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htoL#NiQ-ホタルノニッキ-
【ほたるのにっき】
| ジャンル | 光と影のアクション |  
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| 対応機種 | プレイステーション・ヴィータ Windows Vista~10
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| メディア | 初回生産限定プレミアムボックス:PlayStation Vitaカード 通常版:ダウンロード専売ソフト
 Win:Steamダウンロード
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| 発売・開発元 | 日本一ソフトウェア | 
| 発売日 | 【Vita】2014年6月19日 【Win】2016年5月19日
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| 定価 | 初回生産限定プレミアムボックス:6,264円 通常版:1,543円(共に税込)
 Win:
 1,980円500円(税込) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:D(17歳以上対象) | 
| 判定 | 良作 | 
 
ストーリー
9999年12月31日、鉄くずの雨
暗い瓦礫だらけの部屋で目覚めた少女、ミオン。
目覚めた場所がどこなのかも、何故自分はここにいるのか何もわからずに怯える彼女の前に輝く何かが現れる。
その存在に懐かしいものを感じたミオンはそのホタルのような光の示す先へ、
影の中にあらわれたカゲホタルにも支えられながら、影の蠢く危険な廃墟の中を歩き始める。
廃墟と少女、そして廻る死―
概要
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本作は、「ホタル」と「カゲホタル」という2匹のホタルを操作し、少女「ミオン」を廃墟の外へと誘導していく2Dアクションとなっている。
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行動を指示し、ミオンが進む道を照らす「ホタル」
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ホタルはデフォルトの操作モードAではタッチパッドで操作する。ミオンを誘導したい位置にホタルを移動させれば、ミオンはそこに近づくように移動する。
 各ギミックポイントをタッチする事でミオンに操作を指示できるほか、
 ミオンに重なった状態でタッチすればその場で座らせて待機させることが出来る。
 ホタルを先行させて道を確認したり、足場の悪い場所周辺で作業する時に、予めミオンを座らせておくことで事故を減らすことが出来るため、地味ながら重要。
 基本的にはミオンへの指示・操作が中心となるが、一部ではホタルの光に反応する植物などのギミックや、後述するホタル単体で挑むギミックもある。
 
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影の中を進み、不思議な力でオブジェクトに干渉できる「カゲホタル」
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カゲホタルはデフォルトの操作モードAでは背面タッチパッドで操作し、ミオンの影をスタート地点として廃墟に落ちた影の中を自由に進むことが出来る。
 操作中は時間の流れが一時停止するので、じっくりと突破の糸口を探すことが可能。
 しかし、カゲホタルの操作モード終了から改めて操作モードに入るには1秒ほどのインターバルが必要になるため、入るタイミングは慎重に計る必要がある。
 
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記憶を失い廃墟で目覚めた少女「ミオン」
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彼女は危険から身を守る手段を持っておらず、敵や危険なギミックに一度触れるだけでミスになってしまう。
 出来る事はせいぜい小さな箱を移動させたり、スイッチを操作する程度。
 基本的には「ホタル」の光について行き、「ホタル」たちの指示に従う。
 やや癖のあるロングヘアにトナカイのツノのような不思議な突起物を生やしており、この独特なシルエットがカゲホタルの進む影の道を繋げる事もある。
 
 
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見た目に反した高難易度
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ミオンは小柄で非力な少女であり、恐怖におびえ逃げ惑う事しかできない。ひとたび危険にさらされれば直ぐに倒れてしまい、ミスとなってしまう。
 パズル要素は控えめで、やり直しのデメリットはないためあっさり死んであっさりやりなおせる、
 トライ&エラーを繰り返すタイプの死んで覚える高難易度な2Dアクションである。
 難しい局面でも要所要所で途中セーブが挟まれるため、やりなおしも容易。
 
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多くを語らない世界
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作中のギミックにはチュートリアルを除き説明がほとんどなく、この手のアクションパズルと同じく様々なギミックを試行錯誤していくゲームデザインである。
 ミオンやホタルたちは基本的に徘徊する敵を直接倒す手段を持たない為、ギミックを駆使しながらミオンを導く必要がある。
 
