ライアット・スターズ
【らいあっとすたーず】
ジャンル
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シミュレーション
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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ヘクト
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発売日
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1997年5月2日
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定価
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6,800円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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自由度の高い編成システム グラフィックは人を選ぶ シナリオが尻切れトンボ 保険金詐欺
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概要
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中世ファンタジー世界を舞台に、主人公の国「カーライン王国」と敵国「ディール帝国」の戦争を描いたシミュレーションゲーム。
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主人公は王国軍の中でもはみ出し者の集まりと蔑まれる宮廷第9軍の隊長として帝国軍や王国内部の陰謀に立ち向かっていく。
特徴
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お金を使ってキャラクターを成長させる
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戦闘で勝利しても経験値などは得られず、キャラクターの成長はマップ間のインターミッションでお金を投じて行う。
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キャラクターのLVを直接上げるほか、力や速さなどの個別のパラメータをピンポイントでアップさせることも可能。
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レベルが条件を満たせばキャラクターのクラスチェンジも行える。
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ユニットは最大5人組
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1つのユニットにはキャラクターを5人まで入れることができる。
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近接戦闘向きのキャラクターと遠距離攻撃できるキャラクターを組ませて汎用性を高めたり、遠距離攻撃主体のキャラクターだけでユニットを組んで砲台にするなど自由度は高い。
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ユニットには前列と後列があり、どちらに配置したかでキャラクターのバトル中の動きが異なってくる。
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用意されているクラスも人間以外に妖精やホビット、モンスターや機械兵など多種多様でクラスチェンジ先も含めるとかなりのバリエーションになる。
1ユニットに3種類のクラス以内と制約はあるものの自分好みの部隊の編制が可能。
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戦闘マップは六角形のヘクスマップ
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全てのユニットに向きがあり、後ろから攻撃すれば先制を取れる。
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ロボット系のSLGによくあるZOCシステムが採用されているので、一気に敵ユニットの横をすり抜けることはできない。
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行動はターン制ではなくユニットごとの待ち時間を経過した順番に敵味方入り乱れて行う。
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ユニット同士のバトルはリアルタイムで入り乱れてのもの
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ユニットのメンバーは自動で行動してバトルを行い、一定時間経っても決着がつかなければ双方が引き上げる。
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プレイヤーは基本的に見ているだけだが、ユニットのリーダーが使用可能な必殺技の発動などでは操作する必要がある。
評価点
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ユニットの編成の自由度
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最大5人のユニット編成の人数以外の制限は「所属キャラクターのクラスは3種類まで」のみであり、とにかく編成の幅が広い。
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人数の少ないユニットは素早く行動できるようになるので、マップによっては4人以下のユニットを使う意義もある。
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多和田吏氏によるオーケストラ調のBGM
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プレイステーションの内蔵音源を使用した伝統的なオーケストラ音楽は、同社の『イーハトーヴォ物語』に続き多和田吏氏が担当しており、非常にクオリティーが高い。
賛否両論点
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お金さえあればいくらでも強化できるシステム
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序盤でも資金繰りのコツを掴めば終盤まで通用するユニットを作れる。
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戦闘で味方ユニットが全滅すると死亡してキャラロストになってしまうのだが、その際に保険金やレアアイテムを受け取ることが出来るという変わったシステムがあるため。いわゆる二軍を抱えておくくらいなら、戦闘に出して謀殺し保険金を受け取った方が有用なのである。通称「保険金詐欺」「謀殺の果てに」。
