突き進んでいくステージが多く、これまでの箱庭型のマップと比べると自由度が低くなっている。
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マップ自体は様々なギミックがあり攻略のし甲斐があるのだが、全体的にクリアに時間のかかるものが多い。忍術皆伝を目指すなど、繰り返しプレイする時には少し辛い点である。
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特に、墓場のステージはやたらとマップが長い上に、「体力が減り続ける」「敵を倒すことができない」など厄介な特性があるため、普通に進むだけでも難易度が高い。出現する敵の不気味さもあって、トラウマステージに挙げるプレイヤーも多い。
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主人公の1人、鉄舟の使用できる「始末技(力丸と彩女における「奥義」)」の種類は、他2人と比べて少なめである。とはいえ、使い勝手の良いものが用意されているので特別見劣りするわけではない。
問題点
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『壱』『弐』の世界観と物語を継承した『参』であるが、本作においては「実は○○は××だったのだ!」という後付けの設定が続出し、キャラ(特に鬼陰)の台詞などが妙に説明的なものとなっている。
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東忍流の象徴である名刀・十六夜や、力丸の右目の傷等、『天誅』シリーズでは重要な要素に対しても様々な後付け設定が加えられた。
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協力プレイや対戦モードを含めた隠密アクション部分の高評価に対し、過去作の基本設定にさまざまな変更を加えたシナリオは、旧作で培われた世界観を好んでいた熱心なファンには評判が悪い。
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批判の声については、開発会社が生みの親であるアクワイアからK2へと移った経緯があるため、設定変更に対するシリーズファンからの反発が大きかったことも考慮するべきである。
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序盤から厳しい難易度のステージ有り。力丸編の鍾乳洞、彩女編の墓場、鉄舟編の大仏殿が該当する。
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特に、力丸編は序盤から連戦や多人数戦など難易度の高いボス戦が多い。長い道のりを経てやっとボスまでたどり着いたものの、なすすべなく倒されて最初からやり直すという悲劇を経験したプレイヤーも多い。
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力丸・彩女編ともに最初に戦うボス田島も慣れないうちはかなりの強敵。隙の大きい技が多いものの、遠距離では銃撃、近距離では高威力の投げで攻めてくるため、苦戦を強いられやすい。
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難易度の高さの原因は、気軽に練習できるチュートリアルステージが存在しないことも大きい。
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動画付きでテクニックを学ぶことができるモードはあるものの、戦闘に関してはぶっつけ本番で学習するしかない。なまじ敵に見つからずに進めていると、初めての戦闘がボス戦ということもありえる。
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ストーリー中に力丸編と彩女編で1回ずつ選択肢が出るが、ほとんどゲームに影響しない。
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攻撃判定のクセの強さ。彩女と鉄舟は攻撃の位置が高く、犬のような背の低い敵にはなかなか当たらないので、場面によっては当てるための工夫が必要となる。
総評
発表当時は版権騒動のゴタゴタがあったり、生みの親でもあるアクワイアが開発に関わってないといった不安も囁かれた。
フタを開けてみると、主にストーリー面での不満・不評が出たりもしたものの、ステルスアクションゲームとしての『天誅』らしさは損なわれていなかった。
また、従来はソロプレイのみだった『天誅』に協力・対戦プレイを導入した点は大きい。
余談
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2004年には『天誅 参 ~回帰ノ章~』としてXbに移植され、2009年にはさらにそれをベースに『忍者活劇 天誅 参 Portable』としてPSPにリメイクされている。
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キャラや任務、忍具の追加、インターネット接続による対戦・協力プレイが実装された。
続編・派生作品
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『天誅 紅』(PS2 2004年7月22日発売)
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シリーズのスピンオフ。始末屋「凛」を中心とした物語で、外伝的なストーリーに彩女が関与している。力丸は未登場。
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2010年には『忍者活劇 天誅 紅 Portable』としてPSPに移植された。16:9のワイド画面に対応され、新コスチュームが追加されている。
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『天誅 忍大全』(PSP 2005年7月28日発売)
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シリーズのスピンオフ。力丸・彩女・凛・鉄舟・鬼陰の5人の外伝的な物語が描かれ、キャラによって時間軸は様々。システム的には『弐』に近く、BGMも『壱』から『参』のものを使用している。
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『天誅 DARK SHADOW』(DS 2006年4月6日発売)
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シリーズのスピンオフ。ストーリーは『弐』の続編。デフォルメされたキャラクターとコミカルな要素を含んだトラップ式アクションゲーム。
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『天誅 千乱』(360 2006年10月5日発売)
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シリーズのスピンオフ。衣装やステータスをカスタマイズしたオリジナルの忍者が主役の外伝。次世代機での作品とあってゲームプレイの自由度が高い。オンラインでは2~4人までの同時協力プレイが可能だがサーバーは日本隔離。
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『Shadow Assault ~TENCHU~』(360 2008年10月8日発売)
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『DARK SHADOW』の続編。キャラクターやデザインは『参』『紅』『千乱』の主人公やボス。これまでのシリーズとは異なり、武器を振ることができない。
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『天誅 4』(Wii 2008年10月23日発売 PSP 2009年2月12日発売)
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ナンバリング第4作。舞台は『参』の1年後で、開発は『弐』以来となるアクワイアが担当し、担当声優とキャラクターデザインが一新された。
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システムは鉤縄や箱庭要素が無くなったことや、敵に見つかった際に強制的に一人称視点でのチャンバラモードに移行するなど、前作までのシステムから大幅な変更がなされている。
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2010年には協力任務・新必殺技・連携必殺技・成長システムが追加された廉価版兼アッパー版『天誅 4 PLUS』がPSPで発売された(Wiiでは未発売)。
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なお、ストーリーは『4』『5』『6』の3部作構成を予定していたが、『4』以降『天誅』シリーズ作品は10年以上発売されておらず、現在はシリーズが途絶えている状態である。
最終更新:2024年04月27日 15:00