評価点
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絵本のような世界
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グラフィックは手書き風で、用途不明のパイプや鉄骨の剥き出しなコンクリートばかりの無機質な舞台ながらもどこかノスタルジックな雰囲気となっており、その中に淡く輝くホタルたちと、奇妙なツノのようなものを生やした少女がたどたどしく歩を進める姿が幻想的である。
 
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世界観と演出に合ったBGM
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ステージ中のBGMは環境音やアンビエント風なBGMで、廃墟の物悲しい雰囲気を引き立てている。
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一転して過去に関わるシーンでは不安をあおるようなビープ音交じりの曲や、後半のイベントでは明るめのメロディラインの曲も使用され、使用されるタイミングもあって印象に残る。
 
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記憶のカケラ探しとその表現
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イベント・ボスステージを除く各ステージに1つずつ配置されている、ピンク色の双葉のようなオブジェクト。
 一見気づかないような位置にあるものや、複雑なパズルを行わなければならないものまであり一筋縄ではいかない。
 これに触れると一瞬だけバグを起こしたような演出の後に今までの横スクロール画面から一転、クォータービューのドット絵表現で「かつてのミオンの記憶」が映し出される。
 いかにも「ドット絵らしい表現」で一見コミカルだが、記憶のカケラ内で映し出される風景はミオンの過去や世界観に関わる重要な内容となっており、印象深いものばかりである。
 全ての記憶のカケラを入手する事が、このゲームの真のエンディングへ到達するための一つの条件となっている。
 
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徐々に解明していく物語
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操作方法の解説以外に説明はほとんど入らず、道中入手する記憶のカケラでも台詞らしい台詞がないため、物語はミオンの目にした風景やオブジェクトと、ミオンの記憶で見たままの世界だけで演出される。
 その為、説明のない曖昧な箇所をプレイヤーに考察させるタイプの物語となっている。
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結果として謎も残る部分があるが、ある程度はパッケージ版に付いてきたアートブックや公式サイトにあるプロローグや公式配信された動画「朗読ムービー」等で補完されている。
 
好みの分かれる点
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シビアなアクションを要求される高難易度ステージ
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ギミックに初見殺し的なものも多く、俗に言う「死んで覚える」ゲームではあるのだが、操作する「ホタル」の動きが慣性のついたふわふわとした挙動であり、カメラの移動に合わせてタッチ位置も変化していく為慣れるまでは非常に苦労する。
 更に言えば、プレイヤーがホタルを操作→それについていくようにミオンが移動する形式なので、どうしても移動にタイムラグが生じる。
 その上でミオンをシビアなタイミングで誘導しなくてはいけない箇所も多く、クリア方法が分かっていても操作やミオン自身がついて行けずになかなかクリアできない事態に陥りやすい。
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特に高難易度とされるのが、ホタル単体で高圧電流の流れる迷路を突破するというギミック、通称「イライラ棒」。
 グーグルでホタルノニッキと検索するとイライラ棒が関連キーワードに出てくるあたり、いかに多くのユーザーがそこで心が折れたかわかるだろう。
 そして、攻略方法が分かったとしてもプレイヤーの操作技術が問われるギミックなので、不器用な人間は一生クリアできないことになる。
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終盤のとあるボスはアクション/操作性とは関係なく動体視力を要求される。
 人によってはポーズ画面による一時停止や別撮りしたムービーで確認しないと難しいという声も聞かれる。
 しかも他のボスと違い最大で20回以上繰り返すことになり、不正解の度に画面にノイズが走るなど難易度もどんどん上がっていく。
 
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ホラー系・暗鬱な展開など心臓に悪い演出
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記憶のカケラ取得時に、「唐突に音と共に画面にノイズが走る」という演出は少々心臓に悪い。
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そして、ゲーム後半や記憶のカケラ中盤以降、真実が明らかになっていくにつれて暗鬱な描写が増えてくる。
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直接的な激しいスプラッタ描写は少ないが、何の説明もなく画面上にとんでもない物が描かれている場合もあり、後で気づいてぞっとするタイプの演出もある。
 好きな人にはたまらない展開だが、かわいいキャラに惹かれて購入した人にはミオンを取り巻く世界に慄くことになるだろう。少なくともほんわかとした冒険物語ではない。
 