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バランスブレイカーと見るか、自分で難易度調整できると見るかはプレイヤー次第だろう。
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キャラクターの顔グラフィック
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かなりクセのある絵柄であり、万人ウケするタイプではない。
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同じ絵柄でも『ムーンクリスタル』では好評価が多かったことから、原画をゲーム画面に起こしたドッターの問題が少なからずあるかと思われる。
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ただし、中年男性のグラフィックは違和感がなく作品の雰囲気とも合っている。
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自軍有利の戦闘システム
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交戦中に攻撃がクリーンヒットするとジェムゲージというゲージが溜まりこれを消費することでパーティアタックという強力な攻撃を行える。
またジェムが溜まっている状態で戦闘終了する、連続Hitで敵を撃破する等でパワーストーンというアイテムになり
消費するとSSアタックという必殺技を使用できる。
しかしこれらの要素は自軍のみで敵軍が使用してくる事は一切なく自軍側が有利のバランスになってしまっている。
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戦闘シーンはリアルタイムで入り乱れて攻防するのだが、実際はこちらの攻撃する番と敵の攻撃する番に分かれており
敵が攻撃する番にパーティアタックで割り込むと敵の順番を丸ごと潰せてしまうため味方有利のシステムに拍車がかかってしまっている。
問題点
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クラス間の使い勝手の差が激しい
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地形を完全無視して移動可能なウイングナイトや上級ドラゴン系、弓兵の最上級クラスで射程3の大半の相手に一方的に間接攻撃できるサジタリスは特に有用。
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ただし飛行タイプのクラスはいずれも特殊な条件が必要で事前の攻略情報なしでは入手は限られている。
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一方で移動力に劣る重剣士系や防御力が脆弱な武道家、最上級クラスでありながら射程2でサジタリスのほぼ下位互換のレンジャーなど使いどころに困るクラスもある。
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難易度のバランス
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2章辺りまでは難易度が緩やかに上昇していく良好なバランスだが、後半に進むに連れてプレイヤーユニットの成長に敵が追いついてこないため難易度が落ちてくる。このため、シナリオ上で強敵とされる相手が現れても肩透かしになり今一つ盛り上がりに欠けてしまう。育成方針にもよるが、終盤になるとSSアタックでラスボス含む全ての敵ユニットが一撃で倒せてしまう程、能力差が生まれることも。
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終盤のシナリオやマップが手抜き
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終盤は帝国軍とその背後で古代文明の超兵器復活を目論む黒幕との戦いになるのだが、それまでのシナリオで伏線気味に語られていた古代文明についての内容にほとんど触れられない。
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マップの敵の配置は、同じ性能の敵ユニットが各所にまとめて5~10体ぐらいコピペで配置されているだけになりあからさまに手抜きだとわかる。
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戦闘マップ数の関係なのだろうが、黒幕候補同士の対決では、「弱そうな方」が勝ち残ってラスボスになる。
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「強そうな方」の敗北原因、重要アイテムの管理のし忘れ。
総評
全体的に見れば凡庸なシミュレーションゲームであるが、キャラクターの育成とユニットの編成では従来の中世戦争物のSLGとは一味異なる魅力がある。
しかし、終盤の展開はとりあえず風呂敷を畳んだという感じは否めず、シナリオ面では問題のあるゲームである。
裏技・バグ
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主人公の名前を「わにさん」にしてスタートすると初期の所持金が10万、カジノのコイン200枚を所持した状態からスタートできる。
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上記の通り資金でいくらでも強化できるので、圧倒的戦力で敵を蹂躙することができるようになる。
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本ソフトは2つのバージョンがあり、最初のバージョンにはバグが存在する。
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上記の謀殺によるメリットもバグの結果によるもの。
死亡したキャラがSS技能(必殺技)を持っていると、その数だけ好きなSS技能を修得できるアイテム「スーパージュエル」を保険金としてもらえるのだが、バグでSS技能を持っていないキャラでも1つ持っているという判定になってしまうため、本来貴重なスーパージュエルが謀殺で大量に手に入る。
1つ2500で売却でき、最強クラスのキャラを作るには8000~10000ぐらいの所持金でいけるためゲームバランスがあっという間に崩れる。
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もう1つ資金に関わるバグとして「機械兵装備バグ」がある。
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仲間にできるキャラには「機械兵」に分類される自立行動ロボットがある。
機械なので装備品は固定で外すことができないのだが、不要キャラを資金に転換する「解雇」コマンドで資金にすると装備品が手持ちに残るバグである。(機械兵の雇用費用)<(解雇時に入る資金+機械兵の装備品の売却額)であるため、理論上無限に資金増殖が可能。
最終更新:2024年07月16日 10:55