ゴッド・オブ・ウォーII 終焉への序曲
【ごっどおぶうぉーつー しゅうえんへのじょきょく】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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カプコン
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開発元
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SCE Studios Santa Monica
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発売日
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2007年10月25日
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定価(税込)
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7,140円
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レーティング
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CERO:D(17才以上対象)
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廉価版(税込)
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Best Price 2008年8月7日/2,940円
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判定
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良作
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ゴッド・オブ・ウォーシリーズ
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PlayStation Studios作品
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概要
ギリシャ神話をモチーフとした血塗れ豪快3Dアクションゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』の続編。
ストーリー
前作において、人でありながら神「アレス」を倒すという空前の奇跡を成し遂げ、新たなる戦いの神となったクレイトスだったが、妻子を手にかけたという罪の意識と悪夢は消えず、今も彼を責めさいなんでいた。
そしてオリンポスの神々も、この新参の男を無視し、仲間として迎え入れることはなかった。
クレイトスの方も神々の愛などもとめてはいなかった。自分を裏切った神々に対して憎悪を募らせ、スパルタの兵士達を新たなる家族・心のよりどころとして他の都市への征服戦争を続けていた。
前任者「アレス」以上に残酷・無慈悲に振る舞うクレイトスに神々の不満と怒りは募っていく。
ロードス島への侵略を進めるクレイトスは、最後の一撃を加えるため自ら出陣しようとする。唯一、彼を気にかけていた女神アテナは彼を止めようとするが、その手を振り払い、クレイトスはロードス島へ降り立った。
特徴
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前作同様にアクション要素が中心だが、考えて解かないと行けないギミックや罠の仕掛けなど、パズルゲーム要素も存在している。
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基本的なシステムは前作の物を踏襲しており、大きな変更点はない。
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前作の時点でかなり完成しているシステムであるため、問題はないと言える。
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もちろん、直すべき所は修正されている(後述)。
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レーディングは今回もCERO:D(17歳以上対象)だが、限りなくCERO:Z(18歳以上のみ対象)に近いと言わしめるほどの圧倒的な残虐描写が本作の特徴である。
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飛び散る血しぶき、内臓、そしてグロテスクな敵キャラなど圧倒的なビジュアルがプレイヤーの目を捉えて放さないこと間違いなし。
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ある意味、説明をなしていないが本作の特徴はファンから「クレイトスさん」と呼ばれることもある主人公「クレイトス」に集約している。
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究極の肉食系であるクレイトスの豪快アクションは、見る物の心を捉えて放さないだろう。
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ボスの1人である「テセウス」にトドメを刺すときのアクションは良くも悪くも有名である。
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「CSアタック」は健在。前作にもまして、映画の登場人物を直に操縦しているかのようなアクションを決めてくれる。
評価点
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グラフィック
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前作も相当な完成度を誇っていたが、さらに技術力に磨きがかかったのか今作のグラフィックとアクションは前作以上で、PS2でもトップクラス。
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チュートリアルボスであるコロサス像との戦いはもちろん、グリフォンライダーとの空中戦は必見である。
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一方で残虐描写の方もPS2の限界を攻めてきている。再生するプロメテウスの内臓や、眼球えぐり出されてのたうつサイクロプスなど、見るものを選びすぎる描写が目白押し。
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また、衣装こそ反映されないものの、一部のムービーでは当時としてはまだ珍しい高画質版を用意するなど、製作側の本気が見て取れる。
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ボス・イベントなど
