鋼の錬金術師 翔べない天使
【はがねのれんきんじゅつし とべないてんし】
ジャンル
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3DアクションRPG
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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スクウェア・エニックス
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開発元
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ラクジン
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発売日
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2003年12月25日
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定価
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7,140円(税5%込)
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判定
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良作
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ポイント
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鋼の錬金術師ゲーム第1作 キャラゲーにしては本格的なゲーム内容 アニメ放映「前」の製作の故にキャラ性格は原作寄り 原作キャラはやや少なめ アホの子なアル
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鋼の錬金術師シリーズ
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概要
荒川弘氏原作のダークファンタジー漫画『鋼の錬金術師』を原作とした初のゲーム作品。
若き錬金術師、エルリック兄弟(エドワード(以下エド)とアルフォンス(アル))が、失ったものを取り戻すため、賢者の石を探し求めて旅をする。
本作は原作初期において、兄弟の故郷リゼンブールで機械鎧(オートメイル)の調整を行い、中央(セントラル)に向かう途中の話とされている。
ゲームジャンルはアクションRPG。原作のメイン要素である錬金術を活かしたアクションシステムが魅力で、周囲のオブジェクトを武器や兵器などに錬成して戦う。
錬成を攻撃に組み込んだコンボなども可能で、キャラゲーとしては珍しくアクションゲームとして割合完成された作品である。
相棒である弟のアルはAIが基本操作するが、プレイヤー(エド)によってある程度指示を行うことが可能。アルとの連携技なども存在する。
ストーリー
機械鎧の調整を終え、故郷リゼンブールから中央に向かう途中、エルリック兄弟とその護衛を担当していたアームストロング少佐は、トレインジャックに遭遇してしまう。
賊の鎮圧にあまり乗り気ではなかった兄のエドだったが、強盗の一人に「チビ」と罵られ激昂し、暴漢達を止めるために動き出すことにした。
あっさりと賊を撃退する彼等だったが、彼等を操る真の黒幕に一杯食わされ、列車を脱線させてしまう。
幸い大きな被害は出なかったが立ち往生してしまったエルリック兄弟は、少しでも早く中央に向かうため、アームストロング少佐の制止を振りきって近くの街ヒースガルドへと向かうが…。
特徴
ゲームシステム
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基本は普通の3Dアクションゲームだが、本作は原作同様に錬金術を駆使して自由度の高い戦闘が繰り広げられるのが特徴である。
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プレイヤーはエドを操作しつつ、アルに指示を下したりしながら戦う。アルフォンスは基本は勝手に戦闘を行うが、指示を下すことで特殊なアクションや連携技を使うことが出来る。
本作では武装した人間や錬金術師、合成獣(キメラ)と呼ばれる生物など多数の敵がエド達の行く手を阻む。
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RPGの要素も含まれており、経験値によるレベルアップシステムは特にその色が強い。
操作方法
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先述の通り、プレイヤーはエドを操作しながら物語を進めていく。
本作はキー設定を変更できるが、本記事における操作方法はデフォルト状態での設定とする。
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画面左下にエドのHPがゲージと数字で表示され、エドのHPが0になるとゲームオーバーとなり、タイトル画面に戻される。
アルもHPがあり、アルのHPが0になると気絶し、エドの錬金術による救護や一定時間の経過、エリアを移動することで復活することが可能。
ちなみに、エドやアルのHPが一定まで低下すると画面左下に表示されているエドやアルの表情も変化する。
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左スティックでエドを移動する。スティックの倒し方で移動速度が変わる。
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左スティックで移動しながらR2ボタンを押すことで指定した方向へ回避行動を行う。
正面方向の場合は前転、側面方向の場合は側転、後ろの場合はバック転になる。回避行動によって無敵時間や移動距離が若干だが異なる。
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×ボタンでジャンプが可能。
また、敵の攻撃やギミックによるダメージで吹き飛ばされた際、地面にダウンする直前で×ボタンを押すと受け身をとって素早く立て直すことが可能。
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右スティックでカメラ変更ができるほか、L1ボタンでカメラをエドの正面にリセットすることができる。
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L2ボタンで画面右下にあるマップの表示を切り替える。
マップに表示されている赤い矢印はエド、青い点はアルを表している。白い点は敵を表している。
