ランナバウト
【らんなばうと】
ジャンル
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ドライブアクション
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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やのまん
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開発元
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クライマックス
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発売日
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1997年5月23日
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定価
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5,800円(税別)
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廉価版
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PlayStation the Best:1998年5月28日/2,800円(税別)
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判定
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良作
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バカゲー
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ポイント
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暴走ドライブアクションの記念すべき第1作目 俺達は自由だ、このゲームの中だけでなら 破壊を楽しむも良し、ミッションの高速クリアを目指すも良し この頃から登場マシンはネタ要素だらけ ザ・サーフコースターズによる弾けたBGMも好評
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ランナバウトシリーズ 1 / 2 / スーパー / 3 ネオエイジ/ドライブ:インポッシブル
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概要
一部のゲーマーから支持を受け、堅実な評価を受けたランナバウトシリーズの記念すべきデビュー作。
プレイヤーは車(マシン)に搭乗し、指定されたミッションを時間内にこなすのが目的となる。
その間であれば、車さえ壊さなければ(耐久値がある)何をしても許されるというのが最大の特徴である。
ザ・サーフコースターズの開放感あるBGMに合わせ、町中を爆走する爽快感と、それに相反する背徳感の絶妙な味わいこそ、本作の醍醐味と言える。
プレイステーションというプラットフォームの中において、なんとか車のディティールを精密に描こうとするこだわりが見られるゲームでもある。
そのこだわりから、カーマニアにも極一部ではあるが賞賛を受けた。
アーケードなどで稼働しているスリルドライブと似ているが、本作の方が先行しているうえ、こちらはむしろゲーム内における事故を推奨している(咎める空気がない)点が異なる。
評価点
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とにかく自由。それに尽きる。
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前述のように、制限時間内ならミッションクリアを目指す以外にも、寄り道して町のあらゆるオブジェクトを壊しても、ゲーム上においては何ら問題がない。
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というよりこのゲーム、ステージ1のスタート時に目的の美術品を手に入れるために展示スペースに車で突っ込むシーンから始まる。プレイヤーはこの時点でゲーム内においてはどんな無茶をしても許されることをまず見せているのである。
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ちなみに制限時間を過ぎてもゲーム終了、ということにはならない。その状態でゴールに辿り着いてもクリアにはならないというだけで、マシンが使用不可にならない限り、どれだけ暴れまわってもプレイ続行可能。
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画面には被害総額が表示される。町の破壊可能オブジェクトにはそれぞれ金額が設定されており、これでいかに高い値を出すかを目的としてプレイする者も少なくはない。
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絶対に挽き飛ばすことは出来ないが、ポリゴンで簡潔に描写された人間が各所に配置されている。障害物でも何でもないのだが、車が接近すると悲鳴をあげながら逃げ惑う。
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ドSなプレイヤーの多くはこれに快感を覚え、オブジェクトの破砕音とともに町の人の悲鳴を聞くのが楽しくてたまらなくなる事例が続出した。
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ホテルなど一部屋内に入れる場面では、ガラスが割れる派手な音とともに人々の逃げ惑う声が交じるので、このゲームにおける最高の快感ポイントとする声もある。
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あるコースにはオービスが設置されており、一定以上のスピードを出しながら通過するとスピード違反車としてそのスピードが記録される。記録されてもゲーム上のデメリットは一切無く、スピード違反の記録がアンロック条件となっている車もある。
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一度クリアしたミッションはタイムトライアルモードが解放され、自分の記録に挑戦できる。このモードではミッションの時とは違って制限時間は一切無く、障害物に接触してもダメージを受けない。ただし、コースごとに課されたアイテムの回収はミッションの時同様に行わなければならない。
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ガス欠や水没でゲームオーバーになるのは変わらないので、注意が必要。
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それぞれの車はセッティングモードで自分が走りやすいように調整できる。ステアリング、サスペンション、グリップバランスなど調整可能な項目はいくつかある。
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調整が上手くいったかどうかを試すテストコースもある。
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車の種類も豊富でスポーツカーをはじめ、チューンナップされたラリーカー、パトカー、本作のプロデューサー内藤寛のお気に入りNSX、また往年の名車や清掃車やダンプカー、さらにはF1マシンもある。