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前作の不満点だった「ボスが少ない」「イベントのメリハリがない」という欠点だが、本作ではステージごとに見た目にも変化し、また区切りごとにボスが登場するようになった。
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それも単に使い回しの雑魚敵が大量出現というものではなく、ギリシア神話の知識がある人間なら誰でもが知っている英雄達が、ボス敵としてクレイトスの前に立ちふさがる。
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「最強のギリシア神話英雄は誰だ!?」を地でいく展開には、ギリシア神話に興味の有無を問わず盛り上がること請け合い。
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ボスのバリエーションも様々である。メタボと称されることもあるエウリュディケ、ハリーハウゼン版『タイタンの戦い』を知っているとニヤリとさせられるようなトリッキーな戦いぶりのペルセウス、そしてクラーケン戦など飽きさせない工夫がみられる。
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敵の種類も非常に多い。スケルトンは剣を持った自分の腕を掴んでリーチを長くして切りつけてきたり、サイクロプスを乗り物のように乗り回す獣人兵など、見る物を飽きさせない。
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その他、映画のような演出が多いのも特徴。
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テュポンの牢獄に向かうまでの空中戦は、3Dゲームの進化という題材で報道されるほど。
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アクションの改良
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魔法4種はすべて変更された。おまけで前作のポセイドンの雷が使える。
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基本的なモーションはそのままに、L1+□など細かい派生が変更されて使いやすくなった。
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前作で対処が面倒だったメドゥーサの石化攻撃だが、本作ではジャストガードに石化攻撃を跳ね返す機能が追加され処理が格段に楽になった。
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綱渡りで高速移動や、崖登りで一気に下に降りられるようになった。
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連打など扉を開けるときはR2から○ボタン、宝箱はR1ボタンに変更され操作がしやすくなった。
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武器
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前作にも一応、ブレイドオブアルテミス(大剣)という、がらりとアクションが変わってしまう武器が登場したが、正直使いにくいというレベルではなく、使わないでもクリアーすることは可能だった。
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本作ではアクションも何もかもががらりと変わる、ハンマー・槍・剣(イベント戦かクリア特典のみ)という武器が登場する。
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単に登場するだけでなく、いずれも一癖あるが納得の内容となっている。必要最低限な部分は別として、全てこれらの武器で進めていくことも可能である。
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ただしメイン武器と比較するとアクションが少なく、あくまでオマケレベルではある。
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その他
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本作のチュートリアルはクレイトスが戦神になったという設定なため、初めから体力と魔法ゲージと武器レベルが最大で遊べる。
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レッドオーブを使用して強化する際、オーブが一気に注がれるようになり、テンポが格段に増した。
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クリアー後にできるオリンポスの試練が、各ステージごとにセーブできるようになった。地味に嬉しい仕様変更である。
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セーブポイントが10個に増えた。前作の4つと比べれば格段の進歩である。
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デストラップ系の罠が少なくなった。
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前作の噴水であった、CEROの規制によって難易度が理不尽に上昇する場面は無い。
賛否両論点
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滝のごとく流れ出る血や内臓の描写。漫画の『シグルイ』みたいだと言われることも。
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難易度
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前作同様、その難易度の高さで本作は有名である。一応、難易度EASYもあるにはあるが、各種特典を解放するためには最高難易度をクリアーする必要があるため、戦神の鎧やヘラクレスなどのスキンを使えるようにするためには、嫌でも最高難易度をクリアーしなければならない。
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最高難易度でも何度も挑戦すれば必ずクリアできるレベルで、コンティニューが非常に快適と配慮はされているが。
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しかしながら後述の武器、石化魔法の存在により、シリーズで最も難易度が低いと言われることもある。
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一部ハメの削除
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敵を空中で投げた際にバウンドせず、連続で投げられなくなった。
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ただし、槍やイカロスの翼で空中に跳ね上げた敵を連続で地面にたたきつけるハメ技は健在。このとき、他の敵をこれに巻き込むとサイクロプスやジャガーノートなどタフな敵であっても瞬殺できてしまう。