他のエリアに移動することができるラインは黄色い鍵括弧のようなもので表している。ちなみにエド達が移動してきたラインには近くにINの文字が表示される。
赤い×で表示されているところは進行不能。黄色い☆で表示されているのはセーブポイントを表す。
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□ボタンで通常攻撃。連続でボタンを押すことで連続攻撃が可能。
連続攻撃のフィニッシュは□ボタンをタイミングよく入力すると威力の高いジャストアタックになる。
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連続攻撃の内容はエドが所持している武器によって異なる。
また、敵に連続で攻撃を与え続けるとコンボ数が表示され、コンボ数に応じてボーナス経験値が得られる。
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〇ボタンで錬金術を使い、壁を作りだす。壁は敵の攻撃を防ぐことができるが、強力な攻撃は防げないため注意。
また、作りだした壁は足場にできるほか、壁に向かって移動し続けると自動で上に乗ることができる。
ちなみに作りだした壁は時間経過で壊れるほか、壁は一定の枚数しか出せず、それより多く作りだすと古い壁は自動的に壊れてしまう。
最初は1枚しか壁を作れないが、エドのレベルが一定まで上がると壁を作れる枚数が増えるようになる。
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〇ボタンを長押しすると画面左下にある錬金ゲージが溜まり、ゲージが最大にまで溜まった時に〇ボタンを離すと突起を錬成して敵を攻撃することが可能。
槍や大剣といった錬成武器を装備すると突起錬成を組み合わせたコンボが出せるようになる。タイミングよくボタンを押せば突起錬成から連続攻撃にまた繋ぎなおすことができる。
突起錬成は壁錬成同様にエドのレベルが一定まで上がるとパワーアップし、威力や範囲が強化される。
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R1ボタンでアルに指示を出すことができる。アルとの距離によって指示できるコマンドは異なる。アルへの指示は以下の通り。
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アルが遠くにいる時は CALL と表示され、指示するとアルを呼ぶことができる。距離がかなり離れている場合はエドの近くへワープする。
アルが近くにいる時は TACKLE と表示され、指示すると正面に向かってタックルで攻撃する。アルの近くに敵がいる場合は敵に向かってタックルする。下への段差があるところでタックルするとアルがダウンしてしまうため注意は必要。
アルの距離に関係なくR1ボタンを押し続けると GUARD と表示され、エドの正面に立って敵からの攻撃を防御する。
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〇ボタンを長押しして錬金ゲージが最大になっている状態でアルが近くにいる時にR1ボタンを押すとスペシャルアタックという周囲の敵をなぎ倒す強力な連携攻撃を繰り出す。
スペシャルアタックを使用するには画面左下にあるアルの顔を模したスペシャルアタックストックを消費する必要があり、アルが一定回数敵を攻撃するとストックが1個増加する。
ストックは3個まで溜めることができるがアルのHPが0になって気絶するとストックは無くなってしまう。
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STARTボタンでキャンプ画面を開く。ただしエドがダメージを受けて怯んだり吹き飛ばされている間は開くことができない。キャンプ画面についての説明は後述にて行う。
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エリアに設置されている宝箱は□ボタンで開けられる。
エリアによってはセーブポイントが設置されている。セーブポイント内に入って□ボタンか〇ボタンを押すとデータのセーブやHPの全回復が可能。
フィーバーモード
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エドやアルが敵を攻撃すると画面左下にあるフィーバーゲージが少しずつ溜まり、ゲージが最大になるとフィーバーモードが発動する。
フィーバーモードが発動すると FEVER START! の表示が入り、エドのHPゲージが虹色になる。フィーバーモード中は攻撃力が上昇するほか、得られる経験値が通常よりも多くなる。
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そのほか、スペシャルアタックより更に強力なフィーバースペシャルアタックが使用可能になる。フィーバースペシャルアタックの発動方法はスペシャルアタックと同じ。
フィーバースペシャルアタックを使用すると近くにいる敵を巨大な突起錬成で一網打尽にする。ただし、近くに敵がいないと不発になってしまう。
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フィーバーモードは以下の条件を一つでも行うと解除される。
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エドが地面にダウンする。(受け身をとった場合はセーフ)
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エド、アルのどちらかのHPが0になる。
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フィーバースペシャルアタックを使用する。
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セーブポイントでセーブ画面に移行し、HPを回復させる。
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ステージをクリアする。
錬金術
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エドの錬成によって槍や大剣を生み出して装備したり、砲台を作って乗り込んだり、特殊な兵器を作り出して敵を混乱させるなど、錬金術による用途は様々。
〇ボタンを押して錬金ゲージを溜めている間、錬金できる物の周囲にサークルが出現し、サークル内で〇ボタンを離すと錬金術が発動し、物を武器に変化させることが可能。
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錬金ゲージを溜めた段階によって錬成される武器が変わる物もあり、この場合はゲージが一定量溜まるかゲージが最大になるかで錬成の内容が変わる。
方向キー左でゲージの溜め段階を戻すことができるほか、方向キー下で溜めの解除も可能。