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やや少なめのステージ、短いシナリオ
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トライ&エラー、トロフィー集めを考慮しない場合のプレイ時間はさほど長くない。
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通常版がDL販売のみという小規模展開なゲームで、設定価格自体も低めであるという事情を考慮すれば相応の物とも取れる範囲ではある。
 
問題点
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自分の指が邪魔になる
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VITA版発売初期にはタッチ操作しか存在しなかったのだが、そのために「タッチ操作中の自分の指で画面が見えなくなる」という点が一番の問題点として挙がるようになった。
 ステージ上の各種ギミックは明らかに「指で隠れる」ことは想定されておらず、正直VITA実機でのテストプレイをしたのか怪しいレベルである。
 VITA TVでもプレイはできるため、そちらであれば画面が見えなくなることはないが、背面タッチまでも駆使するタッチ操作をコントローラーでやるため難易度がより上昇する。
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この点に対する苦情の声は公式も無視できなかったようで、アップデートでホタルをアナログスティックで操作できる機能が追加されたため、画面が見えなくなることはなくなった。
 しかし、タッチ操作を前提としたバランスのゲームに急遽スティック操作を後付けしたためか、スティックでは低速操作が出来ないという問題が残っており、イライラ棒のような微細な操作を要求されるステージが逆に難しくなるなど一長一短。
 
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一部バグの存在
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3面ボスの撃破に必要な挙動中、ボスの妨害を受けるとシステムエラーを起こして強制終了してしまう箇所がある。
 また、箱を崖から落下させると稀に壁に引っかかって落ち切らない、ミオンが複数のオブジェクトに隣接すると挟まれ判定が発生して死亡する事があるなど、少々理不尽なミスが起こる事もある。
 ただし、リトライは容易な作りの為、通常プレイの範疇では進行不能に陥る箇所は(難易度が高すぎて突破できない場合を除いて)ほぼ無いと言える。
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4面のイライラ棒地帯の一部に侵入しなくても抜けられるという、ある意味で救済とも言えるバグ(あるいは裏ワザ)もある。
 
総評
そもそも癖のある操作形態に、通常クリアにも苦戦する声が多く挙がる程にアクションパズルとしての難易度が高く、そして(プラットフォーム次第とはいえ)上述した指の問題など、手軽に楽しめる・爽快感のあるゲームとは言えない。
記憶のカケラ集めはまだしも、トロフィーは半ば理不尽と言えるような難易度の物も存在するため、トロコンは至難の業。
そういうゲームであることを十分に理解した上で、試行錯誤が好き、乗り越えたときの喜びもひとしおと思えるプレイヤーには十分に楽しめる作品ではある。
雰囲気に惹かれた人にも、「荒廃した廃墟を進む少女と、時折入る不気味な演出」や、「少女の失われた記憶に眠る陰惨な過去」等のキーワードにピンと来たならば、その期待を裏切らない内容と感じられるだろう。
ハードなパズルアクションが楽しみたい人、廃墟に迷う少女の物語を楽しみたい人は、闇に怯える彼女を導き、彼女を取り巻く世界の秘密に触れてみてはいかがだろうか。
余談
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公式ページのTOPがこのゲームの1ステージ目の再現で、体験版のようなつくりとなっていたが、現在はプレイできなくなっている。
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2015年6月18日に、発売一周年記念と称してDL版の価格の値下げ(3,086円→1,543円)と体験版の配信開始が行われた。
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体験版ではチャプター1の内容をまるまる遊ぶことが出来る。
 
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2016年5月19日よりWin版がSteam経由で購入可能になった。こちらはマウスで操作するので画面が見づらいと言った弊害もなく、微妙な操作もやりやすくなった。
 他にも、チュートリアルとスタッフロール位しか出番が無いとはいえ言語の選択も可能になっている。
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一応操作設定でゲームパッドに切り替えることも可能だが、前述のマウスの操作のしやすさから変更することはまずないだろう。
 
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2020年4月9日、日本一ソフトウェアのスマートフォン向けゲームシリーズ「ゲームバラエティー」の一つとして、本作のスマートフォン版が配信された。価格は1,960円(税込)。
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2020年6月2日にSteam版が500円に価格改定された。
最終更新:2024年07月17日 13:40