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駆動タイプも設定されているため挙動(FF、FR、MR、4WD、RR、その他の計6種類)の違いで車を選ぶ事も出来る。
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車だけでなく、明らかにおかしいマシンを操作することが可能。小さいものは原チャリやミニ四駆、大きいものは大型旅客バス、果ては戦車など様々。
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車体が軽く設定されているマシンは、ガソリンスタンドなどに突っ込むと吹っ飛ぶ。特に上記のようなバイク系列やミニ四駆は垂直に打ち上げられて大ダメージを受けてしまう。勿論これすら楽しめてしまうのだが。
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大型旅客バスは、普通にプレイすると車体で前方が見えない。一人称視点があるからさほど問題はないが、車体が大きい分周囲を破壊しやすく、耐久値も高いなど実は暴走向き。
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戦車は他の機体にはない機能として、砲弾を発射出来る。実際の砲弾のように着弾までの早さも妙にリアルで、爽快感と同時に戦車の恐ろしさを垣間見ることが出来る。耐久力も見た目の通りずば抜けて高いので、よほどのことが無い限り耐久度がゼロになることはない。
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ミニ四駆は最高速度も耐久度も低く、ステージクリアには不向きの文字通りのおもちゃである。なのに走っている車にぶつかると車の方が壊れてしまうのはご愛敬。電池駆動のため、燃料補給が一瞬で終わる、という小ネタもある。
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車体の壊れ方が妙に凝っている。
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自分が操る車は、破損するとちゃんとぶつかった部分が壊れていく。
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耐久値が減ったからと言って順当に破損していくのではなく、ダメージを受けていない部分が変形することはない。
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前述の原チャリなど小型のマシンは流石にそこまで細かく描写されないが、それ以外なら基本衝突部位が破損する。
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BGMの出来が非常に高い。
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前述したようにBGMの評価が高い。ステージBGMからゲームクリア、ゲームオーバー時のBGMも全てサーフコースターズが担当。
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ちなみにEDテーマもある。高橋里華の唄うしんみりとしたバラードソング「Endless Brightness」。
問題点
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ステージが3つしか存在しない。
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プレイステーションというプラットフォームであるから、ということもあるのだが、豊富なマシンに対してステージ3つというのは寂しい。
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少ない分、それぞれのステージはかなり広大である。ルートもかなり多彩で、それらを発掘する楽しみはある。一回一回のミッションを達成出来るまでの時間はかなり長いが…。
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ただ、長い分気軽にちょっとだけプレイ…というスタイルにはまるで向かないのが欠点。
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一部の車の解放条件が難しい。
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大体が各マップで「4分以内にクリア」、「一定以上の損害額を出してクリア」、「損害額0でクリア」となっており、これらがそれぞれ相当に難しい。当然どの車でも出来るわけではなく、マシン選びも重要になってくる。
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特に「損害額0でクリア」は難しく、小さな障害物に当たっても損害額が算出されてしまうので厄介。よって車体が小さく、スピードが出しづらいバイクくらいでしか達成できない。
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一定以上の損害額は一見簡単に見えるが、ミッションの制限時間内に一定の損傷額を稼いでゴールしなくてはいけないため、損害額0よりはマシとはいえ大変である。
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これをクリアするためには高額のオブジェクトがどこにあるのかを覚え、効率的に破壊出来るルートを構築していかなくてはならず、下調べが必要になる。勿論その下調べで暴走プレイするのはお決まりであるが。
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一部のマシンを使うと、ミッションを確実にクリア出来ない。
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ミッションクリアノルマは、どれも比較的ギリギリめに設定されており、慣れていないと良いマシンで普通にプレイしていてもクリアが出来ないことがある。
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このゲームで特に弾けてるマシンの一つである戦車は、最高速が遅いためまず無理。完全に町を破壊して楽しむだけのマシンである。(しかし、一つのステージはギリギリクリア可能。)
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ミニ四駆は小回りが利くのだが、先述の通りクリアには向かない。耐久値も低いので誤って屋台に突っ込んだだけでも致命傷になりかねない。
総評
プレイステーションというプラットフォームでありながら、とにかくこだわりぬかれたグラフィックと、好きなだけ暴れてくださいと言わんばかりのシステム・BGMが一部で好評を呼んだ本作。
予想外に人気が出たためかシリーズ化し、地味ながら堅実に継続されている。
ただ次作のランナバウト2は、本作におけるステージやミッションの少なさを改善した反面、グラフィックの質が落ち、BGMもザ・サーフコースターズでなくなったことから、賛否が分かれる。
3以降はサーフコースターズのBGMが復活しているが、反面ステージやミッションの少なさの問題が再燃してしまっていることが多い。
余談
海外では「Felony 11-79」の名で販売されていた。
最終更新:2022年10月22日 23:39