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サークルを開いている間は錬成物のタイプがアイコンで表示され、エド専用の武器は赤色、アル専用の武器は青色、エド・アル両方使用できる共用武器は緑色で表示される。
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槍や大剣といった装備できる武器を錬成させた場合は武器の近くで△ボタンを押すことで武器を装備できる。
武器を持っている状態で△ボタンを押すと装備を解除することができる。
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砲台など大型の錬成武器はエドやアルが乗って使う必要がある。
△ボタンで大型武器への乗り降りが可能。□ボタンで武器を使用。左スティックで武器の操作が可能。
大型の錬成武器には使用回数が設定されており、0になると使用できなくなる。使用回数は対応するリローダーというアイテムを持っている場合、錬金術でリローダーを消費することでリロードすることが可能。
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アル用、または2人共用の武器の近くにいるとアルへの指示コマンドに USE と表示され、指示するとアルに武器を装備させたり大型武器に搭乗させることができる。
アル用の武器や、一部の装備できる共用武器には使用回数があり、使い切ると自動的に武器は無くなる。
キャンプ画面
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STARTボタンを押すとキャンプ画面を開く。キャンプ画面ではアイテムを使ったり、アクセサリという装備品を装備することができる。
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アイテムの欄ではアイテムを使うことが可能。
HPを回復する回復薬や回復パック、毒やマヒといった状態異常を治す毒消し草や動け草などが基本的なアイテムとなる。
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アクセサリの欄ではエドやアルにアクセサリを装備させることが可能。
アクセサリは2個まで装備可能で、アクセサリによって「特定のステータスアップ」や「ジャストアタックが自動的に出る」といった効果をもたらす。
一部アクセサリはエドしか装備できないエド専用のアクセサリや、アルしか装備できないアル専用のアクセサリになっている。
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ステータスの欄ではエドやアルの現在のステータスを確認可能。
ステータスは4種類あり、体力・攻撃力・防御力・錬成力に分けられる。錬成力はエドのみのステータスとなっている。ステータスの詳細は以下の通り。
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体力:最大HPに影響する。
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攻撃力:通常攻撃の威力に影響する。
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防御力:受けるダメージの減少量に影響する。
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錬成力:大型の錬成武器や突起錬成の威力に影響する。
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ボーナスポイントの欄では獲得したボーナスポイントをエドやアルに振り分けてステータスを強化することができる。
エドがレベルアップするとボーナスポイントを獲得することがあり、獲得したポイントは自動的に蓄積される。
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コンフィグの欄ではゲーム内の設定などを変えることができる。
その他
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基本的にステージの最後にはボスが登場する。
ボスを撃破するとリザルトが入り、撃破までかかった時間と最大コンボ数に応じてランクが設定される。ランクはC・B・A・Sの順になっている。
そのほかボスを撃破するとアイテムやアクセサリを獲得できるほか、ランクに応じてボーナスポイントを得られる。
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ステージをクリアするとセーブを行うかについての表示が入り、はいを選ぶとセーブ画面に移行する。
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ゲームをクリアするとステージクリア同様セーブを行うかの表示が入り、セーブするとファイルに CLEAR! の文字が表示され、ゲームクリアしたデータで続きからはじめると2周目に突入する。
2周目ではじめた場合、エドやアルのレベルとステータスは初期値に戻るが、アイテムやアクセサリ、ボーナスポイントはクリアデータから引き継ぐことが可能。
シナリオに変化はないが、2周目では敵のステータスが強化されているため、引き継ぎ前提の難易度には調整されている。
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また、2周目では「映像マテリアル」、「画像マテリアル」というアイテムが入った宝箱が新たに出現する。
マテリアルはタイトル画面のギャラリーから閲覧可能で、ゲーム内のアニメパートや設定資料を見ることができる。
評価点
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キャラゲーとは思えないゲームとしての出来の良さ
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『鋼の錬金術師』を発行しているスクウェア・エニックスが自らゲーム制作を指揮しているため、出版社とゲーム会社としての地の利を活かして本作はかなり気合が入っている。
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キャラゲーとしての出来の良さはもちろん、ゲーム内容としてもなかなかで、比較的ストレスフリーに作られていることも魅力。
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錬金術の自由度の高さもさることながら、それらを活かしたコンボの爽快感など、モーション自体が滑らかなので使い心地はかなり良い。