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新武器&魔法のバランス
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具体的にはバーバリアンハンマーが非常に強力。
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威力もさることながら大きい隙を防御キャンセルすることができるため、操作に慣れた人間なら難関ポイントのいくつかが難関にすらならないという事態に。
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また、前作に引き続き石化が猛威を振るう。魔法は前作と違い移動しながら発動できるようになったのみならず、ゴルゴンを掴もうとすると必ず次のアクションで石化光線を撃つという習性があるため、ジャストガードを組み合わせることで周囲の敵を全て石化でき、返す刀でハンマー(魔法)による粉砕というコンボを決めることができる。
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前作で多くのプレイヤーを悩ましたサテュロスや強敵サイクロプスを、石化&ハンマーで瞬殺という流れは、YouTubeのNUR動画などを見れば理解できるだろう。
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逆に運命の槍は弱め。
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オリュンポスの剣は非常に強いが、最終兵器という設定の上、クリア後限定かつ引き継ぎ特典とも言えるもののため、あまり問題視されていない。
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魔法の弓(テュポンベイン)が弱い
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一発ごとに魔法ゲージを消費してしまうにもかかわらず、威力が弱いため燃費が悪すぎる。
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弓を構える際に無敵時間が発生し硬直時間も短いため、上級者からは構えが本体と言われることも。
問題点
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視点変更ができない3Dゲームの宿命かもしれないが、カメラのアングル移動が少々甘いところがある。
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ローリング回避の方向が4方向に限定される。前作で問題として上げられていた点だが本作でも改善されなかった。
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最高難易度「TITAN」の場合、必ず死亡してコンティニューしないと先へ進めない場面が出てくる。そのためノーコンクリアは不可能。
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ある意味、月並みなシナリオ
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予想通りか、「漫画『アリオン』みたい」と揶揄されることもある。
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『III』ではラスボス候補だったアポロンが存在ごと消されてしまっている。
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全てが予想の範囲内にとどまっており、(特に日本人には)大きな驚きと言えるような物がない。
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次作『III』と前後編に分かれ本作でストーリーが完結しないため、ストーリーにぶつ切り感が漂う。
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チュートリアルイベントの1つが無意味に
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具体的には女性2人と戯れるミニゲームのことだが、大量のレッドオーブを得たのもつかの間、チュートリアル終了と同時に全てのレッドオーブを失うことになる。
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ラスボスとなるあるキャラクターの性格・言動が前作のそれとは違いすぎている。
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同様にクレイトスも、前作以上に情け無用な性格になりすぎてしまい、表情も前作ではどことなく悲しみが帯びていた表情も非常に険しいものに変わったことを残念がある点も。
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前作と比較してもPSPの2作をプレイすれば事情が分かるとはいえ、本作のクレイトスは八つ当たりに対する自業自得なため感情移入し辛い。
総評
言葉にするのも無粋なほどの完成度、圧倒的な描写、有無を言わせぬ存在感。
操作も快適で、システム面の粗もほとんど気にならないレベル。
これを名作と言わずして何を名作と言おうか。アクションゲームファンなら是非とも手に取っておきたい一作である。
ただし、スプラッター映画顔負けの出血量と、日本人受けしないクレイトスの容姿と苛烈な性格ゆえに、万人向けのゲームとは言いがたい。
これは本作における唯一にして致命的なマイナス点ではないだろうか。
一方で、コーヒーやビールの苦みを美味と思えるような大人には、男女問わず推薦したいゲームである。
移植
PS3『ゴッド・オブ・ウォーII HD』
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最大解像度720p・トロフィー機能追加・常時60fps化などPS3用ソフトとしてふさわしい進化を遂げている。
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しかしながら基本的なシステムはベタ移植なため、セーブ数が同一だったりと、あと一歩の改良余地が残った内容となっている。
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PS2時代のバグもそのままであるため、そもそも直す気もないらしいのが残念。
余談
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クレイトスの父親が判明するタイミングが、前作のオマケ映像と本作で異なっている。
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ギリシアで実際に行われた本作のプロモーションにて、本物の山羊の死体を使った表現がギリシア当局の規制に引っかかり、ニュースになってしまった。
最終更新:2024年11月18日 06:11