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錬金術で作れる一部のメカはコメディタッチで、中には原作者である荒川弘氏の自画像(牛)をモチーフにしたものもある。
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宝箱を開ける時には一々「○○を手に入れた」などのテキスト表記が表示されてゲームが止まる、と言ったことはなく、アイテム名だけが箱の上に表示されるだけなので円滑にアイテム取得可能。
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キャラゲーとしても十分優秀な点
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シナリオとしては、ある程度アナザーストーリーとして見ないと無理が生じる部分が存在するのは否めないが、比較的違和感なく原作の流れに挿入されている。
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アニメ版は原作のファンからすると不満が漏れる部分も多い作品だったが、本作は製作時期がアニメと同時期かやや早かったためか、原作漫画をモチーフとしたキャラづくりが行われている。
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特にエドとアルは原作のようなやりとりが交わされ、違和感もない。チビと言われる度に暴走するエドは、原作同様面白い行動をとってくれる。
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挿入されるアニメパートの出来の良さ
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TVアニメは高水準のクオリティとしても話題となったが、それらのスタッフが手掛けたゲーム内のアニメパートも非常に良い出来になっている。
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合計で20分ほどあるため、比較的要所で挿入されることが多い。「次にいつアニメパートが挿入されるのか」と楽しみにしながらプレイ出来る。
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ちなみに人体錬成を試みるパートはアニメ放映されたものとほぼ同一。違いはアフレコが別物であることと、CEROを引き上げてしまいそうな直接的な欠損シーンがカットされている点。
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チュートリアルの丁寧さ
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本作の基本的な操作や特殊な操作は全て解説文付きで親切に説明されるため、操作で困ることはあまりないだろう。
再プレイの際これが飛ばせないのは厄介だが、不要ならボタンを押すことでスキップが出来る。
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原作にも通じるほろ苦い結末
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本作は決して大団円とは言えない最後を迎えてしまうが、それに納得出来ない子供のエド達と、本人の意志を汲んであえて彼等の前に立ち塞がる大人達との意地と矜持が激突するラストバトルは必見。この戦闘中に流れるBGM「消せない罪」のアレンジボーカルver.もスローテンポである事が逆に雰囲気の盛り上げに一役買っている。
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なおこのバトルは実質的に負けバトルであり、エド達が敗北する前提になっているが、頑張ればちゃんと勝つ事も出来る造りになっている。(結末自体は変化しない)
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ラストバトルで戦う相手は原作でも強者として名の知れた錬金術師なので、エド達がどれだけ抗っても敗北は免れない理由付けにもなっている。
問題点
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キャラゲーとして見ると原作からの登場キャラが少ない
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原作序盤がモチーフで、しかも汽車で中央に向かう途中という設定であることから、原作からのキャラは基本5人しか存在しない。
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作中の時間軸的に、人気キャラであったマース・ヒューズ中佐などは登場させたくても出来ず、キャラゲーとしてはややこぢんまりした印象に。
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一方でオリジナルキャラはそれ以上に多く、作品のほとんどは彼等によって回っていくことになる。外伝ということもありそれ自体に問題はなかろうが…。
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ちなみに本作で登場する、徹甲の錬金術師の異名をとるガンツ・ブレスローはゲームオリジナルキャラだが、一応原作で写真登場していたキャラを参考(引用)に製作されている。
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グラフィック・動作のもっさり感
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モーションに問題はなく、攻撃面はなかなか格好良いが、通常の挙動が全般的にもっさりしている感は否めない。
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ダッシュはやや遅いため回避動作を連打したほうが速いし、ジャンプも跳躍まで溜めがあるため微妙に扱いづらい。
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グラフィックは当時としては良い方ではあるものの、顔のグラフィックなどは若干のっぺりしている。背景の民家などもただの書き割りであり、入ることはできない。
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アルのAIの稚拙さ
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ゲーム上問題ないのだが、そのあまりに短絡的な動きはギャグでしかない。
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細い足場を通る際、アルを呼ぶと最短距離でエドの元に向かおうとする。これ自体は問題ないのだが、直線的にこちらへ向かって来る為壁当たりをずっと続けたり、どう考えてもジャンプでは届かない位置に飛ぼうとしたり、かなり間抜け。
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アクションの指示自体は出来るため、さほど問題はないとはいえ、やはり見栄えは悪い。
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難易度の微妙な高さ
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エド達の通常攻撃は1対1を想定した感のあるスタイルで、範囲攻撃はあまりないため多数の敵を一掃するようないわゆる無双プレイが出来る性能ではない。にもかかわらず、敵の数が基本多め。
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身体の大きなキメラに囲まれるなどすると抜け出すのに一苦労。攻撃力も高いので袋叩きにされ一気にゲームオーバーへ追い込まれることも。
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ボスに関しても一筋縄ではいかない強敵が多く、特に大型のボスキメラともなると特定の攻撃以外はまともにダメージを与えることもできないことが多い。
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敵は雑魚を含めてプレイヤーキャラと同じくダウン後の無敵判定があるため、一部のコンボが刺さらないことがある。
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エドが怯んだり吹っ飛んでいなければキャンプ画面を出してすぐに回復が出来るほか、敵を倒せば回復アイテムはそれなりに落とす上にたまに復活のお守りというアクセサリを落とすことがあるほか、アルの援護もあるので救済措置は十分ある。
しかし敵をあまり倒していない場合はレベルの低さもあって厳しい。頼みの綱のアルにもHPはあり、HPがゼロになりダウンするとエドの救護がないとすぐには復活しないため状況次第では詰むことも。
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特に2周目では敵が強化されているため、生半可な攻略では回復する間もなくゲームオーバーになることも…。
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ボイスについて
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テキスト上の会話にボイスが付いていない。パートボイスすら存在しないのは少々ケチりすぎな気がしないでもない。
一応ボイスが付いている場面もあるが、最終盤かつ特定の場面だけなので基本的には付いてないものと考えるべきである。
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TVアニメ放送前のアフレコだったのか、演技にも若干の差異があり、特にアルは所々声が高くなりすぎることがある。
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この手のメディアミックスによる同時進行ゲームの作品にはよくあることなので仕方ないことではある。
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声優自体はゲストを含め豪華な布陣である。
総評
第1作目としては十分すぎる出来。小さくない不満点はあるものの、キャラゲーとして考えればまだ些細な方であると言える。
ゲームとしての難易度はやや高いが、救済措置はアルの援護を含めて豊富なため、詰んでしまうほど難儀な内容というわけではなく、その救済措置をしっかり活かせばクリア出来るレベルである。
本作の続編も新作を重ねるたびに難点へと改良が加えられ、なおかつ別方向の作品になっていながらも前作よりゲーム性が劣る内容になっていない点は特筆に値することだろう。
余談
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本作のオープニング曲は発売当時放送していたTVアニメ版(2003年版)において2話から13話にてエンディング曲として使用されていた「消せない罪」。
また本作のオープニングの映像は2003年版TVアニメの2話から13話のオープニングとゲーム内のアニメパートの一部から切り抜いたものとなっている。
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切り抜きと言っても違和感はなく、十分見所のあるオープニングとなっている。
ちなみにゲーム内アニメパートの切り抜きの中にはゲーム開始直後に挿入されるパートから最終盤で挿入されるパートも含まれているが、ストーリーのネタバレになるような明確な内容は含まれてないためご安心を。
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アニメ放送後もシリーズは続き、同系統の作品は3作製作された他、バンダイ側からも同時進行でゲームの展開がされた。
後の2009年版でも同じ傾倒の外伝を意識した作品が製作された辺り、本作はキャラゲーとして成功例だったと言えよう。
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本作のビジュアルなどは2003年版を元としているが、発売日を見るに製作はアニメ版と同時進行かそれより早いくらい。
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そのため作中のキャラクターの性格やノリは、シリアスに強く傾倒していた2003年版と比べるとマイルドで、原作での性格を元にしている感がある。
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実際、2003年版の外伝として紹介されてはいるが、資料によっては本作を原作の外伝作品として紹介しているものもある。
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ゲーム発売から半年ほど経過した2004年7月30日にはノベライズ版も発売された。著者は「砂礫の大地」を始めとするノベライズ版ハガレンを数作手がけた井上真氏。
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本作のヒロインであるアルモニを演じた水樹奈々氏は、2003年版ではラース役、2009年版ではランファン役も演じており、本作を含めれば3役別役をこなしていることになる。
最終更新:2023年11月07日 21:32